広報ニュース

第177号 インダストリオール・ウェブサイトニュース

スリランカの労働組合が法案に関する社会的対話を呼びかける

2024-06-19

2024年6月19日:スリランカが2022年以来最悪の経済危機に見舞われる中、政府は「経済成長を促進する」ための経済変革法案を提出した。しかし、この法案は、国有企業の民営化に関する法的規制を緩和し、公的資源を投資家に引き渡すことができる権限を備えたメカニズムを新設するもので、国内1200万人以上に悪影響を及ぼし、労働省を無力化することが予想される。


インフレは沈静化しているものの、スリランカは2022年以来最悪の経済危機に見舞われており、その結果、国内の労働者の生活環境は厳しいものとなっている。先月、スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領は、スリランカ投資委員会を廃止し、スリランカ経済委員会の設立とともに他の4つの補助機関を設立しようとする経済変革法案を提出した。

スリランカのインダストリオール加盟組合を含む労働組合と市民社会組織は、この法案に激しく反対している。インダストリオール加盟組合によると、法案は労働者代表との社会的対話を経ずに提出されたもので、ILO(国際労働機関)が定めた規範や基準に違反している。労働関連事項を協議する三者構成メカニズムである全国労働諮問委員会は、昨年9月以来開催されていない。

インダストリオール書記長のアトレ・ホイエは言う:

「我々は、労働者の権利を守るために闘うスリランカの加盟組合と連帯する。スリランカ政府に対し、労働組合との社会的対話を直ちに実施し、労働者の福利に関する正当な懸念に取り組むよう求める。」

労働組合は抗議デモを実施し、法案に記載された条項に対する訴訟を起こした。労働組合はまた、提案された法律がもたらす課題について議論するセッションを開催し、その後、記者ブリーフィングを行い、この問題について他の政党の国会議員とも話し合う予定である。

インダストリオール地域事務所長のアシュトシュ・バタチャリヤは言う:

「スリランカの労働者はすでに多面的な問題に直面しており、この法案は資本主義を強化する一方で、彼らの基本的権利をさらに攻撃するものである。我々は、法案に反対するスリランカの労働組合への揺るぎない支持を表明する。政府は民主主義的価値を尊重し、労働者の声が届くようにし、労働者の権利を守らなければならない。社会正義と公正な経済政策は、すべてのスリランカ人の幸福にとって不可欠である。」

 

【原文記事URL】

https://www.industriall-union.org/unions-in-sri-lanka-call-for-social-dialogue-on-controversial-bill

 

サプライチェーン全体で電子労働者を組織化

2024-06-18

2024年6月18日:インダストリオール・グローバルユニオンICT電機・電子運営委員会は、この部門で労働者の権利を守るために組織化努力の倍加を誓約した。12カ国の代議員が6月10-11日にクアラルンプールに集まり、組織化と組合組織率の上昇、団体交渉権の改善を中心に部門活動をめぐり討議した。代議員たちは、所属組合が女性・若年・ホワイトカラー労働者に接触し、サプライチェーン全体で彼らを組織化しようと注力し続けていることを確認した。


マレーシアの電子産業従業員組合連合は、無記名投票方式の刷新など労働法改革を支持し続け、労働者の過半数の賛成票で組合代表を承認するよう要請している。

インドのユニオンズ・ユナイテッドは、移民労働者、契約労働者および若年労働者の組織化に重点を置いている。

タイ産業労働組合総連合(CILT)は、ILO第87号条約および第98号条約の批准を求めて運動している。

韓国金属労組連盟(FKMTU)は組合員に対し、「自分の職場」と職場周辺の会社「の全労働者」を組織化するよう呼びかけている。

松﨑寛インダストリオール書記次長は次のように述べた。

「バッテリーサプライチェーンの労働者を組織化しなければならない。私たちは、このプロセス全体、すなわち鉱業、化学、製造業および自動車部門で労働者を代表しているのだから。部門の垣根を越えて適正な労働条件を促進し、組合同士の連帯を構築することは、私たちの責任だ」

参加者は、人工知能(AI)はすでにICTEE産業の重要な原動力になっており、技術開発によってこの産業が変化するかもしれないため、製造業雇用がAIに取って代わられるのではないかという懸念を表明した。MITとボストン大学の推定によると、2025年までに200万人の製造業労働者がAIに取って代わられる。

欧州議会は2024年3月に人工知能法を採択、その目的は欧州市民の基本的権利を保護し、AIが安全かつ追跡可能で中立的な技術になるようにすることである。この法律は、3レベルのAIの脅威――受け入れがたいリスク、高リスク、限定的な最小リスク――を概念化した。この法律に違反すれば、企業の世界年間売上高の最大7%に相当する罰金が科せられるかもしれない。

