広報ニュース

第31号インダストリオール・ウェブサイトニュース(2014年11月~12月)

オーストラリアの造船雇用を守るために闘うAMWU

2014-12-23

造船労働者の雇用を守るため、12月にアデレードとパースでAMWUの数百人の労働者が市中を講義のデモ行進

オーストラリアの造船労働者は、2015年に数千人の雇用喪失の恐れがある軍艦建造の未来をめぐって、中央政府に対する抗議行動を強化している。

  12月にアデレードとパースで数百人の労働者が市中を行進し、将来の軍艦・潜水艦建造を海外に外注しようとするアボット保守政権の動きに抗議した。

 オーストラリア製造労組(AMWU)の組合員が結集し、国防大臣の解任または辞任も要求した。その理由は国防相が、現在建造中の防空駆逐艦(AWD)3隻に関して、製造作業を国内にとどめておくことに失敗したことである。

 政府は、新しい海軍フリゲート艦8隻の建造計画の推進どころか、オーストラリア国内での建造の保証さえ拒否し、BAEシステムズとフォーガックスは「死の谷」として知られる契約のギャップに陥っている。

グレン・トンプソンAMWU書記次長

 グレン・トンプソンAMWU全国書記次長は、AWDプロジェクトに関するデービッド・ジョンストン国防大臣の「ぶざまな無策」を激しく非難した。

  「大臣は、自らの専門家報告とAMWU、造船業界が主張し続けている問題に関して直ちに行動を起こさないのであれば、辞職しなければならない。私たちは、アデレードをはじめとするオーストラリアの造船所で海軍の戦闘艦を引き続き建造していくよう要求しており、今、その約束を求める」とトンプソン氏は述べた。

  オーストラリアの造船業が直面している最大の契約問題は、アボット政権が2013年の選出前に約束したとおり、国の将来の潜水艦隊が国内で建造されるかどうかである。政府は現在、約束を撤回しており、建造作業の外注を検討している。そうなればオーストラリアの造船業は壊滅するだろう。

  しかしAMWUは組合行動により、このプロジェクトに関して透明な入札プロセスを導入すべきであり、どの入札者が落札するにせよ、オーストラリア国内で潜水艦を建造しなければならないことについて、アボット政権の上院議員からも強力な政治的支持を勝ち取った。

 トンプソン氏は11月に日本で開かれたインダストリオール造船・船舶解撤世界会議に出席、この会議では、イギリス、アメリカ、オーストラリアのBAEシステムズ関連組合が世界的なネットワークの構築に合意した。

  「情報を共有してグローバルな連帯を構築するために、協力しながら活動していく」とトンプソン氏は述べた。

 

 

マレーシアとインドネシアの組合、ストップ不安定雇用の闘いを継続

2014-12-22

 

 

先週、インドネシアとマレーシアで全国統一会合が開かれ、両国のインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織が不安定労働に対抗する行動を評価した。組合が勝利を達成するたびに、使用者は相変わらず異議を唱えている。

インドネシア、3ナショナルセンター合同で、100万人労働者動員し不安定雇用の利用に抗議

 インドネシアでは、3つのナショナルセンター(KSPI、KSBSI、KSPSI)が12月10日に100万人の労働者を動員し、特に国有会社における不安定雇用の利用に抗議した。

 2013年10月にインドネシア議会が国有会社における「外部委託禁止」を勧告したにもかかわらず、公企業では今なお外注労働者の大規模な利用が続いている。

 組合主導の国有企業労働者共同運動(GEBER BUMN)は現在、公共部門における外部委託の禁止と外注労働者約28万人の身分変更を求めて、キャンペーンの先頭に立っている。

 このキャンペーンには、金属労組のFSPMIとロメニック、エネルギー労組のFPEとKEP、鉱山労組CEMWUなど、インドネシアのインダストリオール加盟組織数団体が参加している。

  これらの組織は公共部門において、電力会社PLNや石油・ガス会社ペルタミナといった企業で、不安定労働者を動員・組織化している。

  ジャカルタでのインダストリオール全国統一会合で、加盟組織は、このキャンペーンを継続する決意を再確認した。同時に、民間企業でも不安定雇用との闘いを続けていく。

  インドネシアにおける契約・外注労働者の割合は、衣料・繊維・履物産業で65%、金属・電子産業で60.7%との報告がある。民間企業は5つの雇用区分(警備、清掃、配膳、鉱業部門支援サービス、輸送サービス)においてのみ派遣労働者を利用できるとする2012年11月の労働省令の実施にあたって、組合は使用者からの抵抗に遭っている。

 マレーシアでは、不安定雇用との闘いは移民労働者の問題と密接に関連している。この国で活動する企業は、人材斡旋会社を利用してネパールやミャンマーなどの国々から低賃金労働者を呼び寄せ、有期契約で間接的に雇用している。

  マレーシア労働組合会議(MTUC)はインダストリオールの支援を受けて、マレーシアで外部委託との闘いにおいて重要な活動主体となっている。進行中の抗議行動が奏功し、政府は農業部門における外部委託の利用制限を余儀なくされた。

 使用者側の抵抗が原因で、この法律の実施には今も混乱が見られる。クアラルンプールでの全国統一会合で、加盟組織は、現地人・移民外注労働者の利用はマレーシアで今なお広く問題になっていると報告した。数々の困難が伴うにもかかわらず、加盟組織は、不安定労働者、特に移民労働者を組織化するための行動計画を立案した。

  移民労働者は労働組合活動への参加を恐れていることが多く、自国に送り返すと日常的に脅されている。インダストリオール加盟組織の報告によると、これらの脅威に負けず、有期移民労働者は製造会社で無記名投票に参加するために、使用者によって課せられた障害を克服する戦略の策定に着手している。

 インダストリオールは今後とも両国の加盟組織を支援し、現行法を積極的に実施するとともに、これが使用者による不安定雇用の利用を効果的に抑制するよう確保するために取り組んでいく。

 

 

 

 

