原子力ルネサンスで労働者と安全性に関する問題を提起
2025-03-27
地政学的な不安定性が高まり、エネルギー変革が進み、脱炭素化加速への社会的圧力が強まる中で、インダストリオール・グローバルユニオンが調整する国際原子力労組ネットワーク(INWUN)が3月25日に東京で世界会合を開催した。
この会合は、原子力部門の現状を国際的に評価し、公正で安全なエネルギー移行の形成における労働組合の役割を強化するプラットフォームとなった。
インダストリオールのダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・エネルギー担当部長が、開会の辞で世界のエネルギー状況の概要を示し、再生可能資源の成長にもかかわらず化石燃料が今もエネルギー生産を支配していると述べた。原子力エネルギーは労働・社会面で重要な課題をもたらしているが、信頼性の高い低排出エネルギーを提供する可能性があるため、いくつかの国々で新たに関心を集めている、と彼女は述べた。
このところ原子力開発が勢いづいていることが強調された。3月中旬に産業の垣根を越えたグループ(グーグル、アマゾン、メタ、国際金融機関14団体、原子力企業140社および31カ国を含む)が、2050年までに世界の原子力発電能力を3倍にする計画への支持を誓約した。このシフトは、特にエネルギー集約型データセンターからの電力需要の高まりに対応すると予想される。
電力総連の河野一生会長代理が、2011年の福島原発事故後に国民の信頼を回復しようと努力しながら、より厳しい安全基準の下で原子炉を再稼働する日本の取り組みを発表した。日本は次世代の原子力技術にも投資し、原子力サプライチェーンも回復させている。
壬生守也電力総連会長が各国からの参加を歓迎し、福島第一原子力発電所への現地視察を含む交流の価値に留意した。
「原子力は、人権重視の民主的な方法で取り扱うべき技術だ」と会長は述べ、国際的な組合対話を維持することの重要性を強調した。
ウクライナ代表団が、戦争の残酷な影響、すなわち施設の占拠、労働者の誘拐、ドローン攻撃、継続的な国際基準違反について報告した。このような状況にもかかわらず、ウクライナの組合は活動して労働者を代表し続けている。
インダストリオール原子力部門のバレリー・マトフ共同議長が次のように述べた。
「原子力部門が新たなルネサンスを経験しているという確証を得た。現在の世界情勢を考慮に入れて、私たちの間で情報交換を強化することが非常に重要だ。ウラン部門の開発のためにも新たな後押しがほしい。このハイレベル会合に関してインダストリオールと日本の同僚にお礼を申し上げる」
各国の発表で、各地域の多岐にわたる問題が明らかになった。
- アルゼンチンは、民営化の脅威に対する懸念、RA-10やCAREMといった戦略的プロジェクトの停止、技術的主権の浸食を報告した。
- フランスは原子力の復活を強調し、EPR2やSMRのような今後のプロジェクトを挙げた。この部門は2034年までに10万人の労働者を雇用すると予想され、組合は労働条件と訓練、組合代表を中心に保護を強化するよう要求している。
- モンゴルは、ウラン埋蔵量を利用して国際投資を引きつけ、平和的な原子力開発を支援するための新しい規制の枠組みを概説した。
- 南アフリカは、石炭の代わりにSMRのようなよりクリーンで信頼性の高い資源を導入するという複雑な問題を取り上げた。
- イギリスは深刻な熟練労働者不足を報告し、2043年までに16万人の労働者が必要になるとの予測を示した。廃炉努力の資金不足は、安全性と雇用の安定をめぐる懸念をもたらしている。組合は国家技能戦略とサプライチェーン支援を要求している。
- スペインは、2027〜2035年にすべての原子炉を閉鎖する計画を再確認した。しかし、電力会社は延長を働きかけており、予定どおりに閉鎖されれば電力料金が家庭向けで最大23%、産業向けで最大35%上昇する可能性があると警告している。
福島原発事故の記念日
3月26日、代議員は福島の東日本大震災・原子力災害伝承館を訪問したのち、2011年の災害後に原発事故の対応拠点として再利用されたスポーツ複合施設、Jヴィレッジに滞在した。この現場はその後修復され、地域復興のシンボルとなっている。
