タイの総連合、FTA交渉にILO条約を盛り込むよう要求
2024-06-07
2024年6月7日:タイ産業労働総同盟(CILT)の幹部は5月29日、バンコクで欧州連合(EU)の代表と会談し、EUとタイの自由貿易協定(FTA)に国際労働機関(ILO)の基本条約を盛り込むよう要求した。
インダストリオール加盟組織CILTのプラシット・プラソプスク会長は、第87号条約(結社の自由と団結権の保護)および第98号条約(団結権および団体交渉権)はタイの労働者にとって特に重要であり、彼らは延々と続く反組合差別に直面しているため、この2つの条約をFTA交渉の主要な前提条件の1つにすべきだと述べた。
「私たちは、貿易交渉は持続可能な開発と労働権の保護を考慮に入れなければならないことを強調した。タイ政府はFTA交渉にILOやCILTなどの利害関係者を参加させ、その結果を監視しなければならない」と、プラシット・プラソプスク氏は述べた。
EU代表のペトロス・スルメリス経済貿易部部長は、EU・タイFTAの持続可能性に関する章の章案に、結社の自由、強制労働、児童労働、差別に関するILO基本条約が盛り込まれていることを明言した。EUは現在、タイ政府からの回答を待っているところである。
また、EU・タイFTAが批准され発効した暁には、EUは持続可能性の章とILO基準の遵守について2年間の政策レビューを実施することになると述べた。労働組合は労働者の権利侵害に関する情報をEUに提供する権利を有する。
2023年以来、CILTとタイの25の労働団体は、これらの条約の即時批准を要求するため、ILO87号98号条約推進ネットワークを結成している。
今後、同ネットワークは10月にバンコクで開催される次回の貿易交渉に合わせて、EUとタイ政府に公開書簡を提出する予定である。
「貿易は人々と労働者に利益をもたらすものでなければならない。すべての自由貿易協定に強制力のある国際労働基準を盛り込まなければならないというのがインダストリオールの立場だ。我々はCILTと連帯し、タイにおける結社の自由と団体交渉権の保護を要求する」と、インダストリオール東南アジア地域事務所長ラモン・セルテザは述べた。
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ブラジルのルノー労働者が25日超えるスト
2024-06-04
2024年6月4日:サン・ジョゼ・ドス・ピニャイスのルノー・ホース工場の労働者は、安全衛生条件の改善をめぐって5月7日からストに入っており、使用者に交渉の場に戻るよう求めている。
インダストリオールに加盟している全国金属総連合(CNTM)傘下の大クリティバ金属労組(SMC)組合員は、組立ライン労働者の条件改善を求めてストを決行した。十分な労働者がいなければ仕事量がさらに重くなる、と同労組は言う。従業員は休憩やトイレ使用に総労働時間の5%しか与えられておらず、これは労働者の安全衛生を危険にさらしている、とSMCは言う。
組合側の重要な要求は以下のとおり。
- 生産要求を満たして最近のレイオフを埋め合わせるための労働者300人の追加採用
- 健康保険制度の改善
- 従業員利益分配制度の改善
- 会社が提供する基本消費者バスケットの増額
会社側が解決策を提供せず、対話を行わなかったため、同労組はブラジルの地域労働裁判所での2回の審理を通して要求を提示するしかなかった。組合側は、労働環境の安全向上のためにルノーと交渉する用意があり、それによって会社の生産性と競争力も高まるだろう、と繰り返し述べている。しかし組合によると、ルノーはこの問題について対話する意思がない。
セルジオ・バトカSMC会長は言う。
「民主主義への道は対話だ。会社側は絶対に交渉の場に戻り、労働衛生問題と財政問題について労働者と議論しなければならない。企業内部のすべての変更について、より良い解決を見つけるために当事者全員と協議し、同意を得るべきだ」
インダストリオールは書簡で、ルノー・グループとルノー・グループ従業員代表委員会が2013年にグローバル枠組み協定に署名し、労働者の権利と持続可能な開発を促進すると共同で約束していることを思い出させている。2019年に勤労生活の質に関する協定が締結された。この協定は、新たな取り組みの可能性をもたらし、そのような取り組みの開始を奨励するとともに、妥当な実践的解決策を見つけ、現地協定の交渉を通じて職場における従業員の生活を改善しようとしている