イタリアのティッセンクルップで労働争議が解決

2014-12-19

共同講義行動の一つ

 イタリアの組合による団結と決意のおかげで、ドイツ系多国籍グループのティッセンクルップがウンブリアに所有する鉄鋼工場アシアイ・スペシアリ・テルニ(AST)で、最も長く厳しい部類に入る労働争議が終結した。

 AST労働者は12月15~17日の3日間の投票で、組合代表と同社経営陣が取り決めた協約を80%の賛成多数で承認した。

 AST労働者とその労働組合であるインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織FIM-CISL、FIOM-CGILおよびUILMによる並外れた動員と一連の抗議が、争議解決において重要な役割を果たした。

 AST労働者による40日間のストは交渉に非常に大きな影響を与え、これを受けて会社側は、労働者2,398人が雇用されているテルニ施設でステンレス鋼生産を大幅に削減する計画を変更した。

 この計画が実施されていれば、2つの溶鉱炉のうち1つが運転を停止し、少なくとも575人の労働者が解雇され、それよりもずっと多くの労働者が間接的に影響を受けていただろう。

  この協約に基づいて、同社は両方の溶鉱炉を少なくとも4年間は稼働させ、年間100万トンの現行生産量の維持も保証する。同社はAST施設への多額の投資も見込んでいる。

 一部の従業員は自発的に退職するが、労働者のために職場保護に関する基本的な条項が定められている。

  組合は第三者企業を通して雇用された労働者を代表して交渉を続けている。

  インダストリオール・グローバルユニオンのフェルナンド・ロペス書記次長は、AST労働者による投票の結果を称賛し、次のように述べた。「イタリアの同志の決意と闘志に敬意を表する。この勝利もまた、団結と決意が組合の強さと成功の最も重要な部分であることを示す証拠だ」

 

 

オーストラリアのオーチスで8週間のロックアウトが終結

2014-12-18

 オーストラリアのオーチス・エレベーターで、経営側が他の国内エレベーター会社と同水準の賃金・労働条件の適用を拒否し、労働者が8週間にわたってロックアウトされた。昨日、オーチスは譲歩し、労働組合は会社側と合意に達した。

 このロックアウトは、オーチス労働者の90%が、賃金・労働条件を大幅に削減する非組合協約を否決したあとに行われた。ロックアウトされたオーティス労働者への空前の国際支援を受けて、12月17日に労使が合意に達した。

  インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織ETU(CEPU傘下)とAMWUは、14%の賃上げ、日当旅費の増額、建設手当の業界標準以上への引き上げ、すべてのプロジェクトの最低現場手当、初めての所得保護を盛り込んだ3年半の協約を達成した。

  アレン・ヒックスETU全国書記長は、 「国際・国内両レベルでの多大な支援により、組合員は団結してイデオロギーに基づく保守派の攻撃に抵抗した」とコメントした。

  インダストリオールは、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、デンマーク、アイルランドでオーチス労働者と合流し、労働者に対する扱いを非難した。

 マティアス・ハートウィッチ・インダストリオール機械エンジニアリング担当部長は、「私たちは仲間の労働組合員と固く連帯している。国際支援がどんな影響を及ぼし得るかを示す、この協約を歓迎する」とコメントした。

 インダストリオールは、オーティスがインダストリオール加盟組織AMWUとETUの組合員と協議して公正な協約を取り決め、労働者とその家族が受けるに値する適正な条件・給付を盛り込むよう求める要求も支持した。

オーチス・エレベーターは世界有数の垂直交通システム製造・設置会社である。

 

 

インドのシーメンスで不安定労働者の身分を変更

2014-12-16

 

インド・シーメンス労組の組合事務所の前で集まる組合員メンバー

12月初め、インドのシーメンス工場で働く不安定労働者40人が、労使交渉を経て常勤契約を取り付けた。

 シーメンスが2011年6月にインドで衛星工場の稼働を開始したとき、42人の労働者が訓練工として採用された。訓練工の身分は1年で、その後は常勤契約で雇用されることになっていた。

  ところが会社側は、訓練が終了すると労働者の肩書を見習職員に変更した。労働者は、組合を結成したり組合に加入したりできないことも書面で通知された。

  2012年6月、40人の見習職員がインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織であるシーメンス労組(SWU)の組合員になった。同労組は労働審判所に提訴し、事件が係争中である間は労働者の解雇を禁じる差止命令を得た。2014年12月2日、労使は和解に達した。

 労働者は別の会社に異動し、一連の給付を受けた。すなわち、月給の19%引き上げ、適切な労働時間による常勤契約、有給休暇の5日増、バス輸送、食事と医療施設の改善、信用を利用する機会である。

 SWUは、引き続きインド全国でシーメンス従業員の組織化に取り組む。

 

コロンビア人労働者の職場事故がついに認定

2014-12-16

 

左からルーベン・モントヤと妻、中央はテナリス労働者世界協議会のホルヘ・ガルシア・オルガレス

ここ13年間、行き詰まったコロンビア人労働者ルーベン・モントヤは、職場事故で働けなくなったあと、年金その他の給付を獲得するために、スラ・インシュランス・カンパニーおよびテナリス・チュボ・カリベと闘ってきた。12月初め、ようやく和解に至った。

  ルーベン・モントヤは、13年前にコロンビアのテナリス工場で職場事故に遭ってから、生き残りをかけて闘ってきた。この事故によって働けなくなったが、使用者はこれまで年金その他の給付の支払いを拒否してきた。絶望に駆られたモントヤはハンストを実施し、2回にわたって自殺を図った。

  インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織FETRAMECOLに所属するコロンビアの組合SINTRATUCARの動員と、テナリス労働者世界協議会およびレイバースタートによる大規模な支援のおかげで、ついに金銭的解決に達し、今モントヤは年金を受け取っている。

 フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は、「和解に至り、モントヤがやっとしかるべき年金を受給していることをうれしく思う。しかし、それに要した時間は常軌を逸しており、モントヤは非常に高い代償を払わされた」とコメントした。

 

 

 

