トルコで自動車サプライチェーンの課題に対処
2024-12-02
11月25-26日にトルコでワークショップが開催され、自動車サプライチェーンの労働権が中心的な話題となった。この行事にはトルコとドイツから主要利害関係者が集まり、労働組合、従業員代表委員会、自動車メーカー、サプライヤー、政府代表、使用者団体、市民社会組織から参加があった。
EUとドイツで新しい人権デュー・ディリジェンス法が成立し、世界的な自動車サプライチェーンでトルコが重要な役割を果たしている中で、このワークショップは、主要利害関係者の間で労働権分野の組織的な課題に取り組み、持続可能な共同の解決策を考え出す機会を提供した。
ケマル・ウズカン・インダストリオール・グローバルユニオン書記次長が、サプライチェーンで透明性と説明責任が緊急に必要とされていると力説した。書記次長は、搾取や長時間労働、安全衛生違反など、労働者が直面している課題を強調した。
「自動車産業の作業現場で真の改善を確保するには、苦情処理制度の範囲を超えて義務的な枠組みを実施する必要がある」と書記次長は述べ、繊維部門のACTイニシアティブのような成功したマルチステークホルダー・アプローチを再現し、結社の自由と団体交渉を促進することの重要性も強調した。
ヤセル・ハッサンILOトルコ事務所長が、電気自動車への移行など、自動車部門の移行を切り抜けるうえでの社会的対話の重要性を強調した。
「社会的対話は、ディーセント・ワークと持続可能な成長の基盤だ。社会的対話を行うには、確固たる枠組み、権利を与えられた当事者、協力への真摯な取り組みが必要となる」とハッサンは述べた。
ドイツ連邦労働社会省で企業の社会的責任を担当しているウルリケ・ゲイスが、トルコとドイツとの強力な経済関係を強調し、EUとドイツの新しいデュー・ディリジェンス法がサプライチェーンで社会的対話と人権保護を強化する機会を提供することに留意した。
インダストリオールのクリスティーナ・ハジャゴス=クローゼン繊維・衣料部門担当部長が、系統的な解決策のモデルとしてACTイニシアティブを紹介した。このイニシアティブは購買慣行を労働者の権利に調和させることを重視しており、自動車サプライチェーンに貴重な教訓を提供する。
「ACTは、責任ある購買慣行と労働協約が安定した生産モデルルを創出できることを示した」と彼女は述べ、苦情処理制度は組合と使用者が共同で開発する必要があることを強調した。
ワークショップでは、冒頭でサプライチェーンにおける説明責任の重要性に的を絞って論じたあと、分科会で実際的な解決策と協力的な議論を模索した。
このグループは、参加者が事例研究に直接関与し、トルコの労働者が日ごろから抱えている問題を調べる基盤となった。課題と良き慣行の両方を共有し、参加者がより実践的なレベルでさまざまなステークホルダーの視点から問題を理解できるようにした。議論では、共通の理解と持続可能な解決策を達成するための主要素として、結社の自由、社会的対話、責任ある購買方針、労働安全衛生が決定的に重要であることが強調された。
トルコの労働組合が提起した懸念は、企業内部で組合の力や代表が不足していれば、労働者に深刻な影響が及ぶことである。この状況はトルコの司法制度の抜け穴によって悪化していることが多い。
参加者は、デュー・ディリジェンス要件と調整しながら自動車サプライチェーンで労働条件を改善するために、すぐに実施可能な解決策についてブレインストーミングを続けた。議論では3つの重要分野に重点を置いた――訓練/コミュニケーション/意識向上、社会的対話と調停、苦情処理制度である。
ゲオルク・ロイテルト・インダストリオール自動車担当部長が、人権デュー・ディリジェンス環境の進化を検討し、苦情処理プロセスが大幅に改善していることに留意した。
「現在、過去数カ月と比較して、OEM(相手先商標製造会社)から迅速なフィードバックと関与がある。これは重要な一歩前進だ」と同部長は述べた
ロイテルトはステークホルダー全員に、このワークショップで生み出された勢いに乗るよう求め、グローバル・サプライチェーンで体系的変化を達成するために長期のコミットメントと継続的な協力が重要であることを強調した。
ワークショップの終わりには、世界的な自動車サプライチェーンの課題に共同で取り組むことへの強い責任感が生まれていた。ケマル・ウズカンが議論を振り返り、社会的対話とマルチステークホルダー・アプローチによる協力の改革の力を再確認した。特に固有のリスクと労働課題が根強く見られるトルコのような国にあっては、サプライチェーン問題に対処するために集団行動が必要だ、と彼は指摘した。この生産的な議論では、ワークショップに集まった多様な利害関係者グループの間で信頼と尊重を促進することの重要性が強調された。
ウズカンは、苦情処理制度の強化、購買慣行と労働者の権利の調和、社会的対話のため能力構築化など、このフォーラムで確認された具体的な手順を称賛。このプロセスにゆっくり進む性質があることを認めたが、これまでの進展と、この極めて重要な作業を続けようという集団的な意思について、楽観論を表明した。
「このワークショップは、より透明で公平なサプライチェーンに至る道程における重要な節目を示す。これは始まりにすぎないが、部門レベルで協力しようという意欲と、ここで策定された戦略は、将来のために強固な基盤を提供する」とウズカンは締めくくった。
このワークショップは、IGメタル、ドイツ国際協力公社(GIZ)およびドイツ自動車部門対話の支援・協力を得て、インダストリオールが企画した。
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/tackling-automotive-supply-chain-challenges-in-turkiye