ILO報告、インダストリオールの第190号条約関連活動を強調
2024-09-13
国際労働機関(ILO)による最近の報告書『仕事の世界における暴力とハラスメント』は、職場での暴力の問題がエスカレートしている現状に極めて重要なスポットライトを当てており、COVID-19パンデミック以降の暴力やハラスメントの増加への対応と、組合がパンデミック対策を盛り込むために交渉を調整・転換しながら、第190号条約の批准と完全実施の両方に関連する戦略を実施し続けていることに、特に重点を置いている。
報告書は、特に2019年のILO第190号条約の採択以降、インダストリオールと加盟組織が職場の暴力やハラスメントにどのように取り組んでいるかを強調している。この画期的な条約は、ジェンダーに基づく暴力とハラスメント(GBVH)の根絶を目的としており、全世界の職場で変革の波を引き起こしている。
インダストリオールの活動は第190号条約の批准と実施の促進に根差している、と報告書は述べている。インダストリオールは、ジェンダーに基づく暴力とハラスメントに反対する方針を労働協約に統合し、すべての労働者のために安全な作業環境を醸成すべく、大陸を越えて加盟組織を動員している。
例えばインダストリオールは、ナイジェリアやアルゼンチン、フィリピンの組合が自国政府に第190号条約の批准を要求するうえで力添えすると同時に、職場での暴力やセクシャルハラスメントに対するゼロ・トレランス方針の策定にあたってインドネシアの組合も支援しようと尽力している。これらの努力は、尊厳と安全に根差した作業環境を目指すグローバル運動の拡大を象徴している。
インダストリオールは「職場と組合で根絶」誓約を通しても大きな前進を遂げている。この誓約は加盟組織に対し、積極的に女性に対する暴力と闘ってGBVHの撤廃を促進するよう呼びかけている。この誓約は全世界の組合に刺激を与えており、内部機構と外部交渉でジェンダーに基づく暴力とハラスメントを優先させるよう要求している。
加えて、第3回大会で採択されたインダストリオールの画期的な決議は、性差別、女性蔑視およびGBVHのゼロ容認を要求しており、これらの原則をグローバルな労働運動の構造にさらに深く埋め込んでいる、と報告書は指摘している。この決議は、さらにGBVH、性差別および女性蔑視に関する新しいインダストリオール方針の策定と採択に至った。
グローバル・ユニオンと衣料小売業者が締結した繊維・衣料産業における安全衛生のための国際協定の拡張版は、セクシャルハラスメント防止策を盛り込んでおり、何百万もの労働者のためにより安全な環境を作っている。加えて、インダストリオールとグローバル鉱山会社のアングロ・アメリカンが交わしたMoUは、鉱業部門で職場の安全とジェンダーに基づく暴力に取り組むうえで重要な節目を示している。
インダストリオールは包括的な訓練計画にも重点を置いており、組合指導者にGBVHに取り組むための手段を与えている。そのグローバル訓練イニシアティブは、鉱業、衣料、電子のような部門を対象とし、認識を高めるとともに、より良い職場方針を取り決めている。
「インダストリオールと加盟組織の集団的努力は、職場の暴力やハラスメント(GBVHを含む)との闘いの強力な先例を示している。第190号条約を批准し、自らの原則をグローバルな労働慣行に埋め込むためのインダストリオールの取り組みは、万人のためにいかなる暴力やハラスメントもない職場を生み出すうえで組合が役割を果たしていることを示す有力な証拠である。社会的対話、戦略的パートナーシップ、揺るぎない支持を通して、インダストリオールは次世代のために仕事の世界を変革している」とアルメル・セビー・インダストリオール・ジェンダー担当部長は言う。
「この報告書は、暴力やハラスメントの防止とILO第190号条約の批准・実施の支持において、組合が極めて重要な役割を果たしていることを強調している。私たちは団体交渉で、労働安全衛生で、また労働者が信頼する職場方針を通して、ジェンダーに対応したアプローチなど、暴力やハラスメントの防止を目指す国家・地域・世界レベルの組合の施策や戦略、交渉の事例を200件以上集めた。組合が実にさまざまなレベルで、そのような取り組みや行動を実施していることは印象的だ」と報告書を執筆したジェンダー専門家のジェーン・ピリンジャーは言う。
写真:シャッターストック
【原文記事URL】
https://www.industriall-union.org/ilo-report-highlights-industriall-c190-work
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