インドネシア全国で労働者100万人がスト

2014-12-15

 12月10日、ジョコ・ウィドド大統領による燃料価格の引き上げを受けて、インドネシアの労働組合総連合KSPI、KSBSIおよびKSPSIの組合員100万人が賃上げ要求ストに入った。ジャカルタでは5万人が大統領官邸まで行進し、要求を突きつけた。

 この行動デーの1週間前にデモが行われ、組合は2015年の新しい最低賃金を要求した。インドネシアの最低賃金は州ごとに設定されている。

 インドネシアの労働組合総連合KSPIとKSBSI、KSPSIは12月10日に全国ストを組織し、大都市圏の組合員約100万人が参加した。ジャカルタだけで、約5万人の労働者が街頭デモをした。

  組合は大統領が導入した燃料価格の値上げに反対している。この値上げは実質的に、労働者の購買力が50%低下することを意味する。

 組合はすべての州知事に対し、最低賃金を272.7米ドルに引き上げ、生活費計算の品目数を60から84に増やすよう要求している。

  2015年7月1日の年金改革実施について合意したが、実施方法に関して懸念が募っている。

  サイド・イクバルKSPI会長は、「法律はすでに存在しており、必要なのは政府が命令を出して法律を実施できるようにすることだ。この法律が実施されれば、4,400万人の労働者が年金制度の恩恵を受けることになる」とコメントした。

  国民皆保険は2014年1月からインドネシアの全国民に適用されることになっていたが、まだ1,000万人以上が適用を受けていない。組合は、この水準の医療保険を2015年1月1日までに全国民を対象に完全実施するよう要求している。

  スト中の組合は、インドネシアで急増している外部委託の中止も要求している。

 サイド・イクバル会長は、「1,600万人の派遣労働者が直接雇用されるようにしたい。そして、これは政府が厳密に法律に従えば実現するはずだ」とコメントした。

  2014年12月11日、総連合側はインドネシアの下院議員と会談し、5つの要求を提出した。インダストリオール・グローバルユニオンに加盟するインドネシア金属労連組合(FSPMI)のスポークスパーソン、ルスリは以下のとおり述べた。

「今日の集会で打ち出した要求に政府がどう対応するか見守る。政府が応じなければ全国ストを実施する予定だ」

 組合の団結

  インドネシア国別協議会に加わるインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、12月11~12日に団結強化会合を開き、この闘いに各組合が関与することへの支持を表明した。

  インドネシアのインダストリオール加盟組織は現在、モデル団体交渉協約の作成や、インドネシアの女性労働者全員を対象とする14週間の出産休暇を求める大々的なキャンペーンに関して協力している。

 

ジャカルタで5万人が大統領官邸まで行進

インドネシアで新しい最低賃金を求めるデモ

ジャカルタで5万人が大統領官邸まで行進

インドネシアで新しい最低賃金を求めるデモ

街頭デモで要求を突きつけるインドネシアの労働者

ジャカルタで5万人が大統領官邸まで行進

 

 

 

チュニスでインダストリオール執行委員会開催

2014-12-08

 

労働組合権は民主的社会の一部だ、とユルキ・ライナ書記長

バングラデシュについて報告するモニカ・ケンペール書記次長

 

インダストリオールは、12月4~5日にチュニスで執行委員会を開催した。この開催場所は、労働組合が重要な役割を果たしているチュニジアの民主主義の発展への支援を示していた。

 チュニジア労働総同盟(UGTT)とその加盟組合(インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織を含む)は、新憲法の立案において極めて重要な役割を果たした。

 ウサーン・アッバーシUGTT書記長は、執行委員会をチュニスに歓迎し、労働者が勝ち取った利益を保護すると約束し、 「労働者は民主的なチュニジアを求める闘いに貢献している。インダストリオールがチュニジアに来てくれたことは、労働組合とその活動を支援するという強力なメッセージだ」と述べた。

  チュニジアのアフマド・アンマール社会問題大臣は、挨拶の中で、労働組合との社会的対話を約束し、「チュニジア国民は分別があることを示してくれた。民主主義に向けた最終的な措置を取ることができたのは国民のおかげだ」と述べた。

 この2日間のインダストリオール執行委員会で、組合の力の強化と組織化、労働組合権を求める闘い、生活賃金を求めるキャンペーンなど、インダストリオールの継続的な活動をめぐって報告・議論が行われた。インダストリオールは国境を広げている。特にモーリタニアとミャンマーで新規加盟があり、インダストリオールが代表する国の数が143カ国に増えた。

 連帯決議4本の採択

  インダストリオール執行委員会は、モロッコで電力事業を公共サービスとして維持し、すべての電力労働者の雇用、業績および権利を守るよう政府に求める、モロッコ全国エネルギー労連(FNTE)の要求を支援することを決議した。

 IGメタル組合員150人が12月4日からストを実施しており、ドイツ・エスリンゲンのティッセンクルップ自動車サプライヤー工場を占拠している。労働者は会社側に対し、クリスマス前に工場を閉鎖する計画の撤回を要求している。インダストリオール執行委員会は、スト参加者を支援し、会社側に工場の操業継続を求める要求を支持する旨決議した。

  インダストリオール・グローバルユニオンとティッセンクルップの加盟組織は現在、グローバル枠組み協定に向けて同社との交渉をかなり進めているIGメタルとインダストリオールは、そのプロセスを継続しようと努めている。

  ベルギーの組合は現在、団結して1カ月に及ぶ一連のストを実施している。この波状ストは右翼政権の緊縮政策と闘っている。2大労働組合であるベルギー労働総同盟(FGTB)とキリスト教労働組合総連合(CSC)の重要な団結によって、ストの有効性と重要性が高まっている。

 新フランドル同盟(NVA)と改革運動(MR)の連立政権が発足した2014年9月以降、極めて反労働者的なミシェル首相が過酷な財政緊縮計画を推進している。

  インダストリオール執行委員会は、今回の対立でベルギーの同志と連帯して全面的かつ強力に支援し、ミシェル首相の連立政権に対し、社会的支出の重大な変更について組合と協議するよう要求することを決議した。

