2014年闘争推進集会開く
JC共闘の旗の下、最後まで責任ある交渉を貫き
何としても要求を勝ちとろう!!
5産別書記長・事務局長によるパネル討論等で各産別の要求・取り組みの理解深める
金属労協(JCM)は、2014年1月28日午後、パシフィコ横浜で、加盟産別・単組から約190名出席のもと、2014年闘争推進集会を開催した。
★議長挨拶(西原金属労協議長)
冒頭、西原議長は挨拶で、「金属労協は、JC共闘全体で、賃金構造維持分を確保した上で、1%以上の賃上げに取り組むこととした。現在、金属労協加盟の全ての産別が、JC方針に沿い、足並みを揃え月例賃金の引き上げに取り組む体制が確立されつつある」「2014年闘争の意義を踏まえれば、生活安定の基礎となり消費喚起を促す、そして非正規・未組織労働者の生活改善への波及効果の高い、月例賃金の引き上げこそが焦点となる」「2014年闘争の意義を踏まえたわれわれの要求の実現は、労使自治を基盤とする、あくまでもわれわれ自身の交渉力にかかっている。JC共闘の強化により、金属ものづくり産業に働く者の付託に応え、職場を全面的に巻き込む交渉体制を確立し、何としても結果を出さなければならない。その思いと決意をJC共闘の旗のもとにある全ての産別・労組が共有し、最後まで責任ある交渉を貫き、何としても要求を勝ち取ろう」等と述べた。→西原議長挨拶詳細
★講演「2014年闘争を取りまく情勢と課題」(市川正樹大和総研主席研究員)
続いて、市川正樹大和総研調査本部主席研究員から「2014年闘争を取りまく情勢と課題」と題する講演を受けた。講演では、「デフレの原因は、所得の減少。社会保険料の低迷も、生産年齢人口の減少ではなく、1人あたり賃金の減少によるもの。日本全体で見れば、貯蓄の減少は高齢化ではなく賃金の減少等の影響。一方、企業は貯蓄超過になっている。安倍政権への期待から円高・株高になった。企業は増益となり資金的余裕もある。経済成長を規定するのは人的資本と物的資本と技術。日本の労働組合は人的資本の力を遺憾なく発揮させるのに重要な役割を果たしている」等の説明を受けた。
★報告「2014年闘争に臨む金属労協の主張」(浅井政策企画局次長)
次いで、金属労協の浅井政策企画局次長より「2014年闘争に臨む金属労協の主張」と題して、①賃上げと消費拡大、②グローバルな事業展開とものづくり産業における雇用、賃金・処遇制度、③生産性向上と人件費、④企業収益と人件費、⑤人件費の国際比較、⑥非正規労働者の賃金・労働条件、正社員との均等・均衡待遇、の各論点について、今次闘争における経営側の主張に対する金属労協の考え方を報告した。
★パネル討論「2014年闘争に向けた各産別の取り組み」(パネラー:5産別書記長・事務局長)
つづいて、若松金属労協事務局長によるコーディネートの下、5産別書記長・事務局長をパネラーに「2014年闘争に向けた各産別の取り組み」と題してパネルディスカッションを行った。パネラーからは、各産別の産業動向と闘争方針の概要を説明した後、2014年闘争における特徴的な取り組みを紹介し、相互の理解を深めた。パネラーからの主な発言内容は以下の通り。
【自動車総連 郡司典好 事務局長】
◎2014年は、「全員で、月例賃金で、底上げ」を図るため、各組合が主体的に要求を設定する。「車体・部品」「販売」「輸送」の各部門では1%以上の賃金改善分を要求する。交渉・協議する単組が重要であり、現在、各単組が要求に関する最終的な結論を出しつつある。
◎ 四輪車の国内販売台数は、リーマン前の水準に戻っている。生産台数は、5年連続で1,000万台を割り込む見込み。一方、海外生産台数は、過去最高を更新している。企業収益は、メーカー、車体部品とも、増収増益傾向。◎自動車総連では、メーカー組合が賃上げ要求をしない場合でも、各職場の声、各社の状況を見ながら、全体の半数の組合が賃金改善分を要求してきた。2013年は、約半数の 組合が要求し、2割程度の組合が獲得している。
【電機連合 浅沼弘一 書記長】
◎ 電機産業の国内生産高は、ほぼ前年同期並みで推移している。業種では、電子部品・デバイスは前年同期比1割増、電気機械機器は前年実績を上回るに至らず、情報通信機械は前年実績割れ、情報サービス産業はほぼ前年同期並みとなっている。為替、構造改革の効果で、2013年度の業績見通しは、電機産業全体として概ね回復が見込まれている。
