第56回協議委員会・来賓挨拶
「賃上げにこだわる」「底上げにこだわる」闘争展開を
神津里季生 連合事務局長
ご紹介・ご指名をいただきました神津です。先ほどは西原議長から過分の紹介をいただき、会場の皆様からも激励の拍手をいただきました。本当にありがとうございます。選出経過も含めてしっかりと胸に叩き込んで努めていきたいと思っております。
本日は、本来であれば連合代表として古賀会長が出席しご挨拶申し上げるところですが、OECDの会合があり、本日から海外出張をしており、失礼していることをまずご理解いただきたいと思います。金属労協の皆様には、加盟5産別それぞれが連合の中核産別であり、また協議体としても連合の運動を基盤のところでしっかり支えていただいていることに感謝申し上げたいと思います。そして一人ひとりの名前まではご紹介しませんが、連合事務局にそれぞれの産別組織から優秀な人材を派遣いただいていることにも感謝申し上げたいと思います。
連合を代表し、本日の協議委員会にふさわしい事柄として、2つのことを申し述べてご挨拶にしたいと思います。
2014年闘争に臨むにあたっての連合としての思い
1つは、この2014年闘争に臨むにあたっての連合としての思いです。これは西原議長のご挨拶と基本的には一緒ですので、とりわけ私の立場から思いを重ねて申し上げたいと思います。今回のこの連合としての方針、過日連合中央委員会でも確認いただいたわけですが、何といっても「賃上げにこだわる」、そして「底上げにこだわる」、この二言に込めた思いを改めて汲み取っていただきたいと思います。
西原議長のご挨拶でも終盤で触れておられましたが、世の中、マスメディアの報道を含めて、大所について政労使会議での発言を含めて、賃上げに前向きの発言が相次いでいるというのは事実ですが、どこかの報道にありましたが、経団連の経労委報告、報酬全体をどうするかということが賃上げであるとか、つまり一時金も入っているわけです。あるいは定期昇給という言い方ももうやめようではないか。定期賃金改定だったか、それも賃上げではないかといったまとめ方をしているような報道がありました。ぜひ憶測であって欲しいと思うのですが、経労委報告は今回相当苦労しているはずですから、何か苦し紛れにそういったことを実際に言ってこられるかもしれないと思います。申し上げたいのは、ことほど左様に実際の交渉になれば、やはりそれは固定的なコスト負担増になるわけで、賃上げはそれほど簡単なことではないということです。収益が上がって一時金をたくさん出すから、それを多としてくれ、というような交渉におそらくなる場合もでてくると思うのです。ですから、そこのところは今回こそはどういう意味なのかということを、本当に徹底して交渉でしっかり取り組むことがあって初めて結果に結びつくと思います。それはこの場にお集まりの皆様は先刻ご承知のこと、覚悟されての話ではありますが、改めて申し上げたいと思います。そして「底上げ」の部分です。私は3月12日に向かって、世の中、メディアの方々が日に日に注目度を高めていかれるのだと思います。古賀会長もあらゆる場面で言っていますが、トリクルダウン(注)だけでなく、ボトムアップがないと結果には結びつかないということだと思います。まさにこれも西原議長がご挨拶で触れられた通り、非正規を含めた未組織、やはりステップアップということが、非正規といってもいろいろな類型がありますので、あまり括って本当は言えないのですが、それぞれがやりがいを高め、ステップアップがあって初めていきいきした働き方につながるわけです。そして中小企業に働く方々の底上げ、連合としても消費増税に伴い「価格転嫁ホットライン」を開設します。皆で力を合わせて底上げに結びつけていきたいと思います。 (注)トリクルダウン理論:trickle-down theory:「富める者が富めば、貧しい者にも自然に冨が浸透(トリクルダウン)する」という経済理論。
労働者保護ルール改悪の動きに対して
2つ目は、労働者保護ルール改悪の動きについてです。連合として、過日12月5日に5000人規模の集会、デモ行進を行い、久々の規模で連合として開催したわけです。この中にも大勢の方々がこれにお力を頂いたと認識しています。改めて感謝申し上げたいと思います。モグラたたき、あるいはトカゲのしっぽ切りといった状態です。政権交代というのはこういうことなのだと、巨大与党のバックを笠に着て、こんな改悪をして本当にいいのかという話があちこちにあるわけです。そのことを、この2カ月間に私自身、身に染みて感じています。労働者派遣法、派遣労働法の改悪といって差し支えないと思いますが、審議会委員に本当に頑張ってもらっているのですが、極めて困難な状況にあると申し上げざるを得ません。巨大与党の前ですから、世論喚起をますます図っていかなければならないことを強く感じています。もちろん連合としての不退転の決意で立ち向かっていくということも改めて申し上げておきたいと思います。過日の連合の抗議集会は12月5日でしたので、特定秘密保護法案反対という国会をとりまく抗議行動が大々的に行われ、届出を出して開いている私ども連合の集会の方が少しかすんでしまっているところもあって、忸怩たるものがあるのですが、少しタイミングなどもこの種集会については考えていく必要があると痛切に思いました。もちろん特定秘密保護法案についても連合として、今の進め方はとんでもないという談話を出しました。法案は成立しましたが、本当の意味での戦いは、まだこれからだと思っています。
最後に1つ申し上げておきますが、労働者保護法改悪の動きも、特定秘密保護法案の一連の動きも、私は底の部分ではつながっているとみています。何かというと、新自由主義と国家主義のようなところが変につながっているのが奇妙なことであり、この共通項は何かというと、要は、「あなた方、一生懸命働いている皆さん方は、一生懸命働いていればいいのです。あまり四の五の余計なことは言わないでいいのです。お上がしっかりやりますから」と言っているということで、実はこの2つの話は底のところでつながっていると、一連の動きをみて、見ざるを得ないと思っています。やはり「民主主義の危機」だといって過言ではないと思います。やはり働く者、我々こそが声を上げていくことが、今まさに大事なことであると改めて申し上げておきたいと思います。
いずれにしても、連合の中で本当に中核、基盤のところの金属労協の皆様と共に手を携えて頑張っていきたいと思いますし、それぞれ職場で働く皆さん方の幸せ、そこへ向かう各組織の繁栄を祈念し、金属労協協議委員会に臨んでの連合からのご挨拶とさせていただきます。共に頑張りましょう。ありがとうございました。