マルチ・スズキ労働者が労働組合権を求めて闘争
マルチ・スズキ労働者が6月4日から座り込みストに入り、労働組合権を要求している。経営側が組合役員を含む労働者11人を解雇し、グルガオン地域で数千人の労働者がスト中の労働者と連帯して立ち上がった。IMFは連帯を表明し、経営側に労働者の民主的な組合加入権を認めるよう要求している。
インド:
6月3日にチャンディガールでマルチ・スズキ・マネサール産業モデル都市(IMT)工場の労働者が、新設されたマルチ・スズキ従業員組合(MSEU)の登録を申請した。労働者が新組合を設立しようとしていることを知った経営側は、労働者を脅して白紙への署名を強制し、その紙には新組合に加入しない旨記入されると言われた。経営側の行動に抗議して、マネサール工場では2011年6月4日から3,000人の労働者が座り込みストに入り、新たに結成されたマルチ・スズキ従業員組合(MSEU)の承認を要求した。経営側は労働者に圧力を加えようと、6月6日、労働者を扇動してストを実施させたとの理由でMSEU役員を含む11人の労働者を解雇した。
マルチ・スズキにはグルガオン工場にマルチ・ウドヨグ労組(MUKU)という企業内組合があり、この組合の選挙は長い間行われていないことに触れておかなければならない。マネサールIMT工場の労働者の意見によると、MUKUは経営側に支配されており、賃金や労働強化、訓練工・契約労働者の正規雇用化といった労働者の問題に取り組んでいない。しかし経営側は、「マネサール工場で独立組合や政党に加盟する組合を結成することは認めない。既存のMUKU組合の傘下に入ることならできる」と主張している。
全インド労働組合会議(AITUC)が、インド労働組合センター(CITU)、インド労働者連盟(HMS)、インド全国労働組合会議(INTUC)、統一労働組合会議(UTUC)をはじめとする他の組合と調整しており、共同行動委員会を設置した。6月10日、グルガオン地域の各工場から2,000人を超える労働者が、マルチ・スズキ工場前での連帯デモに参加した。同じ日にハリヤナ州政府がストを禁止する差し止め命令を出し、この問題を地方労働裁判所に差し戻した。グルガオンの組合は、労働者の利益に反する政府の措置にも臆することなく、それぞれの工場で集会や2時間ストを実施してマルチ・スズキ労働者との連帯を表明する予定である。その後、ハリヤナ州首相から組合側に、ストを延期し、もっと時間をかけて交渉するよう要請があった。これを受けてグルガオンの組合は、差し当たりストを延期した。
しかし経営側は、態度を変えないどころか、独立組合を受け入れるという以前の立場を撤回した。座り込みストは13日目に入っており、労働者を取り巻く状況が厳しさを増している。過去13日間、労働者は服を着替えていない。食料は組合の手配によって外部から支給されている。労働者によると、練り歯磨きや歯ブラシ、石鹸のような必需品の持ち込みさえ認められていない。現在、マルチ・スズキはマネサールMIT工場で約3,500人の労働者を雇用しており、うち900人が正規労働者、1,500人が訓練工、1,100人が契約労働者と見習工である。労働者の給与パッケージは基本給が少なく奨励給や手当が多い構成となっており、これによって経営側は労働者を管理しようとしている。
組合活動家によると、グルガオンの労働者にとって、マルチ・スズキで労働者の民主的権利が保護されれば、グルガオンのみならずインド全国で労働組合権を支持するために大いに役立つ。組合が敗北すれば労働組合運動が大きく後退することになるだろう。
西原浩一郎IMF-JC議長はインドの状況に触れ、次のように述べた。「マルチ・スズキは結社の自由および団結権の保護に関するILO条約第87号を遵守すべきだ。IMF-JCと自動車総連はスズキ労連とともに、この問題の解撤に真摯に取り組むよう日本の同社経営陣に要求する」
2011年6月17日に掲示された最新情報
マルチ・スズキ・マネサール工場の労働者による13日間に及んだ座り込みストは、6月17日未明に成功裏に終結した。労使紛争法第12条(3)に基づき、ハリヤナ州労働大臣、労働長官ならびに労働省高官の立ち会いのもと、労使が合意に達した。提案されている新組合の役員が労働者側を代表した。大まかな合意事項は以下のとおり。
●国内での調査の結果が出るまで、解雇された労働者11人を復職させる。
●スト実施期間については「ノーワーク・ノーペイ」とする。
●ハリヤナ州労働省は、2001年6月3日に労働者が申請した新組合登録の件をしかるべく処理する。
●労使双方は協力し合うことについて合意した。
[2011年6月16日――G・マニカンダン]
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