広報ニュース

第20号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2014年1月)

USW報告書がクラウン・ホールディングスの悪しき企業統治を暴露

2014-01-31

 

クラウン・ホールディングズ社の悪しき企業統治に抗議するUSW組合員たち

アメリカとカナダのクラウン・ホールディングス労働者を代表する北米のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織、全米鉄鋼労組(USW)は2014130日、同社の重要な統治問題を分析する最新の報告書を発表した。

 USWは団体交渉関係にある使用者の調査を実施している。今回の報告書は、41カ国で149工場を運営し、21,900人の従業員を雇用する多国籍企業、クラウン・ホールディングスに関するものだ。約12,000人のクラウン従業員が労働協約の対象となっている。

 この報告書は、クラウン・ホールディングスの重要な企業統治問題を浮き彫りにしている。

 過大な役員報酬

 クラウン取締役会における女性代表の不足

 共同CEO/取締役会長が招いた利害の対立

 不適切な能力給

 同社の最低賃金をさらに削減しようとしている経営幹部の有利な退職給付

  USWはカナダ・トロントのクラウン・ホールディングス工場の状況を踏まえて、経営幹部が有利な退職給付を受け取っている問題を特に懸念している。

 クラウン・ホールディングスは20139月、オンタリオ州トロントのUSW9176支部との新協約交渉で、二重構造賃金スケジュールの実施、生活費手当の廃止、ごくわずかな賃上げ、すでに9年間続いている年金凍結の維持を画策し、労働者をストに追い込んだ。 これはカナダだけで見られる状況ではなく、クラウン・ホールディングスはトルコでも依然、組合を団体交渉パートナーとして認めようとせず、組合つぶしを続けている。

 報告書で提起された問題は、先ごろAFL-CIOがクラウン役員で役員報酬委員会委員長のハンス・ロリガーに送付した書簡でも取り上げられた。

 インダストリオール本部のケマル・ウズカン書記次長は次のように述べた。「報告書の調査結果は私たちにとって意外なことではない。クラウン経営陣によるそのような悪しき企業統治は、労使関係に極めて大きな悪影響を与える。このような理由で私たちはグローバル・キャンペーンを実施している」

USW報告書とAFL-CIO書簡はUSWキャンペーン・ウェブサイト(www.takebacksnomore.ca)で入手可能。

 

タイとインドネシアの組合が連帯を促進

2014-01-29

インドネシアへのスタディ・ツアーでブカシのFPSIメンバーと交流するタイの労働組合メンバー

 2012年と2013年にインドネシアで実施された不安定雇用反対全国キャンペーンは、何百万人もの労働者を動員し、真の労働組合の力を示した。このキャンペーンは世界中で多くの組合を奮い立たせ、例えば昨年9月にバンコクで開かれた不安定雇用、組織化およびキャンペーンに関する全国ワークショップにタイの組合が参加した。その結果、インドネシアへのスタディーツアーが行われた。

 バンコクのワークショップでは、インダストリオール東南アジア・太平洋地域事務所(シンガポール)のボニー・ディアナント副所長が、インドネシアのHOSTUM(外部委託廃止・低賃金拒否)キャンペーンについて報告した。タイの組合からの参加者は、このキャンペーンが大成功を収めた理由を知りたがった。インダストリオール東南アジア・太平洋地域事務所およびインドネシア金属労連(FSPMI)との協議により、スタディーツアー・プログラムが立案された。TEAMTWFTPPFTEGAT LUを代表するタイの組合代表6人(男女各3人)が、1220日からジャカルタ郊外のブカシ工業地域で5日間を過ごした。ブカシはインドネシア有数の電子・金属産業中心地である。インドネシア訪問の目的は組織化・キャンペーン戦略を綿密に調べることだった。

