○金属労協の2006年闘争はいよいよ最大の山場を迎えようとしている。
○今回の闘争はいうまでもなく、5年ぶりに金属労協加盟五産別のすべてがスクラムを組んで月例賃金の改善を要求したことに大きな特徴と最大の意義がある。ぜひともこれを全組合が勝ち取る戦いにしなければならない。
○そうした趣旨を共有し、まさに最前線で経営の厚いガードと向き合っておられる企業連単組代表のみなさんが、心をひとつに、目的をひとつに結集をいただいた。2月中旬の要求提出以降、職場と一体になって精力的に戦いを進めている皆さんに敬意を表したい。
○2006年闘争のこれまでを振り返ってみると、最初の山場は昨年の秋であった。これまでのベアなしの流れに終止符をうち、金属労協全体として、賃金改善要求を復活させられるかどうか、厳しい議論を交わした。
景気回復の足取りは堅調となり、業績も回復基調を強めているとはいえ、それは、主として外需主導であり、産業・企業によってばらつきも大きい中、5年間という重みを跳ね除けて、考え方をひとつにできるかどうか正直言って不安もあった。
しかし、産別ごとに、要求額、内容こそ少しずつ違うものの、金属・JC共闘として賃金改善を中心に要求を作り上げることができたのは、ここにおいでの産別代表者、単組代表者が同じ意思を持っていたことの証明であり、意を強くしたところである。改めて皆さんのご努力に感謝したい。
○99年以降の日本経済の回復は、企業業績の回復、それも輸出や海外での事業展開の収益で引っ張ってきたものであるが、それは、まさにわれわれ金属産業が引っ張ってきたといっても過言ではない。そして、そこで働く金属労働者の高い労働の質が、それを可能にしたことは全員の共通認識であり、互いに自負できる。
○しかしわれわれの努力が今日賃金水準の面で正当に評価をされているとは言いがたいことも、五つの産別に共通している。今回金属労協加盟組織は、その考え方を全体で共有し、思いをひとつにして、月例賃金改善の要求を纏め上げ、経営側に訴えてきた。
○ここまで経営の反応は、総じて、「競争力を維持するためには固定費となる賃金をこれ以上あげることはできない」「業績の回復は一時金で報いる」と、言うもので、長期的、マクロ的視点が欠落している。
○繰り返しになるが、業績回復の原動力は組合員の懸命な努力であった。しかし、この間社会保障費の負担増など、組合員の実質収入は目減りしている。そうした意味から考えても、働くもののモラールアップ、競争力の維持のためにはわが国金属産業の最大の強みである「人」への投資が今まさに必要不可欠である。
○もう一つ大事な視点は景気を巡航速度に乗せることである。それには企業部門の回復に比べ、立ち遅れている個人消費を上向かせなければならない。そのためには月例賃金の改善が不可欠なのである。なぜなら、増え続けているパートや派遣労働者などには、一時金はほとんど支給されないから、経済成長の成果は一時金でなく月例賃金できっちり報いるという流れを作る必要があるからである。2006年闘争で金属労使は社会的責任として、これを先頭に立って実行すべきであると声を大にして訴えたい。
○これら金属労働者共通の思いを結集しそれを維持し続けることが、2006年闘争において要求を完全獲得する道である。それが、26年ぶりにこの集会を設定した理由でもある。どうか、その思いをこの集会の中で互いに確認し、さらに高めあって、最終盤の交渉に臨んでいただくよう要請したい。
○世論はわれわれの戦いを注目し、また、応援もしてくれている。この2006年闘争をなんとしても成功に導き、これまで業績回復を必死で成し遂げてきた組合員の努力に報いなければならない。
そして、金属労協の存在感を高め、21世紀日本が「ものづくり大国」として一層力強く歩んでいく第一歩を記したい。最後までの皆さんのご奮闘を願いし、本部としても最大限気持ちをひとつに戦っていくことをお誓いし、本部を代表しての挨拶とする。
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