次代を担う労組リーダー41名の精鋭が修了
42回までの修了生は累計1,423名に
伝統の第42回労働リーダーシップコースが、2011年 の初頭1月12日から、京都・関西セミナーハウスで、北は栃木、南は熊本から総勢41名の次代を担うユニオンリーダーが受講し、「時代の求める労働組合の 役割」をメインテーマに掲げ、4つの柱に基づく多彩な講義を受けると共に、5つのゼミナールに分かれて、ものづくり職場における組合の課題についての討議など合宿形式で研鑽に励んだ。1月29日(土)に無事閉校し、41名全員に平田校長から修了証が授与された。42回までの修了生は累計1,423名に達した。
第1週の特徴は、全てに新しきスタートということだ。13日からいよいよ正式の講義の始まり。朝は、ラジオ体操からスタート。まずは昨晩選出された横田芳治級長からの「みんなで力を合わせて2週間半元気一杯乗り切ろう」との挨拶で出発。朝の体操係の熊崎さんの指揮でラジオ体操開始、朝の散歩のコースは、修学院離宮脇の砂防ダムまで、全員で最初の記念撮影もとった。続いて、英会話の1回目、グループ分けは決まっているので、あとはどの先生に当たるか、運命の赤い毛糸を使って先生を選び、第1回がスタート。みんなで英語での自己紹介から始まった。つづいて、当コースの最重要プログラムと言えるゼミナールの1回目、まずは大会議室に全員集まり、ゼミ担当の講師が前に5人座り、各ゼミ講師の自己紹介とゼミの狙いと進め方について説明があった。平田ゼミ「労働組合と人間」(担当講師:平田哲校長)、香川ゼミ「労働組合と世界」(担当講師:香川孝三副校長)、石田ゼミ「労働組合と職場」(石田光男運営委員)、中田ゼミ「労働組合と社会」(中田喜文運営委員)、冨田ゼミ「労働組合と働き方」(冨田安信運営委員)の5つから成っている。それから、各ゼミに分かれて、12時半まで1回目のゼミがスタート。まずは、各自の自己紹介と職場や組合での課題の紹介から始まった。
昼休みには、各ゼミ交代でお茶室体験もスタート。トップバッターは何でも一番を目指している香川ゼミから、あまりにみんな和気藹々で笑顔が耐えないので、お茶の講師の松本先生も、昨日から始まったばかりなのにみんな仲が良いのにびっくりしていた。
4つの柱に基づいた講義もスタート。トップは、鈴木勝利金属労協顧問による「戦後の労働運動と労使関係の変遷」を皮切りに第1週では、「戦後世界経済を振り返る」(猪木武徳国際日本文化研究センター所長)、「組合戦略づくり」(神田良明学教授)、「労働経済論」(中田喜文同志社大教授)。
13日夜には、「ファンタジーグループ」(日高正宏神戸女学院大教授)があり、前半は、先生の指導による全員での仲間づくり、グループづくりの行動学習で、みんなで身体を動かしながら癒され、リラックスできた。後半は、グループに分かれて、話をしないで、フィンガーペインティングの技法を使って、グループで心理的交流を深め合いながら、一つの作品を仕上げる実習を体験した。14日午後の「組合戦略づくり」では、労働組合の戦略づくりのノウハウを学び、実践事例としてグループディスカッションを通して戦略づくりの体験学習をした。
第2週は雪で始まった。17日は、前夜から降り始めた雪の影響で、東海道新幹線が1時間半くらいの遅れが出たのをはじめ、京都駅に着いてからも、比叡山2合目に位置する関西セミナーハウスに登る道が凍結していたりして、タクシーで来たメンバーの中には、途中で降ろされて徒歩で雪の中をハウスに遅れてようやくたどり着いた人もいた。
午前の「労使関係論」(石田光男先生)は何とか、45分遅れで講義を始めることができた。午後の「国際労働運動論」(小島正剛金属労協顧問)からは、何とか時間通りに進めることができた。
そのような雪で交通事情が大変な中、前回第41回労働リーダーシップコースの河野級長が、激励に見えた。午後の小島顧問の講義終了後、受講生みんなに激励の挨拶をした後、第42回コースの横山級長に樽酒を贈り、エールの交換をした。伝統のエールが第41回から42回生に受け継がれた19日の恒例の交流会では、この樽酒を使って鏡開きを行い交流会をスタートした。
第2週では、この他、「地域福祉論」(早川一光総合人間研究所所長)、「労働法」(香川孝三大阪女学院大教授)、「国際協力論」(平田哲AVC代表)、「持続可能な地域社会」(植田和弘京大教授)、「労働組合のための財務分析入門」(石井康彦高千穂大准教授)、「日本型コーポレートガバナンスをめざして」(大平浩二明学教授)、「金属労協の運動課題」(若松英幸金属労協事務局長)の講義を受けた。
また、ゼミナールの2回目では、各人の職場・組合での課題とその背景の共有化を更に深めた。ちょうど折り返し点の19日には、午後から、鞍馬山散策に全員で向かった。積雪のため、鞍馬山を越えて貴船側までは行けなかったが、雪の中、ケーブルと徒歩で本堂まで登り、「鞍馬山の自然と歴史」について講話を聴いた。夜には、平田校長、香川副校長、冨田運営委員をはじめ、英会話講師やセミナーハウススタッフも参加して、全員でゲームや各ゼミ対抗の寸劇などで交流を深めた。交流会には、竹中前校長奥様をはじめ、各ゼミ担当講師、セミナーハウス、金属労協から賞品を出して、受講生の健闘を讃えた。
