シンター・メタル労働者の反組合的な解雇に関する審問が10月に延期
国際人権弁護士がIMF/EMF公判モニターに参加し、審問を傍聴した。裁判官は10月22日まで審理を延期したが、経営側証人の警察による召喚も命令した。組合の対応:「正義の遅延は正義の否定」
トルコ:
ユスキュダール第3労働裁判所は8月4日、IMF加盟組織ビルレシク・メタル・イス加入に対する報復的な解雇の犠牲となったシンター・メタル労働者394人のうち11人の不当解雇に関する審理を、10月22日まで延期した。
この裁判官は8月6日、別のシンター・メタル事件の審理も10月22日に延期した。この不当解雇事件をめぐる残りの審理(8月27日まで続行)も8回目の遅延となる。
シンター・メタル労働者のグループと国際人権弁護士1人、IMFとEMFの代表がモニターとして公判を傍聴し、この審理を取材する主流報道機関向けに簡潔な声明を出した。
何百人という解雇されたシンター・メタル労働者――かなりの切迫感を持って「仕事と食料と労働組合権」を求めている――の復職をめぐる事件は、1年8カ月以上にわたって遅れている。ある労働者は「判決は少なくとも2カ月遅れているが、4カ月あるいは5カ月までは遅れていない」と述べたが(報告によると2009年11月から2010年3月まで、さらに、報告によると2010年3月から2010年8月まで遅延)、この現状は、裁判所は不当解雇事件に「迅速な審理手続きを適用し、2カ月以内に事件を解決する」と定めている2821号労働法第30条と大きく食い違っている。
ビルレシク・メタル・イスのセルチュク・ゲクタス書記長は、シンター・メタル労働者の苦悩を表明して「正義の遅延は正義の否定」と述べ、総連合DISKのシュレイマン・チェレビ会長は裁判所前で「この裁判は茶番劇だ」と語った。
延期の公式的な理由は、これまでの遅延と同様に、会社側が証言を求めた4人の証人がまたしても出廷しなかったことだ。判決を先送りするという裁判官の決定の目的は、表向きは、会社側に企業所有者オルグム・タンバグの娘を含む証人の出廷を確保するチャンスをもう1度与えることである。しかし今回、裁判官は10月22日の審理について、これらの証人の警察による召喚を命令した。
8月に行われた最近の一連の公判で、シンター・メタル労働者を代表する弁護士は2009年2月の主張を繰り返し、「経営側証人の証言を聞くことは、この事件の結果にとってそれほど重要ではない」と述べた。なぜなら、同社は訴訟手続きの初めに裁判所に「被告陳述書」を提出し、「シンター・メタルは利益を増やすために現場の下請業者に仕事を委託した」と主張したからだ。トルコの4857号労働法第2条は企業が主たる生産事業を下請業者に外部委託することを禁じているため、シンター・メタルからそのような被告陳述書を受け取った裁判官は、最初に会社側証人の意見聴取を拒絶すべきだった。というのも、労働の外部委託自体と会社側の主張が、法律に違反する不法行為に基づいているからである。
労働者による組合結成を受けて、シンター・メタルは2008年12月18〜19日に37人の労働者を解雇した。残った378人の生産労働者が引き続き権利を要求すると、シンター・メタルは下請会社9社(いずれもオルグム・タンバグ一族による共同所有)すべてとの契約を打ち切り、2008年12月22日に工場入り口でハンドマイクを通して対象労働者341人に解雇を通知した。シンター・メタルは、工場に残った37人の直接雇用生産労働者の中にまだ労働組合員がいることを知り、その後2009年1月29日、さらに16人の労働者も解雇した。
組合差別、特に迅速な救済手段がない状況下での不当解雇は、組合の存在自体を危険にさらすため、結社の自由の最も重大な侵害の1つである。だが、シンター・メタル労働者の事件は特別なものではなく、報復的な解雇はトルコで労働者の権利の行使を妨げているごく一般的な方法である。
トルコは国際連合と国際労働機関に加盟しており、2010年11月に欧州評議会の議長を務める予定であり、欧州連合加盟を希望している。トルコはILO条約第87号および第98号と、欧州人権条約、特に第6条(公正な審理に対する権利)および第11条(団結権)を批准している。だが、トルコの労働者は権利の実現を目指して闘っている。
イングランドおよびウェールズ独立弁護士会に所属する開業弁護士で国際人権弁護士のサラ・ヘミングウェイとIMF/EMF代表が公判を傍聴した。公判モニタリング報告書は関連国際機関に提出される予定。
[2010年8月13日――チョン・ヘウォン]
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