翌日は福島第一原発への技術視察を行い、進行中の廃炉努力(廃棄物管理、汚染水処理、溶解した核燃料の除去という課題など)について専門家から詳しい説明を受けた。これは先例のないプロセスであり、30〜40年かかると予想される。1号機、2号機および3号機に約880トンの溶解燃料が残っている。
会合の終わりに、INWUNネットワークを拡大してウラン採掘労組も参加させ、会合と会合の間の協力を強化することが要求された。安全衛生、青年訓練、工場閉鎖の影響を受ける労働者への支援が、緊急の優先事項として確認された。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/nuclear-renaissance-raises-worker-and-safety-issues
不安定な経済と通商面での緊張の中、鉄鋼業の雇用を守るために強力な行動を要請
2025-04-01
経済的不安定性と地政学的緊張の高まりを受けて、鉄鋼業では長年の課題が悪化している。インダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合およびTUACは、第97回OECD鉄鋼委員会で各国政府に対し、労働者が実質賃金の低下や労働条件の悪化、失業を通してこれらの圧力の矢面に立たされないようにすることを求めている。
OECDデータによると、従来どおり、需要薄と暗い経済見通しにもかかわらず世界の製鋼能力は成長し続けている。世界の製鋼能力は2024年末までに24億7200万メートルトンに達し、今後数年間にさらに増大すると予想される。この能力のほぼ半分が中国にあるが、中国では2020年以降、国内需要の減少で輸出市場向けの生産が増えており、他国に対する圧力が強まっている。
一方、主要OECD諸国間も含めた新しい貿易関税によって不確実性がさらに高まっており、需要と投資にマイナスの影響を及ぼし、全世界で鉄鋼労働者の雇用を危険にさらす可能性がある。
労働組合は、鉄鋼の過剰生産能力と貿易摩擦の高まりは問題の半面に過ぎないことを強調し続けている――もう一方の面は内需の低迷である。OECD鉄鋼委員会の組合代表は、需要を拡大し、労働・環境条件の採用によってより高い基準を設定するために、野心的な包括的産業政策を要求している。組合代表は大企業に対し、グリーンな新技術に利益を再投資し、持続可能な経済成長を推進して他の部門で好ましい波及効果を生み出すことも強く促している。
現在、主要OECD諸国の対応には一貫性がない。アメリカでは、関税引き上げとともに、クリーンエネルギーを縮小しようとする取り組みと、インフレ抑制法の下で承認された産業プロジェクトが実施されている。欧州連合では、防衛支出の財政的柔軟性の増大は、欧州の生産を増やす最善の解決策ではないかもしれない。というのも、大多数の防衛製品がEU域外から輸入されており、米国系サプライヤーとの関係を断つと同時にヨーロッパの軍事生産能力を拡大するには、何年もかかる可能性があるからである。一方、他の緊急の優先事項――社会的一体性のための資金、インフラ・医療・教育への投資など――は、議題でさらに下に追いやられている。
ベロニカ・ニルソンTUAC書記長は警告する。
「鉄鋼の事例が示しているように、不十分な公共投資と低調な個人消費は、通商面での緊張が高まる時期に国内産業をより無防備にする。政府は、財政再建を推進し、公共投資を制限し、労働者保護と労働者の交渉力を弱める労働市場改革によって賃金を下げるのではなく、良質な雇用と労働者の権利を保護しながら国内の回復力を強化する積極財政と的を絞った産業戦略を追求すべきだ」
クリスティーナ・オリビエ・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長は言う。
「各国政府は、経済・環境・社会目標を整合させる先を見越した産業戦略を採用しなければならない。鉄鋼は経済の柱であり、この部門を保護することは労働者、地域社会、製造業の未来を保護することを意味する」
ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長が締めくくる。
