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インダストリオール・ウェブサイトニュース2013年第6号

アジアでインダストリオールの団結を強化

2013-04-30

アジアでインダストリオールの団結を強化

 第6回アジア金属労組会議AMLC

20134月22-23日、シンガポールで開く

アジア太平洋地域の金属労組は、インダストリオール・グローバルユニオンの旗の下に組合間の団結を強化するための会合で、組織化や組合構築、最低賃金改善をめぐり議論した。

 

第6回アジア金属労組会議(2013年4月22-23日、シンガポール)

42223日にシンガポールで第6回アジア金属労組連絡会議(AMLC)が開催され、金属労組が経験を共有するとともに、地域の優先課題や組合活動について討議した。

西原浩一郎全日本金属産業労働組合協議会(JCM)議長、インダストリオール・グローバルユニオン執行委員およびインダストリオールアジア太平洋地域議長が、新設されたインダストリオール・グローバルユニオンを足場に連帯を広げるうえで、金属労組は重要な役割を担っていると主張した。続いて、域内諸国から報告を受けて議論し、各国の優先事項と課題を検討した。

地域における組織化と組合構築をめぐる全体討議で、参加者全員が、他のグローバル・ユニオン・フェデレーションおよび非政府組織の活動と協力・調整しながら、ビルマ(ミャンマー)の組合構築活動を支援するためにインダストリオールと加盟組織が積極的に関与することの重要性に合意した。

さらに、全国レベルで組合間の団結を強化するための具体的行動に関する経験を共有した。例えば、22021日にインドで実施された2日間の歴史的なゼネストや、インダストリオール・アクション・プランとその将来活動に基づく合意の形成に向けて日本の加盟組織が実施している定期会合や取り組みなどである。

多くのアジア太平洋諸国における最低賃金改善についても討議した。日本の加盟組織の過去の経験によれば、最低賃金と生活水準を大幅に改善するには、アジア諸国間で平等な競争条件を整え、低賃金国への雇用移転などの悪影響を避ける必要がある。

タイではTEAMがコールセンターを設置し、労使間で問題が生じたときに最低賃金について助言しており、国内で活動する企業による最低賃金要件の遵守状況を監視している。

JCMが組織・後援するAMLCはインダストリオールの意思決定機関ではないが、アジア太平洋で金属労組間の連帯を構築するにあたって重要な役割を果たし、インダストリオール・グローバルユニオンの地域活動を補足している。

この会議は、インダストリオールの移行期間である2016年までAMLCを継続する旨確認した。その間にJCMは、アジア太平洋で同様の活動を実施している他の国内加盟組織(UAゼンセンおよびインダストリオール・JAF)との合同会合や協力を促進する可能性について議論する。

次のAMLC20144月中旬にベトナムのホーチミン市で開催予定。

閉会後、参加者全員で記念撮影

 

 

インダストリオールICT・電機・電子運営委員会

2013-04-30

持続可能な未来を求めて闘う電子労組

インダストリオールICT・電機・電子運営委員会

 4月24日、シンガポールで開く

ICT電機電子部門会議運営委員会(4月24日、シンガポール)

 20134月にICT・電機・電子部門の組合が策定した10項目の行動計画には、組合員の組織化、不安定労働との闘い、持続可能な産業政策の立案が盛り込まれている。

 424日にシンガポールで第1回インダストリオール・グローバルユニオンICT・電機・電子運営委員会が開催され、オーストラリア、フランス、インド、インドネシア、日本、フィリピン、韓国、シンガポール、タイから36人が参加した。議題は以下のとおり。

●部門の現状とグローバルな傾向

●組織化および不安定労働との闘い

●持続可能な産業・職場の促進

20132016年の優先事項と戦略

 ICT・電機・電子部門の労働者は過去10年間に厳しい移行期間に直面しており、産業の変化によって労働条件が不安定になっている。現在、(収入で見た)世界10IT企業の職場10カ所中8カ所で組合組織率がゼロに近いほど低く、労働者は人材派遣会社や請負会社に雇用され、雇用条件について団体交渉を行う機会がまったくと言っていいほどない。

