広報ニュース

第184号インダストリオール・ウェブサイトニュース

トルコで金属労働者の抵抗が継続

2025-01-10


統一金属労組(ビルレシク・メタル・イス)組合員は、大統領のスト禁止令に公然と反抗して、団結と連帯、決意を持ってストを続けている。


ビルレシク・メタル・イスは昨年12月上旬、次の職場でスト決行を決定した。すなわち、変圧器生産部門のGEグリッド・ソリューションズ、日立電気、シュナイダーエレクトリック、Arıtaş Kriyojenik(オランダ系ブロードビュー・グループ傘下)、グリーン・トランスフォ(フランス系カオール・グループ傘下)各社である。

12月13日の大統領令は、国家安全保障上の理由でMESS傘下職場でストを禁止した。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は禁止令を非難し、使用者に対し、この反民主主義的な措置を利用しないよう促した。

金属労働者は、いわゆる不法ストに参加すれば退職金の支給なく解雇すると脅されたにもかかわらず、行動を続けて基本的なスト権を主張、すでに結果が出ている。

ビルレシク・メタル・イスは12月23日、20日間のストを経て日立およびMESSと、同社4職場を対象に平均60%の賃上げを定める新労働協約を締結した。

同様に、ビルレシク・メタル・イスは1月6日にも、25日間のストの結果、シュナイダーエレクトリックと、さまざまな工場を対象に大幅な賃上げを盛り込んだ労働協約を結び、一般組合員の承認を得た。

ビルレシク・メタル・イスは1月10日には、23日間のストを経てAritas KriyojenikおよびMESSとの労働協約に署名した。これにより、MESS傘下企業3社でストが実を結び、組合員の承認と満足が得られた。

1月9日現在、ストライキはGEグリッド・ソリューションズで28日目、グリーン・トランスフォで16日目、アリタシュで22日目に入っている。一連のストはまだ続いているが、今もいくつかの交渉が続いている。

ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は、大晦日をグリーン・トランスフォのスト参加者とともに過ごし、世界およびヨーロッパの労働組合の組合員数百万人に連帯の挨拶を伝えた。

一方、トルコ・ハタイのYolbulan Metalではインダストリオール加盟組織ウズチェリク・イスの組合員が、昨年6月20日から200日以上にわたってストライキ中で、生活費が高騰する中で公正な賃金を要求している。ケマル・ウズカンはピケラインに参加し、国際連帯の強力なメッセージを伝えた。

トルコ統計局(TUIK)発表のデータによると、消費者物価指数(CPI)は2024年に44.38%上昇した。独立した立場の学識経験者から成るインフレーション・リサーチ・グループ(ENAG)によると、2024年のインフレ率は83.40%である。

トルコの労働者と組合は高インフレを受けて、購買力を保護できるように、状況に応じて最低賃金の引き上げと団体交渉プロセスにより賃金を要求し続けている。

「インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、トルコの高インフレに見合った公正かつ適正な賃金を求めて闘うトルコの労働者を全面的に支持する。労働者のストを禁止することは労働者の権利に対する攻撃だ。私たちは今後とも、あらゆる反組合的・反民主主義的な行動を非難していく。私たちの1人に対する攻撃は私たち全員に対する攻撃だ」とジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は述べた。

「勝利を収めるまで、私たちはすべてのスト参加者に寄り添い続ける」とケマル・ウズカンは連帯訪問の際に述べた。

「スト中のトルコの同志は、自分たちの権利と利益、尊厳を求める闘いにおいて、全世界数百万人の労働者の全面支援を得ている」とケマル・ウズカンは続けた。

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/turkish-metal-workers-continue-to-resist

 

悪化するミャンマーの強制労働の現状

2025-01-22


2021年2月1日にミャンマーで軍事クーデターから、もうすぐ4年が経とうとしている。ミャンマーの労働者の状況は悪化の一途をたどっており、国内の縫製工場では労働条件の悪化や強制労働が蔓延している。


縫製労働者は残業代や 手当なしで時間外労働を強いられ、過剰な生産目標が課され、賃金未払いが常態化し、未成年者が違法に雇われている。労働組合が存在しないため、怒鳴ったり侮辱的な発言をしたりするような卑劣な扱いは日常茶飯事であり、もし使用者に賃金の未払いを抗議すれば、抗議を鎮圧するために軍隊が投入される。

