IMFニュースブリーフ

韓国の労働組合活動家がまた悲惨な死を遂げる

韓進重工の労働組合委員長が会社側の抑圧的措置に抗議して自殺した。


韓国:
韓進重工労組のキム・ジュ・イク(Kim Ju-ik)委員長は、6月11日から釜山の同社造船所で高さ40メートルのクレーンの操縦席に座って抗議行動を実施していたが、10月17日に首吊り自殺した。40歳だった。
 争議が始まったのは、昨年、過去最高の売上高を記録した韓進重工(HHI)が「労働者は賃金凍結を受け入れるべきだ」と組合側に話したときだった。その後、同社は組合員650人を解雇し、続いて実施されたストライキを主導したとして6人の組合活動家の逮捕状を発行させた。HHIは、抗議行動への参加を理由に、組合と個人組合員20人を相手取って総額7億4,000万韓国ウォン(63万米ドル)の損害賠償訴訟を起こした。この訴訟が原因で、組合の財産や組合費が仮差し押さえされ、賃金総額(月給、ボーナス、解雇手当、毎月の休暇手当)の半分と財産・資産(組合員のアパートや住居)も暫定的に差し押さえられた。
 キム委員長は会社側の一連の行為と組合との交渉拒否に抗議して、クレーンの一番上で座り込みを開始した。組合は7月22日にストに入り、雇用保障と賃上げ、会社による組合・組合員に対する訴訟とスト参加者に対する懲戒処分との取り下げ、レイオフされた組合員の復職を要求した。だがキム委員長が亡くなる4日前に、会社側は個々の組合員に公式の書簡を送り、ストを中止して職場に復帰しなければ告訴すると言って威嚇した。
 HHI労組が加入している国際金属労連(IMF)加盟組織の韓国金属産業労組連盟(KMWF)は、「韓国におけるこのような使用者による抑圧的措置の停止を求めるため、10月29日に全国集会を実施する」と宣言した。現在、韓国企業44社が、組合活動を理由に組合および組合員を相手取って数百万ドル相当の損害賠償訴訟を起こしている。今年1月には斗山重工の労働組合指導者ペ・ダロ氏が、会社側によるそのような虐待が原因で焼身自殺した。
 キム・ジュ・イク氏は、妻と3人の子どもを残して逝った。遺族は故人の遺志に従って、組合の要求が受け入れられるまで遺体をクレーンから下ろすことを認めないと述べている。

最新情報:10月17日にキム・ジュ・イク氏が亡くなってから、さらに2人の韓国人労働組合活動家が自殺を試みた。10月23日、KMWF加盟組織のセウォン技術労組(Sewon Tech Workers' Union)のリ・ヘー・ナム(Lee Hae-nam)委員長が、同労組に対する会社側の抑圧に抗議して自分の体に火をつけ、「われわれは自分たちの夢と希望を守り、民主的組合を守らなければならない」と書き残した。10月26日には、韓国勤労福祉公団非正規労組(Korea Labour Welfare Corporation Irregular Workers' Union)光州支部のリ・ヨン・ソク(Lee Yong-seok)支部長が集会で体に火をつけ、「非正規労働者を差別するな」と叫んだ。2人とも病院に運ばれたが、非常に危険な状態にある。
[2003年10月20日]