 タイの組合代表はスジャイフル・パトンボンが議長を務めるインダストリオール・インドネシア協議会と会談した。インドネシアの組合代表は、FSPMI会長でもあるサイド・イクバルの指導下でインドネシア労働組合総連合(KSPI)が主導した全国キャンペーンによる最近の成果を共有した。

 不安定雇用反対キャンペーンはインドネシアの組合運動の重要なキャンペーンの1つである。長年にわたる法改正運動を経て、インドネシアの憲法裁判所は2012年、差別と憲法違反を理由に外部委託を禁止する判決を下した。インドネシア労働省も、外部委託を清掃、警備、輸送、食堂、採掘サービスの5部門に制限する新しい命令を発布する。KSPI(インドネシア労働組合総連合)率いる組合運動は大規模な全国キャンペーンを組織し、政府に新しい労働命令の実施を、使用者に生産ラインで派遣労働者を直接雇用することによる新法の遵守と慣行の是正を要求した。

 タイとインドネシアの労働組合員は、東ジャカルタ工業団地で働く労働者や組合活動家が団体交渉の討議・計画のためによく集まるFSPMIブカシ支部を訪れた日、団体交渉戦略と交渉に関する情報を交換した。

 FSPMI(インドネシア金属労働組合連合)はスタディーツアーの一環として、タイの組合代表によるインドネシア・スズキ自動車労組訪問も手配し、企業レベルの組合活動や団体交渉について学べるようにした。地方組合もタイの組合代表に対し、201312月にタイのラヨーンで結成されたスズキ自動車労組との連絡を仲介するよう要請した。同労組は現在、201312月に最初の労働協約が締結されたあと創設者が解雇されたため、会社側と深刻な紛争を繰り広げている。

 このスタディーツアーはタイ、インドネシア両国の労働組合にとって実り多いものだった。20145月にはインドネシアの組合代表がタイを訪問し、インダストリオール地域大会に出席するとともに、さらに数日かけて視察し、タイの組合運動の最新情勢を学ぶ予定である。

 タイの組合代表は経験の共有と歓待に感謝し、次のような書簡を送った。「インドネシアへのスタディーツアーに参加したタイの組合代表は、素晴らしい連帯と歓待に心からお礼を申し上げます。スタディーツアーはわずか5日間でしたが、素晴らしい経験をして、強力な組合運動に加わることがどういうことかを実感しました。インドネシアの組合活動家が献身的に取り組み、労働者・国民生活の向上に向けて労働者階級を動員する素晴らしい能力を獲得していることを深く称賛します。万人の生活賃金、健康保険および社会保障を達成し、不安定雇用をなくすための全国キャンペーンは、民主的なインドネシアの組合運動による具体的な努力です。私たちは全国キャンペーンを成功させる大規模な労働者教育の重要性も理解しています」

 

グローバル・ユニオン、ILOにフィジーの調査を要求

2014-01-23

 インダストリオール・グローバルユニオンは加盟組織に対し、国際労働組合総連合(ITUC)が開始したキャンペーンに加わり、フィジーにおける組織的な労働組合権侵害を調査するためにILO調査委員会の設置を要求するよう呼びかけている。

 2006年のクーデター後、独裁者バイニマラマ准将とフィジー政権は、法律面でも実際面でも組織的に結社の自由を否認している。

 2012年、国際労働機関(ILO)のハイレベル実情調査団が同政権によってフィジーから追い出された。この調査団は、1年前に導入された抑圧的な労働改革の結果を調査することになっていた。

 ILO監視メカニズムは何年も前から、結社の自由の極めて重大な組織的侵害を詳述してきた。この侵害は激しい暴力、脅迫、冤罪による逮捕、絶えず続く監視から、「必要不可欠なサービス」への分類を口実に公共部門のみならず民間産業でも労働者の権利を厳しく制限する措置まで、多岐にわたっている。

