広報ニュース

インダストリオール・ウェブサイトニュース第12号(2013年8月)

南アフリカのストに数万人が参加予定

2013-08-29

 鉱業・金属・繊維部門における賃上げ要求の行き詰まりを受けて、南アフリカの数千人の労働者が来週のストに備えており、インフレ率5.6%を上回る賃上げを求めてすでにストを実施している労働者に加わる予定だ。

 31,000人を超える自動車製造労働者が819日、14%の賃上げを要求してストに入った。ストが続く中、南アフリカ全国金属労組(NUMSA)は、6%から10%に上方修正された使用者側の提示について組合員の意見を聞いている。燃料小売業協会および自動車小売業協会との賃金交渉決裂後、約72,000人のNUMSA組合員が92日に同僚たちに合流する準備をしている。

 一方、金採掘部門でも賃金交渉が行き詰まり、最大9万人の全国鉱山労組(NUM)組合員が週末のスト要求に応じる態勢を整えている。この部門の過半数組合であるNUMは使用者に対し、830日までに最大60%の賃上げ要求に応じるよう求めている。金採掘部門の使用者を代表して交渉している鉱山会議所は最終的に66.5%を提示したが、NUMはインフレ率をわずかに上回るにすぎないとして拒絶した。

 繊維部門では南アフリカ衣料繊維労働組合(SACTWU)がスト権投票を実施し、労働者は使用者との賃金紛争が解決しなければストを実施することに賛成した。SACTWUは、大都市圏7%、非大都市圏11%の賃上げ要求を支持して組合員5万人がストを実施したあと、92日に使用者側トップに48時間のスト予告を提出する準備をしている。

 

エジプト・スエズ・スチールでスト終結も闘争は継続

2013-08-29

 スエズ・スチール工場の労働協約をめぐる争議が解決した。しかし、使用者に労働組合・労働者の権利を完全に承認させる必要があるため、インダストリオール・グローバルユニオンは議論の続行を強く要求している。

 

インダストリオール・グローバルユニオン代表のアーメド・カメルとスエズ・スチール労働者

20122月にスエズ・スチール工場で労働協約が締結されたことがきっかけで、解雇、逮捕、暴力を伴う一連の争議が始まった。8月に12人の労働者が解雇され、経営側によって警察に被害届が出された。経営側は労働者の要求への回答を拒否し、職場に復帰しなければ交渉を開始できないと述べた。紛争は過去数週間にエスカレートし、さらに3人の労働側指導者が逮捕され、工場労働者を脅して生産作業に戻らせるために武装集団と軍隊が派遣された。使用者は会合を開いて労働者に圧力を加え、12人の同僚とその他数人を説得して退職させるよう求めた。

 緊迫した状況を緩和するために、インダストリオールはエジプト民主労働会議(EDLC)および独立エジプト労働組合総連盟(EFITU)とともにカマル・アブ・アイタ人的資源・移民大臣に対し、スト中の労働者に対する暴力を停止するために措置を講じるよう再び要求した。産業大臣をはじめとする何人かの大臣にも、この紛争を伝えた。

 先週、拘留されていた労働者が釈放され、スエズ知事も参加して同社施設で交渉が行われたあと、6人の労働者が適切な金銭的報酬を条件に退職することに同意した。残る9人の労働者は今も復職を希望している。

 「この争議の解決を効果的に後押しし、労働者9人の復職を継続的に支援してくれたことについてインダストリオールに感謝する」と、解雇され拘留されていた労働者で主要なスト指導者の1人であるモハメド・マブルークは言う。「個人的な利益のために闘っていたわけではないので、一定の金銭的報酬を受け取って退職してもよい。私たちは当社の労働者の利益を求めており、今後もそれに基づいて行動する」

 インダストリオール・グローバルユニオンのユルキ・ライナ書記長は次のように述べている。「このストが終わっても、やるべき仕事がまだあることは明白であり、使用者は労働組合と労働者の権利を尊重する必要がある。インダストリオール・グローバルユニオンは使用者側に対し、この重要な議論を継続して団体交渉権を承認するよう求める――それが争議を終わらせる唯一の方法だ」

 

 

不安定労働撤廃キャンペーンで労働組合が10月7日に世界的な行動を計画

2013-08-29

 107日がどんどん近づいており、すでに多くのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が、グローバルなインダストリオール不安定労働撤廃キャンペーンを支持する行動の準備をしている。

