機関誌「IMF-JC」2005冬号



主 張

結成40周年の節目を迎えたIMF−JC

古賀 伸明
IMF−JC議長/
電機連合中央執行委員長

歴史に学び新たなステージに向けて

私たち金属労協(IMF−JC)は1964年(昭和39年)に結成され、昨年40周年という節目の年を迎えました。1964年といえば、アジアで初めて開催された東京オリンピックの年です。そして、そこには1957年(昭和32年)のIMF東京事務所開設という歴史があり、それから7年を有しての結成となりました。
それは、当時、日本の労働運動が四分五裂の状況の中で、それぞれの組合が所属する上部団体、ナショナルセンター、そこからの影響である政党との支持・協力関係も異なるものを胚胎しながら、IMFという国際金属労連のもとに結集するという生みの苦しみであったのだろうと思います。そして、その障害を克服し、日本の労働界においても初めて登場したJC方式という形態でIMF−JCを結成しえたのは、草創期のリーダーの組織を超越した同志的な結合のたまものであると思います。
そして40年。この40年はまさに激動と変革の時代であり、そのなかでIMF−JCの運動も幾多の試練に直面し、さまざまな荒波に揉まれながらも、運動の前進がはかられ発展してきました。結成当時、組合員数約40万人という体制でスタートしたIMF−JCは、いま200万人を数えるに至っています。この間のIMF−JCの運動は、その多くが成果ある足跡を残してきています。まさに、これらのことは諸先輩の先見性とご尽力の賜物であり、改めて敬意を表する次第です。
一方で、私たちはこの40年の歴史に学び、これから次のステージに向かって一歩ずつ歴史を築いていくことになります。あらゆる事象を従来の枠組みの中だけで考えるのではなく、自らの知恵で道を切り拓き、困難を乗り越えていくことが、私たちに課せられた責務だと考えます。40年の歴史と伝統の重みをかみしめながら、主体性をもって、全員の知恵と行動で、様々な課題に果敢に挑戦していかなければなりません。

総合プロジェクトチーム設置による運動の再構築を

この結成40周年という節目を迎えた昨年9月3日に開催した第43回定期大会において、私たちは五つの項目を柱とする向こう2年間の運動方針を確立しました。その一つは、「総合プロジェクトチーム」設置による、環境変化に対応する運動の追求と発展基盤の確立への取り組みです。二つに、金属産業の国内生産基盤強化を図る運動展開です。三つ目は、「第2次賃金・労働政策」に基づく、総合労働条件の改善と新たな労使フレームワークの構築、四点目は、国際労働運動の一層の強化発展に向けた取り組み、そして、最後に組織強化と財政基盤の確立です。
どれも重要な課題であり、各産別とも十分連携を取りながら、活動のステップアップに努めていかなければなりませんが、なかでも最大の課題は「総合プロジェクトチーム設置による、これからのIMF−JC運動の再構築」です。
結成40年を経過した今日、私が言うまでもなく世界も日本も金属産業を取り巻く情勢も大きく様変わりしました。グローバリゼーションの激化、IT社会の進展、少子高齢社会、地球環境保護や循環型社会への要請の高まりなどの大きな環境変化は、日本の政治、経済、産業、社会などあらゆる組織やシステムの構造的課題を顕在化させています。IMF−JCの運動とて決して埒外ではありません。かつて私たちが経験したことのないこの大きな波は、私たちの働き方や暮らし方、生き方にも数々の影響を及ぼしてきています。
このような大きな環境変化の中で、「金属・民間・ものづくり」のキーワードのもと、IMF−JCとしての存在意義や新たな組織目的を改めて構築していく必要があります。様々な角度からの各産別の皆さんの積極的な意見提起をお願いする次第です。

JC共闘を進化させる2005年闘争に

さて、新しい年となり、いよいよ2005年闘争の要求提出も迫ってきました。今年のJC共闘としての幾つかのポイントについて触れておきたいと思います。
一つは、2005年闘争を、昨年9月開催の定期大会で確立した第2次賃金・労働政策の実現に向けた取り組みの第一歩を踏み出す闘争と位置づけたいと考えます。「大くくり職種別賃金水準の形成に向けた条件整備」の取り組みを始めとし、「労働時間」「60歳以降の就労確保」「仕事と家庭の両立支援」の取り組みなど、副題である「生活との調和と自己実現をめざす多様な働き方の実現」に向け、職場の実態に即して解決すべき課題の優先順位を明確にし、取り組みを推進していく必要があります。
二つ目は、JCミニマム運動の一層の強化です。私たちはJC共闘の新しい意義を、ここ数年議論してきました。右肩上がりの成長から成熟型経済への移行に伴い、産業・企業の置かれた環境の違いが顕在化する中、これまでの統一的な賃上げ要求基準設定(賃金の上げ幅)による共闘から、仕事や役割を重視した個別賃金決定方式の確立による賃金水準の社会的相場形成、社会的賃率形成を目指すこととしました。併せて、雇用形態の多様化にも対応して金属産業全体の賃金の下支えを図る取り組みを行うこととしたのです。それが2003年闘争から推進している「ミニマムによる下支え・底上げ」「格差改善」「均等処遇」を基本とするJCミニマム運動です。すなわち、将来的にはその水準以下の賃金で働くことをなくしていく「JCミニマム(35歳)」、企業内における全従業員の下支えとして機能させるべく取り組む「最低賃金協定」、未組織労働者も含めた金属産業全体としての賃金のセーフティネットとしての「法定産業別最低賃金」の取り組みです。この三つの柱を相互に連携させながら社会的影響力を高める運動として、2005年闘争においても、このJCミニマム運動の強化を図っていかなければなりません。
具体的な重要項目である賃金要求については、各産業・各産別を取り巻く環境の違いなどから、金属労協全体で統一的なベア要求を掲げる環境にはなく、格差改善に注力すべきと判断いたしました。もちろん、マクロ、ミクロの諸情勢から、水準向上や格差改善を目指してベアに取り組む産別・単組を、JC全体のことと受けとめ、その環境整備に努めていく必要があることは、言うまでもありません。
2005年闘争は、これらの取り組みを通じて、JC共闘を進化させていく意義と位置づけを持っています。各産別の積極的な参画をお願いいたします。

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