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2004年闘争中央討論集会 鈴木議長挨拶
<要旨>
春闘はこれまで、賃金・一時金を中心とした労働条件の引き上げが中心だった。賃金引き上げを可能としてきたのは、@経済成長(国民生活の向上)、A物価動向(インフレの時代)、B労働市場(低失業率)、C世間相場(経済成長を背景とした規範力、影響力)、D産業動向(日本経済全体が成長)、E欧米のみとの国際競争、という環境であったことによる。
しかし、今日、春闘をとりまく環境は一変し、@日本経済の成長はせいぜい2〜3%の低成長しか期待できないこと、Aデフレを脱却できていないこと、B高失業率、失業期間の長期化、60歳以降の雇用確保と若年失業者の増大、雇用形態の多様化、請負の増大などの労働市場の変化、Cグローバル化による発展途上国を含めた国際競争の激化、D生産性の悪い分野も含めた相場波及による高コスト体質と上げ幅のみの共闘による賃金格差拡大、Eパイの縮小による競争激化とそれによる企業の淘汰、産業間・企業間格差の拡大、などの変化が起きている。
春闘を可能としてきた環境が変化してきたなかで、新しい春闘、労働運動をどのように構築していくかがわれわれに求められている。金属労協では、第43回定期大会に向けて検討を進めている「第2次賃金・労働政策」において、「大くくり職種別賃金」の確立を掲げている。労働市場では、職種別に労働条件が決まる職種が拡大しつつあり、その結果、労働組合にかかわりないところで賃金が決定され、企業内における労使による賃金決定との整合性がとれないという問題点が起き始めている。こうした問題に対応し、春闘のあり方についても検討し直さなければならない。
2004年闘争では、5産別共通の統一したベア要求を見送ることを確認し、産業間、産業内の業績動向のバラツキが大きいなかで、JC共闘をどのように作り上げるかを検討してきた。今後、国際競争の問題では、日本の金属産業の総労務費が本当に高いのかどうか、金属労協としても検証していく。
統一的なベアに取り組むことはできないが、総合労働条件については、いくつもの課題がある。年金支給開始年齢の引き上げに対応した60歳以降の就労確保、「年間総実労働時間1,800時間台」の確立などに取り組む。様々な課題があるが、将来を見通して組合員とは違った視点で検討、対応を行うことが重要であり、それを行うのがリーダーの役割である。
JCミニマム運動(JCミニマム(35歳)、企業内最賃協定、法定産業別最低賃金、地域別最低賃金)は、成果主義賃金の導入等によって賃金格差が拡大しているなかで、一定の賃金水準を保障する意味がある。この水準すら保障できない社会や、企業内労働条件を認めないための運動を構築していく。この取り組みは、水準をクリアしている組合が他のクリアできていない組合に、どのように連帯できるかということが運動として問われることにもなる。
3月に開催する2004年闘争推進集会では、「人的資源の活用こそ経営の根源」を、メインスローガンとした。労働者が成長し、その能力が蓄積されてこそ、企業が存立しうるのだという確固たる信念に基づき、各産業別組合が抱える課題・要求について、2004年闘争で大きな成果をあげるように期待している。