 インダストリオールは全加盟組織に対し、この世界的な行動に加わり、インダストリオールのグローバルな力を結集して不安定労働との闘いを支持するよう呼びかけている。

 ヨーロッパでは、インダストリオール・ヨーロッパが加盟組織にメッセージを送り、世界的な行動の一環として組合員を動員するよう促すとともに、不安定雇用が欧州のみならず全世界で増え続けており、行動の効果をさらに高めるには連帯による合同キャンペーンを実施するしかないと指摘した。

オンラインで入手可能なインダストリオール・キャンペーン資料は以下のとおり。

●下記サイトで閲覧できる2分間の短いビデオ:http://youtu.be/PUTYLMAcv4E(要求すればコピーを入手可能)

●ダウンロードして印刷できる新しいリーフレットとキャンペーン・ポスター、ステッカーやTシャツを作るためのアートワーク:

http://www.industriall-union.org/stop-precarious-work-materials-2013

 加盟組織に対し、計画している行動に関する情報をpress@industriall-union.orgに送信し、実施した行動の写真や報告も送付するよう求めている。この情報はインダストリオール・ウェブサイトの特別キャンペーン・セクションに掲示される。

 2012年には、46カ国・150団体以上の加盟組織が107日の不安定労働撤廃グローバル行動に参加した。この行動の写真は全世界のインダストリオール加盟組織が共通の目標を掲げて団結していることを示し、多国籍企業や各国政府、世界統治機関に、あらゆる場所の労働者が不安定労働との闘いに備えているという強力なメッセージを送った。

ライナ書記長は、107日のインダストリオール加盟組織の世界的な大規模動員を見据えて次のように述べた。「インダストリオールの不安定労働撤廃キャンペーンは、単なる年次行動デーではなく、主流に組み込まれた戦略目標に基づく活動だ。不安定労働の問題は、すべてのインダストリオール会合で常に議題に盛り込まれている。多くの企業ネットワークが自社における不安定労働の発生状況を調査し、その削減に向けた共同戦略を策定している。改善された新たな文言がGFAに導入されている」

「さらに、主要な外部資金プロジェクトによって、アジア、ラテンアメリカ、アフリカで多くの具体的活動を支援している。地域・国家レベルの活動は、加盟組織が団体交渉を通じて使用者に対し、不安定雇用の制限、不安定労働を制限する立法改革の推進、不安定労働を拡大する法律への抵抗を要求するうえで支援することに焦点を当てている」

 

グルジアのGTMグループで組合攻撃

2013-08-29

 インダストリオールはグルジアのGTMグループの反組合的な姿勢に抗議している。同社は組合設立直後に数人の組合活動家を解雇した。

 インダストリオール加盟組織のグルジア冶金・鉱山・化学産業労組(TUMMCIWG)は20137月、ゼスタフォニ近郊のGTMグループ合金鉄工場に組合支部を新設した。労働者130人のうち45人が直ちに組合に加入した。ところが、その日のうちに3人の主要活動家が解雇された。「最高責任者は、労働組合を求めておらず絶対に設立を認めないことを隠そうともしなかった」とタマズ・ドラベリーゼTUMMCIWG会長は述べた。

 一両日中に工場の組合支部長も解雇された。支部長は最高責任者に口汚く罵られ、工場敷地外に連れ出された。TUMMCIWGは組織防衛のために徹底的なキャンペーンを展開した。

ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は814日、GTMグループ最高責任者とグルジア首相に抗議書簡を送った。「GTMグループの反組合的行動は、グルジアの労働組合法・労働法だけでなく、国際労働機関の第87号条約および第98号条約などの国際労働基準にも明らかに違反している」

同書記長は、工場経営陣に反組合的な慣行の撤廃を、グルジア首相に実態調査と労働者・労働組合を保護するための適切な措置の実施を要求した。

 

ITUC、インダストリオールがメキシコ大統領と会談

2013-08-26

 ITUCとインダストリオールはエンリケ・ペーニャ・ニエト・メキシコ大統領と会談、大統領は対話に同意し、メキシコ政府は独立組合を迫害しないと述べた。

 

メキシコ大統領(左)と会談するITUCとインダストリオール代表

USWを含むITUCTUCAおよびインダストリオール・グローバルユニオン共同代表団は、2013823日にメキシコシティーのロス・ピノス(大統領官邸)でエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領およびアルフォンソ・ナバレテ・プリダ労働大臣と会談した。

 メキシコ新大統領選出と同国の明白な国際的役割を踏まえて、グローバル・ユニオンは、複数の労働権問題(保護協約、労働法改革、機能していないOECDナショナル・コンタクト・ポイント、特定の紛争の解決、G20問題など)について議論する会合の開催を要請してきた。

