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第164号インダストリオール・ウェブサイトニュース

OECDで造船部門の労働問題めぐり討議

2023-11-23

2023年11月23日:OECD造船委員会(WP6)は11月21日のパリ本部会合で、造船業の労働問題に関するワークショップを開いた。インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は労働組合の意見を共有し、日本、ノルウェー、韓国、スペインの労働者代表も会合に参加した。


ワークショップでは、造船は不安定な部門であり、劇的な成長段階のあとに深刻な不振に陥っていることが取り上げられた。産業政策はこの循環の緩和に役立つ可能性があるが、組合は、ほとんどの政府と国際機関が適切な政策の策定には至っていないとの考えを示した。

取引高の増加が見込まれ、既存船舶の多くをよりグリーンな船に切り替える必要があるため、造船業は好況期を間近に控えていると広く予想されている。しかし、全世界で熟練労働者が不足している。ワークショップでは、この不足の理由と、それに取り組むために利用できそうな方法について議論した。この産業への技能供給はしばしば不十分であり、使用者は造船業を新規参入者にとって十分魅力的な産業にすることができていない。

会合に先立って、インダストリオール・グローバルユニオンは、最も差し迫った課題について意見を聞くために造船労組の調査を実施した。労働者代表は主な問題として、広範囲な下請契約、不平等な労働条件の移民労働者の利用、それに続く二重構造の労働力の発展などを確認した。使用者は、短期的な解決策として移民と下請業者を利用し、労働力不足に取り組んでいる。しかし多くの場合、十分な訓練を受けた基幹労働者の開発には投資していない。各国が労働者を引き抜き合い、移民をめぐって競争していることについても懸念がある。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合はキャンペーンの中で、社会的対話や労働組合の権利、万人の平等な労働条件を考慮に入れた良質な製造業雇用を要求している。

この部門全体で、移民が標準以下の、時には違法な契約で雇用されている例や、韓国のケースでは、組合加入の基幹労働者と入れ替えるために移民が利用されている例が数多くある。しかし、移民労働者が基幹労働者と同じ労働協約で雇用されている例もある。造船会社は、移民労働者を利用するだけでなく、この部門に新たな労働者、特に女性労働者やその他の非伝統的な新規参入者を引きつけることに焦点を当てる必要がある。

イザベル・バルト・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合共同書記長代理は次のように述べた。

「世界の造船部門を持続可能でグリーンな船舶への軌道にうまく乗せられるかどうかは、適正な技能を持つ労働者を利用できるか否かにかかっている。したがって使用者は、造船部門に、造船労働者に、そして訓練とリスキリングに、責任を持って投資しなければならない」

「この過程で労働者の意見を聞かなければならない。グリーン化を成功させるには、造船所で十分な対話を行い、すべての変化を一緒に予想しなければならない。私たち抜きに私たちのことを決めるな!」

ウォルトン・パントランド・インダストリオール造船・船舶解撤担当部長は次のように述べた。

「この部門の未来について政府が長期的なシグナルを送る必要があり、使用者は基幹労働者の維持に尽力する必要がある。現在の機会を利用したければ、使用者は労働者の賃金を増やし、より魅力的な機会を提供する必要がある」

写真:オランダ・ロッテルダムのロイヤルIHC工場

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