【杉山代議員
(電機連合)】 |
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今回提起された活動方針の策定に当たっては、電機連合としても各種委員会、機関会議を通じて意見反映に取り組んできました。したがいまして、原案に賛成の立場で、また選挙の闘いの真っ最中ですので、発言も絞り込みまして、政策・制度要求の実現について1点のみ要望させていただきたい。
現在の日本の製造業、とりわけその中でも私ども電機産業は熾烈を極めるグローバル競争の中、どう生き残っていくかというまさに重大局面の真っただ中にあります。こうした状況の中、ようやく回復の兆しが見え始めましたものづくり産業の長期的、安定的な発展を確かなものとしていくためには、引き続き構造改革の推進による産業インフラコストの削減など、着実に産業基盤を整備、強化していくことが必要だと考えます。
本年4月に策定された2005年政策・制度要求では、これまでの全体網羅的な要求内容から、連合にある政策は連合にゆだね、民間・ものづくり・金属産業に働く者の立場からの要求に思い切って絞り込んだことから、産別内部での議論、単組への展開のしやすさが格段に改善され、JCが目指す政策・制度要求についての理解が深まりました。このことについては電機連合としても大変評価しているところです。
しかしながら、冒頭の古賀議長のごあいさつ、また團野事務局長のご提案の中にもありましたとおり、政策というものは策定をしたらそれで終わりだということではなくて、いかにして実現していくかが重要でして、これまで以上に政策実現力の強化と、そして何よりもスピードアップが求められていると考えます。企業への助成、失業者への支援施策にとどまらず、雇用の確保・拡大に向けた新しい産業の創出、国としての戦略を持った産業政策の策定と推進、さらには個人のスキルアップやキャリア形成の支援等々、我々にとって解決しなければならないまさに待ったなしの政策課題は山積しています。
これら山積する政策課題の解決に向けて、政党、関係省庁との政策協議の内容をより充実していくことはもとより、例えば日ごろから定期的に秘書団などの実務担当者も含めて政策勉強会を開催して状況認識の共有化を図るなど、JC政治顧問、さらには民主党協力議員との連携強化こそが重要であると考えます。ぜひ政策・制度実現のためのさまざまな仕掛けづくりについて知恵を出し合って、工夫をお願いしたい。
電機連合も微力ではありますが、JCの政策・制度要求の実現に向けて連合への積極的な働きかけ、政府、政党に対する要請活動を強化していくので、引き続き政策の実現に向けたJC本部のリーダーシップの発揮を要望したい。<ページのトップへ>
総合プロジェクトの積極果敢な検討と実現への努力を要請 |
【西野代議員
(基幹労連)】 |
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2006年度活動方針について、賛成の立場で意見・要望を2点申し上げたい。
まず、1点目ですが、新たな金属労働運動についてです。JCは、結成40周年をくぐり、社会の大きな変化とともに運動も大きな転換期を迎えています。その上、この転換期はものすごい速度を伴っています。
JCはこうしたさまざまな変化の流れに乗り遅れることなく、むしろその流れを創り出す役割を担っていくことが重要であると考えます。運動のあり方がどう問われようと、JCが我が国で、アジアで、そして世界で担う役割の重要性は不変であると考えています。
この観点に立って、先ほどの特別報告にもありますように、総合プロジェクトで検討している「求心力ある新たな金属労働運動」について、2006年度は具体化へ向けてさらに細部検討が進められていきます。この総合プロジェクトの活動範囲は、あるべき運動の姿を描くのみならず、それを実現する組織体制・財政基盤にも及ばなければならないと思います。だからこそ、既存の組織や財政にとらわれることなく、真に新たな金属労働運動を推進する体制として、さまざまな視点から幅広くかつ柔軟、そして大胆に検討されるべきであると考えます。
この観点に立ち、総合プロジェクトの積極果敢な検討と実現への努力を要請します。
続いて、2点目、2006年闘争について要望を申し上げたい。
今、日本は弱っています。この弱り切ってしまった日本が自信と誇りを取り戻すためには、一時的な精力剤を飲むだけではだめで、しっかりした健康な、そして二度とどんなたちの悪いウィルスが襲ってきても負けない強い体をつくらなければなりません。
そのためには、私たち「ものづくり産業」がしっかりした骨太の核になるしかありません。そして、諸外国がまねすることのできない高付加価値製品をほかに先駆けて生み出していくことが、我が国ものづくり産業の生命線であると思います。この「ものづくり力」を高めることこそ、日本が真の元気を取り戻す道なのだと信じております。