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「ルノーに対し、両協定でなされた約束を尊重し、ブラジルの子会社が労働条件改善に関する組合との交渉に同意することを奨励するよう強く促す」
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https://www.industriall-union.org/renault-workers-in-brazil-on-strike-for-more-than-25-days
アフリカの国家行動計画を包括的かつ参加型に
2024-05-31
2024年5月31日:ビジネスと人権に関する国家行動計画(NAPs)の策定はアフリカにおいて重要な問題であり、さまざまな部門で人権の保護・促進を確保するために、包括的な参加型アプローチが必要である。
5月27-28日にガーナ・アクラでアフリカのビジネスと人権に関する国家行動計画(NAPs)の策定に関するワークショップ開催され、アフリカ10カ国から20人を超える労働組合代表が参加した。組合と並んで、市民社会組織や国の人権機関、政府機関から他のステークホルダーも参加した。
このワークショップはFES AUとUNDP RSCA(アフリカ地域サービスセンター)の支援によって開催され、NAPステークホルダーの間で効果的な戦略の学習、共有および立案を促進した。NAPs策定にあたっての包括的関与と参加型戦略の重要性も強調された。
議論された問題の1つは、採掘作業のための土地損失をめぐる地域社会の懸念に鉱山会社を関与させる手段として、また水源汚染防止策として、NAPsを利用することだった。NAPsは、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントや、ジェンダー差別をなくすためにも利用できるだろう。組合の要求において、NAPsは、多国籍企業を含む数社による労働者の権利侵害を根絶するために、責任あるビジネス慣行と人権デュー・ディリジェンスを促進するうえで重要だった。さらに、NAPsは国家・国際労働基準の遵守を強制するためにも重要だった。
進行役はAUとUNDP RSCAの関係者が務めた。特に、このワークショップは、アフリカ連合のビジネスと人権に関する政策案が最終的な諮問段階にある中で開催された。今までのところ、NAPsを策定しているのは3カ国だけ(ケニア、ナイジェリア、ウガンダ)だが、エチオピア、ガーナ、タンザニアなど、その他数カ国も計画策定に向けて協議を開始している。NAPプロセスに関する経験の共有にあたって、いくつかの国々は協議のさまざまな段階にあると述べた。
このワークショップには、インダストリオール加盟組織のリベリア統一労組(UWUL)とタンザニア産業・商業労組(TUICO)の代議員も参加した。
TUICOのベアトリス・フランシス・オウコがこう述べた。
「ガーナのNAPプロセスに関する経験の共有から多くのことを学び、タンザニアでNAPプロセスを主導しているタンザニアの人権および良い統治委員会と会談することもできた。これは組合の関与を強化する」
FES AUプログラム管理者のアマヌエル・デサレンが次のように述べた。
「アフリカには豊富な天然資源があるので、法律を調和させて相乗効果をどんどん高め、人権が保護・尊重されるとともに、労働者と地域社会を含む乱用の被害者が救済を利用できるようにする必要がある」
「このワークショップは、労働組合ならびにアフリカ連合その他のNAPステークホルダーによる重要な関与戦略だ。AUによるビジネスと人権政策の策定は、アフリカ大陸自由貿易圏をはじめとするAU政策に労働条項を盛り込ませるためのキャンペーンにおける明るい進展だ」とインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所所長のポール・フランス・ヌデソミンは述べた。
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インダストリオール執行委員会、労働者の権利のための闘いの継続を呼びかける
2024-05-30
2024 年 5 月 30 日:結社の自由、ストライキの権利、進行中の戦争、組織化への脅威が、5 月 23~24 日にジュネーブで開催されたインダストリオール執行委員会の議題として取り上げられた。