ミャンマー・レーバー・ニュースによると、ワンダフル・アパレル社の縫製労働者は日給1万チャット(4.70米ドル)で、夜通し働くよう求められた。時間外労働を拒否すると、19人の労働者は即刻解雇された。社会保障費は賃金から差し引かれていたが、労働者は医療給付を受けることができなかった。カリス鋳造工場の労働者500人が適正な賃金と時間外労働の支払いを求めてストを起こしたところ、13人の労働者が解雇され、2人の労働者が工場の外で暴行を受けた。

ミャンマー労働組合総連合(CTUM)は、強制的な時間外労働について懸念を表明し、縫製労働者は不合理な目標を与えられ、通常の労働時間内ではこなせないという理由で長時間労働を強いられていると述べた。工場経営者が労働者に大声で怒鳴ったり、時間外労働を拒否する労働者の帰りの交通手段の手配を拒否したりすることもしばしばある。CTUMによれば、クーデター後、労働者は法的権利を失った。休暇を取れば賃金が差し引かれ、3日間休暇を取れば解雇される。

ミャンマーの縫製労働者の状況は、国際労働機関(ILO)の定める強制労働の指標(脆弱性の悪用、騙すこと、身体的暴力、脅迫・脅し、賃金の差し控え、過度な時間外労働)にすべて合致する。ILOは、軍事政権のILO理事会への参加を差し止め、すべての技術支援を停止した。また、2025年の第113回ILO総会の議題に、調査委員会の勧告をミャンマーが遵守することを確保するため、ILO憲章第33条に基づく措置に関する項目を掲げた。

昨年11月、インダストリオール・グローバルユニオンは、ネクスト、ニューヨーカー、LPPの3大手衣料品ブランドに対し、OECDのナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)に苦情を申し立てた。ミャンマー軍事政権下で労働者の 権利侵害が続いているという圧倒的な証拠があるにもかかわらず、これらのブランドはミャンマーへの発注を続け、労働権と人権の蹂躙からの利益を得ている。

「ミャンマーにとどまるブランドは、恐怖、強制労働、搾取の環境から利益を得ている。労働者の権利侵害と結社の自由の欠如に関する広範で包括的な報告がある。人権デュー・ディリジェンスには労働者の参加と独立した検証が必要だが、軍事政権下では不可能だ」。

とインダストリオールのアトレ・ホイエ書記長はその時に述べた。

さらに、軍事政権は移民労働者の監視を強化し、彼らの稼いだ金で利益を上げている。ミャンマーの国民統一政府(NUG)は2024年12月5日に声明を発表し、タイ政府に対し、タイにおけるミャンマー人労働者の抑圧を支援しないよう訴えた。NUGによると、軍事政権はタイ政府に対し、ミャンマー人出稼ぎ労働者の個人情報と納税情報を軍事政権と共有するよう要請しており、送金は固定為替レートで軍事政権が指定した銀行に送金されなければならず、出稼ぎ労働者の負担で送金コストは2倍、3倍になるという。

軍事政権は町や村を無差別に爆撃し続け、多くの死者、甚大な破壊、国内避難者を出している。徴兵法が承認されて以来、軍は内戦に参加させるため、若者を次々と捜索・逮捕している。2024年11月には、軍が移民労働者を雇用仲介業者を通じて兵役に呼び戻すことを認める指令が出された。

「インダストリオールの組合員を含め、軍事政権の抑圧下で生きる何百万人ものミャンマー人労働者のために、私たちは国際的なブランドに対し、ミャンマーでのビジネスから手を引くよう繰り返し呼びかける。彼らのビジネスは、ミャンマーにおける強制労働と労働者の血の上に成り立っている。労働者の権利を守り、ミャンマーに民主主義を回復させなければならない。」

 とインダストリオール書記長のアトレ・ホイエは言う。

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/myanmars-forced-labour-situation-is-worsening

 