神保政史ICTEE運営委員会共同議長は次のように述べた。

「関連部門はAIに対応する必要に迫られている。AIとデジタル化の影響を軽減するために効果的な戦略を見つけなければならない。AIは雇用・労働条件に悪影響を与えてはならない。この部門が成長している今、労使双方が雇用を保護し、労働者にリスキリング訓練を提供しなければならない」

会合では、電子部門の労働安全衛生問題についても議論した。サムスン電子グループ労組連帯(SEGUS)は、社内の組織化された施設で工場労働者を調査した。この調査によると、サムスン労働者は筋骨格障害や睡眠障害、抑鬱障害に悩まされている。

6月7日に実施されたサムスン電子労働者のストおよびサムスン電子労組の全国座り込み行動と連帯する声明が採択され、参加者はサムスン電子に対し、労働権の尊重、労働組合弾圧の中止、賃金決定制度の公平性と透明性の改善を要求した。

 

【原文記事URL】

https://www.industriall-union.org/organizing-electronics-workers-along-the-entire-supply-chain

 

インドの電子労働者、難題抱える業界で団結

2024-06-17

2024年6月17日:インドの技術拠点であるバンガロールで、ICT電機・電子部門の組織化と組合構築に関するワークショップが開かれ、電子部門の組合代表が集まった。この行事の目的は、インドの電子サプライチェーンで労働者に権利を与えて組合を強化することだった。


参加者は、それぞれの企業や製品、労働者の活動状況について徹底的に議論した。この対話は、常用労働者と不安定労働者との際立った対比を明るみに出した。最重要点は、工場における技術変化の影響と、契約労働者の訓練、リスキリングおよび雇用をめぐる交渉への組合関与の度合だった。不安定労働者を組合活動と労働協約に含めることの重要性が、組合が技術の変遷に常に精通・関与し、すべての労働者の公正な扱いを確保することの重要性と並んで、大いに強調された。

参加者たちは、人権デュー・ディリジェンスと、組織化・団体交渉・労働安全衛生(OSH)慣行を強化するための国際的手段について、最新情報を受け取った。EUの新しい企業の持続可能性デュー・ディリジェンス指令と、この指令がインドの組合にもたらす可能性のある利益に、特に関心が寄せられた。

2日目には、組合活動家たちはオートメーションと人工知能が雇用に与える影響を調べた。労働者のアップスキリング/リスキリング戦略について討議し、急速な技術進歩の下で組合・労働者が直面する将来の課題を強調した。

各部門のOSH問題をめぐる討議も同様に活発に行われ、安全委員会の機能、最近の事故、組合フォローアップ行動を取り上げた。定期的・包括的な安全訓練の必要性が強調され、現在の慣行の改善案が示された。

参加者は、組織化とネットワーク構築に焦点を当てたアクション・プランを立案。組合組織率を高め、組合に権利を与え、不安定労働者を組織化する方法についてブレインストーミングを行った。他の組合をネットワークに統合し、若者と女性の組合活動参加を促進する戦略も検討した。

代議員は、所属組合を強化してインドのICT電機・電子部門で労働者の生活を改善するために、共通のビジョンと新しい戦略を練り上げた。

「2日間にわたって徹底的に討議し、代議員は同じ目的の下に団結した。この教訓と絆は多国籍企業のサプライチェーン全体に波及し、インドで公平性と透明性、労働権尊重の文化を育てるだろう」とアレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子部門担当部長は述べた。

 

【原文記事URL】

https://www.industriall-union.org/indian-electronics-workers-unite-amid-industry-challenges

 

世界における労働者の権利の急激な低下

2024-06-13

2024年6月13日:ITUC(国際労働組合総連合)2024年世界権利指数が発表され、世界中で労働者の権利が低下している悲しい結果となった。バングラデシュ、ベラルーシ、エスワティニは、労働者にとって世界最悪の10カ国に入っている。


「この11年間、指数は世界のあらゆる地域で労働者の権利が急速に低下していることを示してきた。労働者は民主主義の心臓部であり、彼らが意見を表明する権利は民主主義システムの健全性と持続可能性にとって極めて重要である。労働者の権利が侵害されれば、民主主義そのものが攻撃されることになる。民主主義、労働組合、労働者の権利は一体である。3つすべて揃わなければ、一つも手に入れることはできないのである。」

とITUCのリュック・トリアングル書記長は言う。

世界の87%の国がストライキの権利を侵害し、79%の国が団体交渉の権利を侵害している。

労働者にとって最悪の地域は中東・北アフリカである。また、ヨーロッパの労働者は過去10年間、世界のどの地域よりも大きな権利の低下を目の当たりにしている。スウェーデンで労働協約の締結を拒否したテスラの例が物語るように、スト権と団体交渉権は絶え間なく攻撃されている。