「ヨーロッパの鉄鋼業は岐路に立っている。需要を拡大して投資を確保するための緊急行動がなければ、重要な工業力と質の高い雇用を失う恐れがある。労働者を貿易摩擦と経済的不安定の矢面に立たせることはできない。良質な雇用を保護して公正な移行の約束を果たす協調的なEU産業政策が必要だ」
4月16日、ベラルーシにおける労働組合権と民主主義のための行動デー
2025-04-01
2022年以降、ベラルーシの独立労働組合運動は容赦ない解体に直面している。2020年の平和的抗議行動をきっかけに、政府は市民社会に対する弾圧をエスカレートさせ、特に独立労働組合を猛烈に攻撃した。数多くの逮捕や裁判を経て40人以上の労働組合の指導者や活動家が投獄され、すべての独立系労働組合は裁判所の命令によって強制的に解散させられた。
最も有名なケースは、BKDPの元会長でILO理事会のメンバーであるアリアクサンドル・ヤラシュクで、BKDPの副会長であるシアルヘイ・アントゥセビッチらとともに、労働者の権利を擁護しただけで過酷な懲役刑を言い渡された。
このような不公正を見逃すことはできない。私たちは、国際労働組合総連合(ITUC)に加盟する独立した全国労働組合センターであるベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)が開始したキャンペーンへの支援を緊急に求める。BKDPの加盟組織のうち、3組織はインダストリオール・グローバルユニオンの加盟組織であり、私たちは、厳しい弾圧に耐えているベラルーシの仲間の労働組合員のために正義を求めることで団結している。
キャンペーンを支援する方法
- キャンペーン・ウェブサイトを閲覧し、ベラルーシにおける組合活動家への弾圧について理解を深め、ベラルーシ当局に労働組合活動家の釈放を要求する、 ベラルーシ 政府に手紙を送る、 各国政府に行動を起こすよう促す、2023年6月に採択されたILO決議への支持を要求するアピールを各政府に提出する、連帯のビデオ声明を録画する、などの行動を起こす。
- キャンペーンを組合員やソーシャルメディアや貴組織のネットワークで共有し、認知度を高める。
- あなたの政府高官や外交代表に手紙を書き、投獄された労働組合員を含むすべての政治犯を釈放するようベラルーシに圧力をかけるよう促すこと。
- 私たちの仲間のために正義と自由を要求する抗議、請願、公的声明などの連帯行動を支援する。
このキャンペーンはベラルーシ以上のものであり、世界中の労働者の基本的権利を擁護するものである。私たちの一人が攻撃されれば、私たち全員が危険にさらされる。世界の労働組合運動が連帯して立ち上がることを示そう。
インダストリオールのソーシャルメディア・タグを付けて、貴組織の取った行動を知らせて頂きたい。
NSEU、サムスンと労働協約を締結
2025-04-03
韓国全土で一連の大規模なストを実施した結果、全国サムスン電子労組(NSEU)は、3月5日にようやくサムスン電子と労働協約を結んだ。
この韓国金属労組連盟(FKMTU)加盟組織は、昨年7月にファソンで組合員6000人を動員して無期限ストを実施した。続く数カ月間に、さらに何度かストが行われた。サムスン経営陣は譲歩を拒否した。
NSEUが締結した労働協約には、5.1%の賃上げ(基本給増額3%、成果給増額2.1%)が盛り込まれている。両当事者は、業績ベースの報酬体系を強化するために共同タスクフォースを設置することに合意した。
この協約は、全従業員に200万ファミリーネットモールポイントとサムスン電子株30株も付与し、従業員の子どものために退職後再雇用制度も導入している。
NSEU組合員の約88%が、この決定を承認した。
キム・ジュンヨンFKMTU委員長は次のように述べた。
「長く緊張した闘いを経て、全国サムスン電子労組はようやく合意に達した。しかし過去3年間に、サムスンが相変わらず無労組経営方針を固守していることも再確認された。同社が団体交渉プロセス全体を通じて無責任な態度を示したことで、イ・ジェヨン会長による無労組経営方針廃止宣言は無意味になった。サムスングループで労働組合に対する無視や敵意が完全に根絶されるまで、サムスンの組合・労働者は闘いを続け、その闘いにおいて韓国金属産業労組連盟は常に連帯していく」
アレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子担当部長は次のように述べた。
「インダストリオールは、全国サムスン電子労組が、公正な賃金と給付、従業員・家族の将来の機会を擁護する、受けるに値する協約を確保するために、辛抱強く専心したことを祝福する」
写真:シャッターストック
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/nseu-concludes-collective-bargaining-agreement-with-samsung
人道支援はミャンマーの人々に届けられるべきであり、軍事政権にではない
2025-04-03
軍事攻撃と、震災救援の武装化を停止せよ!我々グローバルユニオン評議会(CGU)のメンバーは、このたびの壊滅的な地震に見舞われたミャンマーの人々に連帯する。ミャンマー軍事政権による攻撃の継続、人道的危機への搾取、そして最も被害の大きかった地域で直後に続いた無差別爆撃や組織的な人権侵害による救命支援の意図的な妨害に、我々は憤りを禁じ得ない。軍事政権が武装反政府グループに対する作戦の一時停止を発表したことを認識するものの、それはまったく十分ではない。
マグニチュード 7.7 の地震発生後、軍は救助や人道支援を優先させるのではなく、チャウン・ウー(サガイン)、ピュー(バゴー)、ナウン・チョー(シャン)など、市民の居住地に対する空爆をエスカレートさせた。このような恐ろしい行為は、災害対応という名目のもと、人命と尊厳を露骨に軽視していることを示している。
ミャンマーの歴史は、軍事政権が災害を悪用し、人道支援を政治的・軍事的に手段として利用してきたことを痛々しく物語っている。2008 年のサイクロン・ナルギス、2023 年のサイクロン・モカ、2024 年の台風・ヤギなど、その例は枚挙にいとまがない。被災者への支援は、政権の利益のために繰り返し流用、制限、操作され、その結果、被災者の苦しみは長引き、死者数は増加した。
軍による国際法の軽視と国際的な義務の完全な無視は、軍がミャンマー国民に対して自らの立場を押し通すために国際社会を悪用しないよう、国連機関を含む国際社会に警戒を促し続けている。軍はミャンマー国民すべてに支援と人道介入が行き渡り、ミャンマー国民が平和と民主主義の中で生活と生計を再建できるよう、その立場を退かなければならない。
そのため、我々は緊急に以下を要求する。
- 人道的支援はすべて、国民統一政府(NUG)、少数民族組織、ミャンマー労働組合総連盟(CTUM)、信頼のおける現地の市民社会、および地域社会グループを通じてのみ提供されるよう要求する。これらの組織はすでに、公平かつ人命を救う支援提供に対する明確なコミットメントと能力を示している。
- 軍事政権による無差別な空爆や民間人および民間インフラへの攻撃を非難し、軍事政権が発表した短期的な停戦を越えた、持続的かつ長期的な停戦を要求する。
- 国連、ASEAN、および人道支援機関を含む国際社会に対し、国境を越えた、現地主導のメカニズムを活用し、軍事政権の干渉や妨害を受けずに、被災地域に迅速に支援が届くよう求める。
- ロシア、中国、インドに対し、軍事政権への武器、装備、軍事資源の供給をただちに停止するよう求める。これらの兵器が民間人に対する空爆に使用されているため、国際法に照らして戦争犯罪に該当する可能性がある。これらの国々による人道支援が、ミャンマーの軍事政権によって、反体制派、抵抗勢力、あるいは少数民族を標的にするために悪用されてはならない。
- 軍事政権との取引によって直接または間接的に利益を得ている多国籍企業に対し、ミャンマー軍に関連するすべての事業をただちに停止するよう求める。
ミャンマーの労働者、地域社会、少数民族の人々は、爆撃や妨害ではなく、緊急に支援と保護を必要としている。ミャンマー国民、少数民族、市民社会が逆境に直面しながらも示している並々ならぬ抵抗は、不可欠な人道支援を届ける上での彼らのリーダーシップを証明している。NUG が地震救援を促進するために一方的に停戦を即座に宣言したことは、軍事作戦の中止を呼びかけるにあたっての軍事政権の継続的な暴力と対応の遅れとは鮮明な対照をなしている。