マレーシアのKawaguchiで強制労働疑惑

2025-01-22


インダストリオールはマレーシア政府に対し、同国のKawaguchi Manufacturingで現代の奴隷制の要素を含む深刻な労働権侵害に対抗するために、即座に行動を起こすよう要求している。


2024年9月、Kawaguchi Manufacturingに対する疑惑が公共メディアで表面化し、その後マレーシア労働省によって確認された。この疑惑には、賃金窃盗、斡旋報酬の搾取、休暇の拒否、劣悪な生活状態、ビザ更新の拒否、威嚇戦術(拘留や国外退去の脅しなど)、移民労働者のパスポートの取り上げが含まれていた。伝えられるところでは、200人を超える現地労働者とバングラデシュからの移民労働者が、これらの国内労働法違反、国際労働基準違反および人権侵害の影響を受けた。

ソニー、パナソニック、ダイキンなど、同社から調達していた大手ブランドは、影響を受けた労働者のために改善を行うよう強く促されている。補償なしで撤退するだけでは労働者の窮状が悪化し、賃金もなく、より良い未来の見通しもない状態に置かれてしまう恐れがある。

インダストリオール・マレーシア協議会のゴパール・クリシュナム書記は言う。

「これは労働者の権利と人権の深刻な侵害だ。政府による体系的な取り組みが緊急に必要とされている。マレーシアの労働組合は刷新されたが、まだ弱点を抱えている。使用者による組織化への干渉に対する法的制裁がなく、使用者が組合反対運動を展開すれば職場立ち入り権が与えられない。移民労働者が保護されておらず、組合に賛成票を投じれば報復すると脅されることが多い」

アレクサンダー・イワーノウ・インダストリオール部門担当部長は言う。

「インダストリオールは、Kawaguchi Manufacturingに国際労働基準の尊重を、パナソニックやソニー、ダイキンのようなブランドにサプライチェーンでの搾取撤廃の確保を求めている。支払うべきすべての賃金と、搾取に起因する精神的損害に対する補償の支払いをはじめ、影響を受けた労働者のために十分かつ即座の改善を行わなければならない。Kawaguchiが履行を怠った場合は、同社から調達しているブランドがサプライチェーン慣行に責任を負い、労働者への補償に拠出しなければならない」

「マレーシア政府は、労働基準の遵守を確保し、報復を恐れずに苦情を報告・処理できるようにする労働者主導の改善メカニズムの確立を求められている。インダストリオールは政府に対し、犠牲になった労働者を支援するとともに、マレーシアで強制労働や搾取と闘う堅固な政策を実施するために、迅速対応機関の設置を促している」

写真提供:andyjhall.org

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/forced-labour-allegations-at-kawaguchi-malaysia

 

東南アジアにおける反組合的立法との闘い

2025-01-28


東南アジアの労働組合活動家が1月22日にオンラインで会合し、労働法改正に関する最新情報を交換し、労働者の権利を脅かす反組合的立法に反対することを誓い合った。カンボジア、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイのインダストリオール加盟組織から50人の組合活動家が最新情報を共有した。


インダストリオール・インドネシア加盟組織は、2019年10月のオムニバス法公表以来、同法と闘ってきた。法的な異議申し立てにより、憲法裁判所は同法を一部違憲と判断し、71件の組合の訴えのうち21件を認め、政府に2年以内に新法を制定するよう命じた。

インダストリオール・アジア太平洋地域執行委員会共同議長で、FSPMI(インドネシア金属労働組合)国際局長のプリハナニ・ブエナディは、次のように述べた。

「憲法裁判所での専門家によるプレゼンテーションを通じた国際連帯行動は非常に有効であり、裁判官が発言を真剣に受け止めてくれた。今後2年以内に政府が新法を導入する前に、労働組合に友好的な労働法を提唱し続けていく」

期限の定めの無い派遣労働を認める一括法の規定は覆されたが、類似の労働者派遣制度はフィリピン労働法では改正されないままだ。

2019年にロドリゴ・ドゥテルテ大統領が雇用保障法案に拒否権を発動した。その後、三者協議会がアウトソーシングを決定し、少なくとも1,000万PHP(178,571米ドル)の資本を持つ雇用契約者を規制することを認める、契約社員化を禁止する4つの新たな法案がフィリピン議会に提出された。