権利指数では、ベラルーシは体系的な弾圧、活動家の不当な拘束、組合の恣意的な解散など を理由に、労働者にとって世界最悪の10カ国のひとつに挙げられている。

「ベラルーシは労働組合の権利を侵害する世界チャンピオンである。」と、インダストリオール加盟組織BITUのリザベタ・メルリアックは言う。

この4年間、国際的なキャンペー ンを続けてきたが、42人の組合指導者が政府にテロリストのレッテ ルを貼られ、刑務所に収監されたままだ。彼らは囚人服に黄色いラベルを貼ることを強要されているが、これは職員が彼らを虐待するためのサインである。政治犯はしばしば独房に入れられるが、そこでは温度が高すぎたり、寒すぎたりすることが多く、新鮮な空気を吸うことも許されない。女性受刑者はいわゆるコロニーに収容され、織物工場で軍服の製造に従事させられている。

インダストリオールのケマル・ウズカン書記次長は言う:

「今年の指標は、労働者の権利の現状に対する懸念を増大させるものである。労働者の権利なくして民主的な世界はあり得ない。今こそ組合運動は団結し、基本的権利を守るために動員する決意を固めなければならない。」

ITUC 世界権利指数は、ILO 条約と法理に由来する97の指標リストに照らして 151 カ国をランク付けした、法律上の労働者の権利に関する包括的なレビューであり、この種の唯一のデータベースである。このデータベースは、労働者の権利の尊重の度合いに基づいて、各国を1から5+までの5段階で評価している。違反は毎年4月から3月にかけて記録される。

 

【原文記事URL】

https://www.industriall-union.org/rapid-decline-of-workers-rights

 

グローバル・ユニオン、ミャンマーに対する第33条の発動をILOに要請

2024-06-11

2024年6月11日:昨日、ジュネーブで開催された第112回ILO(国際労働機関)総会(ILC)に出席したグローバル・ユニオン、労働組合活動家、代議員は、「壊れた椅子」に集まり、ILO(国際労働機関)に対し、3年以上にわたってミャンマーを支配している軍事政権が、ILO調査委員会が強制労働と結社の自由に関する条約に重大な違反があると指摘して出した勧告を履行していないとして、憲法第33条を発動するよう要請した。


「我々は何を望んでいるのか?第33条だ!いつ欲しいんだ?今だ!」というスローガンを代表団はデモで唱和した。

第33条は、加盟国がILO調査委員会の勧告に従わない場合に、ILOが行動を起こす権限を与えるものである。具体的には、第33条は、加盟国が勧告を履行しない場合、理事会はILCに対し、遵守を徹底させるため、制裁その他の措置を含む懲罰的または是正的な性質の措置を勧告することができるとしている。

インダストリオール加盟組合であるミャンマー製造業労働者連盟(IWFM)のカイン・ザー・アウン会長は次のように述べた:

「ミャンマーの軍事政権に終止符を打つよう、私は何度もこの場に立って訴えてきた。皆さんは危機を知っている。私たちの国民、特に若者は安全ではない。私たちは職を失っている。私たちは生き延びることができない。人々のためにあるはずの援助が軍事政権を通じて行われるため、最も必要としている人々に届いていない。国際社会の介入が必要だ。国民を守るために第33条が必要なのだ」

国際労働組合総連合(ITUC)のリュック・トリアングル書記長は言う:

「軍が撤退しなければならないことは明らかだ。人権を尊重し、自由を取り戻さなければならない。軍事政権は孤立させる必要がある。我々は第33条を獲得する」と述べた。

ミャンマーの労働組合は、組合が禁止され、結社の自由がないことは、労働者が現代の奴隷状態に直面していることを意味すると述べている。このことは、ILOの調査委員会でも確認され、結社の自由と強制労働条約に対する広範な違反が報告された。つまり、現代の奴隷 制のもとで作られた衣料品が消費者に販売されているのだ。

インダストリオールのアトレ・ホイエ書記長は次のように述べた:

「明日は、ミャンマーにおける労働組合の権利のための素晴らしい活動と、同国への民主主義復帰を求める彼女の闘いに対して贈られた、今年のアーサー・スヴェンソン賞の受賞式にカイン・ザーを連れて行く。私たちは、この賞が軍事政権下のミャンマーにおける労働者の破滅的状況にさらに光を当て、軍事政権の崩壊につながることを願っている。国際社会が反応する必要がある。今すぐ第33条を発動する必要がある。我々は、ミャンマーにおけるすべての人の自由、繁栄、解放のために闘う」

軍事政権は4,000人以上を殺害し、26,000人近くを逮捕し、自由な労働組合を含む市民社会組織を活動停止に追い込んだ。20万人の教師を含む多くの国家公務員は、政権のために働くことを拒否し、市民的不服従運動に参加した。その多くが殺され、投獄され、また職を失い、極度の苦難に見舞われている。

 

【原文記事URL】

https://www.industriall-union.org/global-unions-urge-ilo-to-invoke-article-33-on-myanmar