金属労協第43回大会 産別意見・要望

電機連合
自動車総連
基幹労連
全電線
JAM
本部答弁


第2次賃金・労働政策の着実な実現を

【濱田代議員(電機連合)】2005−2006年度の運動方針につきましては、激しく変化する時代環境を的確にとらえて、その変化を運動の中に反映をしたものであるという認識を持っております。幾つもの項目の中の2つについて、意見を述べさせていただきます。
 1つは、第2次賃金・労働政策についてであります。これは次の議案で取り上げられるわけですが、基本的な考え方について提起がありましたので、この場で述べさせていただきます。
 1997年に第1次賃金政策が策定をされたわけですが、それ以降、私どもを取り巻く環境は大きく変化をしてきています。企業経営で言いますと、戦後初めて経験をするようなデフレ経済に象徴される長期にわたる不況、そして、グローバル化の進展であります。私たちの雇用や生活を取り巻く環境につきましても、構造的と言えるような変貌が見られるわけです。高い失業率、正規従業員の減少、その一方で、さまざまな形での非典型雇用労働者が増えるといった雇用構造の著しい変化は、賃金制度や賃金決定の仕組みにも影響を与えています。

 第2次賃金・労働政策は、こうした構造変化をしっかりと受けとめて、これからの処遇や賃金制度のあり方、仕事、家庭、社会生活、それぞれの調和がとれた自立的で多様性を持った新たな働き方とか、大ぐくりの職種別賃金の形成やJCミニマム運動など、JC共闘の今後の方向についても明示されています。いずれも時宜を得た政策であると受けとめています。
 問題は、この政策をどう具体化するかであります。提起されている内容は、労働組合にとっても、いずれも早急に取り組むべき課題であると考えます。産別や単組で取り組む課題、JC共闘として前進をさせる課題、政策・制度課題として位置づける課題、それぞれにきっちりと区分けをしながら、政策実現に向けた取り組みを着実に前進させる必要があると考えます。
 もう一つは、政策・制度についてであります。改めて申し上げるまでもなく、政策・制度に対する取り組みの重要性は非常に高まってきています。企業の労使だけで解決しない課題が増えてきており、その課題の解決が、連合、JC、産別に課せられた任務だと受けとめています。JCにおいても、政策・制度の取り組みは、重点課題として取り上げられており、民間・ものづくり・金属産業という3つのキーワードのもとに策定されています。

 このキーワードは、金属産業の競争力強化、活性化に関係するものであります。しかしながら、ややもすると対象とする範囲がどんどん拡大をする可能性があるのではないかと考えます。JCが取り組む政策課題については、金属産業にかかわる項目に絞り込む方向で進めていったほうが、加盟組織との一体感を持ちやすく、また、職場組合員に対する広報活動も行いやすいし、政策実現に向けた取り組みもやりやすくなるのではないかと考えます。
 活動方針にも、「対象の大胆な絞り込み」という表現があります。そのことを十分に意識して、JCとして行うこと、連合が行うこと、さらに産別が、そして地域がというぐあいに、その役割を明確にした取り組みが必要であると考えます。 
政策・制度はそのことによる効果がどれだけあるのかということが、なかなか数値化しにくいものであります。数値化したほうがわかりやすいということも含めて、そういうことを意識しつつ、政策・制度実現への道筋をどのようにするのか、さらに、職場への広がりというのをどのように図るのか、こういったことを明確にしながら、政策・制度に関する取り組みを進めていただきたいと思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。<ページのトップへ>