しかし、この「ものづくり力」というのは、魅力ある雇用・労働条件があってこそ生まれるものです。「産業基盤を強化していくことが、魅力ある労働条件をつくることである」ということはもちろんですが、私たちは「魅力ある労働条件が産業基盤を強化していくんだ」という逆転の発想に立って、賃金水準においては全産業の中でも低位にある金属労働者の水準を上げていかなければなりません。
我が国の景気はまさに働く者の努力によって回復傾向を堅持し、ようやく踊り場も脱却しつつあります。企業業績は好調であり、2005年闘争では一時金の明らかな水準回復を果たしました。ところが、一方で月例賃金に目を向けますと、低下傾向に歯止めがかからず、可処分所得はその傾向が一層顕著であります。
私たちは賃金改善に全体として取り組まずに、もう既に4年が経過しました。現在の経済情勢をあわせ考えれば、賃金のリード役を果たしてきたJCには、昨年までと異なり、いま一段の努力が求められていると考えます。
2006年闘争方針を策定するに当たっては、この点をぜひ踏まえて積極的な検討を行うよう要請します。以上2点を基幹労連の意見・要望として申し上げます。<ページのトップへ>
新たな共闘軸構築に向け、産別・単組の取り組み強化につながる運動展開を |
【北野代議員
(全電線)】 |
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JC活動方針に賛成の立場で、全電線としても2点ほど意見を申し上げたい。
まず、1点は、「総合プロジェクトチームによる取り組み」についてです。
JCにおいては、従来型の運動から変革する方向を示す論議を進めてきましたが、本チームにおける検討を継続する中で、それぞれの活動分野ごとに一層取り組みを推進されるとのことで、その期待は大きなものがあります。
私ども全電線としても、一昨年前より「全電線運動の再検証」と銘打ち、抜本的な運動や活動の見直し論議を行ってきました。今年度はその最終年度と位置づけ、環境変化に対応する運動に向け論議を行っていく考えにあります。
したがいまして、我々自身にもいえることですが、グローバリゼーション経済・社会における環境変化の激しい時代において、運動の再構築を展開する中にあり、組合員の視点に立ち、「働き方」、「暮らし方」の中心は「人」であるということを意識し、守るべき基本をしっかり押さえる中で、JCのよさを生かすような論議を行っていただくことを期待します。
また、JCはJCの責任において、産別は産別の責任において、その活動を推進していかなくてはならないと考えておりますが、JCにおかれても、各産別同士の情報交換なども含めより一層産別活動が充実できるよう、産別の取り組みに対する支援活動をよろしくお願いいたします。
2点目は、今後の「大くくり職種別賃金ケースに向けた取り組み」についてです。JCとしても、昨年提起された「第2次賃金・労働政策」に基づき新たな労働政策構築をさらに推進するためにも、JCの立場で金属産業の基盤強化に向けた労使の取り組みを強化することにより、働く我々労働者の総合的な労働条件改善に邁進していただくとともに、産別としてもさらに充実した労使の取り組みに努めていきますのでご支援をお願いします。
また、「大くくり職種別賃金形成に向けた取り組み」をはじめとする新たな共闘軸の構築に向け、産別・単組の取り組み強化につながるような運動の展開をお願いするとともに、産別・単組のこれらの主体的取り組みに対しましても情報提供をはじめとした支援をお願いしたいと考えております。
以上、産別の事情も含めて要望を述べましたが、全電線としても、先月の定期大会において2年サイクルにおける後半1年の運動方針の補強を確認したところです。この運動方針に基づき活動を推進する中で、JC共闘の一員としても本方針に対して最大限の努力と積極的な運動を展開することを申し上げ、賛成の立場での意見とさせていただきます。<ページのトップへ>
【木住野代議員
(JAM)】 |
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原案に賛成の立場で発言したい。発言内容としては、大くくり職種別賃金、あるいは個別賃金の取り組みに限定して意見を申し上げたい。
議案書の表現に、「大くくり職種別賃金水準形成に向けた個別賃金決定の取り組み」となっていますが、この部分でひとつ感じるのは、この中に「賃上げ」という言葉がないことです。これが今の個別賃金の取り組みの一つの大きなポイントになってきているのではないかと思うわけです。
