日本の金属労働者、1999年以来最大の賃上げを確保
2014-03-20
日本の金属労組は2014年の春闘で妥当な成果を達成した。
自動車、ICT電機・電子、機械、鉄鋼、造船各産業の大企業で働く労働者を代表する50以上の全日本金属産業労働組合協議会(JCM)加盟組織は、団体交渉キャンペーンに注力した結果、日本経済がデフレに苦しんでいる時期にあって、過去15年間で最大の賃上げ獲得に成功した。
JCMは特に以下の業績を強調している。
●すべての労働組合が賃金構造維持分を何とか確保した。これは実質的に月約2%(約6,000円)の引き上げとなる。
●賃金構造維持に加えて、52組合中49組合が1,737円の追加増額の取り決めに成功した。基本給の増額と合わせて月約8,000円の引き上げとなる。
●88%の組合が年間一時金5.1カ月分(前年比0.5カ月分増)を取り決めた。
●約19組合が企業内最低賃金(月額)の追加増額を取り決めた。
2014年の春闘で達成された結果に関する声明で、JCMは以下のとおり宣言した。「今日の回答の結果を全国に知らせ、月給増額と労働条件改善を通した人への投資によって経済の活性化を促進したい」
韓国組合指導者の釈放求めるアムネスティ・インターナショナルのキャンペーンに支援を
2014-03-18
韓国の組合指導者であり人権擁護活動家のキム・ジョンウ氏は、2014年4月4日の上告審でさらに厳しい実刑を科せられる怖れがある。キム氏は解雇された労働者とその家族を支援して抗議したことを理由に、2013年6月から投獄されており、労働組合員に対する継続的な弾圧の一環として、ソウル最高裁判所で、より重い判決を言い渡される怖れが高まっている。
キム・ジョンウ氏は、インダストリオール・グローバルユニオンに加盟する韓国金属労組の双竜自動車支部の元指導者である。キム氏は昨年6月、2009年6月に双竜自動車に解雇された労働者の復職を求め、キャンペーン中に自殺したりストレス関連の不調で亡くなったりした労働者・家族24人を追悼して抗議したあと逮捕された。2014年4月に刑期を終える予定であるが、検察側による上訴を受けて、最高裁でより重い刑を科せられる怖れがある。
ユルキ・ライナ・インダストリオール・グローバルユニオン書記長は、この状況は容認できないと次のように述べた。 「インダストリオールは韓国の労働組合に対する制約の強化を強く非難する。キム・ジョンウ氏は、双竜自動車で解雇された労働者の権利を擁護していた際に逮捕された。直ちに釈放しなければならない」
アムネスティのキャンペーンを支援し、組合指導者キム・ジョンウの即時釈放を要求しよう!
【資料】韓国大統領へのインダストリオールの書簡
ジュネーブ、2014年3月18日
韓国大統領 朴槿恵様
韓国ソウル青瓦台
送付先:president@president.go.kr、foreign@president.go.kr、mission.korea-rep@ties.itu.int
韓国大統領に対するキム・ジョンウ釈放および労働組合との対話開始の要求
拝啓
約140カ国の鉱業、エネルギー産業および製造業で5,000万人以上の労働者を組織化するインダストリオール・グローバルユニオンを代表して、結社の自由に対する権利を行使したというだけで拘留されたキム・ジョンウ氏の即時無条件釈放を要求するために、この書簡をお送りします。
2013年2月20日から要求しているにもかかわらず(添付の書簡を参照)、韓国の状況は悪化しています。したがって、貴政権は韓国のインダストリオール加盟組織、ナショナルセンターならびに私たち(国際労働組合総連合(ITUC)と国際公務労連(PSI)を含む)と民主的かつ有意義な対話を開始し、国際労働機関の中核的労働基準と広く採択された国連人権条約を完全に遵守して、労働者の合法的な人権・労働組合権を保障することが絶対に必要です。
韓国で は、労働組合幹部や活動家が、他国なら合法とされる争議行為への関与を理由に投獄されています。国際労働機関が国内法、特に刑法の業務妨害規定を直ちに結 社の自由の原則と調和させるよう繰り返し明確に指示しているにもかかわらず、貴国政府は行いを改めていません。逮捕や投獄に加えて、明らかに破産を狙った 組合・個人に対するスト損害賠償訴訟がたびたび起こされています。
