ラナ・プラザ周年: MEP( 欧州議会議員)は今日、デュー・ディリジェンスを支持しなければならない!
2024-04-24
2024年4月24日:今日は、バングラデシュのダッカにあるラナ・プラザが崩壊し、縫製労働者を巻き込み、1,100人以上の死者と数千人以上の負傷者を出した2013年の労災死亡事故の周年日である。今年の周年日は、EU議会で「企業の持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)」の最終投票が行われた日と重なる。この指令が採択されれば、グローバルなバリューチェーンにおいて、環境基準や労働者の権利を含む人権の尊重が義務付けられることになる。
このデュー・ディリジェンスを効果的に実施するために、拘束力のある協定への関心が高まっている。これは、自主的な社会監査が、労働者の権利を保護し、多国籍バイヤー・ブランドとその投資家のリスクを軽減するという点で、失敗したメカニズムであるという認識が高まっているためである。
インダストリオール・ヨーロッパのジュディス・カートン・ダーリング書記長は言う:
「今日、欧州議会は、残念ながら労働者の権利濫用で悪名高い状態が続いている海外の繊維部門を含め、労働者の生活に真の前向きな変化をもたらすチャンスを手にしている。すべての労働者は、適切な条件のもと安全な環境で働くべきであり、ラナ・プラザのような惨事を二度と起こさないよう、できる限りのことをしなければならない。私たちは、サプライチェーンがどこにあろうと、企業に責任を負わせるために、デュー・ディリジェンスに関する強力なEU規則が必要だ。」
企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令は、EU域内で最低売上高4億5,000万ユーロのEU企業および非EU企業に対し、そのバリューチェーン全体で人権および環境デュー・ディリジェンスを実施することを義務付けるものである。
UNI 欧州地域 書記長のオリバー・レティグは、次のように述べた:
「CSDDDは、企業が人権デュー・ディリジェンスへのアプローチを一方的に決定することがもはやできないようにする点で、極めて重要な前進をもたらすものである。デュー・ディリジェンスのプロセスを通じて労働組合を有意 義に関与させることを 義務づけることになる。この指令が施行されれば、新たな義務要件が失敗した企業の社会的責任のアプローチから実質的な一歩を踏み出すことになる。」
グローバル・ユニオンは、ラナ・プラザ縫製工場崩壊の直後に、法的拘束力のある「繊維・衣料品産業における安全衛生に関する国際協定」を設立し、現在までに200を超える世界最大のブランドやファッション小売業者がこの協定に署名している。その結果、サプライヤー工場で56,000件を超える第三者検査が実施され、140,000件を超える安全問題が解決され、200万人の労働者が安全衛生訓練を受けた。この協定は現在、パキスタンで人々の命を救うために活動している。
インダストリオール・グローバル・ユニオンのアトレ・ホイエ書記長は言う:
「私たちは協定の活動を誇りに思うと同時に、繊維ブランドの責任を追及するため、さらなる国際的な行動を求めている。採択されれば、EU指令は何百万人もの労働者の生活をより良いものに変えるだろう。投票がラナ・プラザの記念日と同じ日に行われることは皮肉であるが当惑することなく、バングラデシュの繊維労働者は本日、欧州議会に対し、この指令を支持し、国際的な繊維ブランドの責任を追及するよう要請する。」
UNIグローバルユニオン書記長のクリスティ・ホフマンは、次のように述べた:
「UNIとインダストリオールが11年前に協定を交渉したときに歴史を作ったように、今日投票する欧州議会議員には、世界中のサプライチェーン責任の状況を変えるチャンスがある 。この協定は、私たちがセクターごとに影響力を持つ拘束力のあるルールを作ることで、組合と企業が変化をもたらすことができることを示している。CSDDDはサプライチェーンの説明責任を新たなレベルに引き上げ、”ラナ・プラザ- 二度と繰り返さない “をスローガン以上のものにするための大きな一歩である。」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/ana-plaza-anniversary-meps-must-support-due-diligence-today
フォルクスワーゲンのチャタヌーガ工場で組合が歴史的勝利
2024-04-22
2024年4月22日:米国南部で組合が大勝利を収め、テネシー州チャタヌーガのフォルクスワーゲン工場の労働者が、全米自動車労組(UAW)加入を圧倒的多数で票決した。この工場は全世界で最後に残った組合のないVW事業だったため、この勝利は大きな金字塔である。
