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インドネシアの労働者が社会保障改革を要求

インドネシアの労働者数千人が国会議事堂前でデモを行い、社会保障による保護と健康保険の改善を要求した。

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インドネシアインドネシアの組合連合が組織する社会保障改正委員会(SSRC)主導のもと、数千人の労働者が7月29日にジャカルタの街頭に繰り出し、国会議事堂前で社会保障制度と健康保険の改正を求めてデモを実施した。

デモ参加者は旗やプラカード、横断幕を振りながら気勢をあげ、連帯の歌を歌ったり大型トラックの上で演説したりして、議会で会議中の議員の注意を引きつけようとした。警察と保安要員が目を光らせる中、ジリジリと照りつける太陽の下で、労働者は午前9時に始まったデモを大胆不敵に続行した。

組合側の要求は、国家が管理する企業別の現行社会保障制度の改正である。SSRCはインドネシアの組合運動によって結成され、IMF加盟組織インドネシア金属労連(FSPMI)の会長でもあるサイード・イクバルが委員長を務めている。

イクバルによると、インドネシアの労働組合運動は社会保障制度全体の改正を要求しており、労働者と使用者から集めた資金は国家が管理する会社ではなく信託機関が保有すべきである。Jamsostekと呼ばれる現行制度は、一部の労働者しか対象としていない。労働者は不当に扱われ、退職時にはごくわずかな資金しか残らない。イクバルは、フォーマル・セクターの労働者全員を対象とする年金制度のほうが望ましい、と述べた。さらに、労働運動は国民皆保険も要求している。

イクバルによると、労働者がデモを開始してから今日で3日目である。7月29日午前の抗議で、議会に強い文言の覚書を提出した。

議会の外で労働者がタイヤを燃やし、かがり火をたいたため、保安部隊とデモ参加者との間で乱闘騒ぎが起こった。しかし、FSPMI指導部によるタイムリーな介入が奏功し、デモ参加者が逮捕されることはなかった。

SSRCは以前、社会保障問題をめぐってインドネシア大統領と4人の閣僚を提訴したこともある。この事件では2回、審理が行われたが、姿を見せたのは閣僚だけで、大統領は現れなかった。裁判所は2010年8月2日に審理を再開する予定であり、インドネシア大統領が出廷すると予想される。「これは間違いなく歴史的な出来事になるだろう」とイクバルは述べた。

[2010年7月29日――P・アルナサラム]