重要なお知らせ

第56回定期大会開催報告(2017年9月5日)

2017年09月06日

金属労協第56回定期大会ひらく

2018年度活動方針を審議・決定

役員の一部改選行い、髙倉新議長らを新たに選出

金属労協(JCM)は、2017年9月5日(火)午後1時30分から午後5時30分まで東京都江東区の東京国際交流館プラザ平成で、第56回定期大会を開催した。大会では、報告事項と して、一般経過報告、闘争経過報告、2017年度会計決算報告および会計監査報告を確認した後、審議事項として、第1号議案として2017-2018年度運動方針を補強する「2018年度活動方針の件」、第2号議案「2017年度一般会計剰余金処分の件」、第3号議案「2018年度会計予算の件」、第4号議案「規程一部改訂の件」、第5号議案「役員一部改選の件」と、5つの議案につ いて審議・決定した。役員の一部改選では、髙倉議長(新任)・浅沼事務局長を軸とする2018年度役員を承認し、新年度をスタートした。

司会の藤冨事務局次長

 大会では、司会の藤冨事務局次長の開会の辞の後、資格審査委員の選出を確認した。小池資格審査委員長(自動車総連)から、午後1時30分現在の出席者数について、構成5産別から代議員282名、役員25名、傍聴32名が出席していることが報告され、大会成立要件である代議員定数284名の3分の2以上である189名を超えており、大会が成立していることが宣言された。出席代議員数282名のうち、女性代議員が93名を占め、出席代議員の女性比率は、33.3%となり、出席代議員の3割以上という目標を達成したことも合わせて報告された。

大会議長団(左から山中議長、志波議長)

この後、議長団選出に移り、山中しのぶ代議員(電機連合)と志波正隆代議員(全電線)の両人が大会議長団に選出された。前半を担当する山中大会議長が冒頭挨拶した後、議事運営委員と書記について確認した。

 1.議長挨拶、来賓挨拶

 ■  議長挨拶:相原康伸 金属労協議長

相原金属労協議長

 冒頭、金属労協を代表して相原康伸議長が挨拶に立ち、①最近の経済情勢、②春闘をはじめとする労働条件の改善について、③政策・制度要求、産業政策、④国際労働運動、⑤長期財政基盤確立、などについて所信を述べた。(→相原議長挨拶(詳細)

 来賓挨拶では、連合の神津里季生会長、インダストリオール国内加盟組織であるインダストリオールJAFの島田尚信副議長、そして、インダストリオール本部の松﨑寛造船・船舶解轍/ICT・電機電子部門担当部長から、激励の挨拶をいただいた。

   来賓挨拶1:神津里季生 連合会長(要旨)

神津連合会長

 2017年春季生活闘争において、中小の賃上げ率が大手を上回るという「底上げ春闘」としての成果を引き出すことができたのも、金属労協の構成組織におけるそれぞれの労使交渉の場において主張が実った成果であることを強調したい。これは60年を越える春闘の歴史の中において、足元に物価上昇のない中で成果を引き出したという初めての傾向である。これをどのように持続・発展させていくのかが問われていると思う。

 労働基準法の改正に伴う問題については、連合として、金属労協からも委員が参加している労働政策審議会において、すでに国会に提出されている改正法案をどうするのかという戦いをしているところである。残念ながら、連合の意向が通る展望は持ちえない状況であるが、議論が国会の場に移った後は民進党としっかり連携し、正すべきは正すという流れにつなげていきたいと考えている。

 今般、民進党代表に選出された前原氏は、かねてより慶應大学の井手英策教授の“All for All”の考え方を正面から取り込んだ政策を発信しており、民進党の尊厳ある生活保障総合調査会でも議論が重ねられている。この政策をわかりやすく国民に提示するとともに、党が一体となって、ほころびを見せることなく、民進党は、片やもう一方の選択肢であるということを国民に強くアピールしていく必要がある。

 いずれにしても、ここしばらくの間は、我が国の政治の行方を決する重要な期間となる。金属労協をはじめ連合に集う私たち働く者の生活、とりわけ将来の世代にわたってどういう日本になるのかを決める重要な段階にあるといえる。このことを改めて申し上げ、本日の大会をまた一つのバネにして、金属労協が更なる発展を遂げられることをご祈念申し上げたい。

■ 来賓挨拶2:島田尚信インダストリオール・グローバルユニオン日本加盟組織協議会副議長(要旨)