  インダストリオール執行委員会は、アスベストに対しても明確な態度を打ち出し、BWI、ITUC、アスベスト支援団体および市民社会グループとの協力により、2015年5月のロッテルダム条約における温石綿リスト作成キャンペーンと、アスベスト産業に対するキャンペーン全体を支援する旨決議した。

 

 

ホンダ・メキシコ――復職した労働者が再び解雇

2014-12-05

 ホンダ・メキシコは、同社労働者の民主的労働組合STUHMのラウル・セレスティーノ・パラレス・カルドサ記録係を再び解雇し、またしても反組合的な方針と結社の自由を侵害する姿勢を示している。

  パラレス・カルドサは2010年4月に不当解雇されたあと、過去4年にわたって抵抗し、11月26日にエルサルト産業回廊のホンダ工場に復職した。その4日後、再び不当解雇されたとカルドサは主張している。

 第2合議制労働裁判所は、カルドサの合法的復職を命令し実施した(事件1160/2010)。しかし12月1日、政府関係管理者のアレハンドロ・サライサ・ルビオは、パラレス・カルドサに会社への立ち入りを禁止し、カルドサが「就業規則に違反」したと述べ、解雇の理由は法的手段によって通知されると付け加えた。

  裁判所は会社側に対し、この組合役員を不当解雇された職務に復帰させなければならないと命じたが、パラレス・カルドサは「4日間、管理事務所に実質的に隔離されていた」と言う。

 ホンダ・メキシコは午前8時20分から午後5時40分までの勤務(通常、「保護対象/管理職」ホワイトカラー労働者の労働時間)も課し、カルドサは管理スタッフ用のバスで通勤、職場の同僚から隔離されていた。昼休みも、供給業者だけに適用される午後2時10分から午後2時40分までに変更された。つまり会社側は、彼が同僚とまったく接触できないようにするために、あらゆる手段を講じたのである。

  ホンダ・メキシコが工場のCTM系「黄色」組合(SETEAMI)と共謀していることは明白だが、それでもなお、同社が「倫理規定」の中で「労働者の権利に関する法律やグローバルな枠組みを尊重する」と述べていることを知っておくと有益である。しかしホンダ・メキシコは、この倫理規定を遵守あるいは実行する願望も意思も持っていないことを改めて証明している。

  インダストリオール・グローバルユニオンとSTUHMは、連邦調停・仲裁委員会の反組合的・差別的な姿勢も非難している。同委員会は会社と共謀して、団体交渉のために労働者を代表したいという組合の申請の処理に、不合理に長い時間をかけている。組合の申請提出から1年以上が過ぎたが、委員会は投票資格のある労働者の登録について同社と合意に至っておらず、投票日も決めていない。

  フェルナンド・ロペス・インダストリオール書記次長は言う。「インダストリオールは、ホンダ・メキシコでの組合選挙を求めるSTUHMの申請を支持し、結社の自由を求めて決起した労働者の不当解雇が続いている状況を強く非難する。ホンダ・メキシコに対し、メキシコの法律を守り、司法プロセスを遅らせる妨害戦術をやめるよう要求する」

 

 

混乱するメキシコの自動車工場で不当解雇

2014-12-05

 メキシコ・コアウイラ州モンクローバにあるフィアット・クライスラー・グループ傘下のテクシッド・イエロで、今年4月16日に組合の民主化をめぐる争議が発生し、不名誉なほど低い賃金・給付に抗議してストが実施された。600人を超える労働者が、CTM組合の追放と全国鉱山労組(SNTMMSRM)の導入を求めた。

  会社側はストを鎮圧するとともに、3人の労働者を解雇し、CTMの暴漢による労働者11人に対する情け容赦のない大規模な攻撃を組織した。しかし、その後SNTMMSRMと協約を締結し、解雇された労働者3人の復職、労働者への利益分配、そして最も重要なことだが、自分で選んだ組合に加入する労働者の権利の尊重を約束した。また、ストに参加した労働者に報復しないことにも同意した。

 ところが、テクシッド・イエロは11月26日、会社側に協約の遵守を要求したという理由で、労働者スポークスウーマンのイメルダ・ヒメネスを含む17人を解雇した。

  同社の主張によると、解雇の理由は生産が終了したことと、労働者が臨時契約で雇われていたことだという。しかし、どちらの組合に団体交渉権があるかを決定する投票の前に、労働者を威嚇しようとしたというのが実態である。

  組合は解雇を批判し、「会社側は労働者を挑発して4月19日のようなストに追い込もうとしている」と言う。

  解雇された労働者たちは次のように語った。「生産はまだ行われており、私たちは常勤契約に対する権利の法的要件をすべて満たしている。同社が私たちを解雇したのは、5月19日、CTMを追放してナポレオン・ゴメス・ウルティア率いるSNTMMSRMを代表組合に選べるようにすることを会社側に要求した際に、私たちが主導したからだ」と。

  会社側は給付・賃金の支給前に労働者を解雇し、解雇手当を受け取らせようとした。拒否すれば、クリスマス休暇に無一文になってしまう。イメルダ・ヒメネスとジョエル・シルバは、会社は嘘をついていると非難し、解雇同意書への署名を拒否して闘い続けることに決めた。理解しておくべき重要なポイントは、解雇同意書に署名しない労働者が、引き続き復職と未払賃金の支払いを求め、どちらの組合が労働者を代表すべきかを決める選挙で投票できることである。

  イメルダは、解雇されて手当の受け取りを拒否したあと、同僚たちの会合を開いた。この会合にはSNTMMSRMの全国代表と組合弁護士のアルサガ氏も参加し、組合による無条件の支援を伝えた。

 「私たちは、これは不当解雇だと主張し、私の復職と未払賃金の支払いを要求している。同僚たちは全面的に支援してくれる。最後まで闘うつもりだ」と彼女は述べた。

  労働者は、12月10日に労働委員会が開かれ、団体交渉のために労働者を代表したいというSNTMMSRMの申請を審理し、投票日を設定する予定であることを知っている。会社側が投票前に威嚇しようとして労働者を解雇したことは明らかだ。

