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タイの国政選挙で労働基準の批准が失速

IMFタイ卑金属ミッションがTNCの組織化について労働者と、ILO条約の批准について労働省当局者と会談した。

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タイIMFは先ごろ卑金属産業の調査ツアーを実施し、アムポーン・ニティシリ労働省局長と会談した。会談の目的は、卑金属部門の労使が直面している最新の問題と政府が果たすことのできる役割を議論することだった。

この会合でIMF代表団は、タイの結社の自由関連法をめぐる懸案事項について概説し、特に歴代タイ政府が結社の自由に関するILO条約第87号および第98号を批准していないことを問題視した。同局長は、「その点では進展があり、新しい法案が議会を通過して上院の承認を待っているところだ。承認されればタイ政府はILO条約を批准できるだろう」と回答した。

しかし総選挙の実施が決まったため、新政権が選出されるまで承認プロセスを進めることができないだろう。「選挙の結果がどうなるにせよ、労働省としては、できるだけ早く批准するよう引き続き要求していく」と同局長は述べた。この会談では、IMF加盟組織TEAMのチャリー・ロイソン会長が、政府に支援を求めて強く働きかけるうえで非常に大きな役割を果たしたことも明らかになった。

アルナサラムIMF地域代表が局長に次のように伝えた。「この地域における労働者の組織化は決して容易ではないため、各国政府が公平性を確保することが非常に重要だ。平等な競争条件があれば、労働運動は真の社会的公正の精神で成功を収めることができる」

参加者はミッションの一環として、連帯センターで開かれた労働組合組織化委員会に出席し、20人以上の地方組合オルグに話をした。

一連の会合で議論したその他の問題は、アルセロール・ミッタルやブルースコープ、タタ・スチールといった大手TNCによるタイへの投資である。タイの製鉄会社SSIが先ごろイギリスのティーサイドに投資したことも新たな展開だった。こうした外資系TNCの多くの労働者は、他国では組織化されているが、タイ国内の組合組織率は依然として低い。

ミッション実施中に参加者は、SSIとタタ・スチールの首脳とも会談し、気候変動、協力強化、持続可能な産業の維持など、共通の関心事について討議した。タイの鉄鋼業は主として建築業界、自動車部門、缶詰製造業、白物家電部門に材料を供給しており、どの部門でも全体的な消費量が増えている。

コミュニティー書記長でもあるマイケル・リーヒーIMF鉄鋼産業部会部会長が会合を総括し、次のように述べた。「積極的なミッションを実施し、政府とのコミュニケーション経路を開くことができた。今回の訪問では業界代表や地方組合指導者とも会談したが、全員が協力する姿勢を見せており、きっと労使双方に利益をもたらすだろう」

[2011年5月5日――ロブ・ジョンストン]