ショーン・フェインUAW会長は、チャタヌーガ工場の労働者に対する熱意と支持を表明した。フェインは投票日に労働者と会談し、この勝利は全国の労働者に広範囲にわたる影響を与えると強調した。
「今日はフォルクスワーゲン労働者と会談して楽しい時を過ごした。彼らは職場の公正を獲得する勝利に向かって進んでいる! アメリカの労働者は取り残されることにうんざりしており、組合は職場内外での尊厳に至る道だ!立ち上がれ、UAW VW!」とフェインは述べた。
そして、2014年以降2回の投票失敗を経て、フォルクスワーゲン労働者は歴史的な偉業を成し遂げ、73%でUAWに賛成票を投じた。
「労働者5000万人のインダストリオール・ファミリー全体から、チャタヌーガのフォルクスワーゲンのUAW労働者を祝福する。皆さんは今日、南部諸州で極めて少ない組合のある自動車工場の1つになることによって歴史を作った。待ちに待った皆さんのファミリー参加を心から歓迎する。今日の圧勝で、皆さんは世界中の数百万人に希望と刺激を与えた」とアトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は述べた。
ジョー・バイデン米大統領は、フォルクスワーゲン・チャタヌーガ労働者の勇気と決意を公式に称賛した。大統領は声明の中で、団結権は基本的なアメリカの価値であり、労働者と使用者の力を均衡させるうえで、したがって公正な経済を育成するうえで極めて重要だと強調した。
「すべての国のすべての労働者が、組合加入を自由かつ公正に選択できなければならない」
この組合の勝利は、長年にわたって必要な中立性を示さなかった経営陣との複雑で長い闘いの末に達成された。数千人を雇用するチャタヌーガ工場は、労働者の権利を求める厳しい闘いの中心となっており、一連の闘争と南部における組織化の可能性に全米の注目が集まっている。
アラバマ州の労働者自身も5月の組合選挙に備え、VWでの投票に至るまでの間に、アラバマを含む近隣諸州の知事たちが公式声明で、組合は地域の雇用創出と経済成長を危険にさらす恐れがあるという根拠のない主張により、強い反発を表明した。
しかし、UAWとその組合員の粘り強い努力は、地域全体で労働組合主義を再構築する見込みがある。チャタヌーガでの成功は幅広い効果をもたらし、自動車産業全体のみならず他の産業でも、労働政策や労働慣行に影響を与える可能性がある。これは職場で公正な扱いと平等を確保するにあたって、組合の重要性に対する認識が高まっていることを強調している。
このキャンペーンでは国際連帯が重要な部分を占め、インダストリオール加盟組織IGメタルとVWグローバル・グループ従業員代表委員会が大きな役割を果たした。両者は労働組合化プロセスを注意深く監視し、VW経営陣による反組合的行動があれば速やかに介入した。この警戒と迅速な行動は、労働者が組合結成投票を行うための公正な環境の確保に役立った。
「このチームワークは、強力なグローバルな連帯が労働権の促進にいかに不可欠であるか、国際的な同盟者はどうすれば現地の取り組みが企業の挑戦に抵抗するのを支援できるかを示している。この勝利はVWの労働者の勝利であるのみならず、全国の労働者数百万人の希望であり、特に来月、組合加入に関する発言権を得るアラバマのメルセデス工場の同志にとって、持続と連帯が労働者の権利と職場の公正を大きく改善する下地を作り得ることを証明している」とゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長は言う。
EU・タイ自由貿易協定においてILO基準を尊重せよ
2024-04-22
2024年4月22日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパは、欧州連合(EU)に対し、EU・タイ自由貿易協定交渉において国際労働基準が尊重されるよう要請する。
4月15日付のシャルル・ミッシェル欧州理事会議長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長を含むEU指導者への書簡で、アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長とジュディス・カートン・ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ書記長は、タイにおける労働者の権利の著しい侵害を指摘し、その結果、組合の組織率が低く、タイの労働組合の団体交渉力が弱いことを強調した。
彼らは、タイの現行労働法が結社の自由と団体交渉権にさまざまな制限を課していると説明した。労働組合は国家からの保護がないため、著しく弱体化している。
