IMFニュース・ブリーフス

労働者の権利拡大が災害抑制の鍵

今年の4月28日、IMFは組合安全代表の権利拡大を要求する。それが職場の安全衛生を促進する最善の手段だからである。

全世界世界中の労働組合が4月28日を労働者記念日とし、職場で命を落とした同僚を追悼している。この日は、安全衛生基準改善の確保への取り組みと、職場で労働者を1人たりとも死なせてはならないという信念を再確認する日でもある。私たちの目的は、毎年死亡する労働者の数を減らすために、行動ベースの安全システムに反対することだ。このシステムは危険を取り除くのではなく、労働者に事故責任を負わせるものである。

私たちが今このようなシステムに強く反対しているのは、優れた労働安全衛生慣行は「すべての労働関連傷病は労働者が危険にさらされることによって発生する」という理解に基づいている、と考えるからだ。したがって職場の安全衛生努力の目標は、すべての危険を確認して取り除くとともに、労働システムを理解して変更することである。

高い安全性は労働者と組合の関与から始まるものであって、些細な事故やニアミスの報告をもみ消すことによって安全を妨害する高価なコンサルタントに基づくシステムから始まるのではない。懲戒重視の方針が悪影響を及ぼし得る実例として、先ごろ北米の鉄鋼工場で発生した事故が挙げられる。3人の労働者が自発的にニアミス事故を報告し、再発防止策を講じるよう提案したところ、3人全員が事故の責任を問われ、5日間の停職処分を受けた。この処分はその後取り消されたが、時すでに遅く、労働者たちは安全努力を怠ったと責められることを恐れて、些細な事故やニアミスを報告したがらなくなってしまった。

厳しい危険確認や職場安全監査、事故原因調査は、時間のかかる困難な作業だ。一方、規則違反だとして労働者を罰するのは簡単である。どちらかを選ぶとしたら、多くの企業が簡単なほうを選ぶだろう。悲しむべきことに、行動ベースのシステムは企業に、安全の代わりに懲戒を導入する権限を与えている。私たち労働組合の考えでは、懲戒によって職場の安全性を高めることはできない。

組織化された職場がより安全な職場であることは、偶然の一致ではない。それは労働組合が変化を促す積極的な力であり、組合員のために労働条件改善を求めて闘っているからだ。職場の危険を確認したり、危険を除去あるいは軽減するためのアイデアを出したりするうえで、実際に仕事をしている労働者以上の適任者はいない。

労働組合が行動ベースのシステムに代わる方策を提示することが重要である。そのための1つの方法は、団体交渉によって従業員権限付与カードを導入し、従業員が自分自身や同僚、下請業者に危険をもたらすと感じる作業活動がある場合に、その作業を直ちに停止する権利を強化することである。このカードは労働者の権利を拡大し、行動ベースのシステムに対する抑止力となる。労働者が改善分野を報告しても無視されて終わる場合が多く、その後死亡事故が発生してから、経営側は最初に問題を解決していた場合の10倍あるいは20倍の支出を強いられる羽目になる。その資金をもっとうまく使って組合職場安全代表の権利を拡大すれば、誤解を招く統計値を発表するのではなく、真の利益を提供することができるだろう。

4月28日に世界中で実施される行動の詳細については下記サイトを参照:
http://www.hazards.org/wmd/countrylistings.htm

[2011年4月27日――ロブ・ジョンストン]