国内生産基盤強化に向けた牽引役としての実効性ある取り組みを

【久保代議員(自動車総連)】運動方針に賛成の立場から2点ほど要望を申し上げさせていただきます。
 まず1点目は、金属産業の国内生産基盤の強化を図る運動展開ということです。バブル崩壊以降、日本の経済は低迷していますし、国際競争もさらに激化しているという中にありまして、日本のものづくり産業の危機というのが叫ばれてきました。自動車においても、何とか国内生産1,000万台というレベルは維持してきましたけれども、実態としては、自動車メーカーごとの業績の格差も非常に大きいし、また、構成する部品、販売、輸送等々の業種まで視野を広げますと、それぞれが大きな課題を抱えているというのが実態です。
 特に、職場の状況を見ますと、生き残りをかけた競争への対応ということが、働く人への過剰なしわ寄せ等の上に成り立っているということです。
 加えて、自動車産業の国内生産基盤も決して安定的なものではなく、一歩間違えば、日本全体の今の高コスト構造の中では空洞化するのではないかという可能性すらはらんでいると思っています。最近、若干、景気の好調の兆しが見えていますが、これについても、実は、政治でありますとか構造的な問題が解決されたからということではなくして、これは主におのおのの企業の企業努力によるところだと認識している次第です。

 私ども自動車総連としましても、こういった諸課題への対応というのは、まずは産業内、個別企業同士の中での自助努力というのが前提であると思っていますし、そういった組合としてのカウンターパートナーとしての機能強化ということに、産別としても取り組んできた次第です。
 しかしながら、残念ながら、一方で、日本の高コスト構造、生産性の二重構造といったものは、私たちの自助努力では全く及ばないというのが実態であります。また、それはものづくりを中心とする日本の強みを失わせる、貿易立国という立場すら崩壊するのではないかという危険性も私どもははらんでいると思っています。
 したがって、その改善、構造改革ということを世の中に訴えていく必要があると強く認識している次第です。
 私ども今期2年間については、こうした認識のもとに、一部に見られるような楽観論に流されることなく、産業の実態、産業の危機を検証するとともに、身近な私たち自身の自動車産業を例に挙げまして、いかに日本で事業を行うことがさまざまな障害、例えば、ビジネスコストであるとか規制等によってやりづらいかということを具体的に指摘し、自動車という立場では検証し、対案もつくってきた次第です。
 しかし、これはあくまでも製造業の1つの自動車という観点だけですので、これを検証・提示したということだけでは、やはり改革にはつながらず、国全体で取り組んでいくためには、やはり力不足です。そういう意味では、ものづくり産業全体で、同様の検討、そして、相乗効果を発揮させながら、国並びに世間に対してアピールするという取り組みが不可欠だと思っています。
 その意味では、日本の主要な基幹産業であるものづくり産業の結集体である、IMF−JCが、ぜひとも製造業全体の中でリーダーシップを発揮すると共に、国内生産基盤強化に向けた牽引役としての実効性ある取り組みを行っていただくことを強く希望します。
 2点目は、環境変化に対応する運動の追求と発展基盤の確立ということです。JCの組織がいかにあるべきかというのは、これまでもいろいろ議論されたと聞いています。数年前にも、緩やかな連合体を目指すか否かで議論された経過もあると聞いています。運動方針案においては、「2年をかけて総合プロジェクトチームを中心に連合金属部門の視点も含めて、具体的に方針を策定する」とあります。

 40周年の節目を迎えるに当たっては、これからのJCのあり方について、これまでの議論も踏まえつつ、積極的な議論と明確なJCとしての方向性が提示されますことを期待します。
 また、具体的検討に際しては、前述したように、ものづくり産業の代表としてのJCの役割を十分に発揮し、政策をつくるということだけではなくして、実現をなし得るためにはどうあるべきかという観点から、機能、運営、機関手続等についても、大胆にかつ各産別が結集し、最大限の効果が発揮できるためのJCのあり方という観点からの検討をぜひ行っていただきたいと思います。
 以上、自動車総連としては、JC活動を全面的に支援するということとともに、私個人としましても、團野事務局長を支えるという心を持ちまして、全面的に支援しますので、よろしくお願いいたします。<ページのトップへ>