「EUが社会正義と労働権の問題、特にILO第87号条約と第98号条約を政府が批准することを約束することが不可欠であり、これにより既存の労働法と慣行が改革され、団結権と団体交渉権が損なわれるような障害が取り除かれるはずである。」とホイエ氏は述べた。
EUはタイにとって、中国、米国、日本に次ぐ第4の貿易相手国である。2022年、タイはEUに228億米ドル相当の製品を輸出した。輸出品には自動車、コンピューター、電気回路、宝飾品などが含まれる。
「EUは、EUとその貿易相手国との間の貿易と投資の拡大が、環境、社会正義、人権、労働権の改善につながることを保証しなければならない。」 とカートン-ダーリングは付け加えた。
EUとタイのFTA交渉が2023年9月に再開されて以来、タイの労働組合は交渉の暗闇の中にいた。インダストリオールの加盟組織であるタイ産業労働総同盟(CILT)は、交渉会議において国際労働基準を尊重するよう交渉相手国に求めている。
CILTのプラシット・プラソプスク会長は、EU・韓国自由貿易協定に言及し、次のように述べた:
「タイ政府は、EU-韓国FTA締結後にILO第87号条約と第98号条約を批准した韓国を見習うべきだ。」
2023年、タイのインダストリオール加盟組合は、国内の反組合差別に取り組む一歩として、87号条約と98号条約の批准を求めるキャンペーンを開始した。
現政権との数回の交渉の後、労働省は三者構成委員会と、 両条約の批准に関する実現可能性調査を行うための2 つの作業部会を設置した。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/respect-ilo-standards-in-eu-thailand-free-trade-agreement
アジア太平洋地域執行委員会、課題が深刻化する中で労働者の権利に取り組む
2024-04-19
2024年4月19日:インダストリオール・グローバル・ユニオン・アジア太平洋地域執行委員会が4月16日にバーチャルで開催され、組合指導者たちが結束して地域全体で進行中の労働争議との連帯を示した。この会議では、不安定雇用の増加に関する議論と、万人のためのディーセント・ ワークを求める団結した呼びかけが行われた。
地域執行委員会の前に開かれた女性委員会では、女性労働者が直面する重大な課題が浮き彫りになった。これには、鉱山部門におけるセクシャル・ハラスメント、政治・経済分野における著しい男女賃金格差、LGBTQI+労働者の組合加入の必要性、人工知能が女性労働者に及ぼす影響などが含まれる。
ミャンマーでは、軍事政権による強制徴兵法から逃れるために国外に逃れている若年労働者が直面している悲惨な状況が報告された。インドネシアでは、政府によるオムニバス法の実施により、労働者の権利が著しく弱体化している。
インダストリオールの南アジア加盟組織は、パキスタンとインドを中心に、退行的な労働法改革を廃止し、鉱山での死亡事故や労働災害を防止するための措置を強化するよう、政府に積極的に働きかけている。これらの加盟組織はまた、特にバングラデシュで、組合員や合法的な組合活動に対する暴力の即時停止を要求している。
強いインフレ圧力の中、フィリピンとマレーシアのインダストリオール加盟組織は、適正な生活賃金を求めている。フィリピンでは、組合が賃金回復法を支持しており、民間部門労 働者の日給150ペソ(2.7 米ドル)の引き上げを提案している。マレーシアの組合は、実質賃金の低迷に対処するため、強制的な累進賃金政策を推進している。
インダストリオール副会長・アジア太平洋共同議長の金子晃浩は、次のように述べた:
「今年は私たち全員にとって重要な年であり、この地域の選挙結果は労働者の状況に大きな影響を与える可能性がある。組合員の権利を守るため、この地域の組合が団結して政府の反労働者政策と闘うことが非常に重要だ。」
組合指導者たちもそれぞれの国について報告し、厳しい雇用状況を明らかにした。例えばインドでは、製造業労働者の40%が契約労働者であり、有給休暇や社会保障の恩恵を受けていない。インドでは「労働安全衛生・労働条件規範2021」が導入され、無期限の有期契約 が認められるようになったため、雇用不安が悪化している。
インドネシアでは、加盟組合が82社とのジェンダーに基づく暴力とハラスメン トに関するゼロ容認方針の交渉に成功した。
ミャンマーのカイン・ザーは、同国で進行中の軍事弾圧が若年労働者の生計に深刻な影響を及ぼしていることを詳述した。また、バングラデシュでは昨年、最低賃金に関する抗議行動に対して残忍な弾圧が行われ、死傷者が出たほか、労働組合員に対する不当な告発が行われた。
若い労働組合員は、包摂的な組合プロセスの強化を求めた。インダストリオール書記局は、地域活動や主要な労働組合活動について報告し、ケマル・ウズカン書記次長は、ILO理事会での議論や欧州議会が採択した人権指令など、グローバルな活動について報告した。