 大統領と労働大臣は、メキシコ政府には独立組合迫害の意図はなく、既存の紛争の解決に取り組んでいることを確認し、特にナポレオン・ゴメス・ウルティアのロス・ミネロス指導者としての立場の合法性を承認した。

 ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は、この承認を歓迎したが、インダストリオール執行委員のナポレオン・ゴメスに対する訴訟の継続に懸念を示し、次のように主張した。

 「ナポレオンはメキシコのさまざまな裁判所で、捏造された同じ容疑をめぐる事件のすべてについて潔白を証明された。この裁判ゲームをやめなければならない」

 メキシコ電力労組(SME)との間では、2009年のルス・イ・フエルサ・デル・セントロ社閉鎖後に残った労働者16,000人の状況打開をめぐって交渉が続いている。

 政府は、保護協約は確かに存在するが、政府としてこの種の協約を合法的な手段とはみなしていないことを認めた。解決策を模索するために対話を継続し、ILO条約第98号の批准に関して対策を講じるために取り組んでいる。

 グローバル・ユニオンは、結社の自由と団体交渉を保障するために、団結して保護協約に反対している。メキシコの多くの職場では使用者が組合と協約を結んでいるが、労働者は協約のことを知らず、参加することができない。

 政府は、提訴第2694号のILO勧告に沿って組合との対話を目指すと述べた。

 政府は、昨年の労働法改革の技術的再評価に関してILO事務局長と協議することに同意した。この改革は一定の成果を上げたが、組合民主主義と透明性の分野に不備がある。

 シャラン・バロウITUC書記長はペーニャ・ニエト大統領に対し、9月のG20サンクトペテルブルク・サミットでグローバル・ユニオンの優先事項を支持するよう促し、次のように述べた。「大量失業に直面して、緊急に雇用を創出する必要がある。まず、インフラへの協調投資、実習制度の拡大による若者の取り込み、社会的保護フロアと労働者が尊厳をもって生活できる最低賃金に基づくインフォーマル経済のフォーマル化を実現しなければならない」

 メキシコ政府は、インフォーマル・セクターの問題と労働のフォーマル化の必要性について詳細な理解を示し、全国民を対象とする社会的保護の実施へのコミットメントを繰り返し述べた。

 国際代表団(ミッション報告書全文は下記サイトを参照)のメンバーは、これらの問題に関して各分野で進展を確保するために、メキシコの組合とともに引き続き取り組んでいく。

http://www.industriall-union.org/sites/default/files/uploads/documents/informe_mision_mexico_24_08_13_eng.pdf

 

エジプトの大臣がスエズ・スチール労働者のストに介入

2013-08-19

 スエズ・スチールのスト指導者、アムル・ユシフとアブダル・ラウフが逮捕されたが、独立エジプト労働組合総連盟(EFITU)元会長であるカマル・アブ・アイタ人的資源・労働大臣の介入後に釈放された。その一方で、労働協約の実施をめぐって争議が続いている。

 契約労働者2,200人、日雇労働者2,000人を雇用する民間企業スエズ・スチールの争議は、20122月の労働協約締結にさかのぼる。この協約は利益分配金の支給に関する規定を盛り込み、給与体系、医療手当およびボーナスについて合意していた。今回の争議は、協約のいくつかの条項(何よりも利益分配金)の実施に関するものである。

 12人の労働者が職場を離れ、使用者はそれらの労働者に対して警察に被害届を出した。経営側は労働者の要求への回答を拒否し、職場に復帰しなければ交渉を開始できないと述べた。ストが続行されると、警察がスト指導者2人を逮捕し、軍隊が工場を包囲した。この逮捕を受けて、スト中の労働者はスエズとアインアルソクナを結ぶ幹線道路を封鎖しようとしたが、エジプト軍に阻止された。

 労働者は現在、3週間前からスエズのアルアタカ工業地帯にある工場でストを実施している。812日に治安部隊が工場敷地内でのスト参加者による座り込みを強制的に解散させ、その暴力行為が強い批判を招いた。

 先週カイロで、労働側の指導者と、新任の人的資源・労働大臣で独立エジプト労働組合総連盟(EFITU)元会長のカマル・アブ・アイタが会談した。カイロのインダストリオール・グローバルユニオン・コンサルタントのアーメド・カメルは、新しい独立労働組合機構の代表向けにいくつかの訓練コースを開催する予定であり、この協議に加わった。

 協議の結果、逮捕された2人のスト指導者が釈放され、大臣はさらに同省の特別準備基金から工場労働者に給料1カ月分を支払うことに同意した。しかし、労働者が作業を再開しなければ交渉を行わないと使用者側が引き続き主張しているため、争議は依然膠着状態である。労働側の指導者は、書面契約と遅配賃金の支払い抜きでは同僚に職場復帰を要求できないと主張している。

