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第188号インダストリオール・ウェブサイトニュース

インダストリオール世界自動車会議 ― 転換と組織化に焦点

2025-03-18


3月4-6日にインド・プネーでインダストリオール・グローバルユニオン世界自動車会議が開催され、22カ国の36組合から100人を超える労働組合員が集まった。参加者は、自動車部門の労働者が直面している緊急の問題、すなわち産業転換、公正な移行、不安定雇用、ジェンダー平等、全世界でより強力な組合を構築する必要性に取り組んだ。


転換と公正な移行――労働者を置き去りにしてはならない

電気自動車化とオートメーション、デジタル化による自動車産業の急速な転換が、会議全体の中心テーマだった。電気自動車(EV)への移行は生産モデルやサプライチェーン、雇用を混乱させており、労働組合は労働者がこの移行の犠牲にならないようにするために闘っている。

調査専門家のロレンツァ・モナコ博士が、世界の自動車産業の転換は、特にこの産業(およびモビリティー部門)への新規参入企業、環境圧力、サプライチェーンの混乱に関して不確実性を特徴としている、と説明した。これらの課題にもかかわらず、多くの国々、特にグローバルサウス諸国が、この部門の未来を確保するために自動車工業化・技術への投資を続けている。

「重要な問題が残っている――労働者・組合は、どうすれば適正賃金と雇用保障、持続可能な産業政策を確保するために、この移行に影響を与えることができるか」とモナコ博士は述べた。

企業が明確な政治的指針のないまま巨額の資金を電気自動車化に投資し、顧客の需要が変動している世界では、労働者に対するリスクが大きい。労働組合は、リスキリングとアップスキリング、先を見越した移行措置を強く要求しなければならない。組合は、組合員の未来を確保する根拠に基づく戦略を開発するために、重要な産業・企業データへのアクセスも要求している。

一連の議論で持ち上がった覚えておくべき重要点は、公正な移行は組合だけでは達成できないということである。政府、産業およびソーシャル・パートナーが、雇用保障、適正賃金、強力な労働者保護を確保するために関与しなければならない。

組合つぶしおよび不安定雇用との闘い

世界中から集まった参加者が、労働組合権に対する容赦ない攻撃の目撃談を共有した。米国メルセデスの組合つぶしから、インド、メキシコその他の国々の組合弾圧まで、自動車産業は依然として組織化に敵対的な部門である。

クリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長が、組合攻撃への戦略的対応の必要性を強調した。

「企業は低コスト地域に雇用を移し、不安定な契約を利用し、労働者の力を弱めるためにできる限りのことをしている。これは世界的傾向であり、抵抗する唯一の方法は組織化だ。組織化しなければ敗北する」

スウェーデンのテスラ労働者は16カ月に及ぶ歴史的なストを実施しており、世界有数の攻撃的な反組合的企業に対抗している。米国では、チャタヌーガのフォルクスワーゲン労働者が3回目の試みでようやく組合代表を確保したが、アラバマのメルセデス労働者は極端な組合つぶし、威嚇、ごく僅差での選挙敗北に直面した。挫折があったにもかかわらず、労働者は組織化して勝利するという決意を変えていない。

これらの闘いから得られた主な教訓は、現場のキャンペーンが組合組織化成功の基礎だということである。労働者はすべてのキャンペーンの中心でなければならず、組合は柔軟性を保ち、絶えず状況を評価し、効果を最大限に高めるために必要に応じて戦略を調整しなければならない。

国際連帯の役割

会議の最も強力なメッセージの1つは、国際労働組合ネットワークがこれまでになく重要になっているということだった。インダストリオールは世界的自動車会社の労働組合ネットワーク構築に重要な役割を果たしているが、資金供給がいまだ課題である。参加者は、特にオートバイや商用車といった小部門で、またグローバル・サプライチェーンで、もっと多くのネットワークが必要かどうか、どうすればネットワークを維持できるかをめぐって討議した。

この会議では、連帯は個々の事例に限定できないことが強調された。連帯は、各国ごとの問題だけでなく、特に人権デュー・ディリジェンス関連の政策や法律の活用によって、組織的なサプライチェーンの課題にも取り組まなければならない。多くの組合が、産業全般にわたる懸念に効果的に対処するために、戦略的グローバル・キャンペーンの拡大を要求した。

インドは組合の力のモデル

インドは世界で最も成長の早い自動車市場の1つだが、不安定雇用、低賃金、緩い労働法が依然として大きな課題となっている。インダストリオールは2012年以降、インドで組合構築を支援してきた。

インドは、長期にわたる組合の関与が労働者の力を強化できることを示すモデルとなっているが、この闘いは決して終わってはいない。多くの労働者が今も度を越した搾取にさらされており、企業は契約雇用を利用して責任を逃れ続けている。

産業転換へのジェンダーに対応したアプローチ

この会議では、自動車部門のジェンダーギャップにも取り組み、産業転換によって既存の不平等が悪化する危険があることを認めた。

重要な懸念点は、新技術への移行にあたって女性労働者の失業リスクが高まることである。前向きの政策がなければ、オートメーションと再編成で賃金格差と女性の雇用不安が悪化する恐れがある。

組合は、より多くの女性を労働運動に勧誘し、定着させるための戦略を共有した。

  • インドネシア:組合は、チーム育成活動、リーダーシップ訓練、交渉に関する教育を通して女性を関与させている。
  • ベルギーとモロッコ:ホットライン、職場ポスター、ジェンダーに基づく暴力意識向上キャンペーンによって、女性の条件を改善している。
  • トルコ:女性労働者は、団体交渉と組合代議員会議に参加しようと努めている。
  • インド:プネーのタタ・モーターズ工場には女性のみの組立ラインがあるが、多くの女性が不安定な契約雇用のままである。

ジェンダーをめぐる議論の覚えておくべき重要点は、組合の権力分担を優先しなければならないということだった。

「女性に組合に包摂されていると感じてもらいたければ、女性との連絡や関与の方法を変えなければならない」とある参加者は述べた。

組合は、女性参画を制限している社会規範にも異議を申し立て、EVとデジタル化への移行にあたって柔軟な勤務スケジュール、労働安全対策の改善、ジェンダーに対応した政策を得ようと努めなければならない。

今後の措置:組織化、公正な移行、世界的な連帯

参加者は会議が終わりに近づく中で、今後の活動には具体的行動が必要であることに合意した。優先課題は以下のとおり。

  • 反組合戦術および不安定雇用と闘うために、国際労働組合ネットワークを強化する。
  • 契約労働者を組合に組織するために、自動車部門、特にサプライチェーンで組織化を拡大する。
  • 真の公正な移行によって、新技術への移行に際して労働者が再訓練を受け、保護されるようにすることを強く要求する。
  • この部門でジェンダー平等を改善し、産業転換において女性が取り残されないようにする。
  • 戦略的な世界規模の交渉連携(労働者の力を強化するために契約満了の時期を合わせる等)を深める。

「地政学的緊張と右派による労働権攻撃に負けず、ともに闘い続けなければならない」とオリビエは述べた。

「グローバルな連帯と組織化、戦略的行動によって、この転換で労働者が取り残されないようにすることができる」

会議は最後に明確なメッセージを出した――前途は厳しいが、労働組合は連帯と決意によって、今後とも国境を越えて労働者の力を強化し、自動車産業の未来を形成するうえで決定的な役割を果たしていく。

会議の写真を見るには下記をクリック:
https://www.flickr.com/photos/industriall_gu/albums/72177720324302654

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/industriall-auto-world-conference-focus-on-transformation-and-organizing

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