第3回戦術委員会確認事項

2008年2月26日
全日本金属産業労働組合協議会
(IMF−JC)



 金属労協は、本日午前10時より第3回戦術委員会を開催し、集計登録組合を中心とした交渉状況を把握し、今後の交渉に臨む基本姿勢を以下のとおり確認した。

  1. 各産別は経営者団体との間で労使会議等を開催するとともに、各企業連・単組は産別方針に基づき、2月初旬以降、順次要求を提出し、2月26日現在、1〜3回の交渉を行っている。
    1. 集計登録組合は、57組合が要求を提出した。このうち、55組合が賃金改善要求を行っている。
    2. 一時金を交渉で決定する組合では、好調な業績を反映して、ほとんどの組合が昨年と同様もしくは上回る要求を提出している。
    3. 41組合が時間外労働割増率の引き上げを要求している。
    4. 最低賃金協定については、集計登録組合のうち51組合が18歳最低賃金協定、2組合が全従業員対象の最低賃金協定を締結し、協定水準の引き上げに取り組んでいる。さらに、これまで未締結であった組合においても、協定締結に向けて取り組んでいる。
    5. また、派遣・請負労働者の受け入れに関わる労使協議、退職金の増額、労災付加補償の引き上げ、裁判員制度への対応など、産別・単組ごとに重点項目を掲げ、労使交渉・協議を行っている。
  2. 交渉において、われわれは、「人」への投資が組合員の意欲・活力と企業の競争力を高めることを強力に訴えている。
    金属産業の業績は全体として好調であり、財務体質も強化されてきた。一方、勤労者への配分が不十分であるために、可処分所得の低下が続くなど、生活の改善が進んでいない。足下では、生活必需品を中心とした物価上昇が顕著になり、消費の一層の抑制やそれに伴う景気への悪影響が現実のものとなっている。外需に依存した経済成長から転換し、企業と家計を両輪とした内需主導型の安定的成長を実現するために、今こそ個人消費拡大を促す賃金改善を実現しなければならない。
    組合員の生活の基礎である月例賃金の改善は、働く人たちの仕事への意欲を高めるとともに、優秀な人材の確保、企業の持続的発展に繋がるものである。
    また、「働き方の改革」すなわちワーク・ライフ・バランスの実現が政労使共通の喫緊の課題となっている。長時間労働の是正による心身の健康保持、生活時間・休日の確保は、ワーク・ライフ・バランス実現の前提であり、その実現の有効な施策のひとつとして、時間外労働割増率の引き上げを図らなければならない。
    さらに、現場を支える重要な存在である非正規労働者の労働条件改善に向けて、企業内最低賃金協定の締結拡大と協定水準の引き上げを実現し、賃金底上げを図らなければならない。また、受け入れにあたっての労使協議を充実させ、非正規労働者の労働環境改善に積極的に取り組む必要がある。
  3. こうした組合主張に対して経営側は、世界経済の先行き不透明、原材料価格の高騰、厳しいグローバル競争など、企業を取りまく環境の厳しさを強調し、「賃金引き上げは、構造的・固定的負担増になる。企業の競争力に大きな影響を与えるものであり、これまで以上に慎重に判断する。」「コスト増につながる時間外割増率の引き上げには到底応じられない。」「一時金は、企業業績、支払能力を考えることが基本であり、取りまく情勢を十分に踏まえる必要がある。」などと主張し、企業を支える「人」の重要性は認めながらも、厳しい姿勢で臨んでいる。とりわけ、時間外労働割増率については、われわれの主張を全く理解しようとせず、強硬な姿勢を崩していないため、交渉が膠着状態に陥っている。
      こうした経営側の主張からは、組合員の協力・努力に報いようとする姿勢が全く窺われず、容認することはできない。
  4. 金属労協は、組合員の生活向上と格差是正を図るべくJC共闘の実を挙げ、要求実現へ向けた交渉を強力に展開していく。
    • 賃金改善については、昨年を下回る環境にない状況を踏まえ、要求趣旨にこだわった月例賃金の改善を求める。
    • 一時金については、業績改善にふさわしい「積極的な水準引き上げ」を果たす。
    • 時間外労働割増率については、経営側の頑なな姿勢を転換させるために、必要な行動も含め、要求趣旨の徹底を図るとともに、長時間労働是正につながる具体的な時間外労働割増率の引き上げを図る。
  5. 集中回答日に続いて回答を引き出す組合を支援するため、「中堅・中小労組登録組合」を設定し、要求・回答状況を公表する。3月19日(水)には、回答状況について取りまとめを行い、16:00から記者発表を行う。
  6. 次回第4回戦術委員会は、3月4日(火)午前8時30分より開催する。