総合プロジェクトチームによる具体的かつ明確な方向づけを強く要望

【小出代議員(基幹労連)】 原案賛成の立場から、基幹労連を代表して、3点ほど、意見・要望を申し上げさせていただきたい。
 第1点は、総合プロジェクトチームによる環境変化に対する運動の追求と発展基盤の確立への取り組みです。金属労協は、金属労働運動全体の発展基盤の確立を目指して、運動のあり方、本部機能のあり方について、2年間において具体的方針を策定するということで提案がありました。
 基幹労連としては、グローバル化の進展に伴う国際競争の激化、あるいは、労働人口減少下での雇用形態の多様化、産別組織統合の進展など、金属産業を取り巻く経済、社会、労働情勢が激しく変化しており、それへの対応が問われている現状では、金属労協の強化に向けて、新たな観点から前向きに取り組む必要性が増してきていると考えます。
 そういう意味で、総合プロジェクトチームの取り組みは、まさに時宜を得たものと考えておりまして、今回も海外来賓としてご出席になられたドイツ金属労組、IGメタルに匹敵する存在感ある運動体を目指して、関係各位の格段の努力を求めたいと思います。
 また、連合の運動に対して、金属労協が働きかけを強化することのためには、地方組織の強化、財政基盤の確立が重要との指摘はそのとおりだと思いますが、最も大切なことは、金属産業に働く職場組合員の期待にこたえられるインパクトのあるビジョンの提示が何よりも大切と考えております。金属労協がどの方向を向いて動いていくのか、総合プロジェクトチームにおいて、具体的かつ明確な方向づけをしていただけるよう、強く要望するものであります。

 第2点は、先ほど来出ています第2次賃金・労働政策に基づく総合労働条件の改善と、新たな労使フレームワークの構築についてであります。
 第2次賃金・労働政策は、生活との調和と自己実現を目指す多様な働き方の構築を提起し、実現のためのJC共闘のあり方について、基本方向を示したものであります。多様な働き方ということについては、基幹労連も組合ニーズの高まりということを受けまして、その方向性は理解しているところであります。ただ、この政策で提起されたとおり、雇用、労働時間、企業内処遇、こういったことの実現の課題が数多く存在していることもまた事実であります。
 今回の報告の確認を機にしまして、金属産業の発展を目指し、豊かな生活を送るための新たな働き方の実現に向けまして、着実な成果が得られるよう、取り組みの強化を求めたいと思います。
 基幹労連としても、現在、産業の安定的発展と魅力ある雇用、労働条件の確立による好循環の創造をコンセプトに、「アクティブビジョン2010」ということで策定作業に入っていますので、あわせて報告しておきます。
 それから、もう一方のJC共闘のあり方についてでありますが、2004年春季生活闘争では、金属労協本部が、幅広い総合労働条件の改善に向けた考え方や取り組み方向を提示し、これに対し、各産別が主体的に最大限の努力をするという方法がとられました。産業間の格差が拡大して、一律的な取り組みが困難になってきている状況下では、金属産業として成果を得るためには、こうした共闘の姿を是とし、労働条件の維持・向上を図っていくという方向に変わってきていると考えます。
 来年の春季生活闘争についても、このような大枠のもとでの共闘になるものと考えていますが、今年以上に共闘の強化を図られるよう、要望しておきたいと思います。基幹労連としても、来年取り組む「アクティブプラン」、APと言っておりますが、AP05においても、過渡的な姿として、産別主導のもと部門運営を行いますけれども、成果が得られるよう最大限の努力をしたいということを申し添えておきます。
 なお、新たな労使フレームワークの構築についてですが、これも先ほど来出ておりますが、金属産業全体に共通する課題の解決とともに、金属産業全体を網羅する労使関係の構築に向けて、さらに努力を続けてほしいということを付加しておきます。

