「働く者を軸とする安心社会」の
実現に向け連合の総力を結集
JCの皆様の変わらぬご支援・ご協力を
古賀 伸明 連合会長
第50回定期大会の開催を心よりお慶び申し上げる。また、極めて難しい状況が続く労働運動・組合活動の中で、さまざまな課題解決に向けた皆様方の活動・運動に心から敬意を表する次第である。
昨年12月、連合の目指す社会像として「働く者を軸とする安心社会」を確認し、提唱提起した。それは雇用労働者として働くだけでなく、地域活動、育児、家事労働など、すべての働くことに重要な価値を置き、誰もが公正な労働条件で、多様な働き方で社会に参画していくことである。
加えて、社会的・経済的に自立した個人が支え合いながら、新しい担い手となっていく社会である。そして病気の時、あるいは一生懸命に働いていても仕事や職場を失った時にはきちっと社会が受け止め、次のステージに挑戦できるようなセーフティネットが組み込まれた社会をつくらなければならない。
私たちは働く者の集団として、働くことの尊さを見つめ直す必要がある。働くとは、まず1つには、労働を提供することで対価を得て生活を営んでいくことである。
2つ目に、働くことを通じて社会に参画をすることで、誰かの役に立つということである。
3つ目は、働くことを通じて自分自身を鍛え、高めていく尊さである。
そして4つ目に、日本の極めて重要な特徴として、チームワークのもとでお互いに支え合いながら信頼を醸成し、1つの目標を達成していくことである。これらをより深く掘り下げた「働く者を軸とする安心社会」を実現しなければならない。
3月11日に起きた東日本大震災は、私たちが提唱してきた連帯、絆、分かち合い、支え合いといったことを、日本のみならず世界の人々が考える契機となった。まだ厳しい避難生活を送っている人がたくさんいる中、この半年、被災地へのボランティア派遣を切れ目なく続けてきたことに大きな評価をいただいている。皆様方のご協力に改めて感謝申し上げたい。
「社会(society)」は、ラテン語で仲間や同志を意味する“socius”に由来するといわれている。人間とは組織をつくり、社会をつくって生きる動物である。不幸な局面に直面した時、仲間や同志が手を差しのべなければ阻害され、社会的病理は進行していく。私たちの身の回りはどうか、日本の社会はどうか、私たちは常に頭に置きながら運動をしていく必要がある。
私たちは今、間違いなく成熟社会を生きている。それは低成長であり、人々の欲求や要望が多様化する社会である。そういう時代にあって、いい職場をつくろう、いい企業をつくろうという内向きのみの運動では、まさに合成の誤謬が働いてしまう。
そのためには、いい社会づくりをするための運動に応分の役割と責任を果たしていただきたい。そしていい社会という器をつくることこそが、私たち働く者の幸せ、国民の幸せにつながっていくという認識を皆様方と共有化していきたい。
それぞれの持ち場で大変な困難が多々あると思うが、いい社会を皆様方と一緒につくっていきたいという思いで、私は連合運動を行っていきたいと思っている。IMF-JCの皆様方の変わらぬご支援・ご指導をお願いするとともに、皆様方の益々の発展・ご活躍を心から祈念申し上げる。