国際社会による人道支援活動の正当性と信頼性は、人道支援が原則に則り、断固として、説明責任をもって実施されるか否かにかかっている。国際社会は、ミャンマーの軍事独裁政権を強化するような人道支援を許した過去の過ちを繰り返してはならない。
世界中の労働者を代表する労働組合組織として、我々はミャンマーの人々との揺るぎない連帯を再確認し、この人道危機を終結させるための即時かつ持続的な国際的圧力を求める。
この地震は、軍事政権による残忍な殺人、強制労働、強制移住、弾圧の暴挙をすでに耐え忍んできた地域社会を直撃した。だが、この惨状にもかかわらず、ミャンマーの人々は不屈の精神、決意、団結力を示し続けている。彼らの決意は、世界中の労働運動に大きな力を与えている。国際社会は、明確に、断固として、遅滞なく、正義と人間の尊厳の側に立って、ミャンマーの人々と共に立ち上がる必要がある。
国際建設林業労働組合連盟(BWI)
国際労働組合総連合(ITUC)
教育インターナショナル(EI)
国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)
国際家事労働者連盟(IDWF)
国際公務労連(PSI)
インダストリオール・グローバルユニオン
OECD 労働組合諮問委員会(TUAC)
国際ジャーナリスト連盟(IFJ)
UNI グローバルユニオン
国際運輸労連(ITF)
写真 2025年3月28日、ミャンマー、マンダレー: 市の中心部で地震が発生し、建物が倒壊した。レスキュー隊が負傷者を救助している。クレジット:Somkanae sawatdinak
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/humanitarian-aid-must-reach-myanmars-people-not-the-military-junta
韓国の労働組合、尹大統領の弾劾支持決定を歓迎
2025-04-04
韓国の憲法裁判所は、労働組合員を含む群衆の歓声に迎えられながら、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領を弾劾した国民議会の決定を支持した。
8人の裁判官で構成される憲法裁判所は、全会一致で、尹大統領が韓国憲法に違反し、戒厳令を発令するための手続き上の要件を満たしていないと判決を下した。裁判官たちは、尹氏の行為は民主主義と国民の政治的権利を傷つけたと述べた。
2024年12月4日夜、尹氏は戒厳令を発令し、すべての政治活動を禁止し、野党・民主党の指導者たちが国会を麻痺させたと非難した。戒厳令解除の投票が行われていた国会議事堂から国会議員を追放するよう軍に命じた。
12月14日、国会は3分の2以上の国会議員の支持を得て、尹大統領の弾劾訴追案を可決した。本日の憲法裁判所の判決は上告不可であり、60日以内に新たな大統領選挙が実施されることになる。
過去4カ月間、インダストリオール加盟組織である韓国金属労組(KMWU)と韓国金属労連(FKMTU)は、組合員を動員してデモを行い、尹氏の即時罷免を要求してきた。KMWUは民主化闘争のために4回の全国ストを組織した。
デモの中で各組合は、憲法裁判所に対し、大統領とその反乱グループを直ちに弾劾するよう求め、民主主義、平等、平和の世界の実現を訴えた。尹氏は2022年の就任以降、労働組合に対する一連の攻撃を開始した。
2023年、韓国の国家情報院は民主労総(KCTU)の事務所を家宅捜索し、KWMU及び別のKCTU加盟組織の組合員2人に国家保安法違反の疑いがあると主張した。警察は、ポスコ製鉄所での座り込み抗議行動中にFKMTUのキム・ジュニョン書記長に暴力を振るい、彼を2023年6月から11月まで投獄した。
同年、韓国警察は韓国建設労組の幹部950人を捜査し、このことがヤン・フェドンの焼身自殺につながった。尹氏はまた、最低運賃を要求して抗議しているトラック運転手に強制的に仕事に復帰させる行政命令を出し、これに応じなかった組合員は投獄されるか処罰される可能性があった。