 3点目は金属産業の国内生産基盤の強化についてであります。金属産業は海外景気の拡大に伴い、輸出が増加して明るい兆しを示してきていますが、国内の構造改革の遅れもあって、将来も強固な生産基盤が維持し続けられるかとなると、不安を感じざるを得ません。今回の運動方針では、国内生産基盤の強化のため、政策・制度や産業政策の取り組みを強化していくということにしてあります。各産別での取り組みについて、金属労協内で議論し合うことは大切なことだと認識しています。しかし、今後の取り組みに当たっては、ご指摘のとおり、大胆な政策の絞り込みや、十分な掘り下げを行っていく必要があると考えています。
 連合、金属労協、産別間の分業の仕方については、政策・制度は、本来、連合が取り組むべき課題だ。金属労協は連合の政策に歩調を合わせてチェックすることを基本としたほうがいいのではないか。連合と見解が分かれて異にした場合には、共同して連合に修正を求めていく。結果として、連合にはない政策分野に特化していく。国としての産業政策にかかわる課題については、関係産別で取り組むものを除いて、金属産業共通の課題に絞り込むといった方法が望ましいと考えています。職場に身近な課題から1つずつ解決し、着実な成果をおさめていくためには、法律的な分業が必要でありまして、民間、ものづくり産業、金属産業の労組の視点から、政策内容の充実を図るために、ぜひこの方向で取り組まれるよう要望いたします。
 なお、今後の産業政策の取り組みで、中国プロジェクトの展開が挙げられています。躍進著しい中国は基幹産業にとっても極めてかかわりが深く、両国の社会の発展段階に大きな違いがありますが、公正な貿易条件を確立し、産業の共生を図っていく必要性が増大していると考えております。中国プロジェクトにおいて、まずはこれまでの中国に関する情報の精査を行っていただきまして、その上で具体的な行動をとっていただけるよう要望いたします。
 以上3点、金属労協の新たな活動に期待を込めまして、基幹労連を代表しての意見・要望とさせていただきます。<ページのトップへ>

組合員の視点に立った変革を期待

【勝部代議員(全電線)】原案に賛成の立場で、全電線として、2点に分けて意見を申し上げたい。
 1点目は、総合プロジェクトチームによる取り組みについてであります。JCは、これまでも従来型の運動から脱皮を目指した論議を進めてきましたが、本チーム発足により、一層取り組みが推進されるものと考えています。私ども全電線としましても、昨年より、全電線運動方針の再検証と銘打ちまして、抜本的な運動方針や活動の見直しを論議してきました。今年度以降、継続してこの取り組みを行っていく考えです。
 従って、我々自身にも言えることなのですが、見直しをすること自体が目的ではなく、変化の激しい時代に合った運動を展開するための手段であるという視点を堅持し、守るべき基本をしっかりと押さえる中で、JCの良さを生かすような論議を行う中で、組合員の視点に立った変革を期待しています。
 また、JCはJCの責任において、産別は産別の責任において、その活動を推進していかなければならないと考えていますが、JCにおいても、各産別同士の情報交換などを含め、より一層活動が充実できるような産別の取り組みに対する支援をお願いします。

 2点目は、今後の春季闘争の取り組みに向けてであります。ご存じのとおり、我が産別においては、ここ数年、春闘においては、厳しい経済環境と産業動向、構造改革が求められる企業の状況など、大変困難な状況下での闘争となり、課題とすべき点が多く残ってきたことも否めません。
 特に、労働条件に関して、労使の考え方の隔たりが改めて大きく浮き彫りにされたところです。労働条件は、個別項目単独ではなく、企業戦略や産業政策、経済社会政策との関係も考慮した上で論議されるべきとなっていますが、現行制度の検証、産業にふさわしい労働条件の検討、人的資源の必要性、国際競争力の関係など、経済に与える影響も含めて、幅広い論議、階層にとらわれず労使で展開していく必要があると認識しています。
 JCとしても提起された第2次賃金・労働政策を十分に踏まえ、JCの立場で、金属産業に働く我々労働者の総合的な労働条件改善に邁進いただき、JCミニマム運動の展開と、産別、単組、これら主体的な取り組みに対しても、情報提供をはじめとした支援をよろしくお願いいたします。
 以上、産別の実情も含め、要望を述べさせていただきましたが、全電線としましても、さきの定期大会で確認をされた今後2年間の運動方針に基づき、活動を推進していき、JC共闘の一員としても、本方針に対して、最大限の努力を行い、積極的な活動を展開することを申し上げ、賛成の意見とさせていただきます。<ページのトップへ>

