IMF執行委員会でネオリベラリズムとの闘いが中心的問題に
国際貿易・開発、中国、世界大会準備をはじめとする多くの話題が、先ごろのIMF執行委員会での活発な討論で取り上げられた。
ジュネーブ:2004年12月15〜16日の執行委員会で、2005年の国際金属労連(IMF)の予算と活動プログラムが承認された。この会合では、貿易・開発問題、中国、大会準備、先ごろの米大統領選など、多くの話題をめぐって活発な議論が行われた。
貿易・財政・開発政策に関する特別作業部会からの報告で、労働者の諸権利の促進、政府の政策や国際機関に影響を及ぼすための戦略、グローバル化を統治するための公正なルールの確立といった問題が概説された。ジーン・ジーグラー・ジュネーブ大学社会学教授も、グローバル化、多国籍企業、金融機関の役割について執行委員を前に講演した。「最大手多国籍企業100社が毎年売上高と利益を増やしているが、創出される雇用はどんどん減っている」とジーグラー教授は述べ、ネオリベラル資本主義システムは雇用を創出するのではなく破壊し、国民国家の主権を徐々に弱めている、と主張した。
スウェーデン金属産業労組のヨーラン・ヨーンソン氏が、中国に関する特別作業部会から報告し、IMF加盟組織が現在中国の労働者・労働組合とともに実施している活動に関する情報などを提供した。この報告をもとに、IMFが中国に関してどのような立場をとるべきかについて長時間にわたって討議した。この問題が重要であることについては全員の意見が一致したが、既存の組合と協力するか、それとも独立労働者組織の支援に焦点を当てるかに関して反論が出された。
第31回IMF世界大会も取り上げられ、IMF規約・動議の変更案などについて議論した。変更案はIMF執行委員会によって支持され、大会での審議に委ねられることになった。マルチェロ・マレンタッキIMF書記長が書記局報告を発表し、国際枠組み協約、先ごろの国際自由労連(ICFTU)大会を話題にするとともに、世界中で起こっている最近の出来事について報告し、次期世界社会フォーラムでのIMFの関与に触れた。
この会合では、以下の新任メンバーがIMF執行委員会に迎えられた。
●退任したマックス・ベーリング氏の後任となるケェル・ビヨンダーレン氏(合同産業労組、ノルウェー)
●故K・S・サマントライ氏の後任となるサンジャイ・ワダブカール氏(SMEWFI、インド)
●退任した鈴木勝利氏の後任となる古賀伸明氏(IMF-JC、日本)
ケェル・ビヨンダーレン氏の後任として、エルッキ・ブオレンマー氏がIMF造船部会長に選出された。
またIMFは、執行委員会においてIMF加盟申請を満場一致で支持された次の新規加盟組合も受け入れた。
●フィンランド電機労組。電気設備・エネルギー・通信部門で3万1,203人の現業労働者組合員(うち2,443人が金属部門)を擁する。
●スワジランド合同労組(SATU)。自動車、エンジニアリング、電機、非鉄金属、建設、採掘、水、警備といった部門に3,500人の組合員がいる現業労働者組合。
次のIMF執行委員会は2004年2月22日にジュネーブで開催し、アクション・プログラム草案をはじめとする大会関連事項に焦点を当て予定である。
[2004年12月20日]
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