  コアウイラ州モンクローバで組合代表を務めるマヌエル・プリンス・デュランによると、同労組はテクシッドで労働者を支援しており、労働者は自分たちがさらされている搾取と闘うために何かをしてくれる真の組合を求めている。労働者は、鉱山労組が代表権を獲得すれば、救済を求めるプロセス全体を通じて、解雇された労働者を法律面・財政面で支援してくれることを知っている、とデュランは述べた。

 

メキシコのフィアット・クライスラー・グループ傘下の自動車工場テクシッド・イエロ

テクシッドの労働者は団結し、闘争と選挙に勝利する、と同労組は断言した。

  インダストリオール・グローバルユニオンは、不当解雇とテクシッドによる労働者の威嚇を完全に拒絶し、当局が労働者を保護して組合権を守ることを要求している。

 

 

ベラルーシでハンスト労働者に懲役刑の可能性

2014-11-20

ベラルーシのボブルイスク・トラクター工場(BZTDIA)

 不当解雇を世間に知らせるために2日間のハンストを実施したベラルーシの金属労働者4人が現在、罰金あるいは懲役刑を科せられようとしている。

 ボブルイスク・トラクター工場(BZTDiA)に雇用される捨て身の労働者たちは、ハンスト実施中の11月10日に警察に拘留され、無許可の抗議行動で起訴された。

  4人は現在、裁判所への出頭命令を待っているところで、多額の罰金か、場合によっては懲役刑を科せられる可能性もある。

 労働者たちは全員がベラルーシ自由労組(SPB)の組合員で、無許可の抗議による告発に異議を唱え、労働組合員であることを理由に独断的に解雇されたと述べている。

  解雇された労働者は他の組合の同僚から連帯支援を受けており、少なくとも4人が同情からハンストに参加した。

  工場長は11月14日付の会社側の回答で、この解雇は工場の労働者数を最適化するためのもので、SPBの組合員であることとは関係がないと述べた。しかしBZTDiAは、解雇された人々と同じ技能を有する新規労働者の募集広告を出している。

  労働者は先月ベラルーシ大統領に公開書簡を送り、工場の管理に問題があること、工場長が国の短期契約制度を悪用し、組合員であることを理由に高度熟練労働者を解雇していることについて懸念を表明した。政府の対応は、会社側の立場を支持するだけだった。

 国際労働運動は、ベラルーシで短期契約制度が実施され、労働組合活動家の迫害に利用されている状況を厳しく批判している。労働組合は2000年、国際労働機関に提出された結社の自由の侵害に対する苦情の提出に加わった。その後、ILOは定期的にベラルーシの事件を検討し、ILO審査委員会による勧告の実施がまったくと言っていいほど進展していないことに留意している。

  ベラルーシに関する結社の自由委員会の最新報告は、下記のILOウェブサイトで入手可能:

http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/ed_norm/relconf/documents/meetingdocument/wcms_216620.pdf

 

イランの組合について語ろう

2014-11-20

 イランの労働者が権利侵害にさらされ、組合活動が禁じられている国で独立労働組合を結成しようと闘っている現状に関する、このインダストリオール・グローバルユニオンのビデオをご覧いただきたい。

 「インダストリオール・グローバルユニオンにとって現在、労働組合権を擁護・促進するために民主的組織を結成しようとする闘いにおいて、これらの組合を支援することは重要な優先課題であり、義務でもある」とケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。

  イランはガス・石油・製造業部門でMENA地域の重要な国である。しかし、基本的な人権・労働組合権がほとんど尊重されていない。

 

イラン人活動家のジャムシード・アフマディー氏

 インダストリオールは、イラン金属・機械労組(UMMI)と協力しているイラン人活動家のジャムシード・アフマディーと話をしている。ジャムシードは、UMMIの活動に対する国際的認識を高め、グローバルに独立労働組合との絆を築くために支援している。

 「イランでは労働組合が認められていない。イランの労働法は現在、労働組合の結成を禁止・妨害している。イランではイスラム教の労働協議会しか認められていないが、これは労働組合ではない――労働省と使用者、何人かの選ばれた労働者から成る三者構成組織で、政府への忠誠と宗教的なつながりを基礎としている。その結果、これらの協議会はイランの労働者の要求やニーズに対処するには適しておらず、その準備を整えていない」とジャムシードは言う。

  「イランで労働組合員として活動するのは極めて難しい。労働組合活動への関与と引き換えに、組合員は実質的に自由と生活、安全を犠牲にしている」と彼は続ける。

 イランでは日ごろから逮捕や拘留が発生しており、労働者は団結権の支持や独立労働組合機構の結成を理由に頻繁に逮捕されている。自供を強要するために日常的に拷問が利用され、政治犯は治療を受けることができない。

 イランの労働組合権侵害に関するITUC調査を参照:

http://survey.ituc-csi.org/Iran.html?lang=en#tabs-3

 ILO結社の自由委員会は6月、マンスール・オサンルーが主導するバス運転手労組の不法な弾圧に関するITUC/ITFの苦情を支持し、オサンルーは最終的に刑務所から釈放された。労働組合権が厳しく制限され、ストが禁止されている。報告によると、イランの労働者の7割以上が臨時契約で雇用され、雇用保障はない。

 

UAWとVW、承認に向けて一歩前進

2014-11-13

  テネシー州チャタヌーガのフォルクスワーゲン工場を組織化しようと数年前から運動してきたUAW(全米自動車労組)は、労働者の過半数の支持を得た。同社は今、組合との公式対話を開始する。

  フォルクスワーゲンは11月12日、「支持率が45%を超えれば、組合は2週間に1回、VWチャタヌーガの経営委員会と会談できる」という規定を含む新しい方針を発表した。

  全米自動車労組(UAW)とドイツIGメタルは、この前進を歓迎しながらも、より多くのことを望んでいる。ゲーリー・キャスティールUAW書記長・財政部長は次のように述べた。