従来から個別賃金の取り組みというのはあったわけですが、それは平均賃上げに付随したような形での個別賃金の取り組みであったのではないかと思います。これは現状でもそういうふうに思っているわけです。その部分について、産別の状況を振り返りますと、JAM結成以来個別賃金の取り組みを追求してきていますが、結成当時の2000年春季生活闘争では、300近くの単組が個別賃金の取り組みをしたという実績であったわけですが、これが2003年春季生活闘争では、要するにベアというものがなくなって、賃金構造維持分要求に春闘全体が変わってきた中で、147と取り組み組合数が激減していくという経過を個別賃金の中ではたどってきたわけです。これは現在2005年春季生活闘争では160という数字まで回復してきていますが、ただこういう数字を見ただけでも、随分この取り組みは難しい問題をはらんでいると思わずにおれないわけです。
単に個別賃金の水準を表示していくということだけにとどまらずに、JAMではこの取り組みを補完する意味で、結成以来個別賃金の全組合員のデータを産別で集約するという取り組みとあわせて取り組んできたわけですが、そこで1つ問題点を申し上げます。
平均賃上げで2002年、2003年と非常に落ち込みました。それが2004年、2005年で回復をたどってきました。これは中小で特に顕著な傾向であったわけですが、ただ、賃金全数調査のデータを使ってこの部分を検証しますと、300人未満のところは確実にその水準が全年齢で下がるという事態が起こっています。回復してももとには戻っていかない。この原因を考えていきますと、そういうところにも賃金制度のある、なしということにかかわらず、個別賃金水準で賃金の取り組みをしていかなくてはならない、ほうっておけば下がってしまうという状態が今あるということを強く認識しているところです。
そういうところで、この取り組みに対して中小含めて強化していかなくてはならないと思うわけでありますが、そこで一つ考えることがあります。先ほど申し上げましたように、この取り組みはほうっておいてはなかなか進まないという部分があります。といいますのは、個別賃金として表示されるというのは一つのポイントでしかないという問題があるだろうと思います。ただ、それは全体の個々の企業の賃金体系の中の一つのポイントであって、その意味をお互いが理解していくためには、そこで共有していかなければいけない情報量というのは、平均賃上げのときに比べれば比較にならないくらい大量のものをお互いが情報共有していかなくてはいけない取り組みになっていかざるを得ないだろうと思っています。
そういう部分についての今後の体制づくりについてコメントいただけきたい。
もう一つは、この取り組みを通じて賃金の意味を明らかにするという表現があります。他産業、他企業の比較を通じて、賃金の位置づけを明らかにするという表現がありますが、そのことを通じて格差是正ということを取り上げています。先ほど「賃上げ」という表現がなくなり、純ベアで、平均賃上げで賃上げをしていくということではなしに、今度は賃上げということが、個別賃金の取り組みの中で賃上げを追求していくことになりますと、当然そこには格差是正という要素が非常に強く出てこざるを得ないのではないか。そういう部分で、個別の企業にとってはベアということになるわけですけれども、従来あったベアという考え方と、違ったベアというものの意味がこの取り組みの中に出てくるように思います。その点についても、コメントをいただきたい。
最後になりますが、この間賃金の決定ということをめぐって、目標管理制度ですとか、成果型賃金ですとか言われております。これはブームは去ったのかなという感じがしますけれども、ただその中で、賃金が評価によって決められていく部分が拡大していく傾向にある。そのことは集団的労使関係のもとでも、賃金決定の個別化が強まっていくのだというふうによく説明されます。しかし、個別賃金を取り組むに当たって、そういう部分について労働組合がきちんと関与していく、そこへの関与を強めていくということも個別賃金の取り組みは含んでいると考えます。以上3点申し上げまして発言とさせていただきます。<ページのトップへ>
【堺代議員
(自動車総連)】 |
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JCの活動方針を支持し、ともに推進するという立場から、特にアジアの労働運動において、JCにそのリード役をぜひさらに果たしていただきたいという観点で質問させていただきたい。
世界の労働運動において、例えばICFTUではアジア、米州、そしてアフリカという各地域の枠組みとその位置づけがはっきりと明記されて活動が進められています。一方で、IMFの組織においては、例えばアジアの枠組みとその位置づけは、地域事務所の機能や運営も含めると、いま一つ明確になっていない部分があるのではないかと考えている次第です。
一方で、各国の労働運動については、それぞれの国の政治状況であるとか、民主化の進展度合いも違います。また、歴史や文化の違いも加わり、まさに多様化しているわけです。その中で特にアジアの諸国は、議案書にも若干記載がありますが、未成熟な労使関係でありますとか、組合員を取り巻く厳しい環境を背景として、労使関係、労使紛争が頻発しているという実態にあるのではないかと思っています。実際にアジアが生産拠点としても、そして市場としても位置づけが高まる中で、労使紛争も増えています。
