広報ニュース

第19号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2013年12月)

フォックスコンの労働権侵害にほとんど改善なし

2013-12-30

 FLA(公正労働協会)は、3年にわたって中国のフォックスコン3工場に取り組んだのち、3本目の最終的な評価報告書を発表した。労働権改善の大きな見込みがあったにもかかわらず、アップル社から同社サプライヤーのフォックスコンで権利侵害の改善を委ねられた公正労働協会(FLA)は、ほとんど成果を上げなかった。

 評価報告書は、いくつかの改革――安全衛生の改善や週労働時間の短縮(もっとも、中国の法定水準には達していない)――を指摘しているが、重要な賃金・未払賃金問題に関してはほとんど進展がなかった。FLAは、超過労働時間の減少を埋め合わせるに十分な報酬増額を達成し、労働者がすでに従事した長時間のサービス残業の報酬を受け取れるようにすると約束していた。加えて、労働者の基本的ニーズに応えるために必要な報酬額を決定する調査も行うはずだった。だが、この3本目の最終的な評価報告書は、これらの約束のいずれにも言及していない。批判的に言えば、この報告書は組合選挙に関してさらなる進展がなかったことを確認しており、すべての工場の組合指導部の大多数が管理者で構成されているという基本的な問題に取り組んでいない。

 20137月までに不法な超過労働をなくすという約束に反して、超過労働時間は相変わらず中国の法律に違反している。フォックスコンは、中国の法定上限を大幅に超える週60時間というアップルの不十分な基準にさえ従っていない。2013710月には、7884%の労働者の労働時間が中国の法定基準を超えていたことが報告されている。

 FLAは、対象施設を追加してアップル製品の合計90%以上を製造している工場を調査することも約束していたが、最初の3つのフォックスコン工場からの情報しか発表していない。この3工場は現在、アップル向けの生産活動に従事している労働者の5分の1も雇用していない。アップルのサプライチェーン全体で依然、頻繁な労働者の権利侵害が報告されている。

 このような欠点にもかかわらず、FLAはアップルの改善達成率を98.9%と評価している。

ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は、この報告を受けて次のように述べた。「これはFLAのような企業主導の監査モデルが、いかに効果がなく誤解を招くものであるかを示しているにすぎない。約束された遵守は達成されておらず、アップルのサプライチェーンでは労働権侵害が続いている」と。

 

インダストリオール・グローバルユニオン、2本の新しいグローバル枠組み協定を締結

2013-12-13

 インダストリオール・グローバルユニオンは、紙パルプ産業の主要企業(スウェーデンのSCAとノルウェーのノルスケ・スコグ)と、2日間で2本のグローバル枠組み協定(GFA)を締結した。 

SCAとインダストリオール、スウェーデン労組PappersとのGFAを更新

 ユルキ・ライナ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は129日、SCAのヤン・ヨハンソンCEOと会見し、SCAとインダストリオール、スウェーデンの労働組合PappersとのGFAを更新した。SCAとの最初のGFA2004年に締結され、その後2年ごとに更新されてきた。最新版のGFAはよりダイナミックであり、フランクフルトGFA会議の決定に沿って最新の要件を満たしている。改訂版は労使関係の基礎として、基本条約とILOガイドライン原則を挙げている。また、労働時間と超過労働手当の問題や、全従業員(常用、パートタイム、契約)を対象とする平等原則も取り上げている。

インダストリオールとノルウェー合同産業労組、ノルウェー最大の製紙会社ノルスケ・スコグとの間でGFAを締結

1210日には、インダストリオールとノルウェーの合同産業労組、ノルウェー最大の製紙会社ノルスケ・スコグとの間でGFAが締結された。この協定に基づき、ノルスケ・スコグは人権・労働組合権を遵守・尊重し、サプライチェーンと顧客でこれらの権利を促進することを約束している。

ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は言う。「GFAは企業が社会的責任を負う事業を行えることを示しており、インダストリオールはこの種の協定を業界基準にしたいと考えている」と。

 

インダストリオール女性委員会、部門別会合の女性参画を精査

2013-12-12

 インダストリオール女性委員会は2013123日にジュネーブで会合を開き、長い議題に取り組んだ。要点の1つは部門別会合における女性参画の精査だった。女性委員は数字を調べ、改善の余地がかなりあることを確認した。女性委員会は、インダストリオールの会合で女性の出席率が低い状況を是正するために、より抜本的な措置を講じる必要があるとの結論に達した。この結論には、ユルキ・ライナ書記長と続く2日間に開かれた執行委員会も同意した。

 女性委員会が開催されたこの時期、女性と子どもに対する暴力との闘いが16日間にわたって繰り広げられた。この闘いは1365日実施すべきだ。鉱業部門では、地下で働く女性が特に攻撃されやすい。「暴力に対して行動を起こすために優良事例を開発しなければならない。さらに、女性の優先課題を中心に女性を組織化しなければならない。その1つが暴力だ」と、インダストリオールのキャロル・ブルース女性労働者・事務技術職労働者担当部長は述べた。

 ユルキ・ライナ書記長はインダストリオール内部の傾向について報告した。その多くが女性、特にバングラデシュの労働者に影響を与えている。2013年には各地域で女性機構の導入に成功した。書記長は2012年の結成大会で達した政治的合意を読み上げた。次期大会に向けて全レベルで女性代表を改善することが課題である。

 女性代表を妨げる障害の1つは部会長の問題だ。差し当たり、それぞれの部門会議で男女各1人の共同議長2人を選出することで合意している。これは部門別会合における女性代表の改善に向けた小さな一歩となる。インダストリオール本部は登録も管理し、女性が参加していない代表団を拒否しなければならない。また、資金援助の認可にあたってジェンダー・バランスを考慮する。考えられる1つの方法は、大会に適用される規約の文言を他の会合にも適用することだ。先進国も含めてすべての国々に30%の割当人数を適用すべきである。

 部門別の会合、会議およびネットワークの女性代表に関する統計値が発表された。女性委員はこの報告に遺憾の意を表した。2013年には、多くの会合に女性が1人しか参加せず、それ以上に多くの会合で女性出席者の割合が10%に満たなかった。女性委員は、組織全体の監査を実施し、全レベルで女性指導者が出席しているかどうか確認するよう求めた。女性代表の問題を調べるための作業部会も要求する。次の会合にはITUCを招き、ITUC規則がどのようにジェンダー平等に効果を上げているかに関するプレゼンテーションを求める。

 2014年には、さまざまなインダストリオール地域で地域大会が開かれる。地域大会のテーマは「女性労働者:尊厳ある安全な仕事」だ。このテーマに関してそのほかに案があれば、2014215日までに送付されたい。女性を支援する行動案として、エジプトの女性に連帯を表明する予定である。201421日までにエジプトの女性とその闘いに関して詳しい情報を提供し、38日に向けてメッセージを送れるようにする。

 女性委員たちは2015年にオーストリアのウィーンで開かれる世界女性会議に招待された。5月か10月に適当な日程を検討する。会議のモットー案は「女性のリーダーシップで組織機構を変革」である。その他の提案も201431日までに提出のこと。

 生活賃金、不安定雇用、母性保護、暴力に関する進行中の活動について報告が発表された。この会合で行われた長い議論を踏まえて、女性の関心事を公平に扱うには半日では足りないのではないかとの疑問が提起された。こうした諸々の作業によって、大会やその他すべてのインダストリオール活動で女性の出席者を増やすという目標が達成に近づいた。