賃金制度の確立に向けて組合が積極的な提案を

【岸野代議員(JAM)】原案賛成の立場で、第2次賃金・労働政策に関して3点、発言したいと思います。現状、私どもの取り組みをあわせてご報告をしながら、補強意見としてまいりたい。
 まず賃金の問題は、第2次賃金・労働政策のほうで、かなり細かな取り組みの方向性が出されているかと思いますが、私どもは中小をたくさん抱えているところで、どういう賃金政策を追求していけばよいかということで、現在、課題を抱えています。先ほど経過報告の中にもありましたが、中小、今年のJAMの中でも、100人未満の賃上げは、例年に比べて進捗しました。前年比で上げ幅という点では非常に前進をしたという経過を持っているわけですが、この背景には当然、企業業績の回復等ありますけれども、それ以上に、中小ですので、仕事量の増加に対応しなくてはいけないというのがまずあります。そこでもうこれ以上の我慢を強いることができないという形で、かなりの経営が賃金の引き上げを図った。これは特に100人未満のところであります。その動きが非常に顕著だったわけですが、ただ、そういうところの問題点というのは、そこに賃金構造維持分というものの算定ができないことです。制度がありませんから。JAMですと全体の6割が、賃金制度を持っていません。その賃金制度を持っていない6割前後の企業がどうやって賃金政策というものを追求していけばいいかというのは、非常に大きな問題です。
 平均賃上げをやめるわけにはいきません。ということは、毎年の春闘、必ず賃金交渉を詰めていかなくてはいけない。そういう意味で、JC共闘に継続、強化ということをぜひとも期待をしたい。ただ、そこだけでは、中小の格差是正の取り組みというのは進んでいきません。どうしても、水準というところへ議論を持っていかなければならない。これは、JAMは結成以来、問題意識として持っていることですが、このことをいよいよ進めていかなくてはいけないと思っています。
 そこで、賃金交渉ということだけでなしに、賃金制度の確立、賃金体系整備ということを通年の取り組みとするということで、JAMは昨年から取り組むようになりました。現在も秋から冬にかけて、これを方針化して、賃金制度の確立・整備を通年的な課題として取り組むということを進めていますが、その中で幾つか問題点があります。
 特に、昨年から今年にかけて、制度がないところで、成果型賃金という提案が経営のほうからたくさんなされてきました。成果型賃金というのは、この場合には総額人件費の抑制を目的とするという趣旨合いのものが大部分でして、現行の労働者の水準を非常に著しく上げ下げしてしまう制度改定というものについて、JAMは反対という立場で望んでいきたいという考え方を1つ持っています。ただ、賃金制度をつくるといった場合に、これは賃金体系をきちっとするという部分については、組合のほうからも積極的に提案をしていかなくてはいけない課題ではないかと考えています。
 その場合に、大きな問題点というのは、制度できちっとチェックをされていない部分は、やはり高度経済成長期を通じて、賃金カーブのゆがみというものを引きずっています。一番大きな問題は、最近だと、バブル崩壊以降の、特に30歳、35歳に至る前の若年層の水準です。この部分が非常に低く押さえられて、カーブが立ち上がっていかないという問題があります。もう一方では、高齢者のほうでは、団塊の世代がこれから10年以内に退職を迎えるという中で、いわゆる退職金原資をどのようにやりくりしていくのか。あるいは、その後に続いていく部分をどのようにしていけばよいのか、企業内の賃金政策の中に非常に正していかなければいけない課題が共通してあると思っています。
 そういう部分について、これは経営側からの提案を待つということではなくて、労働組合の方からむしろ問題を提起して、その整備を図っていきたいと考えています。
 その際に、やはり一番ポイントになることは、最も基本的なことで当たり前のことですが、やはり個別賃金の実態把握ということを特に進めていかなくてはいけないと思っています。これは特に力のない中小の単組の場合ですと、非常に大きい問題です。ただそこでも、全従業員の個別賃金を労働組合としてきちんと把握をしていく。また、その力がないと、ここで言われている賃金政策、あるいは、JCミニマム運動といったものにも、実際にはついていけないということになってしまう。その部分のやはり下支えをしていくために、我々はそういう下からの力をつけていくことに尽力していきたいと考えています。これは賃金の問題です。