韓国金属労組双竜自動車支部の元指導者キム・ジョンウ氏は2013年6月10日、首都ソウルで地方自治体職員が座り込みテントと慰霊祭壇を解体するのを防ごうとした際に逮捕されました。この抗議は、2009年6月に双竜自動車に解雇された労働者の復職を要求し、キャンペーン中に自殺したりストレス関連の不調で亡くなったりした労働者・家族24人を追悼する行動でした。抗議行動をに必要な届けをすべて提出していたにもかかわらず、警察は2013年5月30日にデモ禁止通知を送りました。労働組合は禁止措置に対して差し止め請求をし、この訴えは2013年6月に政府関係者が現場を解体した時点で進行中でした。ソウル行政裁判所は2012年7月と2013年12月に下した過去2回の判決で、同じ現場における組合の抗議権を支持しています。
キム・ジョンウ氏は「特別公務執行妨害」で禁固10カ月の判決を言い渡されました。4月に刑期を終える予定ですが、検察側による上訴を受けて、最高裁でより重い刑を科せられるおそれがあります。
私たちはアムネスティ・インターナショナルとともに国際労働組合総連合(ITUC)に合流し、韓国政府に対し、キム・ジョンウならびに国際的に保護された団結権の行使を理由に同様に拘留されている人たちを釈放するよう要請します。
敬具
インダストリオール・グローバルユニオン
書記長 ユルキ・ライナ
インド、経営側の不当労働行為に耐えかねて労働者が抗議
2014-03-13
インド・コルカタのPHクーリング・タワーズ経営陣は過去15年間、労働者の賃金改訂を拒否し、その結果、労働者世帯は困窮状態に陥っている。労働組合による給与改訂要求に対して、経営側は3人の労働者を解雇した。2014年2月26日に労働組合がパハルプール・クーリング・タワーズで1日の警告的ストを実施すると、経営側は現地の暴漢を雇って3人の組合活動家を攻撃した。
しかし、この苦難にもかかわらず労働者は闘いの継続を決議し、解雇された同僚の復職を求めて抗議行動を強化、経営陣は給与改訂について議論することに同意した。
パハルプール・クーリング・タワーズ労組のカマル・テワリ会長は、労働者を代表して、 「経営側の行動は不当労働行為となる。パハルプール労働者は最後まで闘うと誓いを立てた。当組合は友愛組織に、苦闘する労働者への連帯支援をお願いする」と述べた。
インダストリオール・グローバルユニオンのマティアス・ハートウィッチ機械エンジニアリング・素材産業担当部長は、「不当解雇、賃上げの拒否、賃金交渉の欠如――これはどんな使用者であっても絶対に容認されない行為だ。OECDガイドラインの明白な侵害であるのみならず、礼儀正しい態度に反する行為でもある。このようなことが21世紀に文明国で起こっているのは恥ずかしいことだ」 「パハルプール労働者には、労働組合に加入して賃金交渉と賃上げを要求する権利がある」と述べた。
フィリピンにおける団結強化の課題
2014-03-13
ITGLWF、ICEMおよびIMFがインダストリオール・グローバルユニオンを結成したとき、フィリピンの旧GUF加盟組織は1つの統括団体のもとに統合された。だが、フィリピンには多様な産業を対象とする17団体ものインダストリオール加盟組織があり、団結の文化を確立するのが難しい。
2014年2月26~27日に38人がフィリピンで会合を開き、国内のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織間の団結をめぐり討議した。フィリピンのインダストリオール加盟組織だけでなく、日本の加盟組織であるJCMとUAゼンセン、オーストラリアの加盟組織AMWUからも代表が参加した。
フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は、団結強化の3原則が進むべき道だとして、 「加盟組織同士が競合してはならない。そうではなく協力と持続可能性が必要だ。優先課題は労働者の組織化である」と語った。
そして2日間の会合は、団結強化に向けて前進する方法を見つけることに成功した。加盟組織は外部の司会者の主導で4月1日に再び会合を開き、好ましい協力体制を確認するとともに、共通の課題に関する行動計画を策定する。アニー・アドビエント・インダストリオール地域事務所所長がオブザーバーとして参加する。同じく4月に、加盟組織は続いて3カ年組織化プロジェクトを立案するために会合を開く。
フェルナンド・ロペス書記次長(写真)は、フィリピンの加盟組織間における団結強化の重要性を強調し、「インダストリオールの強さは、組合員数の増加、加盟組織間の協力、持続可能な組合の構築によって測定することができる。大きな課題が行く手に待ち受けているが、加盟組織が協力すれば立ち向かうことができる」と述べた。
イタリアのルーベン・ダリオ・モントヤ・オバンド氏のために今すぐ行動を!