挨拶する有野ICT電機電子部門会長(中央)

会議に参加する各国の電機電子労組代表

 有野正治ICT・電機・電子産業部門会長は、不安定労働の拡大、生活水準の格差、持続可能性の危機といった急速なグローバル化の悪影響を指摘し、次のように述べた。「各国政府とこの部門の多国籍企業が、特にアジアの発展途上国で労働組合活動を妨害しようと多くの戦術を実施していることは明白だ。私たちは、この部門の組合として、さまざまな方法で積極的に行動を起こさなければならない」

 参加者は部門の共通課題に対する共通の理解を発表し、議論した。例えば、常用労働を犠牲にした不安定労働者(派遣労働者や非自発的なパートタイム労働者、臨時労働者など)の増加である。これを受けて参加組合は、2013年不安定労働撤廃キャンペーンへの積極的参加を約束した。

運営委員会では、近々発表予定の討議資料『持続可能な産業政策に向けて』についても議論し、部門の優先事項の1つとして、これらの問題に関して各国政府や世界機関、多国籍企業に影響を及ぼす意思を確認した。ICT・電機・電子部門は、特に多様な多国籍企業とサプライチェーンの存在を踏まえて、インダストリオール欧州労働組合など他の組合やネットワークとの協力関係構築にも努める。

 参加者は、20144月中旬にベトナムのホーチミン市で、第7回アジア金属労組連絡会議と併せて次の運営委員会を開催する旨確認した。

PTエプコス工場を見学する参加者一行

FSPMIの地域本部を訪問する参加者一行

 運営委員会の参加者は425日、シンガポールからフェリーで45分の有名な工業地帯バタム島にある日独系企業PTエプコスの工場を訪問した。参加者は労使関係について学び、工場での温度・圧力感知器や家電製品・自動車・産業施設・医療機器用センサーの生産に関する情報も得た。FSPMIバタム事務所も訪問し、その組合機構と活動について話を聞いた。

20132016年のICT・電機・電子部門における10項目の優先事項・戦略

 組織化および不安定労働との闘い

●労働組合権が制限されている特定の国や産業、自由貿易加工区(経済特区、輸出加工区)で、組合・組織化活動への支援を強化する(マレーシアの電子産業など)。

●労働者の基本的権利および不安定・女性・若年・移民労働者の組織化に関連する調査・教育・訓練活動を拡大する(2013年には不安定労働の状況に関する調査を実施し、生活賃金キャンペーンとの連携を模索)。

●組合組織率がゼロに近いほど低い発展途上国や多国籍企業に焦点を当てて組織化・組合構築を支援する(一部は外部資金プロジェクトによって支援)。さらに職場調査を開始し、電子廃棄物産業で労働安全衛生訓練や組織化を実施する。

OECD多国籍企業行動指針などの国際ルールやガイドラインを利用し、すべてのサプライチェーンに中核的労働基準の遵守を浸透させる能力を獲得する。

持続可能な産業・職場の促進

●電力部門など産業政策と関連のある他部門との共同活動や相乗効果を調べる(例えば、スマートグリッドなどの新技術・インフラ関連の雇用創出に関する情報交換、各部門の会合への相互参加)。

●インダストリオールの持続可能な産業政策を立案し、自国のナショナルセンターや他の産業別労働組合と協力して政府に対する要求活動を強化する。

●公正な移行に関する産業政策に重点を置き、将来のために持続可能な雇用を確保する。

●電子廃棄物や労働安全衛生など具体的問題に関する産業政策を強化する。

 TUNGFAの開発

●執行委員会の議論・決定プロセスに基づき、労働組合ネットワーク(TUN)とグローバル枠組み協約(GFA)を増やす。特に、アジア系企業でTUNGFAの創出に努力する。

 女性

●この部門の会合・会議で少なくとも30%超の女性参加率を達成する。

 

