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労働組合、ノルウェーの年金基金にグルーポ・メヒコ株の売却を要求

IMFとICEM、それにノルウェーの労働組合4団体はノルウェー政府年金基金の倫理委員会に対し、労働・環境侵害の申し立てを理由にメキシコの鉱業コングロマリット、グルーポ・メヒコの株式を売却するよう要求した。

ノルウェー/メキシコ国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)とIMFは昨日(3月15日)、世界第2位の規模を誇るノルウェー政府年金基金の責任ある投資の監督責任を負う倫理委員会に、株式売却を求める書簡を送付した。グルーポ・メヒコは労働権侵害、環境破壊、株主詐欺で非難されている。この書簡は、グルーポ・メヒコの完全所有子会社、サザン・コッパーの株式売却も求めている。

「私たちはメキシコの労働組合員のためにこの行動を支援しており、グルーポ・メヒコによる甚だしい侵害に注意を促すとともに、同基金の非常に高い基準とノルウェーの法律に従って、グルーポ・メヒコを投資対象から外すよう倫理委員会に求めている」とアルブ・バッキ合同産業労組会長は述べた。「グルーポ・メヒコのように組織ぐるみで労働組合を攻撃して環境を破壊する企業に、ノルウェーの次世代の富を投資してはならない」

マンフレッド・ワーダICEM書記長は次のように述べた。「ICEMは60カ国以上の全国鉱山組合を傘下に収めているが、グルーポ・メヒコほど卑劣な行動を取っている企業はどこにもない」

書簡の説明によると、グルーポ・メヒコがメキシコ全国鉱山・金属・関連労組(SNTMMSRM)つぶしをあからさまに画策し、国際労働機関が定義する労働者の団結権・団体交渉権を甚だしく侵害していることが、株式売却要求の中心的な論拠である。

「グルーポ・メヒコの不法行為は、残念ながら腐敗したメキシコ政府によって支持されている。例えば組合資産の没収、合法的な組合を会社が選んだ組合と置き換えようとする試み、組合指導部に対する長期的な弾圧キャンペーンの実施が挙げられる」とユルキ・ライナIMF書記長は述べた。

2007年8月、政府とグルーポ・メヒコは、使用者の前で公開投票させる「選挙」を利用して、8つの鉱山の労働者に会社が後援する組合への加入を強制した。2008年12月以降、1人の組合幹部が保釈なしで投獄されている。グルーポ・メヒコは2人の労働者が非業の死を遂げた別の2つの事件に絡んでいる、という信頼できる主張もある。

一連の攻撃に負けず、SNTMMSRMは引き続き、政府が課す賃金上限の平均2倍の賃上げを全国で取り決めている。同労組の考えによると、これがグルーポ・メヒコによる攻撃の大きな動機である。特筆すべきは、SNTMMSRMがほとんどの使用者と協調的な労使関係を維持し、ゴールドコープやボンバルディア、アルセロール・ミッタルなどの多国籍企業と約70本の労働協約を締結していることである。

グルーポ・メヒコは、2006年の爆発事故で65人の労働者が死亡したパスタ・デ・コンチョス鉱山や、2007年7月から労働者がスト中のカナネア銅山で、安全衛生基準を著しく侵害していることで非難を浴びている。

メキシコのグルーポ・メヒコ製錬事業に関する調査の結果、環境面における同社の恥ずべき行為が明らかになった。一般住民の体内に含まれる鉛、亜鉛、銅、カドミウム、水銀、マグネシウムといった毒性鉱物の濃度が異常に高く、子どもでも高濃度の砒素やカドミウムが確認されたのである。グルーポ・メヒコは、ペルーで水質・大気汚染を是正するために数億ドルの支払いを余儀なくされた。チリでは、現地先住民との協議や環境損害の評価抜きで採掘プロジェクトを推進し、非難されている。

書簡を提出した労働組合が引用している情報源によると、ペルーにおける環境破壊の是正に必要な数億ドルに加えて、グルーポ・メヒコのひどい労働慣行によって株主が被った損害は30億米ドルを超えている。グルーポ・メヒコは2009年にアメリカで、完全所有子会社の株主を欺いたとして有罪判決を受けた。別の子会社は麻薬取引に関連があるとされる。

多国籍企業の倫理的評判を調査するコバレンス倫理情報システムによると、グルーポ・メヒコは2009年にグローバル企業581社中573位にランクされた。

株式売却要求を提出した労働組合と労働連合団体の予想では、倫理委員会は提出された情報を徹底的に調査し、しかるべく株式売却決定を下すだろう。

SNTMMSRMはICEMとIMFの両方に加盟している。書簡に署名したノルウェーの労働組合は、合同産業労組、Handel og Kontor i Norge、Industri EnergiおよびNorsk Arbeidsmandsforbundである。
[2010年3月16日――アニタ・ガードナー]