 20136月のILO総会で、ILO調査委員会の設置を求める苦情が提出された。その後、労働権をめぐる状況は悪化している。

 フィジーの労働者は私たちの継続的支援を必要としている。ITUCは、組織的な労働組合権侵害を調査するためにILO調査委員会の設置を求めてキャンペーンを開始した。インダストリオールは全加盟組織に対し、自国政府に接触して説得し、20143月のILO理事会で調査委員会の設置を支持させることによって、ITUCキャンペーンを支援するよう呼びかけている。詳細と各国政府に接触するためのモデル・レターは下記のITUCウェブサイトで入手可能:

http://www.ituc-csi.org/IMG/pdf/circular_no_02_-_commission_of_inquiry_ilo_fiji-eng.pdf

 

 

「手当削減反対」キャンペーン、カーニバル・クルーズCEOを標的に

2014-01-16

 インダストリオールとその加盟組織は、極端な反組合的行動を取っているカーニバル・クルーズCEO兼クラウン・ホールディングス取締役のアーノルド・ドナルドに対抗して、全米鉄鋼労組が主導するキャンペーンの新しい段階を全面的に支持している。

 インダストリオール加盟組織の全米鉄鋼労組に加入するカナダのクラウン・ホールディングス工場労働者は、賃金を最大42%まで大幅にカットされ、利益が倍増している会社側に大幅な譲歩を要求したあと、昨年9月にスト決行を余儀なくされた。紛争直前にトロントのウェストンにある同社工場が、北米最高の生産拠点に選ばれたにもかかわらずである。

http://www.industriall-union.org/thousands-protest-against-crown-holdings

  クラウン・ホールディングスはトルコでも、労働者が自由で民主的な選挙に勝利したあと、組合結成を阻止している。

  世界各地で、労働者とその家族も含めて毎年約1,000万人が、最大の船会社であるカーニバル・クルーズを利用している。しかし、その陰で過去2年間に同社の船舶で事故が多発しており、最も劇的な事故として、20121月にイタリア沖で沈没したコスタ・コンコルディア号や、20132月にエンジン火災のため数日間メキシコ湾を漂流したカーニバル・トライアンフ号が挙げられる。

  伝えられるところによれば、事故の原因は会社側の過失に加えて、乗組員が不安定な条件で雇用されている場合が多く、十分な訓練を受けていないことにあるという。

  USWはカーニバル社に対抗するキャンペーンを勢いづかせ、旅行代理店を闘いに引き込もうと、約16,000社にメールを送付、「カーニバル・クルーズは推奨に値する会社でしょうか。旅行代理店は保護されているでしょうか」と問いかけ、上記の事故をはじめ代理店がカーニバル・クルーズの取り扱いに注意すべき理由を挙げた。

  USWによると、カーニバル・クルーズの社長兼CEOで、シカゴ大学院でMBAを取得し、元モンサント上級役員でもあるアーノルド・ドナルドは、高賃金と有給休暇によって充実したサービスを提供するカーニバルのビジネスモデルを弱体化させている。ドナルドは現在、クラウン・ホールディングスでも同様の反労働者的スタイルを適用している。

  インダストリオール、国際食品労連(IUF)、UNIグローバルユニオンを含むグローバル・ユニオンはカーニバルに抗議書簡を送り、国際運輸労連(ITF)は抗議の直接行動を起こしている。

  下記サイトでカーニバルCEOアーノルド・ドナルドにメッセージを送り、組合つぶしの中止を要求しよう:

http://www.labourstartcampaigns.net/show_campaign.cgi?c=2114

  ウェブ・ベースのRadioLabourはキャンペーンの一環として、USW戦略的キャンペーン局代表のジョー・ドレクスラー氏にインタビューし、カーニバルを狙ったキャンペーンについて話を聞いている:http://www.radiolabour.net/drexler-040114.htm

  キャンペーンに関するその他いくつかのビデオ資料を下記サイトで入手できる。

 http://youtu.be/DXkFeDD2uI0

http://youtu.be/3VmvuFm32J0

 http://youtu.be/KgToolf2lV4