 「これから行われる最初の対話で、私たちは会社側に、去年の春にドイツでフォルクスワーゲンとUAWが相互に合意した約束を思い出させる。約束の1つは、フォルクスワーゲンがUAWを組合員の代表として承認することだ。私たちは、フォルクスワーゲンは誠実にこの約束をしたと信じており、この約束を尊重すると信じている。さらに、チャタヌーガ工場経営陣に9月の同意書を提出する。この同意書の中で、影響力の大きいフォルクスワーゲン・グローバル・グループ従業員代表委員会は、チャタヌーガ工場を『UAWによって代表される施設』にしたいという願望を述べた」

  デトレフ・ウェッツェルIGメタル会長はこう述べた。「VWに対し、UAWが労働者の過半数を代表していることを証明したら、旗幟を鮮明にし、団体交渉パートナーとしてUAWを受け入れるよう求める」

  水曜日にVWが発表した方針は完璧なものではない。というのも、複数の組合が労働者を代表し、同社の交渉パートナーを務める可能性を残しているからだ。この工場には小規模な黄色労働組合が存在する。

 UAW第42支部は、チャタヌーガのVW工場で労働者を組織化して代表するために7月に設立され、キャンペーンの間中、IGメタルとVWグローバル従業員代表委員会、インダストリオール・グローバルユニオンによって支援された。

 チャタヌーガ工場はVW施設として世界で唯一、労働者代表を実現していない。マイク・キャントレル会長とスティーブ・コクラン副会長による新たに選出された指導部のもとで、第42支部はVWグローバル従業員代表委員会に加わる。これまで同工場は、労使が会社の方針を設定するために定期的に会合を開く、この世界規模の機関に代表を送っていない唯一の工場だった。

 十分な資金のある反組合的な圧力団体が外部から影響を及ぼせば、チャタヌーガのVWで自由かつ公正な職場選挙を実施することはできない。そういうわけでUAWは、職場における発言権と労使関係機構によって労働者に力を与えるために、異なる組織化戦略に従っている。

  フォルクスワーゲンは、UAWと協力して国際労働基準を尊重するために、アメリカ南部で反組合的な政治家などの圧力に対抗するうえで、自動車産業の模範を示している。UAWは、アラバマ州のメルセデス・ベンツとミシシッピ州の日産でも、厳しい環境の中で労働者を組織化するために運動している。

 

ロシアの金属労働者が組合つぶしに直面

2014-11-13

組合つぶしで非難されているロシア系パイプライン部品メーカーのOAOターボデタル

 ロシア系パイプライン部品メーカーのOAOターボデタルは、チェリャビンスクの生産工場で賃金・労働条件の改善をめぐって交渉しようとしている組合活動家を排除している。

  インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の鉱山・冶金労組に加入しているターボデタル労働者は、同工場における組合つぶしをやめさせるために、11月22日にチェリャビンスク市で抗議行動を計画している。

 同労組は1年以上前から、複数の職務に就く低賃金労働者の問題や生活費の上昇をめぐって、ターボデタル経営陣との交渉を試みてきた。実りのない協議に疲れた労働者たちは、10月17日に総会を招集し、複数職務への従事に対する報酬とインフレをカバーするための賃上げを要求した。

  その結果、工場経営陣は組合つぶしに乗り出した。組合委員会によると、工場監督者たちは、労働者に組合脱退を強要する方法について指示を受けている。監督者やチームリーダー自身も、労働者を説得して組合を辞めさせることができなければ、ボーナスを削減あるいは停止すると脅されている。

  この工場には2,000人を超える労働者がおり、かつては約1,100人が組合に加入していた。組合つぶしの結果、約200人の労働者が組合を辞めた。

  同時に、会社側は従業員10人を職場から締め出し、工場への立ち入りを認めず、それによって組合活動に参加できないようにしている。10人全員が総会で組合要求への支持を表明していた。

  鉱山・冶金労組は、すべての労働組合員と組織に対し、会社による干渉を受けながら組合の独立性を求めて闘っているターボデタル労働者を支援するよう訴えている。

 (写真キャプション)

組合つぶしで非難されているロシア系パイプライン部品メーカーのOAOターボデタル

 

 

 

 

リフト/エスカレーター労働者が団結してグローバル行動

2014-11-11

 

ライナー・ウィンマー部会長

 インダストリオール・グローバルユニオンが11月11~12日にウィーンで開いた会合に、「ビッグ4」のリフト/エスカレーター労働者が参加し、この部門の労働条件を改善するために「ウィーン宣言」を採択した。ネットワーク活動を強化するために、世界13カ国から36人の労働組合代表が集まった。

  「ビッグ4」、すなわちオーティス、コネ、シンドラー、ティッセンクルップの全社が参加した。労働者代表、欧州従業員代表委員会メンバー、労働組合代表が、この産業の現状だけでなく、安全衛生や適正な労働条件の必要性についても協議した。会合の終わりに、参加者は全会一致で「ウィーン宣言」を採択した。

 リフト/エスカレーター労働者は宣言の中で以下を要求している。

 ●仕事量の増大と仕事関連のストレスへの対策

●同一労働同一条件の原則に基づく不安定な労働条件との共闘と並行した、下請契約の効果的な緩和あるいは(少なくとも)規制

●従業員の監視やGPSによる追跡の中止

●この産業で働く従業員のために安全で健康的な労働環境を確保する、労働安全衛生に関する共同イニシアティブ

●リフト/エスカレーターの下請けや維持管理を規制するための(範囲、内容、頻度に関する)拘束力のある規則・基準

 しかし、オーストリアのインダストリオール加盟組織ProGe会長でもあるライナー・ウィンマー部会長は、次のように述べた。「私たちはただ文句を言っているだけではない。この部門で労働条件を改善し、持続可能な産業職場を実現するために、使用者と社会的対話を行う用意もある。常用労働者であれ下請労働者であれ、リフト/エスカレーター従業員のディーセント・ワークを求めて努力している。今日の会合で、この部門のニーズにも応えるウィーン宣言が採択されたことを誇りに思う」

 代議員たちは議論するだけでなく、わざわざ時間を取って、数週間前からロックアウトされているオーストラリア・ビクトリア州のオーティス労働者にも連帯メッセージを送った。

