IMFニュースブリーフ

代替的グローバル化をめぐって討議

IMF中央委員会で代替的経済プログラムへ向けての動員が焦点になった。

 

ケープタウン:南アフリカ共和国のケープタウンで開催中の国際金属労連(IMF)中央委員会最終日となる2日目の今日(12月4日)、「代替的経済プログラムへ向けての動員」に関する中心的討論が行われた。
 ヴィットヴァータースラント大学のオマノ・エディゲジ教授が冒頭にプレゼンテーションを行い、IMFが提案する戦略は「改革主義的」であり、十分に広く影響を及ぼすものではなく、「世界経済秩序を大きく変えることはないだろう」と主張した。同教授の態度がきっかけで、グローバル化とそれが労働者に及ぼす悪影響とに異議を唱える経済的代替策を求めて努力する最善の方法をめぐって、3時間に及ぶ討論が繰り広げられた。
 ほとんどの講演者が、労働組合運動は改革主義的であり、そうでなければならないと主張した。同時に取り上げられたもう一つのテーマは、「口先だけでなく実行する」ことの重要性だった。そのためには国内レベルでの組織化・動員が絶対に必要であり、多くの人々が主張したように、労働組合と同じ基本的価値観を持つ政治・社会勢力と提携しなければならない。
 アレク・アーウィン南アフリカ共和国貿易産業大臣は、「最も差し迫った問題を明らかにしたうえで、それらに焦点を当てるべきだ」と主張し、南アフリカの例を挙げた。
 「アパルトヘイトを打倒したあと、南アフリカの主な協議事項はグローバル化ではなく、どうやって国家を創出するかだった。私たちは政府機構の変革、民主主義の樹立、全国民の要求に応えることのできる新しい制度の確立に着手した。全国民が努力することによって、政策面で自分たちのやりたいことをやりたいときに実施する余地が生まれた。私たちは、南アフリカが国際金融機関の政策の犠牲になるリスクを抑えた。そして南アフリカは過去10年間、国際通貨基金に一度も援助を求めていない。変化について論じるだけではなく、本当に変化を起こさなければならない。さもなければ、完全な不活発に陥る危険がある。傍観して分析するのではなく、自分の目で見て理解し、行動を始めることだ」と、アレク・アーウィン大臣は述べた。
 シルムコ・ノンドワング南アフリカ全国金属労組(NUMSA)書記長は、「連帯はグローバル・ユニオンであるIMFにおいて、貧困国・富裕国を問わず世界中の金属労働者を統一する基礎だ」と強調した。代替的グローバル化に関するIMFの戦略案は、南北双方の国々の間で連帯を深めるというIMFの基本的原則を補強し、もう一つの側面を付け加えている。つまり、労働組合を改革し、「労働」組合であると同時に「社会」組合にしなければならない。
 北欧諸国から参加した複数の講演者は、勢力・影響力を勝ち取って労働基準を促進する基礎として、全国的な組織化・団体交渉を強調した。ヨーラン・ヨンソン・スウェーデン金属労組会長は、スウェーデンの労働組合と社会民主党は100年以上にわたって提携しており、労働者とその家族のために成果を上げている、と主張した。
 「さらに、私たちは影響力を行使し、各国政府に世界貿易機関(WTO)や国際労働機関(ILO)で国際的に労働組合の方針を促進させなければならない。そして同様に、私たちはグローバル・ユニオンとも協力している。これらのアプローチの間に不調和はない」と同会長は述べた。
 その他の代議員らは各国の経験を引用し、政府に対するロビー活動がほとんど成果を上げていないことを示す実例を挙げた。全米自動車労組のスティーブ・ベックマン氏は、労働組合による対政府ロビー活動の成果は「不十分」だと述べた。
 IMF討議資料は、多国籍企業への取り組み方に関する戦略を概説している。国際枠組み協約(IFA)の取り決めは、これを実施するための非常に重要な一つの方法であり、複数の講演者がこのアプローチを支持した。ブライアン・フレドリックスIMF書記次長は、IFAは「私たちが抱えるすべての問題に対する答えではなく、手段にすぎない。前進するには、加盟組織がもっと多くの資源を投入し、もっと献身的に取り組まなければならない。国際レベルで組織化・動員できるようにするには、国内レベルで組織化・動員を推し進めなければならない」と強調した。他のグローバル・ユニオンとの提携を強化しなければならない。
 国際自由労連(ICFTU)のガイ・ライダー氏は、企業主導のグローバル化に異議を唱えるうえで、ICFTUがあまり成功を収めていないことを批判的に評価した。同氏は、作業機構の見直しなど、ICFTUの活動方法の抜本的変更について概説した。「そして、これらは単なる表面的な変化ではない」と同氏は請け合った。
 南アフリカ、ジンバブエ、ナミビア、イタリア、フランス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、ロシア、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、アメリカ、インドの代議員をはじめ、16人の講演者が討論に参加した。
中央委員会はIMF本部が今回の討論を考慮に入れて修正した報告書を次回執行委員会に提出するよう決定した。
[2003年12月4日]