OECD鉄鋼委員会で労働者が鉄鋼業における公正な移行の欠如を警告
2024-03-26
2024年3月26日:労働者は、鉄鋼部門における公正な移行の欠如について懸念を提起している。いくつかの主要多国籍鉄鋼会社による無責任な慣行と、グリーン移行に投資せずに能力拡大を続ける一部の政府による見当違いの行動が相まって、世界の過剰生産能力は増加の一途をたどっている。
3月25-26日にパリで開催されたOECD鉄鋼委員会で、労働組合諮問委員会(TUAC)のメンバーは、このビジョンの欠如は短期的な利潤最大化を優先し、鉄鋼労働者の幸福と発言権を脇に追いやるものだと述べた。
TUACは、特に一部の鉄鋼会社が組合代表との協議を拒否している問題を提起、イギリスのタタ・スチールの具体的な事例を挙げ、移行プロセスの初めから終わりまで労働者が関与する必要があると強調した。労働組合は、世界中の鉄鋼産業で労働条件が悪化しているという報告を受けて、企業が現場と労働者(現場保全、さらには労働安全衛生を含む)に投資すべきだと主張している。
この状況は、多国籍企業が脱炭素化援助をめぐる国家間の競争につけ込んでいることによって悪化している。財政難に陥っていない製鉄会社においてさえ、アップスキリングや再訓練ではなく大量解雇によって、労働者が炭素排出削減に必要不可欠な投資のコストを負担させられるのではないかという懸念が高まっている。
TUACのパートナーは、鉄鋼業の現在の変化は公正な移行ではないと主張し、環境的・社会的優先事項ではなく財政目標ばかりが追求される不公正な移行だと懸念している。TUACとインダストリオール・グローバルユニオン、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は、鉄鋼業における優先課題の再評価を緊急に要求し、労働者が参加するバランスの取れたアプローチを支持している。
「これは鉄鋼業のステークホルダー全員のための行動要請だ。公正な移行に交渉の余地はない。今こそ企業欲を俳し、すべての労働者の権利、安全および尊厳を擁護する新しいビジョンを導入するときだ」とクリスティン・オリビエ・インダストリオール書記次長は言う。
鉄鋼は、気候変動と世界の過剰生産能力の影響を最も大きく受ける部門の1つである。労働者の利益を保護し、気候変動に取り組むグローバルな取り組みに貢献できる方法は、集団行動と共同責任だけである。私たちは各国政府に対し、グリーンテクノロジーへの新規投資、労働者の定着および社会的対話の尊重を、製鉄会社への財政援助の条件とするよう求める。
「OECDが記録的な世界の鉄鋼過剰生産能力を指摘している一方で、財政・金融政策の引き締めによってグローバル経済が減速する恐れがあることから、鉄鋼業と鉄鋼労働者の見通しがいっそう厳しくなっている。各国政府は、経済成長を支援するとともに、鉄鋼業がグリーンテクノロジーに移行する中で鉄鋼労働者が取り残されないようにするために、断固たる措置を取る必要がある」とベロニカ・ニルソンTUAC書記長は言う。
OECD鉄鋼委員会は、インダストリオール・ヨーロッパ労働組合の欧州鉄鋼行動デーをフォローした。この行動デーには欧州全域の鉄鋼労働者が団結し、全世界での平等な機会の提供、成功を収めるグリーン移行の確保、製鉄会社による自社の労働者と自社が依存する地域社会の尊重のために、緊急行動を起こすよう要求した。
「私たちのメッセージは明確だ――鉄鋼業のステークホルダー全員が、世界的な過剰生産能力と気候変動に取り組む努力を強化する必要がある。底辺への競争において、環境や国際貿易ルールを尊重せずに生産コストを最低限に抑え、鉄鋼労働者を虐待してはならない。鉄鋼がグリーンであり、労働者が良好な労働条件と適正な賃金に基づいて生産すると同時に、貿易が公正で国際ルールを尊重するようにするために、世界中で行動を起こす必要がある」とジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は言う。
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