2014-03-07
ルーベン・ダリオ・モントヤ・オバンド氏は、かつての勤務先であるイタリアのテナリス・チュボス・カリベ社に抗議して2014年2月からハンストを続けている。ルーベン氏は2002年に職場で重大事故に遭ったが、同社は補償金の支払いを拒絶して年いる。
ルーベン氏は請負業者に雇われてテナリス・チュボス・カリベ工場で働いていた2002年7月、職場で事故に遭った。パイプが胸に突き刺さり、肋骨3本を失って働けなくなってしまったのである。
ルーベン氏は2002年から入退院を繰り返し、2回復職したが、結局また解雇される結果となった。保険会社は今も補償を拒否している。2013年9月、裁判所はルーベン氏の障害に適した職務への復職、事故発生日以降の給料の支払い、部分年金の支給を命じた。
だが、テナリス・チュボス・カリベ社と保険会社は、過去の賃金支払いと年金支給を命じる判決を不服として上訴している。この措置によって、解決が数カ月、ことによると何年か遅れるだろう。
行動を促すために、ルーベン氏は2月にハンストに入った。健康状態が悪化した結果、現在は入院中である。
テナリス・チュボス・カリベの労働者を組織化するインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織Sintratucarのワルベルト・マルゴ会長は、「チュボス・カリベには本格的な職場安全衛生プログラムがない。労働省はこの問題に関して厳しい措置を取っていない」と語った。
Sintratucarはインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織FETRAMICOLの傘下組合だ。
フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は、「テナリス・チュボス・カリベの行動は、安全衛生に関する同社の言葉に中身がないことを示している。Sintratucarとインダストリオール・グローバルユニオンは、早期の解決とルーベンに対する当然の補償の支払いを要求する」「イタリアのテナリス工場の労働者が支援を表明している。世界中の労働者にも同様の支援をお願いしたい」と述べた。
グローバル・ユニオン、クラウン・ホールディングス社による組合つぶしの蔓延を阻止すべく結集
2014-03-07
7カ国のクラウン・ホールディングス社従業員を代表するインダストリオール加盟組織が2月25日にジュネーブで会合を開き、同社の労使関係に関する経験を共有した。
さらに重要なことには、カナダとトルコの労働者を守るとともに、北米の使用者がしばしば起こす反組合的行動がクラウン社の活動する他の地域に広がらないようにするために、行動計画を立案した。
クラウン社の新しいグローバル組合ネットワークは、まずカナダで全米鉄鋼労組の「手当削減反対」キャンペーン(www.takebacksnomore.ca)を利用し、グローバル・キャンペーンとともに注目を集めるようになっている。このキャンペーンは、他のクラウン労働者と主要顧客の労働者を代表する組織を傘下に収めている他の2つのグローバル・ユニオン・フェデレーション、UNIグローバルユニオンとIUFの参加によって勢いづいている。
ユルキ・ライナ・インダストリオール書記長は、「クラウンのさまざまな組合を結びつけるだけでなく、サプライチェーンの組合も取り込もうとする私たちの努力の目的は、この多国籍企業の強大な権力に対抗できる力を獲得することだ」「クラウン・ホールディングス社は傲慢にも、グローバル・ユニオンによる会合開催の申し出さえ受け入れようとせず、私たちは言葉だけではなく実際に行動を起こす必要がある」と述べた。
ロン・オズワルドIUF書記長は、「IUFは、いくつかの主要食品飲料企業に正式な国際的承認を求める闘いに勝利を収めた。それらすべての企業が、労働者のために人権基準を尊重すると主張するだろう。各社がサプライチェーン全体で同様の人件基準を保証する責任を負うことも、同じく明らかだ。したがって、それらの同じ食品飲料企業にパッケージを供給する主要サプライヤーが、クラウンのように人権基準を侵害するのを許すことはできない。私たちはクラウンで権利を求めて闘うインダストリオール組合員と協力する」と述べた。