島田インダストリオール
日本協議会副議長

 2012年に金属、化学エネルギー、繊維の3つのGUFが統合され、インダストリオールが結成されてから今年で5年が経過した。2016年10月にはブラジル・リオデジャネイロにおいてインダストリオール第2回世界大会を開催し、新執行部が選出された。結成時の基礎固めの活動から、さらに国際的な組織強化の活動へと発展させる段階に入っている。

 2016年12月に発足したインダストリオール日本加盟組織協議会(JLC)の主な活動は、インダストリオール本部からの連帯活動要請の対応、本部通達文書およびウェブニュースの翻訳、国際会議への参加の調整等である。国際連帯活動としては、例えば、バングラデシュ政府に組合活動への弾圧に対する抗議文を送付したり、韓国政府に対して韓国民主労組委員長の釈放を求める文書を送付したりしている。国内では、アスベスト(クリストタイル)をロッテルダム条約の規制対象にするよう外務省に申し入れるといった活動をしてきた。

 インダストリオールは、シンガポールとニューデリーにアジア地域事務所を設置しているが、JLCがこのアジア地域事務所およびアジア加盟組織を牽引し、いかにインダストリオールの活動の中でアジアの声を反映させていくかが重要である。また、アジアにおけるインダストリオールの活動について、JLCが中心となってアジアの仲間と協議し、具体的な活動に反映させるかが重要になってきている。これまで相原議長がインダストリオールのアジア太平洋地域の共同議長として主導的役割を果たされてきたことに、心から感謝を申し上げたい。

 貿易政策については、米国の保護主義政策が強まることが懸念されるため、日本としての意見反映が重要になってくる。国際活動を推進していくためには、国内の組織が強固でなければならない。インダストリオールにおいてさらに主導的役割を果たせるよう、まずは金属労協に集う産別組織が一層組織を強化・発展されることをご祈念申し上げたい。

■ 海外来賓挨拶1:松﨑寛インダストリオール・グローバルユニオン本部造船・船舶解撤、ICT・電機電子部門担当部長(要旨)

松﨑インダストリオール
担当部長

 インダストリオールは結成以来一貫して、5つの戦略目標を掲げ、日本をはじめとする加盟組合の連帯活動のおかげで成果を挙げることができた。この場をお借りして、少し報告したい

 一つ目は、「労働者の権利の擁護」。世界では5割以上の国で労働者に労働法が適用されていない等の現状があり、労働者への威嚇や労働組合への弾圧も益々激しくなっている。こうような状況の中で、世界最大の国際産別組織としてのスケールメリットを活かし、実際にカンボジアとバングラデシュで投獄されていた労働組合員の釈放に繋げることができている。
 二つ目は、「強力な組合の構築」。様々な組合構築プロジェクトを実施し、私が担当している船舶解撤部門では、インド、バングラデシュ、パキスタンにおいて過去4年間で1万5千人以上の組織化を達成。また、女性活動にも注力しているが、JCMの女性参画の取り組みは世界のお手本にもなっている。更なる継続的な取り組みをお願いしたい。
 三つ目は、「グローバル資本への対抗」。これは主に多国籍企業における労働基本権の確保と労働組合として国際的な交渉力の向上を意味している。これまでに多国籍企業約50社とグローバル枠組協定を締結し、いくつかの協定ではサプライチェーンを含めた基本的な労働基本権の促進保護に役立っている。
 四つ目は、「不安定労働の根絶」。私は、東京へ来る前にインド、ネパール、パキスタンへ組合活動の調査に行ってきた。パキスタンの船舶解撤の現場では、人間が人間扱いされていないひどい状況であった。やはり、人間が人間らしく職場で働くことをサポートできるのは労働組合活動、そして国際連帯以外にないと日々感じている。
 五つ目は、「持続可能な産業政策」。地球温暖化対策、クリーンエネルギーへの移行にあたって旧来のエネルギー関連労働者が取り残されないような「公正な移行」についても、国際社会に訴えかけている。

 昨年の第2回世界大会で掲げられたスローガンは、我々の運動の成果を着実につなげていくための未来への戦いを意味する「未来への闘い(Fighting Forward)」である。インダストリオールは5年目を迎え、これまでの成功事例に基づき、時代に対応した運動を本格化させる第二期に突入していく。今後ともインダストリオールの中核組織としてJCMのご支援・ご協力をお願いしたい。