「私たちは将来の課題に備えて組織を準備する必要がある。現在の危うい状況に直面して、労働者の権利と労働組合の権利のために闘うために効果的に戦略を立てることが極めて重要だ。アジア太平洋地域は非常に重要な地域であるため、同地域の指導者からの意見は非常に貴重である。」と同氏は語った。
4月15日に開催されたアジア太平洋女性委員会は、ジェンダーに基づく暴力やハラスメント、性差別、女性差別に関するインダストリオールの方針について包括的な対話を行った。議論には、この方針の実施、参加型ジェンダー監査の計画、加盟組合向けの研修イニシアティブなどが含まれた。
会議では重要な進展が共有された。例えば、フィリピンは長期にわたる組合キャンペーンを経てILO第190号条約を批准した。日本では、意識的・無意識的なジェンダー・バイアスに取り組むためのワークショップが開催され、オーストラリ アの指導者たちは、男女平等に関するフェアワーク法の検討を強調した。南アジアの女性リーダーたちは、地域内でジェンダーに基づく暴力やハラスメントに取り組むことの重要性を強調した。
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メンタルヘルス - 安全衛生の重要な一部
2024-04-19
2024年4月19日:仕事とメンタルヘルスは密接に結びついている。多くの人が大半の時間を職場で過ごしているため、職場のメンタル・ヘルスに取り組むことは重要であり、ここで労働組合は重要な役割を担っている。
世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスを「一人ひとりが自己の可能性を実現し、生 活における通常のストレスに対処し、生産的かつ実りある仕事ができ、地域社会に貢献でき る幸福な状態」と定義している。
心理社会的リスクとも呼ばれる職場におけるメンタルヘルスへのリスクには、スキルの十分に活用されていない、または仕事に対するスキルが不足している、過度の仕事量や仕事のペース、人員不足、長時間、非社会的または融通の利かない労働時間、安全でない、または劣悪な物理的労働条件、暴力、ハラスメント、いじめなどが含まれる。
心理社会的リスクは、新技術の開発とそれに伴う仕事のリズムの加速に伴い、ホワイトカラー労働者を含め、職場においてますます蔓延している。EUの労働者の88%が職場でのストレス問題を経験している。ユーロカドル(欧州専門職監督職協議会)によれば、労働損失日数の60%は、仕事に関連したストレスや心理社会的リスクに起因している。
ホワイトカラー担当部長のアルメル・セビーは言う:
「メンタルヘルスは、身体的な健康と比較すると、いまだに誤解されがちで、十分な資源がなく、優先順位が低い。心理社会的リスクや雇用者の義務に関する法律は十分でないことが多い。さらに、メンタルヘルス不調者はしばしば汚名を着せられ、差別され、排除されている。蔓延する偏見が障壁となっている。雇用主によってはメンタルヘルス不調者の雇用に消極的であり、労働者によってはキャリアへの悪影響を恐れて、開示したり助けを求めたりすることをためらう場合もある。」
職場における労働者のメンタルヘルスを保護することは使用者の注意義務の一部であるが、労働組合は職場におけるメンタルヘルス問題の軽減に重要な役割を果たすことができる。労働組合はこれらのリスクを理解し、その対処法を熟知することが重要である。労働組合は使用者と協力してリスクを評価し、心理社会的リスクを軽減するために職場環境を再編成し、職場の精神障害に関する管理者研修を提唱することができる。
WHOと国際労働機関(ILO)は、労働組合が活用できるガイドラインを作成した。これには、精神的・身体的健康や生活の質の悪化を防ぐために、労働条件を直接対象と した計画的な行動、メンタルヘルスに対する心理社会的リスクの評価と修正、緩和、除去が 含まれる。
ILOの基本条約である労働安全衛生(OHS)条約と労働安全衛生促進枠組み条約は、労働者の心身両面の健康を保護し、労働災害や職業病を防止することを目的としている。これらの条約を合わせると、OSH管理に対するシステ ム・アプローチの確立が可能になり、この分野における主要な責任、義務、 権利が定義されるとともに、安全で健康的な職場環境づくりにおける政府、 使用者、労働者の相互補完的な役割が強調される。
英国のユナイト・ザ・ユニオンやカナダのUSWなどの労働組合は、職場委員や安全衛生担当者、組合員が職場におけるメンタルヘルス問題や差別に取り組み、良好なメンタルヘルスのためにキャンペーンや交渉を行うのを支援するために、独自のガイドラインを策定している。