KMWUのチャン・チャンヨル委員長は次のように語る:
「結局のところ、独裁と極右の台頭に対する最後の防波堤は労働運動である。世界中の労働者階級が団結してこそ、われわれは自らを守ることができる。トランプは、米国と世界中の労働者階級に対する攻撃を開始している。世界中の労働者は、統一戦線と統一闘争を構築することによってのみ勝利することができる。
我々は今、闘争の精神を韓国からトルコの労働者に送る。エルドアンの独裁政権に立ち向かうトルコの労働組合の闘いに、私たちの国際的連帯を表明する」。
FKMTUのキム・ジュンヨン委員長は次のように語る:
「戒厳令が始まってから123日間、韓国市民にとっては不安と苦難に満ちた時間だった。しかし、8年前と同様、韓国の民主的な回復力を再確認した瞬間でもあった。大韓民国の共和制を否定する勢力が社会の各所に根付いていることを確認した時でもあった」。
「内戦は回避されたものの、労働者にとっては新たな課題が浮上した。FKMTUは今、尹政権の冷酷、無法、非合理的な労働弾圧と労働政策を徹底的に一掃するという課題に直面している。また、労働者の切実な要求を反映した法律や政策を押し通す任務も課せられている。尹政権下の数年間、私たちは防衛に終始し、これらの目標を達成することができなかった。今、私たちは再び力を結集し、前進しなければならない」。
インダストリオールのアトレ・ホイエ書記長は次の通り述べている:
「インダストリオールは、韓国の民主主義と法の支配を擁護する憲法裁判所の判決を称賛する。加盟組合の積極的な関与は、民主主義と法の支配を守る上で独立した労働組合が重要な役割を果たすことを示している。」
AIは待ってくれない - だから労働者も待っていてはいけない
2025-04-09
「人工知能は遠い未来の話ではなく、すでに現在を形成している。問題は、人工知能が自分たちの未来をどのように形作るのかについて、労働者が発言権を持てるかどうかだ」と、 インダストリオール・グローバルユニオンの松﨑寛書記次長は言う。
少し前、ある造船所が安全向上のために新しいアシスタントを導入した。それは人間の同僚ではなく、「スポット」と呼ばれるロボットで、作業エリアのパトロール、人間の目には見えないガス漏れの検知、重機の監視が可能なAI搭載ツールだった。
この展開の特徴は、その背後にあるプロセスにある。それは、労働組合が積極的に関与したことだ。労働者は相談を受けた。懸念が認識された。この場合、テクノロジーは人々に取って代わるものでも、無力化するものでもなく、人々に役立つものとして活用されたのである。
これが、私たちが「公正な移行」と言うときの意味である。イノベーションを拒絶することではなく、イノベーションが権利、安全、人間の尊厳に沿ったものであることを保証することなのだ。
私たちの加盟組織のグローバル・ネットワーク全体で、私たちはAIの導入に関する懸念を耳にしている。多くの場合、対話、セーフガード、説明責任がないままである。アルゴリズム管理、デジタル監視、データ主導の業績追跡はもはや理論的なものではなく、すでに仕事を変えつつある。そしてしばしば、効率と搾取の境界線を曖昧にするような方法で行われている。
これらの影響は重大な結果をもたらす。AI関連の雇用において女性の割合は依然として低く、システム自体が既存の不平等を反映し、助長していることが多い。ある調査によると、AIシステムの44%がジェンダー・バイアスを示しており、4分の1はジェンダーと人種の両方のバイアスを示していた。多くの低所得国では、インターネットにアクセスできる女性はわずか20%しかいない。これは単なるデジタルデバイドではなく、未来の経済からの構造的排除である。
労働組合は、ジェンダーに配慮したAIシステムを要求するだけでなく、女性や 多様なジェンダーの労働者がデジタルや技術的な役割にアクセスするための道筋を積極的に支援しなけれ ばならない。女性が不在の空間でAIを進化させれば、そのコードに不平等が組み込まれることになる。
その核心は、テクノロジーだけではない。ガバナンス、包摂、説明責任についてである。誰がルールを決めるのか?AIが生み出す富から利益を得るのは誰か?そして誰がそのコストを負担するのか?
