各産別の取り組み状況について理解深める
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金属労協5産別書記長・事務局長をパネラーに迎えパネル討論 |
○今後の日本経済を考えた時に、家計・個人消費をどのように伸ばすかが課題であり、所得の改善がポイントとなる。
○交渉に向けた基盤づくりとして、自らの賃金制度上の問題を自ら把握し、その改善を要求するのが賃金交渉である、という考え方の下で、賃金カーブ維持分の把握等に取り組んでいる。
○賃金改善要求については、「経済指標の好転等を踏まえた水準向上や格差・体系是正に向け、賃金改善分を設定することを基本とする」とした。自らの賃金改善をどうするのか、主体的な取り組みができるようにという主旨で日本語表現にした。マクロの好転に着目し、目線を上に置いた要求設定を各組合に求めている。
○1999年には、メーカー部門と部品・販売部門との35歳技能職の賃金格差は約3万円であったが、2006年4月には約4.5万円へと拡大している。自動車産業内の格差是正に向けて、全体で取り組んでいく。
○非典型労働者を意識し、法定産業別最低賃金に取り組むとともに、全従業員対象の最低賃金協定に大きな課題として強力に取り組む。
○自動車総連の総実労働時間は所定外労働時間の増加によって2,200時間になっている。2006年の大会で労働時間の中期方針である「SATART 12」を確認し、総実労働時間の短縮に取り組むこととした。2010年をめざし、各単組が達成すべき水準を明らかにし、全単組が取り組む。
○交渉の代表銘柄を「職種基準による個別賃金要求方式」に変えて、個別賃金水準の改善に取り組む。具体的な職種は、開発・設計職基幹労働者、製品組立職基幹労働者として、電機連合が定義したスキル能力基準レベルで定義する。絶対額水準を重視し、目標水準、到達水準をめざす。産業間格差の是正には、目標水準をクリアし、さらに上をめざす取り組みを展開する。賃金改善要求は「2,000円以上」とする。「以上」をつけることによって、格差改善を図ることとしている。業績が回復基調の中で、「2,000円」に要求を据え置いた重みを訴えたい。
○職種基準としたのは、職種の定義を明確にすることによって賃金比較をしやすくし、同一価値労働同一賃金をめざしていこうという考え方に基づくものである。同一職種による社会的賃金水準形成をめざしていきたい。さらに、正規従業員と非典型労働者との均衡処遇の実現もめざし、非典型労働者の賃金の底上げを図っていく。
○18歳最低賃金協定、年齢別最低賃金協定、高卒初任給は1,000円の引き上げを要求する。
○非典型労働者の増加によって、社会全体の人的資本蓄積の弱体化、低賃金による晩婚化・非婚化・少子化の加速が起きている。非典型労働者の賃金の底上げは国家的見地からも必要であり、賃金の社会性を経営に訴えていきたい。
○賃上げに対して、労使とも慎重になっているが、日本全体をどうしていくのか考えなければならない。賃金が上昇しない理由のひとつとして、労働組合の影響力低下が指摘されている。社会的影響力を発揮し、労働組合の社会的地位を挽回するためにも頑張っていきたい。
○JAMでは、賃金構造維持分を約4,500円程度とみているが、2001年〜2004年まで4,500円を下回った。02年、03年には3割弱の組合が賃金構造維持分も含めて賃金を凍結している。賃金構造維持分が確保されない結果、賃金が低下している。1,000人以上の組合では低下はわずかだが、300人未満の組合で2000年と2006年の賃金水準を比較すると6,400円低下している。
○2007年闘争では、賃金の低下を是正しなければならない。ミニマム水準までは、少なくとも回復したい。配分を含めた賃金の是正をしっかりやっていくとともに、人材確保のためにも月例賃金の引き上げの必要性を訴えていく。
○個別賃金要求は10%程度の単組が行っている。絶対水準の比較によって、賃金水準を確保していきたい。ミニマム要求基準に基づき、個別賃金要求とするように取り組みを強化している。平均要求でも、30歳、35歳ポイントの賃金を把握していく。
