IMFニュース・ブリーフス

イタリアの金属労働者、手ぬるいヨーロッパの武器輸出管理を非難

イタリアの金属労組FIM-CISLとFIOM-CGILは、武器輸出に関するEUの公式報告には欠陥があり、内容が不完全で発行も遅すぎると指摘した。両組合は、手ぬるいヨーロッパの武器輸出管理を批判する抗議文に署名した武器規制ネットワーク、Rete Italiana per il Disarmoの後援団体である。

photo
ヨーロッパ: 武器貿易反対キャンペーン関係者によると、2010年を対象とするEU出版物『軍事技術・軍装備品の輸出管理に関する第13次年次報告書』は、提供されたデータの信頼性や、実効性ある武器輸出管理へのEUの取り組みに関して、多くの問題を提起している。

このEU報告書は、昨年の最終営業日(2011年12月30日金曜日)に発表されたが、欧州連合理事会、欧州議会いずれのウェブサイトでも取り上げられておらず、官僚的な必要性から作成されているにすぎないことを示している。

世界の2大武器輸出国であるドイツとイギリスを含む8カ国が、引き渡しに関する完全なデータを提供しておらず、EU諸国の武器輸出の実態を綿密に分析できていない。

報告書によると、2010年の武器輸出承認は総額317億ユーロに達し、新興・発展途上諸国向け輸出が155億ユーロに急増した一方で、欧米諸国向けの輸出承認額は減少した。

中東と北部アフリカの抑圧的政権への武器輸出は、過去最高に達した2009年と比べれば減少したが、それでも83億ユーロと依然高い水準にある。

「この報告書が1年の最終営業日に宣伝なしで発表されたという事実は、武器の販売に関してEUが何か隠し事をしていることを物語っている」とイギリス武器貿易反対キャンペーンのケイ・ステアマンは述べた。

「実際に、この数字は、人権や民主主義への取り組みを宣言するのは好きだが、その裏で虐待的で権威主義的な政権に致命的な武器を喜んで売っている国の偽善性を明るみに出している。EU市民は自国政府に、抑圧的な政権への武器販売をやめるよう求めるべきだ」

EUは2012年に兵器輸出政策を見直す予定である。そのような見直しは首尾一貫した包括的な情報に基づいて行わなければならない、とキャンペーン関係者は言う。武器輸出管理に取り組んでいるヨーロッパのNGOは、このEU報告について欧州議会で討議し、その短所の徹底的な分析などを行うよう求めている。

署名者にはRete Italiana per il Disarmoと並んで、武器貿易反対キャンペーン(イギリス)、Campagne tegen Wapenhandel(オランダ)、Justicia i Pau(スペイン)、武器転換・平和研究財団(ドイツ)、Observatoire des armements(フランス)、フィンランド平和連合、スウェーデン平和・仲裁協会、Tavola della Pace(イタリア)、Vredesactie(ベルギー)が名を連ねている。

関連リンク:
Thirteenth Annual Report on Exports Control of Military Technology and Equipment


[2012年1月24日 ライナー・サンティ]