シンガポールの組合は、職場におけるメンタル・ヘルス問題の高まりに対応して設立さ れた「職場における精神的福祉に関する三者構成諮問委員会」に参加している。労働省(MOM)、全国労働組合会議(NTUC)、シンガポール全国使用者連盟(SNEF)で構成されるこの諮問委員会は、従業員の精神的健康を支援するために使用者が採用できる対策に関する実践的な指針を示し、使用者、従業員、自営業者が利用できるリソースを提供している。
その対策には、一般的な幸福の状態や仕事のストレス要因を把握するための調査の実施、上級管理職に政策や支援の実施を促すための職場のメンタルヘルス・推進者の任命、従業員のメンタルヘルスを向上させるための活動やプログラム、リソースの作成、苦痛を感じている人を専門家に紹介するシステムの確立、従業員のメンタルヘルス支援を中心とした人事・職場政策の見直し、メンタルヘルス状態から回復した従業員を支援するための職場復帰政策の確立などが含まれる。
「シンガポールでも私の組合でも、メンタルヘルスを職場の安全衛生問題として分類している。私たちは労働者や組合代表とワークショップを実施し、労働者が自分のメンタルヘルスに気を配る方法を支援するオンラインおよびオフラインのリソースを提供している。メンタル・ウェルネス・ワークショップでは、ストレスに対処する方法について労働者を教育している。」
と、全国労働組合会議(NTUC)のパトリック・テイ・テック・グアン(インダストリオール・ホワイトカラー部門共同議長)は言う。
フランスのCFE-CGC金属労組は、在宅勤務がメンタルヘルスにどのような影響を及ぼすかについて、従業員の精神的・肉体的健康を損なう可能性のある過負荷を特定するために仕事量を測定している。そして、それを調整し、将来の過負荷を防止する方法を知る必要がある。
CFE-CGC金属労組のコリーヌ・シェウィン(ホワイトカラー部門共同議長)は言う:「組合の代表は、さまざまな部署を回って労働者に話を聞き、精神的な健康状態を調べている。私たちは従業員の睡眠時間を調べ、職場環境を調べ、それから人事部門と話をして、管理職に支援が必要であることを伝えなければならない。また、企業の労働協約には労働者のメンタルヘルスを保護する条項があり、仕事の質や労働条件をチェックしている。」
アルメル・セビーは言う:「職場のメンタルヘルスに関しては、労働組合がリスク管理に参加し、行動の優先順位を決め、行動計画を策定し、これらの計画を監視・評価することが重要である。労働組合はまた、職場におけるメンタルヘルスと幸福について理解を深め、偏見をなくすためにメンタルヘルスの状態に対する考え方を変え、助けを求める行動を奨励し、職場におけるハラスメントと闘うメカニズムを実施し、被害者を保護し、メンタルヘルスの状態にある人々を支援すべきである。」
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/mental-health-an-important-part-of-health-and-safety
レソトの組合、アディエント・オートモーティブを組合つぶしで労働裁判所に提訴
2024-04-19
2024年4月19日:レソト独立民主労組(IDUL)は、組合つぶしと労働組合の団体交渉権侵害を理由に、車両シートメーカーのアディエント・オートモーティブを紛争防止・解決理事会(DDRP)(レソトの労働裁判所)に提訴している。
アディエント・オートモーティブは、南アフリカでBMW、フォード、メルセデス・ベンツ、日産およびフォルクスワーゲンの工場に自動車シートを供給している。マセルのアディエント・オートモーティブで雇用されている労働者1000人のうち、800人がインダストリオール加盟組織IDULの組合員である。
IDULによると、紛争の発端は、アディエント・オートモーティブが2015年に組合と締結した承認協定を無視し始めたことである。法律に従って、組合が使用者と承認協定を結ぶには、工場で労働者の過半数を組織化しなければならない。承認協定は組合に、組合員を代表して雇用条件を取り決め、使用者と団体交渉を行う権利を与える。
しかし同労組によると、アディエント・オートモーティブは労働法を無視して協定に違反し、労働法の規定どおりに組合費を控除して組合に送金することをやめた。さらに、会社側の行動は労働者をいら立たせることを意図している、と同労組は主張する。不当労働行為の継続を阻止するために、IDULは異義を唱えてアディエント・オートモーティブをDDRPに訴えた。
メイ・ラサカネIDUL書記長は言う。
「現地経営陣との会合で懸念を提起したところ、協定を無視するという決定は上級経営陣が拠点を置く米国で下されたと言われた。それはレソトの労働法に従っていないので、私たちはこの決定に異議を申し立てている。」
インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所のポール・フランス・ヌデソミン所長は言う。
