2018年最低賃金連絡会議ひらく
2018年度特定(産別)最賃取り組み方針を確認
加盟5産別から最低賃金担当者ら約280名が出席
金属労協(JCM)は、2018年1月24日午後、東京・大田区の「大田区産業プラザPiO」で、加盟5産別の中央・地方の最低賃金担当者ら約280名出席の下、金属労協2018年最低賃金連絡会議を開催し、2018年度特定(産別)最賃取り組み方針などを確認した。
野中労働政策委員長挨拶(要旨)
*地域別最低賃金は、政府が2016年に、年率3%、平均1,000円の方針を掲げて以降、2年続けて、平均で3%引き上げられており、多くの地域では、地域別最低賃金の引き上げ額と同額以上の引き上げを確保するのは困難な状況となっている。地域別最低賃金と逆転した特定最低賃金は、2017年度は全国で23件だったが、今後もこの傾向が続いた場合、さらに逆転する件数が増えていくと考えられる。
*現在、景気の回復と少子・高齢化が相まって、金属産業においても人手不足が経営にも影響を及ぼしかねない状況となっている一方、金属産業は、グローバル経済の下で熾烈な国際競争を繰り広げていることによる賃金の下押し圧力がある。特定最低賃金は、労使が締結した企業内最低賃金協定を基礎として、企業の枠を超え、広く産業全体の賃金の底上げ・格差是正に役割を果たしている。労使交渉の手段を持たない中小・零細企業、非正規労働者などを含めた同じ産業で働く者にとって、同一価値労働同一賃金を基本とした均等・均衡待遇を実現する観点からも、特定最低賃金の重要性がますます高まっている。
*まずは、春季生活闘争で、企業内最低賃金協定の締結拡大と水準引き上げにしっかり取り組み、その成果を、特定最低賃金を通じて、未組織労働者・非正規労働者に波及すべく、産別本部・地方組織、連合、金属労協の連携を強化しながら取り組んでいく。
最低賃金を取りまく動向と課題、2018年度特定(産別)最賃取り組み方針の提案と確認
冨田珠代連合総合労働局長からは、「最低賃金をとりまく動向と課題」と題して、連合「2018最低賃金に関する取り組み方針」、目安制度の見直しのポイント、2017年度の最低賃金の決定状況と課題、経団連「経労委報告」における経営側の主張のポイントについて報告をいただいた。
続いて、浅沼事務局長から「2018年度特定(産業別)最低賃金の取り組み方針」を報告し、全体討論を行った。
→ 2018年度特定(産別)最賃取り組み方針
→ 2018年最賃方針
意見・要望
*地域別最低賃金に対する優位性の確保はもとより、必要性審議や金額審議に相当な困難が伴う地域が今後ますます増えていくものと認識している。金属労協では、「今後の特定(産業別)最低賃金の在り方に関する中期的な方向性」の議論が継続的になされており、今後の議論のポイントや日程感をある程度明確にしつつ、スピード感をもって議論を進めることをお願いしたい。
*電機産業は扱う事業・業種が広く、適用業種が変更されることがあり、また、厳しい経営環境を背景に事業所の統合や移転などが行われることもある。申請要件確保が難しいなどの地域に対して、金属労協事務局のみなさまならびに他産別加盟組合のみなさまにご相談やご協力をお願いしたい。
*今後の制度のあり方について、労働者側で事前に議論を進めることや、場合によっては、公益や事務局、使用者側に働きかけていくことが必要ではないか。その場合は、基幹的労働者(適用労働者)の範囲が鍵になるので、その点についても十分議論する必要がある。中央で考え方の議論と整理を進めてもらいたい。
*特定最低賃金を一定程度上回る水準で、企業内最低賃金協定を締結するのが困難な状況。賃金テーブルに影響が生じるケースも出てきている。個別労使による取り組みには限界に近づいている状況にあることも否めず、抜本的な対策が必要である。
*地賃が大きく上昇していく状況の中における「優位性」を確保するための新たなロジックの確立や指標が必要な時期にある。『地域別最低賃金に対して「少なくとも10%以上上回る水準」を確保する』との考え方の10%以上という数字の根拠をより明確にしていく必要もある。
*今後のあり方について引き続き検討していただきたい。また、審議を進めていくうえでは、地域にあった取り組みやすい検討材料を必要に応じてご提示していただきたい。
等の意見が出された。
最後に、中央最低賃金審議会委員の小原氏、野中労働政策委員長より、コメントをいただき、今後とも連携を強化して取り組んでいくことを確認した。