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労働組合、TPPTAに関するAPEC声明に懸念表明

ハワイで開催中のAPEC首脳会議は、より公正な貿易制度の確立、ディーセントな雇用への投資、社会的保護の強化にいっさい触れなかった。労働組合が特に懸念しているのは、2011年11月12日にAPECサミットで発表された環太平洋パートナーシップ協定(TPPTA)に関する声明である。

アジア太平洋: 国際労働組合総連合(ITUC)は、TPPTA交渉における最近の進展について深い懸念を表明した。

「貿易交渉担当者が、今回はこれまでとは違うということを証明する時間がなくなりかけている。私たちは、上位1%の富裕層を船に乗せ、残りの人々を海に投げ出す貿易協定を支持することはできないし、支持するつもりもない《とシャラン・バロウITUC書記長は述べた。

昨日発表されたプレスリリースで、ITUCは次のように非難している。「TPPTA交渉担当者の発言から、十分に根拠のある労働組合の懸念にほとんど配慮していないことは明らかだ。それどころか、TPPTA枠組み文書は多くの点で、改悪されたとは言わないまでもほとんど変わっていないように見える。実際に、労働に関するパラグラフは、多くの現存FTAで規定され、労働組合の主な要求である実施メカニズムに触れていない。国民の健康を守るためのオーストラリアのタバコ・パッケージ規制に対する現在の攻撃など、企業が規制決定をめぐって政府を訴えることのできるメカニズムが依然として有効である。リークされた知的財産と医薬品に関する文書を見ると、例えば、値段の安いジェネリック医薬品の市場参入を妨げる障壁の設定によって手ごろな価格の薬へのアクセスを制限し、製薬産業の利益増大を狙っているようだ。これは労働者が考えていた「21世紀《の協定ではない。「実際に、これもまた労働者に質の良い雇用を提供することよりも、投資家に新しい大きな機会を提供することを優先する貿易協定であるように思える《。

TPPTAに関与しているアジア太平洋地域の労働組合は2010年発表の共同声明で、「質の良い雇用の創出を促し、労働者の権利と権益を守り、バランスの取れた長期的な経済開発につながり、健全な環境を促進する《均衡ある協定を求めた。

アジア太平洋と南北アメリカのIMF加盟組織は、今年8月にも同様の懸念を表明し、質の高い雇用の創出と基本的労働基準の促進をTPPTAの明確な目標にするよう要求した。

関連リンク:
IMF unions demand fair trade in Trans-Pacific agreement
ITUC/APLN statement to the 2011 APEC economic leaders' meeting (pdf)
Labor declaration 2010 on the negotiation of the TPPTA (pdf)


[2011年11月16日 カーラ・コレッティ]