「これらは労働組合の基本的な問題である」
インダストリオールでは、配慮とコミットメントをもって対応している。私はインダストリー4.0専門家グループを率いており、加盟組合、専門家、青年の代表を集め、AIに関する包括的な政策枠組みを策定している。私たちは労働者の声に耳を傾け、加盟組合から証拠を集め、アルゴリズムの透明性、技能開発、労働安全衛生、富の再分配、組織力の5つの分野を優先分野としている。
2024 年ジュネーブ 執行委員会
2024年、執行委員会はAIに関する初の戦略的討議を開始した。2025 年 6 月、執行委員会はインストリオールのグローバル AI 方針を討議・採択する。これは我々の組織だけでなく、アルゴリズミックな変化の不確実性に直面するすべての労働者にとって画期的な瞬間となるだろう。私たちはまた、青年フォーラムを開催し、デジタルトランスフォーメーションにおけるジェンダー平等を推進し、すでに成果を上げている具体的な組合戦略を明確にしている。これは、AI移行において労働者が単なる傍観者ではなく、積極的な参加者であり、その成果の共同創造者であることを保証するためである。
自分の国、日本を振り返ってみると、なぜ日本ではAIの話題がこれほど違って感じられるのだろうかと思うことがある。日本を離れて14年以上経つが、日本はAI技術を静かに着実に日常生活に取り入れている。企業は電光石火のスピードで新技術を導入するわけではないが、より慎重に社会と関わり、社会的信頼と社会的コンセンサスを育みながら、これらの変化に取り組んでいるように見える。今日、日本の失業率は世界で最も低い水準にあり、3%を下回っている。また、他国で見られるようなAIによる混乱も起きていない。
これは、日本の高齢化と労働人口の減少によって、特に介護、ロジスティクス、サービス分野において、自動化への圧力と、それを支援するテクノロジーへの社会的受容の両方が形成されているためかもしれない。
これは、文化的なペースによるものなのか、構造的な警戒感な のか、また 人口動態の現実によるものなのか、はたまた社会的価値観が技術的変化により深く統合されたことによるものなのか。答えはまだわからない。しかし、意思を持ち、包摂し、着実な手を携えて、AI移行に世界的にどのように取り組むかについて、重要な教訓を与えてくれると信じている。
もしあなたがAIにどう対応すべきか悩んでいる労働組合員なら、私はあなたを安心させたい。労働運動は以前にも激しい変革の瞬間に直面した。工業化の時代からデジタルの時代まで、私たちの強みは常に、組織化し、公正さを要求し、産業変革の中心に人間の価値を据える能力であった。
AIは、あなたの知識や同意なしにあなたの未来を決定する新たな力であってはならない。交渉によって決定されなければならない。透明性がなければならない。そして、譲れない原則である人間の尊厳をもって実施されなければならない。
雇用喪失が加速し、男女格差が拡大し、民主的な意見が届かないところで決定が下されるのを待つような余裕はない。団体交渉を通じて、社会的対話を通じて、そして新たなグローバルな連帯を通じて、今こそ行動を起こすときである。
この新しい未知の領域にも、同じように明確な目的と集団的な力をもたらそう。
なぜなら、AIはデータによって駆動されるかもしれないが、その影響は深く人間的なものだからだ。産業変革の次の段階において、いかなる労働者も取り残されないようにしよう。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/ai-wont-wait-so-neither-should-workers
