第4回戦術委員会確認事項
2006年2月28日
全日本金属産業労働組合協議会
(IMF−JC)
 JC共闘各組合は、これまで強力な団体交渉を展開してきた。経営側は、企業業績が全体として回復してきていることや、ここに至るまでの組合員の協力・努力については認めつつも、賃金・一時金など労働条件の改善に対して、総額人件費管理の徹底、将来へのコスト増に対するリスク増を理由に、頑迷なまでに賃金抑制姿勢を貫こうとしている。また、国内外の企業間競争に打ち勝つためのさらなる企業体質の強化を最優先課題とし、われわれの主張を理解しようともせず、一方的な主張を繰り返している。このような経営側の姿勢は、輸出を原動力に回復し、安定的で自立的な成長に移行しようとしているわが国経済の将来をも危うくしかねない。
 金属労協は、本日午前10時より開催した第4回戦術委員会において、こうした状況を打開し、集中回答日の重みを踏まえ、山場に向けて「賃金改善」を必ず実現するとともに、業績改善にふさわしい一時金水準の回復、そして、「生活との調和と自己実現をめざす多様な働き方」の実現へ向けた各要求事項の実現を図るべく、以下のとおり交渉を展開していくことを確認した。


交渉において経営側は、日々企業の発展と生産性向上に協力・努力する組合員への感謝の意を示しているものの、

○国際的に高水準である賃金を引き上げることは、競争力の低下につながることになり、受け入れがたい。
○総額人件費管理の観点からも、固定費を増加させる賃金改善は困難である。
○賃金は、個別企業の業績や支払い能力、個人の役割や成果に見合って考えるべきであり、一律的な引き上げをすべきではない。
○短期的な成果は一時金への配分を基本とするが、支払能力を考えれば極めて重い要求である。

など、われわれの要求に対して日々強硬な主張を繰り返し、経営側の一方的な姿勢を貫こうとしている。われわれは、5年ぶりに賃金改善を含めた要求の実現をめざす今次闘争において、具体的な成果配分を実現できなければ、JC共闘への求心力が低下するだけでなく、今後の闘争にも重大な影響を及ぼすことになると判断する。今、交渉は重大な局面を迎えている。

要求決定以降、交渉を取りまく環境は明らかに改善している。好調な企業収益を背景に、景気回復は力強さを増し、持続的な成長を維持する見通しとなっている。労働需給の逼迫もみられ、企業にとっても、技術・技能の継承や人材確保が課題ともなっている。
ここ数年来、金属産業の各企業は、事業構造改革など企業基盤の強化に取り組み、バラツキはあるものの、金属産業全体として収益状況は回復している。グローバル競争が激化する中にあっても、組合員の協力・努力によって、企業体力や競争力は強化されている。

「労働条件の向上」と「競争力の強化」は車の両輪である。今こそ、経営側は、競争力の源泉である「人」への投資を積極的に行い、やりがいを持って働くことのできる魅力的な労働条件を確立しなければならない。金属産業の競争力は、生産現場と研究開発現場、素材や部品にかかわる関連企業などが一体となった総合力の強さによって支えられている。金属産業全体への「人」への投資によって、「人材力」「現場力」を高めていくことが不可欠である。
基本的な労働条件である月例賃金を改善することは、国内における産業基盤を整備・強化する上でも、不可欠な人的投資であり、同時に現下の景気回復を確かなものとするものであることを再度確認する。経営側は、日本の基幹産業である金属産業にふさわしく、優位性ある賃金水準の確立に向けて踏み出すべきである。

各産別は共闘の重みを相互に認識し、JC共闘一丸となってこの状況を打開すべく、要求実現に向けた交渉を強力に展開していく。

○月例賃金の重要性を明確に位置づけ、すべての組合で賃金構造維持分を確保した上で、働くものの活力につながる「明確な賃金改善」を実現する。
○一時金については、業績改善にふさわしい「積極的な水準改善」を果たす。
○「生活との調和と自己実現をめざす多様な働き方」の実現に向けて、60歳以降の就労確保、年間総実労働時間の短縮、仕事と家庭の両立支援など、産業・企業の実態を踏まえた重点項目の前進を図る。


次回戦術委員会は、3月3日(金)16:30より開催する。
以上