「生産性運動三原則」の実践を図り、
「人への投資」の拡充と社会的相場形成に向けて、
金属労協5産別が集まり、意思結集を図る
金属労協(JCM)は、2019年1月22日午後、電機連合会館において、加盟産別・単組等から約180名出席のもと、2019年闘争推進集会を開催した。冒頭、髙倉明議長の挨拶の後、「米中貿易戦争と日本」と題して、細川昌彦・中部大学特任教授の講演、「2019年闘争に臨む金属労協の主張」として浅井政策企画局主査の報告をそれぞれ行った。続いて、加盟5産別の書記長・事務局長をパネリストに、浅沼事務局長のコーディネーターの下、パネルディスカッション「2019闘争に向けた各産別の取り組み」を行い、2019年闘争の情勢や各産別の特徴的な取り組みを中心に認識を深めた。最後に、髙倉議長の発声により、参加者全員で加盟5産別が結束を強化し闘争勝利に向けた「ガンバロー」三唱を行い、閉会した。
★議長挨拶要旨(髙倉明議長)
<はじめに>
金属労協は、昨年12月5日に開催した第61回協議委員会において、「生産性運動三原則」の実践による「人への投資」の拡充と社会的相場形成を実現すべく、JC共闘全体で、定期昇給など賃金構造維持分を確保した上で、「3,000円以上」の賃上げ要求を行うことをはじめとする2019年闘争方針を決定した。現在は、5産別が順次、中央委員会を開催し、今次闘争に向けた方針を決定している。
米中新冷戦やイギリスのEU離脱などによって、世界経済の減速懸念が増しており、トランプ政権の米国第一主義の政策とも相まって、不確実性はより高まっている。激変の時代においては、激変に耐えうる「強固な日本経済」の構築が不可欠である。金属労協は、「強固な日本経済」は「強固な金属産業」から、「強固な金属産業」は「強固な現場」から、「強固な現場」は働く者の生活の安心・安定から生まれる、と主張しているが、「人への投資」の拡充によって、第4次産業革命を担う「現場力」を強化するとともに、個人消費が経済をリードし、底支えする経済体質を構築していくことが不可欠である。
<経団連「経労委報告」について>
経団連は、本日、「経労委報告」を発表し、今次労使交渉に臨む経営側の姿勢を明らかにする予定である。報道等によれば、経労委報告では、従来同様、ベアは選択肢の一つと位置付け、一時金や労働時間、両立支援など、多様な方法で従業員の処遇改善に取り組む方針を示すようだ。しかしながら、基本賃金が生産性向上の成果配分の性格を持つのに対して、一時金は短期的な業績反映の要素が強い。諸手当や福利厚生なども「人への投資」の構成要素ではあるが、働く者への成果配分としての性格は同じとはいえない。消費者物価上昇率が1%程度で推移する中で実質賃金が維持できなければ、生活水準が低下するだけでなく、労働の価値への評価が低下するということでもある。
<労働組合側の対応について>
JC共闘ではこれまで、大手と中小の賃金格差是正、非正規労働者などの賃金底上げに強力に取り組み、その結果、2017年、2018年と中小の賃上げ額が全体として大手を上回る成果を上げてきた。しかしながら一方、賃上げ獲得組合の比率は、金属労協全体で7割程度、中小労組では6割程度にとどまっており、すべての組合での賃上げ獲得がきわめて重要な課題となっている。近年の取り組みにもかかわらず、賃金水準の規模間格差の縮小が見られないことから、上げ幅のみならず賃金水準での社会的相場形成に注力する必要がある。
2019年闘争では、従来の取り組みに加えて、JC共闘内における賃金水準の位置づけを各組合が確認できるデータの整備をめざして、金属労協の全組合を対象に、「35歳・技能職賃金水準の実態調査(2018年度)」を取りまとめた。各組合は、この調査に基づく実態や、各産別の示す指標、目標水準等を踏まえ、日本の基幹産業にふさわしい賃金水準確立の実現と賃金の底上げ・格差是正に取り組んでいただきたい。
未組織労働者を含めた金属産業全体の賃金の底上げには、特定最低賃金が重要な役割を果たしている。特定最低賃金の取り組みは、春季生活闘争における「企業内最低賃金協定」の締結拡大と水準の引き上げがスタートとなる。未組織労働者や非正規労働者を含めた産業全体の賃金の底上げ・格差是正を図るため、企業内最低賃金協定の水準をしっかり引き上げていくことが重要である。
「働き方の見直し」も今闘争の重要テーマである。働き方の見直しは、現場を熟知した労使が、職場の課題や働く者のニーズを踏まえて取り組むことが有効である。単に法律に対応するのではなく、法を上回る対応によって、長時間労働の是正をはじめとする働き方の見直しを推進すべきである。働き方の見直しが、働きがいにつながり、ワーク・ライフ・バランスの実現によって、生活の豊かさを実感するものとなるよう取り組む必要がある。
<結び>
今次闘争においては、「強固な日本経済」は「強固な金属産業」から、「強固な金属産業」は「強固な現場」から、そして「強固な現場」は、働く者の生活の安心・安定から生まれる、との想いをベースに置きながら、5産別の強固な共闘の下で、闘争を推進していく。
★講演「米中貿易戦争と日本」(細川昌彦・中部大学特任教授)
日米物品貿易協定(TAG)におけるアメリカの対応と日本の留意点、米中貿易戦争と日本企業への影響と留意点、等について、ご講演をいただいた。
★報告「2019年闘争に臨む金属労協の主張」(浅井政策企画局主査)
浅井茂利政策企画局主査より、金属労協が取りまとめた「2019年闘争 交渉参考資料」に基づいて、①「生産性運動三原則」に立ち返った公正な成果配分、②生産性と人件費の国際比較、③賃上げの消費拡大効果、④中小企業における賃上げ、等について、労働側の主張のポイントを説明した。
★パネル討論「2019年闘争に向けた各産別の取り組み」
(パネリスト:5産別書記長・事務局長)
つづいて、浅沼金属労協事務局長によるコーディネートの下、5産別書記長・事務局長をパネリストに「2019年闘争に向けた各産別の取り組み」と題してパネルディスカッションを行った。パネリストからは、各産別の産業動向と闘争方針の概要を説明した後、2019年闘争における特徴的な取り組みを紹介し、相互の理解を深めた。
→2019年金属労協各産別の要求内容(原案)
各産別パネリストからの主な発言内容は以下の通り。
★2019年闘争勝利に向けて、全員でガンバローを三唱
最後に、2019年闘争勝利に向けて、相乗効果を高め、全体で格差是正をさらに進めていくことを誓い、髙倉金属労協議長の発声で、全員で「ガンバロー」三唱して、闘争推進集会を終了した。