自動車産業で発生した案件については、IMFの本部並びにIMF−JCに大変なご指導をいただいている状況です。
また、一方で各国の多国籍企業にとっても、アジアにおける一つには良好な労使関係の構築、2つ目として民主的な労働運動の推進。この2つを実現することは大変重要なことであり、その推進のために日本の組合の果たすべき役割は極めて大きいといえると思います。
今年5月のIMF世界大会においても、JC代表から世界の労働運動の多様化への対応ということで、地域の主体性を生かすべきだという観点で、IMFのアジア地域事務所を含めた組織機構の役割、機能のあり方の検証、そしてそれに基づく見直しの必要について課題提起し、IMF本部のマレンタッキ書記長から賛同を得たところです。
以上のことから、JCにおかれては、アジア各国労組との連携強化をベースに、IMF労働運動の中でアジアのリーダーとしての役割をさらに推進していただきたいと考えています。その取り組み方針についてご見解を賜ればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。<ページのトップへ>
【本部答弁:
團野事務局長】 |
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発言をいただきました順番に沿って、総括的な見解を申し上げたいと思います。発言いただきました各産別の代表者の方々は、すべてが方針に賛同いただいた上で意見なり、質問をいただいたと受けとめをしております。したがいまして、JCの考え方を理解しているけれども、さらにこの辺はどうなのか、または付加的な見解を求めたいというご意見だったと思います。
政策の実現力強化に向けて産別との連携のもと努力
電機連合の杉山さんからは、連合にゆだねられるものは連合にゆだねる。そういう整理の中で、JCの目指す政策・制度の考え方なり、要求内容の理解が深まったというお褒めをいただきました。我々は連合にゆだねるものはゆだねるという考え方をしていますが、項目的に最初から整理をして、この内容は連合の内容、この内容は我々の内容と整理するつもりはありません。すべての関連する課題について金属労協としてはどのように考えるべきか、民間・ものづくり・金属という働く者の視点からはこの政策・制度はどう位置づけるべきか、どういう方向で実現しなければいけないか。これをすべて整理すべきと考えています。その内容と連合が取り組む内容が一致すれば、これは連合にゆだねていいだろうという判断をするわけです。そうした整理を行って、きちんと連合との区分整理をしながら、全体として金属、それから連合が一体的な政策・制度の取り組みが展開できるように整理していきたいと考えているところであります。
さらに、活動方針の中で産業政策の進め方について基本的な整理をしたいと提起させていただきました。これからの経済、社会の方向性がどうなるのか、その中で我々金属産業の位置づけはどうなるのか、そして今後とも基幹的産業としての発展をしていくためにはどのような基本的な政策が必要なのか、そして具体的個々の政策として、どのような関連した政策が必要なのかという形で整理していきたいと考えているところです。そういう考え方に基づきまして、さらに実現力を高める観点に立って新たな仕組みづくりに努力を傾注してまいりたいと考えています。
政策・制度、産業政策もそうでありますが、一定の議論をして、JCとして確認いただいた以降は、金属産業全体の共通政策という位置づけをしていくと総合プロジェクト中間報告の中でも方向的に整理しております。したがって、今後実現に向けては、各産別とどのような連携・協力体制を築くか、そしてその連携強化の中で実現に向けた取り組みをどのように仕組みとしてつくり上げていくかということがかかわりを持ってくるわけです。JCだけが取り組みを展開するわけではなくて、各産別の力をいただきながら効果ある、実現力ある取り組みに仕上げてまいりたいと考えておりますので、今後とも引き続きの協力・努力、理解をいただければありがたいと思います。<ページのトップへ>
総合プロジェクトの積極果敢な健闘と実現への努力に邁進
それから、基幹労連の西野さんからは、総合プロジェクトの中身について、積極果敢な検討と実現への努力を要請するという要望をいただきました。そういう観点に立ってさらに1年間検討を詰めてまいりたいと考えていますし、内藤事務局長はその構成メンバーの一員でありますので、ご協力もいただければありがたいと考えているところです。