◎ 業績のバラツキがある中で統一闘争として取り組む。業績は、一時金に反映するべきものである。賃金は社会性があり、価値の毀損を防ぐ意味でも統一的に取り組むべき。個人消費の活性化のためには、月例賃金でなければならない。産別の力量が試されるとともに、歴史的転換となる闘争であると考えている。
◎企業内最低賃金協定は、月額3,000円の引き上げを要求する。労働組合の社会的責任を果たすため、電機産業に働くすべての労働者の労働条件底上げを果たしたい。
【JAM 宮本礼一 書記長】
◎ 地方の産業集積地は、メーカーが回復しないと全体が回復しない。リーマンショックから5年経つが、未だに賃金カット、一時帰休を実施しているところもある。しかしながら、中小企業の働く労働者の月例賃金の引き上げなしに、デフレ脱却、景気回復は、なしえない。今年の春闘は、2015年、2016年も見据えた潮目となる春闘である。厳しい環境下の春闘になるが、しっかりベア要求に取り組む。
◎賃金構造維持分は、4,500円。過年度物価上昇分と生活改善分を勘案して4,500円の賃上げ要求とした。賃金の是正が必要な場合は、加えて1,500円要求する。賃金が下がっ た分を回復することも重要な取り組みである。JAMでは1999年9月に結成して以降、平均で7,500円程度、賃金が低下している。5年で戻すには、年に1,500円ずつ要求し なければならない。1,700の交渉単位のうち、賃金制度があるのは600程度に過ぎず、賃金データすら入手できない組合もある。実態を把握できれば、賃金を引き上げること はできる。
【基幹労連 工藤智司 事務局長】
◎ 鉄鋼業は、回復傾向となっているが、世界的に供給過剰となっており、競争が激化している。業績は各社揃って大幅な収益改善となった。しかしながら、電炉については、電力料金引き上げの影響で厳しい状況となっている。総合重工は、全体として増収増益となっている。造船は大幅な船腹過剰が継続し、船価も低位にある。航空機は、民間向けの増加傾向が確かなものとなっている。非鉄は、増収微増益となっている。
◎2014年闘争では、産別一体となって2年分の賃金改善要求を行う。要求額は、2014年度3,500円、2014年度3,500円とした。春闘だけでなく、運動全体を2年サイクルで 行っている。物価を上げていこうという局面であり、継続的に賃金改善をすることでデフレを脱却することができる。そのため2年に分けて要求する。2014年は、連合・金属 労協が1%以上の賃上げ方針を示したことなどから、3,500円の要求とした。2015年は、産業動向を考えれば厳しさがあるが、持続的な賃上げが必要との観点から、消費税を 除く物価上昇の見通しが1.4%であること、GDPの見通しが1.5%であること、2014年を超える理由がないことから、3,500円とした。
【全電線 市川雅朗 書記長代行】
◎ 電線産業は概ね改善傾向となっている。2013年度上期の銅電線出荷量は、前年同期並みとなった。建設・電販部門では増加したが、他の部門は、光シフト、電力会社の設備投資抑制で減少となった。2013年度の総出荷銅量の見通しは前年度比1.9%増、光製品出荷量の見通しは前年度比マイナス14.6%と予測されている。
◎2014年闘争は、35歳標準労働者賃金で1%以上を要求する。物価上昇や生産性向上分、賃金の社会性を踏まえ、デフレ脱却と消費拡大のための要求とする。業績は主軸製品の 違いでバラツキがあるが、全電線全体でまとまって要求したい。同一労働同一賃金、企業間格差是正の観点から、個別賃金方式で要求する。
【金属労協 若松英幸 事務局長】
◎組合員の雇用の安定と生活の維持向上は、われわれ労働組合に課された最大の使命である。失われた20年、われわれはデフレ経済と超円高の下、厳しいグローバル競争を闘ってきた。大きな課題であった円高是正が進んでいる今、人への投資として月例賃金の引き上げを図り、デフレ脱却と景気回復を確実なものにする必要がある。今次交渉を、日本経済の成長への転換点として捉え、3月12日の回答指定日に向けて、不退転の決意で戦い抜くことを決意する。
★2014年闘争推進集会決議を採択
つづいて、「2014年闘争推進集会決議」を冨田珠代常任幹事が読み上げ、満場一致の拍手で採択し、今次闘争における要求の重みを認識し、200万組合員が一丸となって要求を実現すべく、不退転の決意をもって交渉に臨んでいくことを確認した。→2014年闘争推進集会決議
最後に、西原議長の音頭で、全員で「ガンバロー三唱」を行い、闘争推進集会を終了した。