2.報告事項を確認

 次に、柴山亜沙美議事運営委員長(基幹労連)からこの後の議事日程について提案があり、これを確認した。

一般経過報告をする
市川事務局次長

労働リーダーシップコース報告を行う涌井第48回コース級長

闘争経過報告を行う
井上事務局次長

2017年度会計監査報告をする藤原会計監査

 報告事項として最初に、「一般経過報告」を市川佳子事務局次長(組織総務局長)から報告、確認した。また、一般経過報告の2として、「労働リーダーシップコースの活動報告」について、昨年10月に開校された第48回労働リーダーシップコースで級長を務められた涌井貴宏自動車総連・全本田中央執行委員から、パワーポイントでの写真等も交えながら、コースを受講しての経験に基づく報告を受けた。これは、労働リーダーシップコースに未参加の組合向けにPRを兼ねて行ったものである。本年10月12日から28日まで京都で開催する第49回コースでは昨年に引き続き「オープンカレッジ」も企画されており、その案内パンフも配布された。

 続いて、2017年春季生活闘争の「評価と課題」を内容とする「闘争経過報告」について、井上昌弘事務局次長から報告、確認した。

 引き続き、「2017年度会計決算報告」(市川事務局次長報告)、2017年度会計監査報告(藤原真之会計監査)について報告、満場の拍手で確認した。

3.審議事項

■第1号議案「2018年度活動方針の件」

運動方針案を提案する
浅沼事務局長

 審議事項に入り、第1号議案として、2017-18年度運動方針を補強する「2018年度活動方針」について、パワーポイントを使いながら、浅沼弘一金属労協事務局長が提案した。(→金属労協2018年度活動方針

 加盟5産別から原案賛成の立場で意見・要望が述べられ、それらに対し浅沼事務局長が本部答弁を行った。(→産別からの意見・要望と本部答弁(要約)

 この後、代議員の満場一致の拍手で「2018年度活動方針」を決定した。

 

第2号議案「2017年度一般会計剰余金処分」、第3号議案「2018年度会計予算」

 つづいて、第2号議案「2017年度一般会計剰余金処分」、第3号議案「2018年度会計予算」について、市川事務局次長から提案を行い、満場一致の拍手で承認した。

第4号議案「規程一部改訂の件」

 つづいて、第4号議案「規程一部改訂の件」については、職員の勤務規程の休職期間に関する一部改訂について、市川事務局長から提案を行い、満場一致の拍手で承認した。

 ■第5号議案「役員一部改選の件」

選出された新任役員の皆様

 最後に、第5号議案「役員の一部改選」について、郡司典好役員選考委員長から役員選考委員会での経過説明と提案があり、中間大会ではあるが構成産別の役員交代に伴い、議長、副議長2名、事務局次長1名、常任幹事4名、会計監査1名、計10名の役員改選について提案、満場一致で承認した。議長については相原康伸議長(自動車総連会長)が自動車総連定期大会(9月7-8日)で退任予定であり、その後任として髙倉 明副会長が自動車総連会長に就任予定であり、金属労協議長に就任した。新任役員10名

新任役員を代表して
挨拶をする髙倉新議長

を代表して、髙倉 明新議長が挨拶に立ち、「我々を取り巻く環境にいかなる変化があろうとも金属労協、金属産業、ものづくり産業の健全な発展とそこに働く者の幸せ、この二つのことを一体的に実現していくべく頑張ってまいりたい。我々役員一同は、金属労協に集う仲間の幸せのために、現実を直視し、理想を常に掲げながら思いと志をひとつにして精一杯頑張ってまいりますので、皆様の温かいそして力強いご支援・ご協力を心からお願い申し上げます。」と決意と抱負を述べた。(→2018年度役員名簿一覧 )

 最後に、今大会をもって退任される9名の方々に、髙倉新議長から表彰状が授与された。退任された役員氏名は以下の通り。

 議    長    相原 康伸     自動車総連

退任する役員の皆様

 副  議  長         宮本  礼一     JAM

   〃           工藤  智司     基幹労連

 事務局次長     井上  昌弘      〃

 常任幹事        郡司  典好     自動車総連

退任表彰を受ける相原前議長

   〃           冨田  珠代      〃

   〃         吉清  一博       〃

   〃           河野 哲也     JAM

 会計監査        藤原 真之       基幹労連

     

 退任役員9名を代表して、相原議長、宮本副議長、工藤副議長の3名の方から退任挨拶を受けた。最後に9名の退任役員の方々の今後の活躍を祈って、満場の拍手を送った。

 全ての議事を終了し、大会各種役員および書記の解任を行い、後半を担当した志波正隆大会議長(全電線)から議長団降壇の挨拶を行い、司会の藤冨事務局次長が閉会の辞を述べ、大会を閉会した。