ドイツの金属労働者が大幅賃上げを獲得

2013-05-16

ドイツの金属労働者が大幅賃上げを獲得

 ドイツでは、インダストリオール加盟組織IGメタルが組織化する金属・電機産業労働者が、向こう20カ月間に5.6%の賃上げを獲得する。

 

 514日の夜遅く、IGメタルと使用者団体ゲザムトメタルはバイエルンで第4回交渉後に協約を取り決めた。金属・電機産業労働者は、201371日以降の10カ月間に3.4%、201451日以降の8カ月間にさらに2.2%の賃上げを獲得する。

 同労組は交渉を支援してここ数日に何度か警告ストを組織し、全国で実に75万人の労働者が参加、バイエルンからも約18万人の金属労働者が加わった。IGメタルはその後、515日(水)までに合意に至らなければ全国ストを実施すると発表した。

 合意された賃上げはインフレ率および全体的な経済生産性向上を上回り、労働者にとって実質的な賃上げとなるため、この協約は真の成功だとIGメタルは考えている。

 IGメタルは賃金交渉の妥結に加えて、部門の未来を確保する訓練手当増額によって見習工向け制度の改善も取り決めた。これらの交渉で達成された成果は、他の産業における交渉の基準を定めている。

→ドイツ賃金協約

 

サイド・イクバルにFNV労働組合賞

2013-05-16

サイド・イクバルにFNV労働組合賞

 今年のFNVフェーベ・エリザベス・ベラスケス賞は、インドネシア労働組合界の英雄サイド・イクバルに贈られた。FNVモンディアールは、インドネシアとコロンビアにおける労働組合員の闘いを描いたドキュメンタリー『労働者階級の英雄』の初上映も行う。

 

受賞したイクバル氏(右)

受賞のコメントを述べるイクバル氏

 515日、新たに選出されたFNV会長とオランダ貿易・開発大臣も出席し、FNVフェーベ・エリザベス・ベラスケス労働組合権賞がサイド・イクバルに授与された。サイド・イクバルは、インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織であるインドネシア金属労連(FSPMI)の会長であり、労働組合総連合(KSPI)の会長でもある。

イクバルは昨年、広く注目を集めた。戦略的で大規模な労働組合キャンペーンによってロビー活動や動員、行動を実施し、インドネシア政府に圧力をかけた結果、1121日に外部委託に関する新しい法律が制定されたのである。

イクバルは集会を動員、数百万人が街頭でデモを繰り広げ、賃上げ、労働の柔軟性の制限、法定社会保障の導入を要求した。その結果、最貧困層の保健医療と全労働者の年金が確保された。サイド・イクバルは、516日に初上映されるFNVドキュメンタリー『労働者階級の英雄』の中心人物2人のうちの1人でもある。

FNVモンディアールと映画製作者のフーブ・リュイジグローグおよびアルノ・バン・ベーストが、アムステルダムのバリエでこのドキュメンタリーを発表する。この映画はインドネシア、コロンビア両国の労働組合指導者を二元的に描いている。組合指導者であるサイド・イクバルとインダストリオール加盟組織コロンビア・シントラカルボンのイゴール・カレル・ディアスは、同国人の労働権を確保するために長年にわたって専心し、大きな成功を収めた。

 FNVモンディアールは次のように述べた。「2人の組合指導者のおかげで、両国で団結権と団体交渉権が具体化し始めている。インドネシアでは、数百万人が街頭に繰り出して結集している。そしてコロンビアでは、最大の炭鉱が1カ月にわたって操業を停止した」

 オランダの大臣は516日、バングラデシュの労働条件改善に向けて、国際労働機関(ILO)や世界銀行などの国際出資機関で主導権を握ると語った。大臣は、企業はもっと責任を負うべきであり、切迫感が足りないと感じている。

 これを受けてFNVは以下のとおり述べた。「このニュースに大変満足している。FNVは、この計画に労働組合が関与することが何よりも重要と考える。労働組合は、切迫感を具体的な活動につなげるうえで監視機能を果たす」