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カナダ−EU貿易協定で雇用・権利の弱体化を阻止

IMFは加盟組織とともに、カナダ−EU包括的経済・貿易協定の影響の適切な協議・評価を要求した。

カナダ/ヨーロッパIMFはカナダの加盟組織とともに、カナダ−欧州連合包括的経済・貿易協定(CETA)の影響の適切な協議・評価を要求した。

潜在的貿易協定の影響をめぐる懸念が高まる中で、カナダの貿易公正ネットワークは協議の詳細の公表を要求している。同ネットワークは、適切な協議を行い、潜在的自由貿易協定が公共政策、公共サービス、経済、貧困、ジェンダー、文化、人権、環境に及ぼす影響を十分に評価するよう要求し、IMFもこの要求を支持している。

IMF加盟組織であるカナダ自動車労組(CAW)と全米鉄鋼労組(USW)の支援を受けて、貿易協定案に関する開かれたカナダ市民社会宣言は、以下のとおり要求している。

●完全な透明性
●包括的な影響評価
●公共サービスの保護
●社会政策の強化
●政府調達に対する権利
●規制権
●文化的主権の保護
●アメリカおよびメキシコとのNAFTAにあるような投資家の権利の規定禁止
●労働権の完全な保護
●先住権の尊重・保護
●生態学的持続可能性と気候行動


CAWは次のように報告している。「カナダ−EU協定案は、他のあらゆる自由貿易協定と同様に、現在の貿易フローを悪化させて貿易不均衡を広げるだろう。カナダは欧州諸国に対して莫大な貿易赤字を抱えている。2008年、カナダの対EU貿易は輸入が輸出を170億ドル上回った。その大きな原因は、工業製品、特に自動車関連の貿易赤字がなかなか解消しないことだ。実際に、カナダはEUへの自動車輸出1ドルに対し、15.30ドル相当を輸入している! カナダはサービス部門でもそれほど実績を上げておらず、40億ドル(2007年の数字)の貿易赤字を抱えている」

ここ数年、カナダでは賃金の高い製造・加工部門の雇用が55万人分以上失われているため、カナダの組合と市民社会パートナーは貿易赤字について懸念している。官民両部門で全国的にサービス業雇用の質が低下の一途をたどっているため、この傾向はさらに悪化している。

「政府がより総合的なアプローチを採用してダイナミックで競争力のある効果的な産業を確立できるようにするには、近視眼的な自由貿易協定ではなく、前向きの考え方と戦略的な経済介入が有効だ」とCAWは述べている。

関連リンク:
CETA Civil Society Declaration, April 2010 (pdf)


[2010年4月27日――アニタ・ガードナー]