フィリピン労働組合会議(TUCP)の法務担当役員ポール・ガヘス氏と議会副議長のレイモンド・デモクリト・C・メンドーサ氏は、労働者の権利侵害に関するILOとITUCの報告書を利用し、国際貿易協定を活用し、国内およびグローバルな労働組合との連携を構築することで、雇用保障法案の推進を図ると述べた。

タイでは、タイ産業労働組合連盟(CILT)が30年にわたり、ILO第87号条約および第98号条約の批准を求めるキャンペーンを展開している。同連盟は2023年に26の組合および労働者組織で構成されるILO第87号および98号条約推進ネットワークを立ち上げた。このネットワークは欧州連合(EU)の通商代表やインダストリオール・ヨーロッパと何度か協議し、EU・タイ自由貿易協定交渉に2つのILO条約批准を含めるよう要求した。

これに対し、2024年9月にマレーシアの労働組合(改正)法が施行されたことで、労働組合は複数の部門の労働者を組織化できるようになり、民主的に互いに競合する第2組合を結成することが認められるようになった。インダストリオール・マレーシア協議会と労働法改正連合は、結社の自由の拡大を歓迎し、労働法の多くの規定が依然として反組合的であるとみなされていることから、今後も法改正の取り組みを継続していくことを宣言した。

ITUCアジア太平洋地域組織化・プロジェクト担当シニアディレクターのパトゥアン・サモシルは次のように述べた。

「一部の分野では大きな進展が見られるものの、労働者は依然として法的保護、労働条件、組合権に関する課題に直面している。労働法の強化、労働者の権利の促進、労働組合の強化が、この地域の労働者の生活改善の鍵となるだろう」

インダストリオール書記次長のケマル・ウズカンは次のように述べた。

「私たちは階級闘争の時代に生きている。労働組合と労働者の権利に対するグローバルな攻撃は、より一層の搾取につながる。私たちは4カ国における反組合的な改革に反対する闘いを支援するために労働者を動員しなければならない。カンボジア、ミャンマー、韓国で闘っている仲間たちを含め、お互いに支援し合おう」と述べた。

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/fighting-anti-union-legislations-in-south-east-asia

 

インドの労働者が2月5日に大規模な抗議行動を実施

2025-01-30


インドの中央労働組合、独立部門連合、および関連団体の共同プラットフォームは、次期予算審議に先立ち、2月5日より全国的な抗議行動を実施するよう呼びかけている。


この抗議行動は、反労働者的な労働法の施行提案など、労働者の権利に対するインド政府の継続的な攻撃への対抗措置である。

インドの労働組合は、現政権下での経済状況の悪化と憲法および民主的権利の弱体化について、一貫して懸念を表明してきた。1月7日に発表されたプレスリリースで、組合のリーダーたちは、民営化、公共企業や公共サービスの投資撤退、旧年金制度の復活拒否など、政府の反労働者政策を非難した。

労働組合は、特に間近に迫った予算審議に強い懸念を示している。労働組合は、労働者階級を犠牲にして企業利益が優先されるのではないかと危惧しているのだ。また、2020年に制定された労働法は問題が多く、労働者の大規模な抵抗により実施が延期されてきたが、今年施行される可能性が高いと警告している。労働組合は、その施行を阻止するために闘争を強化する決意である。

共同プラットフォームは、インド全土の労働者に、新労働法規の公布など政府の不当な政策に対して断固とした抵抗を開始するよう呼びかけている。全国的な一連の抗議デモが行われ、ゼネストで最後を締めくくるが、その日程はまだ発表されていない。

インダストリオール・グローバルユニオンのアトレ・ホイエ書記長は、インドの労働組合に強い連帯を表明し、次のように述べた。

「インダストリオールは、不当な政府方針に反対する闘いにおけるインド労働組合の決意を称賛する。インド労働者の回復力と団結は、世界中の労働組合に勇気を与える。我々はインド政府に、労働者の権利を尊重し、労働組合と有意義な対話を行い、国際労働基準に沿った労働法を確保するよう強く求める」

写真:2022年のインドでの大規模抗議デモの画像

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/indian-workers-to-stage-mass-protest-on-5-february