 2点目は、労働時間の問題に触れたいと思います。仕事、社会、家庭生活の調和という課題に対して、労働時間の短縮というのは、やはり避けて通れない課題だろうと思っています。ただ、これについても、大変厳しい状態があります。特に、昨年から今年にかけまして、仕事量が非常に増えてきたということの中で、労働条件の中で労働時間に関する問題点を指摘する単組が、昨年から今年にかけて非常に増えています。そういう部分をこれから精査して、その問題点の洗い出しを図っていきたいと思っていますが、もう一つ、一昨年から取り組みを強めているのが、労働時間管理の問題です。
 これは、通常時間管理職場ですと、JAMの場合、大体8割以上のところは適正な時間管理ができているわけですが、いわゆる労働時間の弾力的運用を採用している、フレックスタイムと裁量労働制を採用しているところでは、まだまだ時間管理という部分がきちっと適正にはされていないというようなデータを現在、確認をしていますので、その部分をさらに精査して、今後、取り組みを進めていきたいとかんがえています。
 3点目は、非典型労働者の増加についてです。実態的なことをまず申し上げます。今年の3月から5月にかけて、業務請負業の活用実態に関する調査を産別で取り組みました。一例だけ申し上げますが、その中でまず大きな問題として出ているのは、派遣と請負の区別が、労使ともについていないという企業、単組が、全体の50%を超えるという実態が、実は私どもJAMの中にはあります。その点を非常に重視をして、この秋から冬にかけての労働協約の取り組みの中で、非典型労働者の取り扱い、あるいはその実態把握について非常に重視をして取り組みを進めているところでありますが、実情、そういうところからまず始めていかなければならないということで、ご報告を申し上げたいと思います。
 加えて、先ほど来、仕事量の増加ということを申し上げていますが、これは要員が減って仕事が増えている、これはどこの企業にも共通した問題でありますが、そこに非典型労働者が絡んで、実は、そういう現場で、今年、3人の死亡者を出すという重大災害が、つい最近、7月に起きました。実は、非典型への職場での対応というのは、そういう問題も非常に重大な問題としてはらんでいるということを、今、非常に強く痛感をしております。そのことも含めまして、その問題についての取り組みをさらに進めていきたいということで、実態報告というようなことになりましたが、補強の意見とさせていただきます。<ページのトップへ>

本部答弁:【團野事務局長】  すべての産別からご意見をちょうだいいたしました。大変ありがとうございました。
 意見の内容としては、おおむね8つの意見が出たと思います。第2次賃金・労働政策にかかわるもの、ミニマム運動について、そして、政策・制度課題の取りまとめ、整理、絞り込みについて、また、国内生産基盤の強化に向けた対応について、そして、環境変化に対応する金属運動の追求の問題について、5点目には、金属労使のフレームワーク問題について、労働時間短縮の取り組み、非典型雇用労働者の実態と今後の対応について、以上、8つのご意見をいただいたと思います。それぞれ、賛成の立場から意見をいただいたと考えております。
 具体的な立案につきましては、5産別から各委員を出していただきまして、すべての産別が参画をして、その中で徹底的に議論をするということであります。過程の中では十分に議論をし、そして、全体的に納得をし、整理をできたら、その考え方のもとで、金属全体が1つの運動方向を目指すということで、その部分についても、ぜひご協力をお願いできればと考えているところであります。
 今後、5産別の協力のもとで、さまざまな課題がございますが、十分に議論を尽くし、具体的な考え方を整理し、取り組みを進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくご協力をいただきたいと思います。
 議長のほうから、第2次賃金・労働政策についても少しコメントするように言われたのですが、それをし出しますと、また時間が超過いたします。予定した時間がぴったりになっておりますので、既にご理解をいただいているということで、私のほうからはコメントしないということで、ご容赦をいただきたいと思います。<ページのトップへ>