UNIグローバルユニオンのクリスティー・ホフマン書記次長は、「サプライチェーン全体で団結し、戦略を共有し、連携すれば、グローバル企業との闘いに勝つことができる。世界中の労働者に事実が知れ渡れば、クラウンはカナダとトルコで従業員に対する不当な待遇を続けられなくなる。UNIはいくつかのキャンペーンでインダストリオールとうまく提携しており、クラウン・ホールディングスの同志の人権を守る取り組みを全面的に支援していく」と述べた。
クラウンは世界有数の食品・飲料・エアゾール缶メーカーである。
この会合で徹底的に議論したクラウン社の攻撃的な行為には、次のようなものが含まれる。
●10年にわたって北米の組合労働者に削減を押しつけている。
●クラウンが新規労働者の賃金を42%削減する永続的な賃金率引き下げを要求した結果、カナダで6カ月にわたってストが続いている。
●トルコで法的障壁を利用し、組合の完全な承認を先送りしようとしている。
●EU法に反して、ヨーロッパで工場閉鎖計画の透明性を確保せず、閉鎖に関する協議を行っていない。
組合員50万人のカナダ組合退職者会議(CURC)は2014年3月5日、カーニバル・クルーズ最高経営責任者アーノルド・ドナルドの役割に抗議する、同社に対するボイコットを支持した。ドナルドは米クラウン・ホールディングスの取締役として、トロントにおける6カ月の労働争議について責任がある。
フィラデルフィアでのクラウン株主総会に向けた動員計画がすでに進行中で、そのほかにも行動が計画されている。
2月28日は欧州同一賃金デー
2014-03-03
インダストリオール・グローバルユニオンは、このキャンペーン・デーに女性のための公正促進を要求する姉妹団体インダストリオール・ヨーロッパを支持した。
インダストリオール・ヨーロッパは2月28日の欧州同一賃金デーに、ヨーロッパで男女賃金格差をなくすという力強い要求を打ち出している。ヨーロッパの賃金格差は依然、女性差別の主な要因の1つとなっている。平均して、EUの女性は男性よりも時給が約17%少ない。この数字はベルギー、ポルトガル、スロベニア、ポーランド、マルタ、イタリアでは10%を割り込んでいるが、エストニアとオーストリアでは賃金格差が25%を超えている。
この状況は、このような不平等を根絶するために限られた数の措置しか実施されていないことを浮き彫りにしている。このため、インダストリオール・ヨーロッパとその機会均等作業部会は当局に対し、格差をなくすための取り組みの推進をさらに強く要求している。
男女平等の促進は経済・社会一般のために利益を生み出し、貧困削減と女性の所得増加に貢献するだろう。企業は、例えば女性の能力を評価し、職業生活と家庭生活を両立させる方針を立案したり、訓練や専門的能力開発を実施したりすることによって、より効果的に女性の才能・能力を活用して利益を得ることができる。
欧州連合における性別による賃金格差には多くの理由がある。
女性は多くの場合、男性が働いている職業ほど高く評価されない職業に従事している。そして、男性が優位を占める職業においてさえ、女性が担当している仕事は評価が低く、賃金も低いことが多い。
女性は無給の家事や育児の負担を担っているだけでなく、ヨーロッパでパートタイム労働者の大部分を占めてもいる。つまり、パートタイムで働く労働者の割合は男性のわずか8.3%に対して女性は31.5%であり、これは女性のキャリアや教育、年金・失業給付の受給権に悪影響を及ぼしている。
管理職に就く女性の人数も少なく、役員に占める女性の割合は12%、経営者に占める割合は3%にすぎない。
インダストリオール・ヨーロッパ機会均等作業部会は、この性別による賃金格差を縮小するために一連の措置や戦略を提案しているが、格差はなくなるどころか、残念ながら日に日に目立つようになっている。
この問題に取り組むために、私たちはさまざまな措置を提案している。
●雇用政策で賃金格差に取り組む。
●団体交渉と社会的対話を通して同一賃金を促進する。
●欧州レベルで優良事例の交換を支援する。
●法律の実施を改善・監視する。
●企業で賃金制度の透明性を高めるための方法を見つける。
●一定期間で女性管理職を増やすために、プログラムや具体的な行動を考案する。
●固定観念を打破するために、女性が少ない地位や部門で女性の人数を増やす。
これらの措置は団体交渉の枠組みや現地従業員代表委員会、欧州従業員代表委員会、国際協約を通して労働者代表が検討し、新規採用や昇進、訓練などを監視するとともに、あらゆる面における遵守と広い意味での平等を確保すべきである。