第52回労働リーダーシップコースを開催、10月30日に閉校
~2年ぶりの開催、17名が受講。感染防止対策を徹底し無事終了~
「時代の求める労働組合の役割」を総合テーマに同志社大学・関西セミナーハウス活動センター協力のもと開催した。昨年は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い延期としたため、2年振りの開催となった。4本の柱にもとづく全人格的な教育をめざし、労働法や労使関係論など実践的な講義から、国内外の労働運動などの歴史的背景を学ぶ講義、職場の人間関係について考えるメンタルヘルスに関する講義など幅広いカリキュラムに加え、坐禅やお茶室体験など日本固有のカルチャーに触れるプログラムも実施した。特別講演「経営と人間」では、労働組合役員と社長と労使両方のトップを経験された日本新薬株式会社代表取締役会長・前川重信氏から、講演を受けた。受講生の多くから「覚悟を決め、退路を断つという強い決意が心に響いた」との感想が寄せられた。労働組合・職場の課題を指導教授や受講生同士で討議を重ねながら解決案を探求するゼミナールについては5つのテーマに分かれ4回にわたり討議を重ね、最後にゼミナールごとにパワーポイントを使って発表を行い、成果を共有しあった。また、金属労協議長・副議長と受講生がテーマごとに分かれて行う特別討論会「金属労協三役と語ろう」を実施した。特別討論会では、「働き方の変化」「組合役員の選出と育成」「ニューノーマルにおける組合活動」など日頃組合で抱えている課題など5つのテーマについて三役と語り合った。
コース運営においては、マスク着用・手指の消毒・食堂での黙食・抗原検査実施・三密の回避・会議室の換気など、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底して行った。また、募集人員も従来の半数とした。第52回コースの受講生は、女性1名を含む17名。その結果、旧西日本コース(現在の労働リーダーシップコース)の修了生は、通算で1,786名となった。旧東日本コース(第1~40回)の939名と合わせて、労働リーダーシップコースの修了生は2,725名となった。
◆開校式
2021年10月14日(木)10時から開校式を行った。篠笛(森田玲・玲月流初代)の奏楽で始まり、式辞として香川孝三校長(神戸大学名誉教授)植木朝子名誉校長(同志社大学学長)が、コースの意義を述べるとともに、受講生を激励した。また主催者代表挨拶として金子金属労協議長が挨拶に立ち、「24時間すべてが学びの場面である。コロナ禍ということで制約も多いが、工夫をしながら十分にコミュニケーションをとっていただきたい。一生の仲間となる17名が集った偶然性、皆さんと出会えた幸運、この場にいられる貴重さなどかみしめながら、研修に励んでいただきたい」と述べた。来賓の厚生労働省・鈴木政策統括官には東京からWebでご対応いただき、「労働組合活動が積極的に評価されることが重要だと考える。労働リーダーシップコースに参加される皆さんが、知識を活かし、労働界のけん引役として力を発揮されることを祈念します。」と激励された。次に関西ブロック・嶋本代表が、続いて、石田光男副校長が挨拶に立ち受講生を激励した。最後に受講生を代表して三菱重工グループ労連本社・横浜地区本部執行委員の名久井未麗さんが受講生宣誓を行い、開校式を終了した。
◆講義(4つの柱に基づく全人格的教育)
縦:「自分の立つ歴史的背景を学ぶ」、点:「自分の立っている場について学ぶ」、横:「自分の住む世界の拡がりについて学ぶ」、深:「自。分の生きる基礎について学ぶ」、の4つの柱に基づく計12講義を受講した。
◆特別プログラム
金属労協議長・副議長と受講生が5つのテーマに分かれて討議を行う「特別討論会~三役と語ろう~」や、企業経営者の方からご自身の経験を通じた経営論や人生観など語っていただく特別講演「経営と人間」、京都ならではのプログラム「お茶室体験」など講義以外の特別プログラムも実施した。
◆ゼミナール
5つのテーマに分かれて計4回にわたって議論を重ね、最後に発表を行った。各ゼミナールのテーマは以下のとおり。
香川ゼミ 『労働組合と国際』~21世紀国際社会における労働組合の役割
石田ゼミ 『労働組合と職場』~働き方と雇用
中田ゼミ 『労働組合と社会』~仕事と処遇 納得性のある給与水準
上田ゼミ 『労働組合と企業』~職場と会社にとっての労働組合の存在意義
寺井ゼミ 『労働組合と働き方』~ワーク・ライフ・バランスの実現
◆実行委員会
各ゼミナールから班長を各1名互選し、計5名で実行委員会を編成、実行委員会の中から1名級長を互選する。コースは受講生の主体的な運営を基本とし、実行委員会がその中心となる。第52回コースの実行委員は下記のとおり。
級長:下久保亮(JFEスチール京浜労組、香川ゼミ班長)
副級長:片瀬雅也(パナソニックアプライアンス労組エアコン・コールドチェーン支部、石田ゼミ班長)三樹俊介(オムロン労組、中田ゼミ班長)、稲葉允(シャープ労組、上田ゼミ班長)、田中翔(ダイハツ労組、寺井ゼミ班長)
◆閉校式
2021年10月30日(土)朝から出発(たびだち)の集いを行い、受講生一人ひとり、感想を述べ合った。その後、閉校式を行った。式辞として香川孝三校長(神戸大学名誉教授)が「皆さんにはこの2週間、すばらしい能力を発揮していただいた。これから、労働運動だけでなく社会を支える活動でもその能力を発揮していただきたい。今後の活躍に期待している。」と激励し、17名全員に修了証書を授与した。主催者代表挨拶として浅沼弘一金属労協事務局長から「コロナ禍での開催だったが、無事終了できたこと、感謝申し上げる。この期間、様々な角度から見つめなおしができたのではないか。ここで議論したこと、学んだことをこれからの人生に活かしていただきたい。」と述べた。その後、ゼミナール担当講師の石田副校長(同志社大学名誉教授)、中田運営委員(同志社大学大学院教授)、寺井運営委員(同志社大学准教授)が修了生を激励した。受講生代表としての答辞では、第52回級長のJFEスチール京浜労組・下久保亮労働・組織副部長が研修期間中の思い出を語るとともに、「ここで出会った17名の仲間と強く結んだ一生モノの絆を大切に、明日からそれぞれの立場で自分が何をすべきかを考え、実行し、労働運動の創造に汗を流す決意です。」と今後の決意を表明、「卒業の歌」を全員で合唱し、閉校式を終えた。