スウェーデンの組合・IFメタルのマリー・ニルソンは、インダストリオール初の女性会長としての最初の冒頭演説で、技術革新、戦争、民主主義への脅威、気候変動、人工知能などの課題は、時に使い古されたように見えるかもしれないが、労働者が安心してその移行期を迎えられるようになるまで、組合の活動家がそれについて語り続けることが重要だと執行部に念を押した。また、民主主義、自由、持続可能性のために、自由で民主的な労働組合に組織された労働者ほど強力な力はないと強調した。
「労働者の組織化は私たちの最も重要な仕事である。すべての工場で、すべての鉱山で、すべてのランドリーで、私たちの同志は『組合に入りたいか』と尋ねられるべきだ。どの職場でも、答えはイエスだ。組織率の低さは我々にとって問題であり、これほど重要なことはない。あなたの権利に対する攻撃は私の権利に対する攻撃だ。これが私たちの組織の基盤であり、連帯の基礎なのだ」
とマリー・ニルソンは言う。
ドイツのIGメタルから新たに副会長に選出されたクリスティアーネ・ベナーは、結社の自由の重要性を強調した:
「私たちの最も価値あるものは結社の自由であり、組合つぶしが行われていることは明らかだ。私たちの基本的権利と敵対する企業を容認することはできない」
執行委員会は、政府が戦争を口実に労働法を弱体化させ、社会的対話を放棄しているウクライナを含む、労働者の権利と労働組合違反の世界的ホットスポットを強調した。アルゼンチンでは、ミレイ大統領が打ち出した労働改革によって基本的な労働・社会権が撤廃されようとしている。ミャンマーでは、インダストリオールの圧力により、ミャンマーで調達している多くの大手ブラ ンドが同国から撤退したか、撤退の過程にある。ベラルーシが労働者の権利を無視し続け、無数の労働組合員を逮捕していることに関する議論は、6月3日から始まる今年のILO総会で継続される。
ストライキの権利について、インダストリオールのアトレ・ホイエ書記長は次のように述べた:
「ストライキの権利は国際法に根ざしているが、使用者代表はほぼ10年にわたり、ILOにおいてこの必要不可欠な権利に疑念を投げかけてきた。昨年末、この問題は国際司法裁判所に付託された。
私たちはこの裁判を支持し、労働者に有利な結果を確信しているが、労働者が公正な条件と職場の民主主義を得るためにはストライキの権利が基本であることを確認するために裁判所が必要なわけではない。」
カンボジアの繊維・衣料品産業にとって画期的なこととして、インダストリオールはグローバル・ブランドと法的拘束力のある協定を締結し、同部門で初めて ブランド支援による団体協約を実現した。
「これはカンボジアの組合が支援する重要な突破口であり、この産業のすべての人に持続可能な発展をもたらすだろう。この協約はすべての人に責任を負わせ、社会的対話を促進するものであり、競争力の向上、賃金改善、労働条件の改善を意味する」
とC.CAWDUのアティット・コン会長は述べた。
UAW会長のショーン・フェインは、フォルクスワーゲンとメルセデス・ベンツでの組織化キャンペーンにおけるインダストリオールの支援に感謝した。
「労働者階級の人々は取り残されており、私たちは良い協約を締結し、組織化もこれに続くだろう。」
5月21日に開催された女性委員会の報告を行った女性委員会共同議長のイルバナ・スマイロビッチ氏は、女性委員会のようなプラットフォームがあるからこそ、更年期障害、AI、団体交渉といった女性に大きな影響を与える問題を提起することができるのだと語った。
AIは労働者と組合に大きな影響を与えようとしている。インダストリオールの4.0専門家グループは、デジタル化とAIに関連する政策立案を支援・助言するための政策策定に重点を置く。同グループはまた、アルゴリズム管理とデータ・プライバシー、技能とリスキル、労働安全衛生、富の再分配と生産性、組織化に取り組む実践的な政策文書の作成を含む資源創出にも焦点を当てる。グローバル多国籍企業委員会(以前の名称はグローバル多国籍企業政策委員会)は、GFAの実施・監視と労働組合ネットワークの強化に関する評価を開始した。
2023年6月の執行委員会は、2025年の大会まで、今後の執行委員会のオブザーバーとして若者を参加させることに合意した。フィリピンの労働組合連合(ALU-TUCP)のラヤ・ボルハル・フェレール氏は、次のように述べた:
「若者を執行委員会に参加させてくれてありがとう。私たちの世代が大きな影響を受けることから、若者をAIの議論に参加させることは重要だ。」