○平均要求は、賃金構造維持分+2,500円以上、賃金構造維持分が確保できないところでは7,000円以上の要求を行う。
○派遣・請負を含めた賃金の引き上げを行うためには、企業内最低賃金をしっかりやっていくことが重要である。
○労働時間については、厳しい時代に割増率や労働時間を法定水準に引き下げたところがあり、その回復に取り組むこととする。
○12月〜2月まで、全単組オルグを行い、絶対賃金の水準が労使の共通ベースとなるように取り組んでいる。さらに、要求提出を早め、3月月内決着を重視した取り組みを行う。
○2006年から、2年サイクルの取り組みとした。技術・技能の伝承が産業として大きな課題となっていることから、賃金水準の引き上げも求めなければならないが、2006年では、意味のある形でそれぞれの制度で財源投入を行うべきであると考え、賃金改善要求とした。
○結果として、2006年闘争では大半が継続協議・検討となった。交渉継続中であったが、2006年12月には、仕事給の引き上げ、役職運用の見直し、ベテラン層や若年層への重点配分、手当も含め、財源投入が1,000円程度、または1,000円以上となる見通しであることを発表した。2007年闘争の前段での決着を目指している。
○従来、経営は国際競争に勝つためには我慢しなければならないという言い方であり、われわれは、団塊の世代が退職の時期を迎え、労務構成が様変わりする中で、産業・企業が魅力を維持し優秀な人材を確保できるか、育成・成果・処遇をリンクできるかを迫ってきた。今は国際競争力を強化していくために魅力ある産業・企業にする、魅力ある産業・企業という概念には労働条件・制度も重要な要素として含まれる、という労使の共通の地盤ができた。しかし、具体的な答えを引き出すのは難渋をしたというのが2006年の経過である。
○2007年は格差是正、一時金、ワーク・ライフ・バランスを柱とする。格差改善は、基幹労連全体の共通項目として、年休初年度付与日数20日、法定外休日割増率を法定休日割増率水準である135%以上への引き上げ、労災付加補償死亡弔慰金3,200万円への到達、の3つに取り組む。
○月例賃金については、2年サイクルでの取り組んでいる場合であっても、格差改善は別のものとして取り組めるところは取り組むこととしている。単年度で取り組む組合については、2年を1つとして3,000円としたことを踏まえて、部会ごとに要求額を設定することとしている。
○産業実態が全体として改善方向にあるものの収益面で二極化していることや、大手では引き続き事業構造改革が求められていることから、雇用の安定と生活の維持・向上を基本に総合労働条件改善闘争と位置づけて取り組んでいく。賃金については、2006年にゼロ回答であったことから、早い段階から組織論議を深め、賃金改善のもとで、どのような取り組みが可能なのか、各単組の動向を踏まえながら検討してきた。
○賃金については、生活維持・向上の観点から、「定期昇給をはじめとする賃金構造維持分を確保」したうえで「賃金改善」に取り組む。各単組の実態に即し賃金原資の増額を伴った取り組みを行うことを基本として、35歳標労での賃金引き上げ、高年齢者層、若年齢者層など、各年齢での賃金改善、特定職種における賃金水準の改善など、幅広い視点に立って取り組んでいく。
○底辺を守る取り組みとしては、18歳最低賃金協定として150,500円以上にしたいと考えている。
○一時金は、産別ミニマム基準4カ月が、生活給として最低限必要であるという強い認識に立ち、単組事情を乗り越え、全体の一時金水準引き上げ、昨年以上の産別ミニマム確保の実現をめざして精一杯努力する。一時金は生活水準の維持向上を図るための年間賃金の一部であるという考えを堅持し、「生活保障部分(固定部分)」と「成果反映部分(変動部分)」の2つの要素に基づき要求する。
○その他、退職金水準の到達、ワーク・ライフ・バランス等に取り組む。
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