「特に結社の自由に関して、多国籍企業は国内労働法と国際労働基準を尊重しなければならない。労働組合の団結権・団体交渉権を支持しなければならず、アディエント・オートモーティブに対し、レソトの労働者の権利を尊重し、組合つぶしをはじめとする反組合活動をやめるよう求める。」
アディエント・オートモーティブはアディエント・エンジニアリングの子会社で、ニューヨーク証券取引所に上場。30カ国の製造工場で7万人以上の労働者を雇用している。アディエント・エンジニアリングは親会社であるジョンソン・コントロールズのスピンオフで、2016年に株式を発行してこの新会社を創設、フレーム、シート機構、発泡体、ヘッドレスト、アームレスト、トリムカバー、その他の車両シートアクセサリーを製造している。
【原文記事URL】
西バルカンでエネルギー移行とインダストリー4.0を調査
2024-04-10
2024年4月10日:インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、フリードリヒ・エーベルト財団(FES)の支援により、4月4-5日にセルビアのベオグラードでワークショップを開催した。この会合には、アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア、セルビアなど、西バルカン諸国の産業部門から加盟組織25団体が集まった。
焦点は、地域のエネルギー移行に伴う課題と機会を調べることだった。このワークショップは、知識集約型経済への移行という、課題と機会に満ちた旅を取り巻くニュアンスを徹底的に検証するためのプラットフォームとなった。
議論から浮かび上がった最大のテーマの1つは、複雑な経済改革を乗り切るうえで重要な要素である、熟練労働者の差し迫った必要性だった。加盟組織は移行しつつある経済の状況を取り上げ、研究開発投資、熟練労働者の育成、脱炭素化努力を推進するインセンティブ確立の必要性を強調した。
組合はグリーン移行とインダストリー4.0登場との関連で、特に自動車部門と幅広いイノベーション・エコシステムの中で、ステークホルダーが協力することの重要性を強調した。そのような共同行動は、エネルギー価格の高騰とグローバル・カウンターパートとの厳しい競争の真っ只中で競争力を高めるのに役立つ、と組合は主張した。
地域のもう1つの共通課題は、政治的な制約が原因で、公正な移行に関する意思決定機関に労働組合が十分参加していないことである。社会的対話を促進するために地域組合協力を強化する必要がある。
イジドーラ・ベラハが経済学研究所を代表して、地域力学と、西バルカン諸国の産業バリューチェーンにおける変革の可能性を知る手がかりを与えた。ベラハは地域協力の極めて重要な役割を強調して、この経路が地域の企業にグローバル・バリューチェーンの階段を上る能力を与え、それによって国際舞台での競争力を高めることを説明した。
「西バルカン諸国の課題と投資ニーズは、EU拡大プロセスとの関連でも重要だ。この転換プロセスが公正な移行の原則によって統治され、非常に重要な労働者・労働組合の権利を促進するようにしなければならない。脱炭素化ニーズを踏まえて、利益主導の戦略決定から、労働組合が積極的に参加する持続可能な生産・消費パターンに移行しなければならない。この移行は労働者抜きでは実現できないため、社会的対話を強化し、労働者を協議に参加させなければならない。私たち抜きに私たちのことを決めるな!」とジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長。
このワークショップは対話の場となっただけでなく、複雑なエネルギー移行を切り抜けることを目指す、すぐに実施可能な戦略を考案する機会にもなった。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合、ならびに両団体の加盟組織は、協力と知識共有、集団行動の促進により、先頭に立って好ましい変化を推進し、西バルカン地域の持続可能な未来に向かって進んでいる。
「このワークショップは、差し迫った課題に真っ向から取り組み、持続可能であるだけでなく、すべての人にとって公平、包括的かつ公正でもある未来に向かって針路を取る、インダストリオールとそのパートナーのコミットメントを明確に示している」と松﨑寛インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は述べた。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/exploring-energy-transition-and-industry-40-in-the-western-balkans