  EUとアメリカが密室で交渉しているTTIP(自由貿易)協定が引き起こすであろう結果についても討議した。中心となる関心領域は以下のとおりである。

●透明な議論・交渉プロセスの必要性

●ILO中核的条約(特に労働安全衛生に関する条約)の完全な遵守

●自由貿易よりも社会保障を優先しなければならない

●TTIPは国内労働法を弱体化させてはならない

●交渉終了前に労働者団体の意見を聞かなければならない

  このネットワーク会合で行われた多様な議論や関与を踏まえて、インダストリオール内部でこの部門を担当するマティアス・ハートウィッチは次のように語った。

「このグループが単なるリップサービスにとどまらず、労働組合の企業別ネットワークを引き続き強化していくために献身していることが分かってうれしい。参加者は、既存の欧州従業員代表委員会との協力も約束した。連絡担当者の任命によって、ネットワークの稼働に向けてさらに一歩踏み出した。それに加えて、組織化活動とその成功例に関する意見交換も開始した。今後の道のりは長く厳しいが、今私たちは前進している」

 下記サイトで写真を参照:

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造船・船舶解撤世界会議で初の労働組合ネットワーク構築を議論

2014-11-10

インダストリオール造船・船舶解轍部会世界会議に出席した84名の参加者(長崎)

 インダストリオール・グローバルユニオン傘下の造船・船舶解撤労組は、2014~2016年の行動計画を採択し、部門初の労働組合ネットワーク創設に合意した。

 2014年11月10~11日に長崎でインダストリオール・グローバルユニオン造船・船舶解撤世界会議が開催された。基幹労連の主催で、19カ国・24組合から83人が参加した。オーストラリア、バングラデシュ、ブラジル、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、パキスタン、ロシア、シンガポール、台湾、イギリス、アメリカの組合が、以下の議題をめぐり積極的に議論した。

 ●造船・船舶解撤産業の世界的概観

●組織化および不安定雇用との闘い

●将来の船舶解撤産業に向けた雇用と労働安全衛生の確保

●持続可能な産業政策の促進

●労働組合ネットワークの創出と連帯の強化

●将来の活動と行動計画

  会議のハイライトは以下のとおりである。

 世界造船業は2008年の経済危機後に回復し、2013年の新規注文は過去2番目の量に達した。しかしながら、この産業はまだ設備過剰に直面しており、さまざまなデータが将来の深刻な下落傾向を示している。造船業は現在、能力を維持して持続可能な産業を促進するために、オフショア船、環境に優しい製品、先端技術などの新しいビジネスチャンスを模索している。

  しかし船舶解撤産業は、今後25年間にわたって成長し続けるだろう。世界の船舶解撤の70%が集中し、不当な労働条件と不十分な環境保護を特徴とする南アジア(例えばインド、バングラデシュ、パキスタン)では、規則や基準の改善が早急に必要とされている。

  造船業では、過去10年間に不安定労働者が急増している。参加組合は、不安定労働者、特に下請労働者や外国人・移民労働者にどのように接触し、組織化された正規労働者と同じ団体交渉協約の枠内で基本的権利を保護していくかについて、具体的な方法を共有した。

  南アジアの船舶解撤場で働くほとんどの労働者は、適切な訓練も個人用保護具もなく、安全衛生面で非常に大きな脅威にさらされている(労働災害、油やアスベストなどの有毒物質、PCBなど)。毎年、何百人もの船舶解撤労働者が業務災害で命を落としている。参加組合は、船舶解撤労組を引き続き支援し、未組織労働者に接触して労働安全衛生を促進することを約束した。

 参加者は、すべての主要な造船・船舶解撤・海運国に、船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約の批准の促進を要求する決議を採択した。この条約が実施されれば、安全衛生や環境への不要な危険を避けるために役立つだろう。

  造船における持続可能な産業政策の促進は、雇用を維持するための基本戦略である。参加組合は、政府・使用者に持続可能な産業政策を要求することにより、オフショア船や環境に優しい製品などの高付加価値造船に移行することについて、見解や慣行を共有した。

  この会議では、グローバル・レベルで多国籍企業に対する組合の交渉力を高めるために、労働組合ネットワークにも焦点を合わせた。

  BAEシステムズの組合オルグは、この部門初となる労働組合ネットワークの立ち上げに合意した。インダストリオールは、多国籍企業や商業・海運部門、地域・国などの全レベルで、造船・船舶解撤部門のネットワークを増やしていく(2016年までに2つか3つ)。

 さらに、この会議ではインダストリオールの2016年までの目標と基本戦略に基づいて、2015~2016年の部門アクション・プランも採択した。

  韓国ロールスロイス・マリンで不当解雇された労働者と連帯する決議も採択し、解雇された労働者の即時復職を要求するとともに、経営陣が労働者との交渉の席に戻って公正かつ公平な結果を達成することを求めた。

 各産業部会の部会長は男女各1名が共同で務めるというインダストリオールの新方針に沿って、新しい共同部会長が選出された。基幹労連/JCMの工藤智司氏とシンガポールSMEEUのアイリーン・ヨー・チョー・ジェク氏である。インドSMEFIのV・V・ラネー氏も、船舶解撤労組を代表して副部会長に選出された。

 次のアクション・グループ会議は2015年秋にバングラデシュの船舶解撤場の近くで開催することも確認した。

  新たに選出された工藤智司共同部会長は、会議を締めくくって次のように述べた。

 「私たちの優先課題は、この部門で労働者の生活を守り、持続可能な雇用を促進することだ。確かに多くの課題が待ち受けているが、一緒に知恵を絞り、連帯行動を強化することによって、行動計画の達成に向けて前進しよう」

 会議参加者は11月12日、日本有数の造船所である三菱重工業長崎造船所を訪問して支部組合と会談、造船所の労使関係や組合活動について活発に討議した。

 

 

ベラルーシで捨て身の労働者がハンストを発表

2014-11-06

 ボブルイスク・トラクター工場(BZTDiA)で解雇された4人の労働者が、独断的な解雇から1週間後の11月5日、公正な扱いを求めて捨て身で2日間のハンストを発表した。

