IMFニュースブリーフ

ジェームズ・ハーディーとの交渉が続く

ジェームズ・ハーディーに対する圧力が強まるなかで、同社がアスベスト犠牲者に対する未払い債務および将来の債務を支払うための資金をどのように調達するかをめぐって交渉が続いている。


オーストラリア:
ジェームズ・ハーディーが設立した補償基金の清算人任命を延期する判決を受けて、ジェームズ・ハーディーとオーストラリア労働組合協議会(ACTU)との間で、同社がアスベスト補償責任を果たすための資金をどうやって調達するかをめぐって交渉が続けられている。
 ジェームズ・ハーディーは2001年、自社アスベスト製品の犠牲となったオーストラリア人に補償金を支払うために、この基金、すなわち医療調査・補償財団(MRCF)を設立した。その後、政府の調査によって、MRCFの資金が少なくとも12億米ドルは不足していることが分かった。MRCFは、残りの資産3,000万米ドルに対して損害賠償請求額が6,000万米ドルに上ったため、清算人の任命を申請した。
 ACTUは法廷で、清算人の任命を延期して2カ月前に始まったジェームズ・ハーディーとの交渉を続行できるよう要求し、これを認められた。清算人の任命は2005年1月31日まで延期された。
 グレッグ・コンベットACTU書記は、交渉の続行を認める判決を歓迎し、次のように述べた。「今やジェームズ・ハーディーは、組合およびアスベスト団体と速やかに一連の協定を結び、オーストラリアのアスベスト関連債務のために長期的に資金を供給する責任を負っている」
 その間、ジェームズ・ハーディーは11月22日に前四半期の利益が9%落ち込んだことを発表し、組合や地方自治体、消費者による製品ボイコットがマーケットシェアに影響を及ぼしていることを初めて認めた。 顧客によるボイコットとジェームズ・ハーディー製品の産業利用禁止も、東京で開かれた世界アスベスト会議の代議員が11月24日、この禁止を支持する決定を下したことで、さらに広がる可能性がある。
 同社は、補償金への資金供給を怠り続け、マーケットシェアが低下したにもかかわらず、不祥事を起こした元最高経営責任者ピーター・マクドナルドに月6万オーストラリア・ドルのコンサルタント料を支払っていることが明るみに出たため、アスベスト犠牲者をさらに怒らせた。 ピーター・マクドナルドはMRCFの資金不足に関する司法調査で激しく批判され、最高7年の実刑判決を受ける可能性がある。
[2004年12月3日]