執行委員会は、グローバル資本に立ち向かい、強力なキャンペーンを展開するグローバル・ユニオンを構築するために、組織化のための訓練や企業キャンペーンの実行に必要な資金を3年間にわたって拠出することを決定した。
インダストリオールはプロジェクト資金のかなりの部分を外部ドナーから調達しているが、ウクライナの戦争や多くのドナー国の政治情勢、為替レートの変動により、インダストリ オールへのプロジェクト資金は減少している。執行委員会は、資金提供がインダストリオールの目的に合致し、かつ資金提供団体に疑わしい部分がないと判断される場合、インダストリオールが伝統的な資金提供者、国内機関、多国籍機関、企業、慈善団体に資金提供を申請することを決定した。
執行委員会は 、韓国に関する決議「韓国政府と国会に対し、ILO 中核条約 87 号と 98 号を実施するための法改正を求める」、パレスチナに関する決議「平和と正義を支持」の2決議を採択した。
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フィンランド政府がスト権を制限
2024-05-29
2024年5月29日:フィンランド議会は、国際労働基準に違反して、スト権を実質的に制限する新しい法律を承認した。これにより政治ストは、スウェーデンのテスラで行われたような同情スト(北欧諸国でよく利用される手段)の権利と同様に、厳しく制限される。
今年に入って何度か抗議ストが行われたにもかかわらず、昨年発足したフィンランドの連立政権は、職場における組合代表の役割の制限や社会保障の削減といった政策を貫いている。
新しい法律では、労働組合がストを組織し、その後裁判所によって違法とみなされた場合、組合はかなりの罰金を支払わなければならない。裁判所が違法と判断したあともストを続ければ、個々の労働者に200米ドル以上の罰金が科せられる。この罰金は使用者に直接支払う。
新たに制定された法律は、フィンランドが批准済みのILO第87号条約および第98号条約を含む国際労働基準に違反している。政府は労働大臣へのILO勧告を無視している。この勧告はソーシャル・パートナーと協議して法改革を再交渉するよう求めているが、フィンランド政府は応じていない。
アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。
「これらの法律は、明らかに基本的労働権を侵害しており、中核的労働基準に違反しているだけでなく、公正な社会経済政策・慣行を促進する北欧モデルと著しく矛盾している。私たちは、これらの法律の取り消しを要求している傘下組合を支持する。この法律は労働者の発言権を奪い、政治ストや作業停止、産業ストを厳しく制限し、組合がストを要求したときでさえ『不法』ストに参加した労働者に罰金を科しているからだ」
ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は言う。
「フィンランドでは、労働者の権利に対する猛攻撃を受けて労働組合が抗議している。そして、それは当然のことだ。これはスト権を制限し、分散型の交渉を促進し、非組合労働者に労働協約の交渉権を与え、解雇からの保護を弱める。これは労働者の基本的権利と団体交渉の露骨な侵害だ!インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、この闘いにおいてフィンランドの労働者と組合を断固支持する! 私たちの1人に対する攻撃は私たち全員に対する攻撃だ!」
世界中の多くの国々でスト権が攻撃されている。スト権は過去10年間、労働権に関する国際基準を設定する国際労働機関(ILO)で使用者からも攻撃されている。昨年後半、ILO理事会はこの問題を国際司法裁判所に付託した。
https://www.ilo.org/resource/news/ilo-refers-dispute-right-strike-international-court-justice
6月上旬、ILO加盟国の年次会合であるILO総会が始まる。力を合わせて、代議員たちに、職場でスト権と民主主義を支持する義務があることを思い出させよう。
6月にジュネーブで代議員に届けられるITUC請願書に署名・共有のこと。
https://petitions.ituc-csi.org/strike
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/finnish-government-restricts-right-to-strike