 

南アフリカの自動車部門でスト激化

2013-08-15

 BMWの南アフリカ全国金属労組(NUMSA)組合員は、重要な問題をめぐって88日(木)からストを実施している。賃金交渉の行き詰まりで、南ア自動車部門の全国ストが迫っている。

 南アフリカのBMW工場で、シフト手当に関連する工場レベル交渉の行き詰まりを受け、2,000人を超える労働者がストに入った。この行き詰まりは調停で解決されず、争議行為に至った。

 自動車部門でも交渉が進んでおり、BMWはマスコミに対し、部門レベル交渉が行われている中で今回のストには当惑していると説明した。「BMWがこのストに当惑していると言うのはおかしいことを明確にしておかなければならない。産業レベル交渉に先立って工場レベルで交渉が行われた。BMWはストを阻止しようとしたが、労働裁判所は実施を許可した」とNUMSA交渉担当者のアレックス・マシロは述べた。「産業レベルでは、シフト手当については工場レベルで交渉しなければならないと議論しているのだから、BMWの主張にはさらに根拠がない」

 一方、産業レベルでは賃金交渉が行き詰まっている。この状況が打開されなければ、31,000人以上の労働者が819日にストに入ると予想される。トヨタ、日産、フォード、ゼネラル・モーターズ、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、BMWなど、自動車各社にスト予告が送達された。

 労働者は当初、20%の賃上げを要求していたが、その後14%に引き下げた。使用者側は、公式的には賃上げ6%プラス1時間当たり1.07ランドを提示した。使用者は、1年目に10%プラス1時間当たり1.07ランド、その後2年間にそれぞれ消費者物価指数(CPI)上昇分に加えて0.25%プラス1時間当たり1.07ランドに、提示額を引き上げる意向を示している。

 NUMSA2桁の賃上げを求めており、3年協約の2年目以降の賃上げ率引き下げは受け入れない構えだ。

 

 

トルコの「ラブ・ボート」で船舶解撤労働者が死亡

2013-08-15

トルコのイズミールでラブ・ボートとも呼ばれるMSパシフィックを解体中に煙を吸い込み、労働者2人が死亡、9人が負傷した。

 このクルーズ船は解体のため86日にトルコに到着した。ジェノバからの航海途上で猛烈な嵐に襲われて損傷を受け、機関室が水浸しになった。810日に機関室から水を抜き取った際、労働者たちは衛生器具の排気管から出た煙を吸い込み、犠牲者全員が近くの病院に運ばれた。9人は翌日退院したが、37歳のドアン・バルシと40歳のダブト・オズデミールが煙中毒で死亡した。

 検察官による調査が始まっている。親類によると、亡くなった労働者の1人バルシは事故の2日前に同じ場所ですでに煙を吸い込んでいたが、通院治療しか受けなかった。

 MSパシフィックは1971年に西ドイツで建造されたクルーズ船で、1970年代にアメリカの人気ロマンチック・コメディー『ラブ・ボート』に登場してから有名になった。建造後42年のこの船は、海辺の町アリアガで解体するためにイズミール・シップ・リサイクリング社が250万ユーロで取得した。アリアガはイズミール近郊の船舶解撤場の1つだ。伝えられるところによれば、この地域では船舶解撤会社約25社が活動しているが、組合は1つもない。地域社会とグリーンピースをはじめとするNGOが現地で組合の組織化を促進しているが、使用者の強い抵抗に遭っている。

 トルコは世界第4位の船舶解撤国で、ILOの「船舶解体業における安全と健康:アジア諸国およびトルコ向け指針」の対象である。2004年に策定されたこの指針の狙いは、船舶解撤業者と所轄官庁が労働安全衛生や労働条件に関するILO基準、行動規範およびその他の指針の関連条項を実施しやすくすることだ。

 造船・船舶解撤両産業で労働安全衛生条件が劇的に改善しているというトルコ政府の宣言とは裏腹に、労働者は今なお多くの重大事故や死亡事故に直面している。

 トルコは2011年に第19回世界労働安全衛生会議を主催したが、エルドアン首相は同会議での約束をまだ実行していない。(http://www.issa.int/content/download/153577/3064987/file/2-PM-erdogan-speech.pdf

 トルコで発生した他の業務災害に関するインダストリオール(旧IMF)の過去記事については下記を参照:http://www.imfmetal.org/index.cfm?c=29035&l=2およびhttp://www.imfmetal.org/index.cfm?c=21680&l=2