ポスコのダブルスタンダード――ESG主張の陰で組合つぶし
2024-12-03
世界的鉄鋼大手のポスコは、最近の環境・社会・ガバナンス(ESG)報告で洗練されたイメージを打ち出し、労働者の権利を支持して組合にオープンに関与していると主張している。しかし、トルコの現実はまったく異なる状況を示しており、労働権侵害、組合つぶし戦術、法的義務や倫理的責任の完全な無視が見られる。
2017年にトルコのポスコ施設で、インダストリオール・グローバルユニオンとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合の加盟組織ビルレシク・メタル・イスが組織化の取り組みを進める中、約80人の労働者が解雇された。トルコの裁判所はその後、この解雇は労働者の組合活動を理由とするものであり、トルコの労働法と国際労働条約の両方に違反していると明白に裁定した。裁判所は解雇された労働者への組合賠償を認め、不公正を強調した。
これにもかかわらず、ポスコはESGに関する話で実態を誤って伝えている。同社は解雇された労働者が復職を断ったと主張しているが、証拠は正反対の事実を示している。労働者たちは裁判に勝ったあと復職を申請したが、結局ただ会社側に拒否される結果となった。
2022年、最高裁判所はビルレシク・メタル・イスをポスコ労働者の公認組合として確認、労働省もこの決定を強固なものとし、同社に団体交渉の実施を強制する認可証明書を交付した。2022年11月4日、同労組はポスコに交渉開始を正式に求めたが、同社は素知らぬ顔だった。
労働省が介入し、2022年11月24日に会合を設定したが、このときもポスコは出席しなかった。トルコの法律では、そのような不服従は義務的な調停をもたらす。だが、同社はこのプロセスにも協力しなかった。調停人に選任されたYusuf Bayraktutanは、ポスコがあらゆる会合への参加を拒否し、団体交渉プロセスが宙ぶらりんになっていることを確認した。
公判手続き終了後、ビルレシク・メタル・イスは団体交渉プロセスを開始したが、会社側がまったく回答しなかった結果、同労組は2023年にこの職場で証明書を抹消された。
ポスコのESG報告は労働組合への関与に責任を持って取り組んでいると主張しているが、同社の行動は主張とは異なる。同社の報告は、「従業員代表」が組合に取って代わっており、これは真の組合代表は代替できないことを確認しているトルコの労働法と国際労働機関(ILO)条約に直接違反する行動だと述べている。
さらにポスコは、正式な機関が存在しないので組合に関与することができなかったと虚偽の主張をしている。この主張は、ビルレシク・メタル・イスが判決後に合法的な組合として承認されたことと矛盾する。同労組とトルコ政府当局、法的命令による要求にもかかわらず、同社は組合の承認も対話の開始も一貫して拒否している。
インダストリオールとインダストリオール・ヨーロッパ労働組合は昨年、取締役会に対し、人権管理ガイドラインを効果的に実施し、判決に従ってビルレシク・メタル・イスを団体交渉代表権者として承認するとともに、誠実に交渉するよう求めた。
ケマル・ウズカン・インダストリオール書記次長は言う。
「ポスコは全世界で組合つぶしに手を染めてきた過去があり、これは同社自身のデュー・ディリジェンス原則に反する。トルコの事例への同社の対応に見られる不誠実な態度は、投資家に警戒心を抱かせるだろう。この会社は労働組合を弱体化させるために法律を破ったうえに、そのことについて嘘をつこうとしている。ポスコは交渉のテーブルに着き、誠意を持って関与すべきだ」
ジュディス・カートン=ダーリング・インダストリオール・ヨーロッパ労働組合書記長は次のように述べた。
「ポスコ経営陣によるひどい事実の歪曲と組合つぶしは恥知らずだ。ビルレシク・メタル・イスとポスコ労働者は、人権の基本中の基本である団結権・団体交渉権を確保するために、あらゆる複雑な手順を踏むことを強いられている。ポスコはトルコで責任を持って行動すべきときだ。インダストリオール・ヨーロッパ労働組合は今後とも、自由に使えるすべての方策を用いて、組合員に対する攻撃を精細に調べて異議を申し立てていく」
労働者の関与と倫理的労働慣行についてのポスコの主張は、トルコにおける同社の行動を考えれば空々しく聞こえる。この事例は現地の問題にとどまるものではなく、ESG原則への同社の世界的なコミットメントの試金石である。ポスコにとって進むべき道は明確で、真の対話、労働権の尊重、透明性へのコミットメントである。どれが欠けていても、同社が支持していると主張する価値観に対する裏切りである。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/poscos-double-standard-union-busting-behind-esg-claims