IMFニュース・ブリーフス

リオ・ティントのせいで鉄鋼業の持続可能性が低下

先ごろ開かれたOECD鉄鋼委員会で労働者代表は、リオ・ティントなどの主要サプライヤーが相変わらず労働者の権利を侵害して公の警告を無視している中で、鉄鋼業の持続可能性について懸念を表明した。

フランス: 5月31日から6月1日にかけて 第72回OECD鉄鋼委員会が開かれ、OECD内外から政府・業界代表が出席した。同委員会は33人のメンバーと何人かのオブザーバーで構成され、世界鉄鋼輸出の約76%を占めている。多国間の鉄鋼問題について議論し、政治的解決を見つけることができるユニークな場となっている。

鉄鋼業が直面しているそのような問題の1つは原料へのアクセスであり、OECD鉄鋼委員会の委員長は前回の声明でこの問題の重要性に注目した。委員会が製鋼における原料の問題を強調した結果、政府・業界はこの問題にますます注意するようになっている。IMFも同じ懸念を感じており、 最新の提出物の中で、リオ・ティントなどの主要サプライヤーが悪しき企業市民として活動を続けている中で鉄鋼業の持続可能性に疑問を呈した。

世界の鉄鉱石貿易の約70%が、BHPビリトン、ヴァーレ、リオ・ティントの3社に牛耳られている。鉄鉱石は鉄鋼の主要な原料であり、鉄鋼サプライチェーンの不可欠な部分だ。鉄鋼業はサプライチェーンに対する責任を引き受けなければ、持続可能な産業とも社会的責任のある産業ともみなせないことは間違いない。これらの主要サプライヤーの実績は芳しいものではなく、ヴァーレは世界最悪の企業に贈られる 2012年パブリック・アイ賞を受賞した。

リオ・ティントも企業市民としての評判が悪く、現在ケベック州アルマで労働者を違法にロックアウトしている。リオ・ティントの評判が非常に悪いため、現地の地域グループと組合が協力して同社による120億米ドルの対インド投資をやめさせようとしており、今年の2012年オリンピックからの 追放キャンペーンも展開している。リオ・ティントは、パプアニューギニアやインドネシア、中国をはじめ、世界中の人権・労働権侵害や環境破壊に関する申し立てや報告で取り上げられている。

この会合でIMFは各国政府と政策立案者に対し、鉱業部門の独占を打破するために措置を講じたり、リオ・ティントのような企業を良き企業市民にする政治的解決策を採択したりするよう求めた。措置を講じない限り鉄鋼業は汚されたままであり、選択肢の不足が原因で悪しきサプライヤーに対して行動を起こすことができない、と組合は主張している。

ロブ・ジョンストンIMFエグゼクティブ・ディレクターは次のように述べた。「鉄鋼業はリオ・ティントのような企業に『改善がなければ取り引きしない』と言えるようになるべきだが、供給量が限られているためにそう言えないとしたら、解決策は監督・規制しかない」

関連リンク:
IMF submission for the 72nd session of the OECD Steel Committee (pdf)


[2012年6月5日 ロブ・ジョンストン]