それから、2006年闘争についてであります。私自身の認識としては、日本のファンダメンタルは決して弱くはないと思います。諸外国に比べてそれほど悪いわけではない。ただ、いっとき自信がなくなったというところに反対に問題があるのではないかと思います。課題はたくさんありますが、決して弱気にならず、やるべきことはやると考えるところであります。発言の内容に産業基盤を強化していくことが魅力ある労働条件をつくる。反対に、魅力ある労働条件が産業基盤を強化することである。この中で問題なのは、低位にある金属産業の労働者の賃金水準、労働水準であるという発言があり、その水準を引き上げていかなければいけないという発言をいただいたわけです。
ある意味で、いわば基幹労連からは2006年闘争が一つのポイントではないか、積極果敢に挑戦していこうという発言をいただいたと受けとめをいたしますし、一つの決意を込めた発言を基幹労連からいただいたと受けとめをさせていただきました。そうした観点に立ち、2006年闘争の有り様に向けまして、積極的な検討をこれから詰めてまいりたいと考えるところであります。<ページのトップへ>
JCの良さを活かした大くくり職種別賃金形成に向けた取り組みを推進
それから、全電線さんからは、総合プロジェクト、それから大くくり職種別賃金形成に向けた取り組みについて意見をいただきました。その中で、JCの良さを活かすような論議を行ってほしいことを期待したいという発言をいただいたところです。
先ほども総合プロジェクトの中で若干申し上げましたが、JCは1964年の5月に結成されました。そして、今年で41年目であります。その当時を振り返りますと、産別ごとに思想信条が違ういろいろなナショナルセンターの方々が集まり、また分裂をした状態の中から今日に至っているわけであります。38万人から約200万人になったわけです。この中で、違いがあったのを乗り越えて一つの金属労協を形成し、そしてこの41年間の中でいろいろ議論を積み重ねる、そして忌憚のない意見交換がこの金属労協の中ではできるという良さが私はあるのではないかと思います。
ほかの産業別労組には、そうしたところもあるかと思いますが、これだけ大きい母体の中で、いろいろな考え方があるけれども、その違いを乗り越えて一つの方向性を共通項として生み出すことができる労働組合は、私はこの金属労協の仲間でしかできないと考えております。そこがJCの良さであり、強さだと思いますので、今後あらゆる課題が山積しておりますが、すべての課題について忌憚のない意見をちょうだいし、また時には意見を闘わせながら一つの方向に向かって歩みを続けていきたい、そのような観点で対応していきたいということで見解とさせていただきたいと思います。<ページのトップへ>
大くくり職種別賃金水準の形成について
それから、JAMの木住野さんからは非常に難しいコメントを欲しいということで、3点ほどコメントを求められました。
まず最初に、労働契約法制についてということでしょうか。賃金制度というのは労働協約にほかならない。労働組合が集団的労使関係のもとで、その運用に関与していくのは当然である。しかし、個別という部分で切り離されてしまう懸念がある。その辺についてどのように考えるのかということでありました。
賃金処遇制度ということで労働協約なり、賃金協定で我々は締結しているわけであります。したがって、それはいわば集団的労使関係の中で契約しているわけでありますので、賃金処遇制度全体として契約するということであります。
問題で個別に切り分けるということは、個別ごとに処遇体系が全部違うということではないと私は思います。個別に賃金労働条件を契約するのであれば、そこに労働組合が関与して、労働協約を提携する意味がどこにもなくなるわけでありまして、反対をいうと、そういう状態を生み出してはいけないのではないか。集団的労使関係の中で、全体の賃金処遇制度をきちんと契約し、その一つの部分の中に個別的な評価だとかいう一つの幅があるということは、我々の労使の話し合いの中で合意すれば、それは共用できるのではないかと思います。
ですから、一つのルールの中で個別の評価なり、賃金処遇の差が出てくるということはあってもいいのではないかと思いますが、それが何のルールもなく、個人ごとに賃金処遇条件が全く違う、賃金体系も違うということであってはいけないと思います。そういうことが、私は原理原則ではないかと思いますし、そのことを大切にしながら対応しなければいけないと思います。
また一方で、成果給だとか、業績給という個人ごとの賃金の割合が高まっていけば、労働組合としての当然ながら苦情処理という機能が求められるわけであります。なぜ私がこういう評価なのかということに対して、きちんと明確に賃金制度の仕組みを説明しながら、こういう仕組みだからこういうふうになっているということは少なくとも説明できるようでなければ、組合としての役割は果たせないと考えているところであります。
ベアの問題については、格差是正の観点からのベアなのか、はたまた例えば日本全体でベアを求める従来型のベアなのかといういろいろな議論があると思います。しかし、ベアの根拠については、現状でいうと日本全体で経済成長がどうで、物価がどうだから、みんながこぞって賃金引き上げを求めるべきだという理屈はなかなか立てにくいわけでありまして、そういう現状からして、先ほど申し上げたような総合プロジェクト会議の一つの共闘体制を構築することによって、JC全体で取り組めるような体制をまず築いた上でやっていこうではないかということであります。