  これまでにベラルーシ自由労組(SPB)の活動家が少なくとも9人、解雇された。9人全員が高度な技能を有し、ベラルーシの従業員の大部分と同様に、長年にわたって工場で働いていながら短期契約で雇用されていた。彼らが犯した唯一の過ちは、あえて独立労働組合に加入したことである。

  解雇された労働者の何人かは、工場長から解雇について正式に説明を受け、労働者数の最適化が解雇の理由だと言われた。しかし同じころ、BZTDiAは地元紙に、解雇された労働者と同様または同一の技能を持つ労働者を募集する広告を出した。

  工場経営陣の偽善的行為を受けて、労働者は公正な扱いを求めて可能な限りのあらゆる手段を用いざるを得なくなり、2週間前にはアレクサンドル・ルカシェンコ大統領にも公開書簡を送った。この書簡で労働者は組合差別を強調しているが、工場が困難な状況に陥ったのは経営側の差別的な態度の結果だとも述べている。組合に加入する高度熟練労働者は脅迫や解雇にさらされ、結局、解雇された同僚のレベルに達するまでに何年も必要とする未熟練労働者が代わりに雇用されている。

 捨て身の労働者のうち4人は、書簡が真面目に取り上げられず、自分たちを解雇した工場長の郵便受けに届けられそうだと分かると、2日間のハンストを決定した。労働組合は可能な限り支援しようとしている。

  ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は次のように述べた。「スト中の労働者に連帯支援を提供する。ベラルーシの短期契約制度は、労働者と民主主義に悪影響を及ぼすだけでなく、企業の経済的安定を損ない、その結果、国の経済全体に損害を与えている」

 

チュニジアで持続可能な産業政策にとっての課題に対応

2014-11-04

 チュニジアの労働組合は2010年のアラブの春以降、安定性を維持して近隣諸国で発生した暴力を避けるために、政府・政党と協力している。だが、組合は政策立案において大きな役割を果たしておらず、労働法は実施されず、労働者の利益に役立っていない。

  10月30~31日にチュニスで開かれたワークショップで、モロッコとチュニジアのインダストリオール・グローバルユニオン加盟組織は、どうすれば自国の産業政策立案により効果的に影響を及ぼすことができるかについて議論した。フランスとドイツの加盟組織が、産業政策問題をめぐる動員の経験を共有した。

 チュニジアでは労働組合化が進んでいるが、民間部門では今も多くの権利侵害が発生している。組合は絶えず政府・政党に関与しているが、はっきりした持続可能な産業政策がない。チュニジアには多くの多国籍企業が進出しており、雇用が主要関心事である。

  モロッコでは、特に衣料・電子産業の外資系工場に雇用があるが、労働条件が劣悪で、政府の規制も不十分である。ほとんどの企業が環境関連法に違反している。

 参加者は、組合が政府・使用者に関与し、組合員が働いている産業の開発に対する支配力を強める必要があることで合意した。フランスとドイツの組合は、これらの問題に関して組合員とうまく協力している実例を示した。キャンペーンが始まっており、この問題に関する組合員の訓練、議論を通じた組合方針・提案の立案、提案への支援の結集に取り組んでいる。組合の動員や地域社会との協力、代替案の提示によって、脅威にさらされた工場を救うための地方レベルでの活動が、特に成功を収めている。

 ドイツでは、造船産業が破綻したブレーメルハーフェンに、いくつかの洋上風力発電会社が移転し、数千人の熟練雇用が生まれた。今、この発展途上の産業にサービスを提供するための雇用が増えている。フランスでは、ストが500日以上続いたマルセイユ造船所を新しい所有者が買収した。労働者は、造船所の事業は存続可能であり、閉鎖すべきではないと主張していた。現在、3年先まで受注が埋まっている。それ以外の組合行動の例として、ドイツの組合が化学産業の使用者と協力して、エネルギー消費量を減らしつつ生産量を増やしたり、パリで労働者2万人の大規模動員によって、産業の未来に対処する国家三者構成機関を達成したりした例が挙げられる。

 参加者は、労働組合には組合員が働いている産業に関する意思決定に加わる権利がある、と結論づけた。組合が能力を強化し、政府・使用者に関与して産業の今後の方向性に影響を及ぼせるようにすることが、緊急に求められている。そのために組合はまず、労働者が理解できる方法で問題を提示することによって組合員を巻き込み、独自の態度や提案を練り上げる必要があるだろう。組合は目的を達するために政治的に関与する必要があり、市民社会との協力が不可欠である。

 組合の主な要求は、政労使による部門別の社会的対話を行い、産業の今後の方向性を決める議論に組合員が参加できるようにすることである。

 

USWがロックテンとの基本協約を承認

2014-11-03

 インダストリオール・グローバルユニオン加盟組織の全米鉄鋼労組(USW)は、全米のロックテン施設で61地方組合の組合員が、労働者約6,000人の賃金、年金、健康保険、安全衛生その他の条項を定める初の基本経済・保障協約の承認について、大差で票決したことを確認した。

 「USW有数の大規模部門である製紙部門の組合員は、ロックテンと産業全体で協約改善を取り決める効率的・効果的なプロセスの開発において、大きく前進した」とレオ・W・ジェラードUSW国際会長は述べた。

 USWの製紙部門交渉を監督するジョン・ジーネン国際副会長は、ロックテンとの新しい6年協約は労働者とその家族に保障を提供するとして、「この協約はロックテンの労働者に所得の増加と経済的な安心感を与える」とジーネンは語った。「すべての勤労者世帯が、5年間にわたって繁栄が続き、生活水準が毎年向上していくことを予測できるとしたら、経済全体にどれだけ大きな自信を与えることができるか、想像してみてほしい」と述べた。

 アナトリー・スリン・インダストリオール紙パルプ担当部長は、「ロックテンと最初の基本協約を締結する方法を見つけるのが、いかに困難であったかはよく分かる。私たちは、この非常に重要な勝利に関してアメリカの同僚を祝福する」と述べた。