ブラジルで奴隷労働禁止協約を締結
ブラジルの主要鉄鋼メーカー各社が歴史的な協約を締結し、強制労働との闘いを約束した。
ブラジル:ブラジルの鉄鋼生産チェーンにおける奴隷のような労働条件に関して社会観測所(Social
Observatory Institute)が実施した調査が先ごろ発表されたことを受けて、ブラジル北部で活動する主要鉄鋼会社15社が、奴隷的な労働を利用するサプライヤーに商業的制限を課すことを正式に取り決めた。
ブラジルにおける奴隷労働との闘いに関する同意書に署名した団体の中には、鉄鋼会社(カラジャス鉄鋼メーカー連合会(Carajas Steel Mill Association、ASICA)に代表される)に加えて、国際金属労連(IMF)に加盟するブラジルの全国金属総連合(CNM/CUT)も含まれていた。「CNM/CUTを代表して、この出来事に立ち会うことができて光栄だった」と、同労組のフェルナンド・ロペス書記長は述べた。
木炭は鉄鉱石と並んで銑鉄の生産に使われる主要原材料の一つであり、銑鉄を利用して主として鉄鋼を生産し、先進国に輸出している。木炭は現地の森林から伐採した木材を炉で燃やして作られる。ブラジルの生産チェーンのこの段階で、伐採・炭焼現場において奴隷的な労働が利用されている。1日の労働時間は最高14時間で、ほとんどの労働者が契約書を交わしておらず、手袋や長靴などの保護具も支給されず、医療や社会保障もない。
国際労働機関(ILO)のスポークスパーソンによれば、ブラジルでは今なお2万5,000人が奴隷のような条件のもとで働いている。情報源によっては、この人数は実に5万人に達している。これらの労働者は国内で最も貧しい町で採用され、人里離れた農村部の現場に連れて行かれる。労働者らは旅費や被服費、食費、住居費を使用者に払わなければならないため、借金から抜け出して立ち去ることができない。これらの農村部の現場のほとんどは出身地から遠く離れているので、旅費のない労働者たちは逃げることができない。武器を持った悪漢も労働者の闘争を防いでいる。
ブラジルでは強制労働は違法であり、政府は強制労働の廃止に関する二つの中核的ILO条約を両方とも批准している。
[2004年8月26日]
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