翌20日の夜は、討論会を行った。討論テーマは、討論会実行委員会で検討した結果、①「ワークライフバランス」(座長:大木)、②「労働組合の存在価値」(座長:鍋田)、③「メンタルヘルス安全・衛生」(座長:坂下)、④「組合役員の働き方」(座長:青木)、⑤「広報・教宣」(座長:今川) 各ゼミから選ばれた討論会実行委員が、自分の担当するテーマについて説明した後、興味を持ったテーマ毎のテーブルに座り、座長の司会のもと、自由闊達縫なディスカッションを行った。
2週目最後の22日(土)午前に、恒例の特別講演「経営と人間」を行い、今回は段ボールメーカーで有名なレンゴー(株)の大坪清社長を講師に迎え、懇談的にご自身の経営哲学、経営理念を中心に講演を受けた。
第3週の特徴は、いよいよ最終週となり、夜の講座は設置しておらず、晩は、各ゼミで自主的に、28日のゼミまとめを目指して、個人レポート、ゼミレポートの作成に遅くまで熱心に取り組んでいたことだ。
講義は、「日本経済論」(篠原総一同志社大教授)、「男女共同参画の職場と社会づくり」(三輪敦子世界人権問題研究センター)、「哲学」(シュペネマン・クラウス同志社大名誉教授)、「深層心理学」(樋口和彦同志社大名誉教授)、「日本変革の時代と労組」(中條毅同志社大名誉教授)、「統計学」(浦坂純子同志社大准教授)、そして最終講義が「現代科学技術の課題」(政池明京大名誉教授)であった。
ゼミナールは25日午前のゼミ④では、各自の職場・組合での課題の解決案の発表とまとめを行い担当講師からのアドバイスを受けて、28日全体発表に向けての準備に取りかかった。そして28日には、午前中各ゼミ毎に個人レポートを発表しあった後、午前11時半から、香川ゼミを皮切りに、午後から石田ゼミ、中田ゼミ、冨田ゼミ、そして平田ゼミの順番でゼミ発表を行い、各ゼミで研究・討議した成果を全員で分かち合った。終了後、夜には、京都市内のガンコ寿司参上苑でコースの打ち上げ懇親会をゼミ講師、若松事務局長をはじめ、英会話講師も参加して開催、2週間半の全員の健闘を称え合い、交流を深めあった。
1月29日(土)朝、前夜の雪も止み、快晴のもと、8時45分から大会議室での出発(たびだち)の集いでは全員がロの字スタイルに座り、横田級長を皮切りに全員がこのコースに参加しての感想を述べあった。
続いて、10時半から滑川次長の司会で閉校式を行った。冒頭、平田哲校長が式辞に立ち、「皆さんは国内的にも、世界的にも危機的な問題が起きている中で研鑽を積んだ。困難な状況であるほど、何か新しいことを学ばなくてはならない。今回のコースで得た成果をこの閉塞状況の突破に活かしてほしい。この期間に築いた人と人との和、心と心の交流の絆を大切にいかなる困難も乗り越えていってほしい」と激励した。この後、41名の受講生一人ひとりに平田校長から修了証を授与した。第42回コースを終えて総計1423が当コースを修了した。
続いて、主催者を代表して若松英幸金属労協事務局長が挨拶に立ち、「運営委員の先生方の情熱と、セミナーハウスとJC事務局のチームワークにより42年間という長きにわたりこのコースを継続できた。修了生の皆さんが、『俺がやらなきゃ誰がやる』との気持ちで、もう一度、我々自身がものづくり産業を中心にこの日本を変えていくんだとの心意気で活躍してほしい」と激励した。中條毅運営委員長からは、「戦後の大きな変化の中で、ヨーロッパではEUの結成、北米ではNAFTA(北米自由貿易協定)の締結、アジアでは中国の急激な台頭する中で、日本自身も大きな変革を迫られている。諸君たちはこのコースで歴史的なことも含めて日本の社会・経済の変革のビジョンについていろいろ考えたことと思う。それを携えて職場・組合に戻り、日本変革の原動力になってほしい」と期待した。香川孝三副校長からは「閉校式とは英語でConmencement Ceremonyと言って、『新たな出発』」という意味がある。ここで築いた絆を暖めつつ、ここで学んだことを、これからの活動に活かして、大きな人間に成長してほしい。皆さんの旅立ちを祝福して言葉を贈りたい。Good luck for your journey!」と挨拶した。冨田安信運営委員は「職場に帰られてからも、ワークにも充実して、ライフにも充実して、相乗効果を発揮して、皆様の活躍を期待しています」と挨拶した。中田喜文運営委員は、「これからの日本の経済の根幹であるものづくり産業は大変な次代を迎える。そういう中で組合リーダーである皆さんの責任と役割は大きい。皆さんの職場のために組合員のために今後も頑張って下さい。技術者を含めて皆さんのものづくりの現場の力、チームワークがますます重要である。その原動力としての活躍を祈っています」と挨拶した。
続いて、今回コースの級長を務めた横田芳治さん(ヤマハ発動機労組)が受講生を代表して、運営委員の先生を初め、関西セミナーハウス、JC事務局への感謝の気持ちと、同じ釜の飯を食べ合った41名の仲間達との友情と連帯を今後とも大切にしながら、このコースの成果をそれぞれの職場・組合で活かしていくことを誓った答辞を述べた。最後に、全員で「卒業の歌」を合唱して閉校式を終了した。
この後、全員で中庭で記念撮影を取った後、アゴラホールで打ち上げを行った。席上、第42回受講生から、会場となった関西セミナーハウスに感謝の気持ちをこめて記念品が贈呈された。