それから、大くくりの職種別賃金水準形成が一つの従来と異なるポイントではないかと言われました。
労働市場が相当変化してきているわけであります。変化する中で、労働組合の果たす役割はどこにあるのかという観点であります。これまでは、平均であれ、個別賃金であれ、企業ごとに労働条件をつくり、その労働条件というか、一つの引き上げ額を全体に波及するというのが春闘でありました。いわばそれでよかったわけであります。ところが、全体がそうした方向で取り組めないという状況変化だけではなくて、企業ごとに労働条件、労働水準がさまざまな方向に変化していくということであります。
したがって、やり方としては個別企業ごとに労使関係の中で交渉し、企業ごとに決めるわけでありますが、JCとしては3,700企業連、単組があるわけでありますので、そのデータをきちんと集め、実態データに基づいて働き方、産業業種別というのはその中における働き方ということでありまして、それに応じた一つのポイントでの水準形成を目指す。それを実態データに基づいてきちんとつくり上げていくということは、反対に経営側に言わせれば、その業種業態における働き方の賃金水準は実態データ上こうなっていますよということを社会に対して提示するということであります。経営側はその水準に対して違うということは否定できないわけでありまして、そういう仕組みづくりをこれから目指していこうではないか、そういう観点に立って、大きな方向として大くくりの職種別に賃金水準を形成することによって、その賃金水準をきちんと守っていこうという方向がこれからの労働組合としての大きな役割であろうという観点に立って、そういうことぁら「形成」という表現を使っていることをぜひご理解いただければありがたいと思います。
さらに詳細については個別的に対応したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。<ページのトップへ>
国際労働運動の進め方について
最後に、自動車総連の酒井さんから、アジアのリーダーとしての役割をさらに推進すべきであろうとのご指摘とその取り組み方針についてコメントの要望がありました。
先ほど来私も申し上げているとおり、IMFの本部はジュネーブにありますが、IMF全体は、100カ国、200組織、2,500万人の金属産業組合員が結集する集合体なわけであります。先ほど総合プロジェクト中間報の中では割愛しましたが、貿易面における変化、グローバル市場経済化の拡大が一方で経済のブロック化に結びついている。そして、状況が二極化から多極化の方向に向かっている。そして、エリアごとに状況が違うと同時に、そのエリアの中においても各国の置かれた状況が違う状況であります。
そういう状況変化を踏まえれば、IMF本部全体を一律網羅的に指導する方向から、地域、エリアごとの事情に応じたような方向に転換せざるを得ないと考えるわけであります。そういう観点に立って、IMF−JCとしてはアジアを牽引するリーダー的役割を担う組織でありますから、我々はアジアを最重点地区にものを考えたい。そして、アジアでありますから、アジア各国労組が置かれている状況はいち早く我々がよく認識できるわけであります。また、連携もとりやすいわけでありますので、そういう情報連絡をベースにして、その観点に立った運動を推進していきたいということであります。世界大会においても自動車総連の加藤会長からその観点に立った発言をいただいたわけでありますし、マレンタッキIMF書記長もそれに賛同してくれたわけでありますので、その観点に立ってIMF本部にも運動改革を求めていきたいと思います。
それから、産業別課題についても、各国労組の代表者が集まって、例えば鉄鋼の問題、造船の問題、電機、情報通信の問題、自動車の問題、そこの産業問題が世界的にどのような問題が横たわっているのか、それはエリアごとにどういう問題があるのか。それは例えば企業のネットワークの問題なのか、産業の横のつながりの問題なのかも含めて労働組合が集まって議論し、そういう検討をIMFの中でやれる体制を築くことが必要だろうと考えているわけであります。
産業別部会というのは7つあります。その下にそれぞれの検討部会があるわけでありますが、それが有機的につながって、我々が望むような産業別の課題についてきちんと検討できる、また、議論ができるような体制を本部に対して求めていきたいと考えるところであります。また、我々も物を言うからにはきちんとIMF全体運動に対しても協力していかなければいけないと考えるところであります。大筋の考え方としてはそのような基本スタンスに立って取り組みを進めてまいりたいと考えるところであります。
以上であります。<ページのトップへ>