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第183号インダストリオール・ウェブサイトニュース

COP29、労働者にとって大幅な後退

2024-11-28


アゼルバイジャン・バクーでの第29回国連気候変動会議(COP29)は、特に労働者にとっては期待外れの結果に終わった。今回の結果は、気候資金と公正な移行における緊急のニーズに取り組まず、気候危機とその社会的影響への取り組み方に大きな不備があった。


気候資金に関して、各国は発展途上国への資金供給を以前の目標である年間1000億米ドルから、2035年までに年間3000億米ドルへと3倍にすることで合意した。これは従前の交渉よりは改善しているが、この規模の危機に取り組むために必要であると専門家が言う1兆3000億ドルには遠く及ばない。富裕国は十分な公的資金の約束をまたしても回避し、貧困国に債務を悪化させる融資への依存を強制した。これによって脆弱な国々は、気候への影響に対する回復力をつけるために必要な真の支援を受けるのではなく、借り入れの連鎖に陥る。

労働者にとって、COP29は裏切りに他ならなかった。公正な移行作業プログラム(JTWP)は、よりグリーンなモデルへの経済移行として労働者のための経路を生み出すとされていたが、まったく進展がなかった。資金供給の約束もなければ、政策実施に関する合意もなく、脆弱な部門とグローバルサウスの労働者は無防備な状態に置かれ、危険にさらされている。重要な議論から組合を締め出した結果、この不公正を悪化させ、労働者から自分たちの生活に直接影響を及ぼす決定における発言権を奪っただけに終わった。

エネルギー移行を加速させる取り組みも行き詰まった。COP28からのUAEエネルギー戦略――再生可能エネルギー容量の3倍増、化石燃料の段階的廃止、化石燃料補助金の削減など――を足場とするという提案は阻止された。エネルギー貯蔵やグリッドインフラを改良するための明確なロードマップも、これらの目標に向けた進展を追跡するためのメカニズムも示されなかった。このように緊急性と意欲を持って行動しなければ、1.5℃目標の達成が危うくなり、持続可能なエネルギーシステムへの世界的な移行が遅れ、地球を守るための闘いがさらに遅れてしまう。

バクー適応ロードマップや回復力の追跡に関する指針の発表など、適応の面ではいくつか前進があったが、国家気候計画(各国が自主的に決定する約束、NDC)に関する進展は2025年まで先送りされた。これらの新しい気候計画は、1.5℃という温暖化の限度を手の届く範囲に置いておくために、すべての温室効果ガスとすべての部門を対象としなければならない。

今回もまた、交渉で人権とジェンダー問題が脇に追いやられた。ジェンダーに関するリマ作業プログラムはさらに10年延長されたが、気候行動における平等と人権の差し迫った必要に取り組む、より強力な新しい措置は導入されなかった。この革新の不足は気候政策の包括性と効果を弱め、社会的に最も無視された地域社会の福祉を損なう組織的な不平等を悪化させる。

「組合にとって、COP29はいくつかの組織的失敗を露見させた。労働者を交渉から除外したことは、気候行動における労働者の極めて重要な役割を無視している。富裕国が財政的責任の尊重を拒否したことは、信頼を損ない、世界的不平等を深める。公正な移行の政策をめぐる進展の不足により、何百万もの労働者が、急速に変化する経済と気候の影響を受けやすくなる」とダイアナ・ジュンケラ・キュリエル・インダストリオール公正な移行/エネルギー担当部長は述べた。

「ブラジルのCOP30を見据えて、公正で効果的な気候行動のための闘いがまだまだ続くことは明らかだ。労働者を置き去りにすることはできないし、置き去りにしてはならない。組合は、労働者の権利とニーズを中心に据えた真の包括的な解決策を、これまで以上に強く要求しなければならない。これは、より多くの債務を負わせずに発展途上国を支援する実質的な公的気候資金を要求し、労働者を保護して気候行動の中心に置く公正な移行政策を政府に実施させることを意味する」とダイアナ・ジュンケラ・キュリエルは力説した。

COP29の結果から明らかなのは、世界は気候面の課題に対応するために十分に速く、十分に包括的に前進していないということである。組合は引き続き政府に説明責任を負わせ、少数の富裕層だけでなく万人の役に立つ気候の公平性を要求していかなければならない。今こそ、人間中心の真の解決策を見つけるときだ。

【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/cop29-a-major-setback-for-workers

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