バングラデシュ船舶解撤部門の進展と課題
2025-04-15
2025年6月26日の香港条約発効が近づく中で、インダストリオールと加盟組織は、条約に準拠した船舶解撤産業への移行が労働者を置き去りにしないようにすることを強く要求している。4月上旬にバングラデシュのチッタゴンで2回の訓練セッション、解撤場視察および円卓討議が実施され、労働者と組合指導者、使用者、専門家が参加、この部門が直面している課題と機会に取り組んだ。
ミッションの主要部分は5時間の解撤場視察で、組合代表と安全専門家が解体中の船を調査した。この視察で、世界に通用する安全手順と詳細な廃棄物管理プロセスが明らかになった。これは安全で持続可能な解撤場のあり方の一例だった。
しかし、この解撤場は例外として際立っている。
「政府による大きな圧力なしに、民間部門がこのレベルの安全性と細部への注意を主導している」とウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は述べた。
「これは他の産業では一般的に見られることではない」
インダストリオールは4日間にチッタゴンで2回の労働安全衛生訓練セッションを開催した。このプログラムはオランダのFNVメタルと協力して実施され、インダストリオール加盟組織のBMFとBMCGTWFから32人が参加し、「トレーナー訓練」方式で技術知識と教える技術を組み合わせた。
技術モジュールには、個人用保護具(PPE)の利用、火災予防、リフト運転業務、設備点検、クレーンや伸張ケーブルの利用など、必要不可欠な安全関連の主題が盛り込まれていた。労働者は、海底管の色分けのような国際基準についても教わった。2つ目のモジュールでは、参加者が自ら訓練を行えるようにし、成人学習方法や訓練セッション構築方法、コミュニケーション技術を取り上げた。
「これはグローバルな組合連帯の実例だ――オランダの加盟組織FNVメタルの安全衛生専門家が、インドとバングラデシュ、パキスタンの船舶解撤関連加盟組織の訓練を実施している」とパントランドは述べた。
続いて開かれた円卓討議には、組合と使用者、政府代表が参加した。議論の焦点は、現場レベルにおける強力な組合の必要性だった。使用者のコンセンサスが得られておらず、効果的な監督を確保するうえで政府が役割を果たしていない。1つの急進展は、船舶解撤部門の労災補償制度(EIS)模索に合意したことだった。当事者全員が費用と実施に関する議論を続けることに合意した。
「障害や死亡の場合に不可欠な社会保障を提供できるEISを誰もが受け入れていた」とパントランドは述べた。
「これはより公正な産業への一歩だ」
現在バングラデシュでは香港条約準拠の解撤場が7つしかなく、閉鎖の危険がある解撤場が100を超えており、前途多難である。機械化、船腹量の減少、セーフティーネットの欠如により、すでに労働力が変化している。しかし、これらの訓練と現地トレーナーの出現は、この産業の移行が全レベルでディーセントな雇用、より優れた保護および労働者の声を含むようにする運動が広がっている兆候である。
「香港条約は孤立して成功することはできず、国境を越えた共同責任が必要だ。訓練への投資、組合の権限強化、明確な安全ベンチマークの設定によって、バングラデシュだけでなく南アジア全域で船舶解撤の基準を上げることができる」とアシュトシュ・バッタチャリア・インダストリオール南アジア地域事務所所長は述べた。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/progress-and-challenges-in-bangladeshs-shipbreaking-sector