連合運動の先駆の役割、牽引役をJCに期待
世界情勢の中で金属産業が置かれた状況について、先程、西原議長から話があったが全く同感である。昨今の米国の財政問題、EU危機などを背景に急激な円高が進行しているが、それに加えて、一方で日本全体の社会経済構造そのものが大きく変わりつつある。日本はこれからも加工貿易立国であり続けると思われるが、同時にグローバル投資立国に変わりつつある一面もある。そのことについても私たちは真剣に議論し、対応を考えなければならない。その観点からもIMF-JCにおいて議論が深まることに期待するところである。
2012年春季生活闘争について
2012年春季生活闘争について、昨日の連合中央委員会において私は以下の点を指摘をした。1点目は、すべての働く人の処遇をどう改善していくかという点である。これは東日本大震災を経て、いっそう喫緊の課題となっている。「世界中が幸せにならなければ、個人の幸せはあり得ない」と、東北岩手の作家宮沢賢治はかつて言った。それから「一部の貧困は全体の繁栄にとって脅威である」というILOフィラデルフィア宣言の言葉とは奇しくも同じことを言っている。アンバランスな成長はまさに世界にとってリスクであり、その観点からすべての働く人の処遇を考えていかなければならない。
それから2点目、低下し続ける賃金水準をどう復元していくか。さまざまな環境変化により低下または歪んだ賃金・処遇体系を是正していかなければならない。それから3点目、連合として、両輪の取り組みのもう一方である政策提言をしっかりとしていくことの重要性を指摘した。どのように日本を再生するか、ディーセントワークとワークライフバランスを実現するか、税と社会保障の一体改革を進めるか、それらはすべてつながっている。こうした幅広い問題に関しても、IMFのインプットを期待している。
とりわけ労働条件の中で賃金は重要な位置づけにあるが、それと同時に労働時間についても深く追求しなければならない。連合としては、ワークライフバランス社会の実現に向けて、ワークシェアリング、賃金シェアリングを長年追求してきたが、ひとたび非常時になると「それどころではない」という風潮がどうしても高まる。雇用は経済成長の波及変数といわれる。確かに経済成長が肝心ではあるが、それと共にディーセントワーク、ワークライフバランスというものを追求していかなければならない。
その中でIMF-JCには働く人による、働く人のための運動において先駆的な役割を担っていただきたい。そして連合全体の運動を牽引していただくことを祈念して、私からの挨拶としたい。